2008年 アメリカ映画 105分 アクション 採点★★★
退屈極まりない授業中や会議中に走り書きするラクガキって、なんであんなにも自由な発想ほとばしるアナーキーな絵になっちゃうんでしょうねぇ。自分で描いた物であるにもかかわらず、あとでじっくり時間を掛けて描き直そうにも、もうあんな勢いある絵が描けない。リュック・ベッソンが後輩にせっせと作らせている一連の映画って、そんなラクガキ的勢いに溢れていて、結構好きなんですよねぇ。
【ストーリー】
経済が破綻し、失業率も犯罪も増加の一途をたどる2012年のアメリカ。犯罪者の増加に対応できなくなってしまった刑務所は、民間企業によって運営されていた。中でもとりわけ凶悪犯が集まるターミナル・アイランド刑務所では、死のカーレース“デス・レース”が開催され、高い視聴率を誇る人気番組となっていた。そこへ、妻殺しの濡れ衣を着せられた元レーサーのエイムズが収監され、レースの出場を強要されるが…。
マニア心をくすぐる魅惑的な題材を数多く手掛けるも、そのどれもこれもを無味無臭の味気ない作品に仕上げてしまうことから、“ダメな方のポール・アンダーソン”と呼ばれることの多い『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンによる、男子心をいたく刺激した傑作『デス・レース2000年』のリメイク。これまた美味しそうな題材が、よりによって彼の手に。
リメイクとして真正面から比較してしまうと、全てにおいて散々な作品。大陸横断の殺人レースは刑務所内をグルグル回るだけのものとなり、弱者であればあるほど轢き殺した際のポイントが高くなるモラル無視のルールも、当然の如くなくなる。体制不信からくる皮肉と冷め切った視線もないので、「大統領を轢いて最高得点!」のアナーキーさも一片もなく、オッパイ一つ出てこない。そして何よりも、車体の前面に牙やら角やらを生やす、男子小学生が悶絶しそうな狂ったデザインと、“雄牛号”“ライオン号”といったチープなネーミングの車が出てこないのが問題。オリジナルの150倍もの予算を掛けておいて、その全てにおいてスケールダウンしてしまう体たらく。ベッソンあたりが手掛ければ、少なくてももう少しケレン味溢れる作品になったろうに。
ただ、逆に考えれば、オリジナルの持っていた全ての物がないんだから、本作はある意味リメイクではなく立派なオリジナルであるとも。そう考えれば、『マッドマックス2』に『ワイルド・スピード』と『ロンゲスト・ヤード』と『ロックアップ』と『バトルランナー』を足して何にも捻らず10くらいで割った、それなりの迫力と破壊の快感を味わえる100分少々の小品として、存分に楽しむことは出来る。ライバルが減っていくからとは言えどんどんスケールダウンするレース模様や、視聴者やその周辺が語られないので見えてこない社会状況、身の潔白を証明したわけでも、黒幕をその手で倒したわけでもなくただその場を逃げ出す主人公など、詰めの甘さも大いに目立つが、その辺もポール・W・S・アンダーソンの作品だと思えば諦めもつく。
前の晩に“トランスポーター・シリーズ”でも観て、「車の運転が上手そう」って印象だけで選ばれたのか、主役には『エクスペンダブルズ』『トランスポーター2』のジェイソン・ステイサムが抜擢。確かに車の運転が上手そうな印象があるし、むやみやたらと強い印象もあるので、車の運転が上手くむやみやたらに強い本作の主人公に、ジェイソン・ステイサムはピッタリ。と言うか、ヒネリなし。最初にオファーが行ったのがトム・クルーズらしいが、前の晩に『デイズ・オブ・サンダー』でも観たんでしょうか?
作品同様詰めの甘い所長役に『ボーン・アルティメイタム』のジョーン・アレン、オリジナルではシルヴェスター・スタローンが演じていたマシンガン・ジョー役に、『レギオン』『トランスフォーマー』のタイリース・ギブソンが。マシンガン・ジョーにゲイという新設定を加えた割に、その辺が全く機能していないのはどうかと。助手席に乗った奴が必ず死ぬっていう所を膨らました方が、面白かったかも。
まぁ、不満もたくさんある作品ではありますが、オリジナルでフランケンシュタインを演じ、昨年なくなってしまった怪優デヴィッド・キャラダインが、今回もフランケンシュタインの声として出演してくれてたので、その辺の嬉しさに★ひとつオマケ。
“デス・レース”の看板だけが欲しかったんでしょうかねぇ
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たおさんの感想を読んでいたら、無性にオリジナルが見たくなりました!!
来月そうそうチェックしたいと思います!!!
知らなかったです。……オリジナル、観たくなりますね〜(^^)
でも、こちらの作品もジェイソン・ステイサムがカッコよかったので満足でしたが(笑)
ロジャー・コーマン作品らしいチープな映画ですし、バカバカしい内容でもあるんですが、なんとも心に響くんですよねぇ。
まぁ、元からチープでバカバカしい映画が大好きだからかもしれませんがw
とりあえず、こんばんはー!
ジェイソン・ステイサムは、全くいつものジェイソンでしたねぇw
「きっとオリジナルはスゲェ作品に違いない!」と思われちゃいそうですが、まぁある意味凄いんですが、そんな大スペクタクル映画じゃないんで、ご注意をw
オリジナルの方は全然知らないんですけど、スタローンが出てるんですね!
こんなB級丸出し映画なのに(笑)
今度、探して見てみます!
んんん・・・。
女性の方を中心に「オリジナルを観たい!」って流れになってしまってますねぇ^^;
下品な映画ですよ!
知りませんからね!
と、一応逃げ道確保w
けっこう厳しめですねー。
僕はオリジナル未見なので、比較はできないのですが、個人的には楽しめちゃいました。
インディーズというかちょっと外れた感じはないですけれど、メジャーのちょっと外周くらいの外し方くらいがこの人らしいかなと。
あんまりとんがりすぎるとそれこそ大ハズレになっちゃいますからね。
んー、オリジナル云々を除いても、いっつもこの監督は素晴らしい題材を差し障りのない作品にしちゃうなぁと、ガッカリしちゃうんですよねぇ^^;
昔はその下手さが否応がなしに作品に反映してたんですが、最近は敢えて無難にしているような感じすら。。。