2010年 アメリカ映画 95分 ホラー 採点★★★
日中に得た情報を脳がまだ上手く処理できないのか、子供の頃はやたらと怖い夢を見ましたねぇ。顔中がおはぎみたいなブツブツで覆われた怪人にくすぐられたり、湖の水面に顔だけが大量に浮かび上がり、一斉に唸り声を上げたりと、未だに覚えてる夢があるほど怖かったもんです。ただまぁ、この位の歳になっちゃうと、見る夢見る夢ほとんど現実と変わらなかったり、たまに味のある夢を見ていても見ている最中に「あぁ、これは夢だ」と気付いちゃったりと、興醒めも甚だしい。夢の中くらいは無茶して楽しみたいのに。
【ストーリー】
エルム街に住む５人の若者たちは、全員同じ悪夢に悩まされていた。無残に焼けただれた顔と鉄の爪をはめた手袋をした男に襲われる夢。日に日にその夢は現実味を増していき、遂に彼らの一人が眠ったまま無残に殺されてしまう。原因がその悪夢にあると考えた彼らは、その悪夢に出てくる男の素性を調べ始めるが、自分たちの子供時代に起きた陰惨な事件との関係が浮かび上がり…。
『悪魔のいけにえ』『悪魔の棲む家』『ヒッチャー』『１３日の金曜日』と、誰もが知っているメジャーどころと言うか、ベタな作品とさえ言えるラインナップをリメイクしまくる『トランスフォーマー』のマイケル・ベイ製作による、ウェス・クレイヴンの傑作ホラー『エルム街の悪夢』のリメイク。監督は、デヴィッド・ボウイやニルヴァーナのＰＶも手掛けた新鋭サミュエル・ベイヤー。これでジェイソンもフレディも手に入れたマイケル・ベイ。次は対戦ですか？
誰しもが自然に行い、且つ絶つことが非常に難しい“眠る”という行為が命取りとなる逃れようのない恐怖を、劇中の夢と現実の境目を曖昧にすることでスクリーンと観客との距離間も曖昧にし、その恐怖をより一層深めたオリジナル版『エルム街の悪夢』。“１３日の金曜日シリーズ”同様、作品を重ねるごとにセルフパロディの様相を強めていってしまったのだが、今回のリメイクはその“笑い”の部分をばっさりとカットし、ソリッドな恐怖を味わう一本に仕上がっている。また、フレディ・クルーガーが本当に悪人だったのかどうかがクライマックスまで分からないミステリー仕立ても、地域の大人たちだけが知っている忌むべき過去という土着の恐怖も、なかなか興味深い出来。
肝心の睡魔に抗う様がイマイチ上手く描き切れてなかったり、現実の中に夢が忍びこむような幻想性が希薄だったりはするが、ちょいと楽しむホラーとしては、じゅうぶん及第点の出来なのではと。
及第点のホラーとはなっているが、オリジナル同様に独特の個性を放つ忘れ難い作品になっているかと言えば、答えは否。“ターミネーター：サラ・コナー クロニクルズ”のトーマス・デッカーらＴＶを主戦場にしている若手連中を、圧倒的に凌駕するだけの迫力と個性がフレディにない。もちろん『シャッター アイランド』『ウォッチメン』のジャッキー・アール・ヘイリーは、充分過ぎるほど不気味でありながら人間味も感じさせるフレディを好演しているので比べてしまうのも酷なのだが、唇や瞼が焼け落ちたリアルなメイク同様キャラクターもリアルにし過ぎたせいか、なんともこじんまりとした“よく居る”殺人鬼になってしまっている感が残念。
考えるまでもなく、オリジナルに圧倒的な個性を与えていたのは、やはりフレディ・クルーガーという稀代のキャラクターと、それを見事に演じたロバート・イングランド。何をやってもらちが明かない不条理な行動と、何を言っても歪み切ったユーモアで切り返してくる様は、本当に怖い半面、非常に魅力的だったもので。そのフレディ自身と、作品全体にフレディが与えた不条理なユーモアがオリジナルを特別なものにしていただけに、本作が“寝たら死ぬ”以外の個性を失ってしまった感が強い。なんと言うか、出汁の効いていない汁物っていうか。その辺は、アナウンスもされた続編に期待したい所で。
たらればの話ではあるが、もしオリジナル版が存在していなければ、ネタが面白いホラーとして記憶に残ったであろう本作。ただまぁ、オリジナルでこのくらいの“ちょっといいネタ”の作品がなかなか出てこない現状は、どうにもこうにも。脚本不足やらネタ不足やらが問題として挙げられて久しいハリウッドではありますが、実のところリメイクや続編という安心看板が付いてこないと、なかなか製作のゴーサインが出せない台所事情に問題があったりするんでしょうねぇ。
自宅のＤＶＤコレクションを自身のリメイク版と入れ替えたいんですかねぇ、ベイは
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私は、オリジナルのシリーズが大好きで、殆どコメディになってしまっているフレディが大好きです。
この作品は本当に「ホラー」だけになっているし、オリジナルが好きだった人たちが充分に楽しむにはどうかな…という感じでしたが、最後の最後までフレディが本当に殺人鬼だったのかどうか分からないところは良かったですね！
続編もあるかもなんでしょうか？
なんだかんだで観てしまいそうです（笑）
オリジナルの1作目も、しっかり歪んだユーモアが満載で、そこが味だったんですよねぇ。アナウンスだけはされている続編に期待したいんですが、どーだろーなぁ。。。