2007年 アメリカ映画 113分 ホラー 採点★★★
ついこの間まで、とりあえず「今日も暑いですねぇ」って言ってれば会話が成り立っていたのに、もうめっきり寒くなってきましたねぇ。ちっちゃい電気ヒーターが、早くも活躍中です。日が沈むのも随分と早くなり、笑点のテーマが聞こえてくる頃にはもう真っ暗。なんかこの、すぐ暗くなってきてしまう寂しさが、結構好きなんですよねぇ。

【ストーリー】
30日間も太陽が昇らない極夜のシーズンを迎えた、アラスカ州バロウ。凍てつく寒さの中、多くの住人が極夜から逃れるように町を離れる中、保安官のエバンのもとに住人の飼い犬数十頭が虐殺されたという通報が入る。更に町一帯が停電となり、突如現れた謎の集団に住人らが次々と襲われていく…。

極夜という1ヶ月も太陽が昇らない時期を絶好のチャンスと、吸血鬼らが「ひゃっほー!」と襲いかかってくる映画だというから、てっきりロッタちゃんが吸血鬼と戦う『フロストバイト』のリメイクかと思いきや、別のコミックの映画化なんですねぇ。監督は、なんとも心地の悪かった『ハード キャンディ』のデヴィッド・スレイド、製作には『スペル』のサム・ライミ。
吸血鬼集団を相手に、戦い抜くのではなく、生き抜く事を主眼に置いた本作。逃げ場のない状況の中、圧倒的な力を持つ吸血鬼を前にごく普通の人間たちが何とか生き延びようとする様子は、ほんのりと漂う絶望感も相まって、なかなかの緊迫感を作品全体に感じさせている。しかしながら、登場人物それぞれが結構重たいものを背負っていながらも、それが大して物語に活かされていなかったり、30日間のサバイバルの割にそれだけの時間経過を感じさせないなど、非常に作りが雑。極寒の地であるはずの状況描写も甘い。それらが、緊迫感のぶつ切れを感じさせていまう要因かと。
ただ、思いのほかゴア描写は盛大だし、昨今ホラーアクションのやられ役に成り下がっていた吸血鬼のキャラ設定を、その常人とは絶妙にズレた不気味な風貌も含めシッカリと作り込んでいたのは好印象。圧倒的な力を持ちつつも、存在を知られてしまえば追われる者となってしまうことを熟知しているゆえに、無駄に仲間を増やさず、その存在の証拠を消し去ろうとする吸血鬼の姿や、吸血鬼の宿命を知りつつ究極の決断を下す主人公の姿にも、本来吸血鬼映画が背負っているはずの悲哀を久々に感じさせ、なかなかに嬉しい。

主人公のエバンに扮するのは、『ブラック・ダリア』のジョシュ・ハートネット。『シン・シティ』『ラッキーナンバー7』を経て再ブレイクを果たすかと思いきや、未だ地味な活躍に終わってしまっている感も強い彼だが、本作では大人の責任を背負った若き保安官を好演。元々味のある顔立ちだけに、加齢が上手く味方をすれば、数年後にはどんな作品でも重宝出来る良い俳優になりそう。
もっと作り込んでいれば更に美味しい役どころだったに違いない『バットマン ビギンズ』のマーク・ブーン・ジュニアや、薄汚いメイクでもその神経の細そうな感じの伝わる『X-MEN:ファイナル ディシジョン』『3時10分、決断のとき』のベン・フォスター、予告編ではてっきりマリア・ベロかと思ってしまったが、本編を観てもマリア・ベロっぽかった『悪魔の棲む家』のメリッサ・ジョージらも印象的だが、誰とも交わりそうもない突き放した冷たさと、ヌルっとした不快感漂う雰囲気が抜群だった『トゥモロー・ワールド』『プロポジション -血の誓約-』のダニー・ヒューストンが良い。巨匠ジョン・ヒューストンを父に持ち、姉にアンジェリカ・ヒューストンを持つとんでもない一家の出である彼だが、その血は見事なまでに受け継がれているようで。

30日ぶっ通しのバイキング
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という思い込みをぶちこわしてくれた映画でした(笑)ジョシュ・ハートネットがまたいい味だしてて、最後はちょっとホロリときました〜。
最後はちょっと良いシーンでしたねぇ。
コミックの方は結構続いているようなんで、あそこからの続編ってのもありそうですねぇ。
嫁さんとか弟がヴァンパイア・ハンターになるとか。
食べたら口のまわり拭けよ、とか、きれいに食べろ食い散らかすな、みたいなことばっかり気になっちゃうのも日本人だからかしら・・。やーね。一生懸命怖さを演出してくれた監督さん、ごめんなさいだわ。
うーん。それにしても、現代で一ヶ月も連絡を絶った町があれば、一ヶ月を待たずして捜索隊やら何やらで、大騒動になると思うんだけど。
アラスカってそれが普通なんですかね。
とはいえ、ラストシーンの美しさでそんな矛盾も帳消し♪やっぱ、ラストで納得できれば大抵のことも目を瞑れちゃうのね。
>一ヶ月を待たずして捜索隊やら何やらで、大騒動になる
冬の間は陸路も空路も閉ざされちゃってるとか、住民はほとんどいないとか、寒過ぎて他人にかまってられないとか、その辺は各自脳内補完してねってことなんでしょうねぇw
つい数日前に観たにもかかわらず、もうラストシーンしか覚えていないんで「なんか良い映画」って印象もあるんですが、よくよく考えてみれば、そこ以外はあんまりだったようにも^^;