2009年 アメリカ映画 87分 アクション 採点★★
誘惑に滅法弱い上に、心に魔が差すスペースをたんまりと持つ私。まぁ、根っからの小心者なんで、目の前に上手くやればくすねれそうな大金が積まれていても、どうやって盗みだして何に使うかワクワク妄想しているだけで終わっちゃうんですけど。
【ストーリー】
新米警備員のタイは、自分の後見人になってくれている先輩警備員のマイクから、4200万ドルの偽装強奪計画を持ちかけられる。一度は断るタイであったが、厳しい経済状況もあり、「血は決して流れない」というマイクの言葉を信じ参加することに。強奪は成功したかに思えたが、一人のホームレスに現場を目撃されたことから歯車が大きく狂い始め…。
いつもは輸送車のドアごと爆弾で吹き飛ばされたり、強盗に成りすまされたりと、やられ役の印象が強い警備員を主役にした、『プレデターズ』のニムロッド・アーントル監督によるクライムサスペンス。
完璧に思えた犯罪計画が、些細な出来事から脆くも崩れ去る様をスリリングに描く本作。ハイテンポで描かれるその計画の崩れっぷりは見事で、状況の変化に伴う人物関係の変化も、密室劇としての緊迫感も、上手に描かれている。誘惑の種が常に目の前にあり、ついつい魔が差したくなるのも分からなくもない状況も、巧みに描かれているのではと。
ただ、そのストーリーの軸となる肝心の計画自体が甘い。「襲われたフリして、後はみんなでしらばっくれれば良いんじゃね?」と、酔っ払った警備員が酒の席で話しそうなネタって意味ではリアルであるが、後々の展開と釣り合わせると、あまりに説得力が皆無。計画そのものが成功しそうにないだけに、物語も盛り上がりに欠けてしまう。
善玉にあたるタイの行動のチグハグさも、本作に感じるアンバランスさの要因でも。「ヤダー!」「やっぱ、やるー!」「やっぱり、ヤダー!」と、駄々をこねているようでイライラすることこの上なし。良かれと思って取った行動全てが状況を悪化させる様に、この映画が善玉を応援させたいのか、タイを入れてしまったが為に計画が総崩れしてしまう悪玉を応援させたいのか、それとも見たまま安い犯罪の粗末さに呆れかえらせたいのかが、全く不明に。なんだかんだと罪を逃れる様にも、違和感が大きい。これで最後に「ニヤリ」とでもしてくれれば、「やられたー!」って気分にもなるのに。
胸を張って「豪華キャスト!」と言うのには気が引けるが、良い顔ぶれが揃っているのは事実。
ブラット・パックの兄貴分風情そのままに中年になった感のある、『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』『クラッシュ』のマット・ディロンを筆頭に、結局自分に都合の良い選択しかしていないようだったタイ役に、『ホワイトアウト』のコロンバス・ショート、ただニヤニヤしているだけだったので、「この人は、ちょっとばかし足りない人なんだろうか?」と心配させた『エンパイア・オブ・ザ・ウルフ』『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のジャン・レノ、最近鼻につく大見得切ったクドイセリフ回しはなかったものの、そのデップリとした体型に驚いた『アサルト13 要塞警察』『M:i:III 』のローレンス・フィッシュバーンと、曲者が勢揃い。
その他にも、『ロッキー・ザ・ファイナル』で息子を演じたマイロ・ヴィンティミリアに、『がんばれ!ベンチウォーマーズ』のアマウリー・ノラスコ、すっごい久々に見たスキート・ウールリッチに、本作で唯一台詞のある女性として登場する『スペル』の呪い婆さんと、これまた曲者揃い。
トドメが、第2の挑戦を待っているうちにお爺ちゃんになってしまった、『レモ/第1の挑戦』のフレッド・ウォードと来たもんだから、顔ぶれだけ見れば概ね満足。これにブライアン・デネヒーがいれば、最高だったんですが。
酒の席の話だけにしておけば、大事にはならないのに
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
たおさん、そうですよ!
これが無かったから、余計に締りの無い切れ味の悪い印象が残ったまま終わっちゃったんですよね。
理由が分かったようで、あぁスッキリ!
英雄的行動で会社にも歓迎され、お金も燃えちゃったけど、まぁお咎めなし。でも、ちゃっかり自分の取り分を隠してたりなんかしたら、腹が立つキャラであることには変わらないけど、作品としては随分と引き締まったと思うんですけどねぇ。
なんか、中途半端な善人が中途半端なまま、中途半端な結末を迎える映画になっちゃってましたねぇ。。。
それにしても、タイのすることなすこと裏目にでてましたよね。しかも、他の人間が大怪我したり、殺されたりするという……。最後も納得できなかったです〜。
>駄々をこねているようでイライラすることこの上なし。
そうなの、そうなの〜〜(゚ー゚)(。_。)ウンウン
彼のバックの説明がやけに長いから気がつけばよかったんだけど、決して彼があんなことをする奴だとは思ってなかったんで「みんなお前のせいじゃん」とイカッてしまいました(笑)
そういう意味ではこの映画の思うつぼにはまった、してやられたといえるのかも^^;)
フレッド・ウォードを師匠役にして作ってくれないですかねぇ、第2の挑戦。
にしても、コレ。イライラする映画でしたねぇ。映画っていうか、タイが。大人しくしていれば一人の死傷者で済んだのに、あいつのせいで全員死亡。。。
タイがどんだけイライラする奴かってだけで、観た人の間で盛り上がれそうな映画ですよねぇw