1990年 アメリカ映画 111分 コメディ 採点★★★
もともと子供が得意じゃない上に、癒し系とは程遠い顔立ちとデカイ態度なもんで、子供に全く好かれないと思われがちな私ですが、どっこい、何故か子供にだけは人気ある。子供が相手だろうが高い位置からの物言いな私に周囲は驚くんですが、子供は勝手に懐いてくる。不思議。なんか、脇の下からとか子供の好きそうな匂いでも出してるんでしょうか?きっとその匂いのせいで、年頃の女性には人気が出ないんでしょうねぇ。きっとそうだ。
【ストーリー】
麻薬組織を追う凄腕刑事キンブルは、組織のボスから逃げ出した妻がオレゴンの田舎町に潜伏している事を突きとめる。彼女を証言台に立たせたいキンブルは相棒と共に現地に向かい、その妻の子供が通っている幼稚園の先生として潜入することに。当初は相棒が潜入するはずだったのだが、相棒の急病により、已む無くキンブルが先生になりすますのだが…。
ただの筋肉の塊呼ばわりされるのが嫌だったのか、果敢にコメディにも挑戦していたシュワルツェネッガーによる本格コメディ第2弾。監督は、コメディ初挑戦だった『ツインズ』に引き続き、『Gガール 破壊的な彼女』のアイヴァン・ライトマン。
子供に翻弄されるコメディは、その子供との立ち位置が遠ければ遠いほど効果を上げるものだが、その点で言えばシュワルツェネッガーは合格にも程があるほど合格。いつものアクションスターとしてのシュワルツェネッガーを前半で見せておいて、それをそのまま園児の群れに放り込んでいるので、尚更ギャップが生まれて可笑しい。随所に挟まれた細かい笑いや、子供たちと心を通わせていく過程、仕事の鬼だったシュワルツェネッガーが人間味を取り戻す経緯なども、さすがアイヴァン・ライトマンだけに非常に手慣れた手腕を見せ、好テンポのまま最後まで見せ切る。個々の見せ場は少ないものの、子供たちそれぞれの可愛い仕草を逃さず捉えているのも好印象。ストーリーの土台をアクション映画の定番を使用し、シュワルツェネッガーの鉄人振りもそのまま残してコメディタッチにしたことも、効果を上げた要因かと。
真っ先に犯人の写真を見せなければならない校長先生が犯人の顔すら知らなかったり、クライマックスが盛り上げに急ぎ過ぎていると言った粗もあるが、そんなことも気にさせない手堅さが魅力。
『レッドブル』でもそうだったのだが、そのあまりに違和感のある存在感に、ただ立っているだけでも十分面白いシュワルツェネッガー。それが園児の群れに囲まれ翻弄されているんだから、面白いに決まっている。なんか、東欧の方から来たスゲェ筋肉の奴といういつもの設定のまま、それが居ること自体おかしい場所に立ってれば、もうそれだけで面白いので、下手になんかする必要がない。初のコメディってことで気合が入り過ぎたのか、面白い事をしようと頑張り過ぎてだだスベリだった『ツインズ』での反省もあってか、今回は基本いつものシュワで笑わせる。まぁ、面白いのはシュワじゃなくて、シュワが居ることで生み出された周囲の状況なんですけど。
もちろん本作の面白さは、後の『ジュニア』でもシュワと共演するパメラ・リードや、その独特の風貌を活かして笑いを巧みに生み出すリンダ・ハントら、芸達者な役者がシュワをバックアップしているからこそ。『ペット・セメタリー』のゲイジ役が鮮明に脳に焼き付いているミコ・ヒューズら子役の愛らしさも、本作に一花咲かせているようにも。なんかデヴィ夫人みたいだったベテラン女優キャロル・ベイカーの不気味さも、結構印象深い。当時やたらと色んな作品でその顔を観たが、そのクラシカルな美貌は50年代を舞台にした作品の方が映える気もする『シャドー』のペネロープ・アン・ミラーや、いつも通りのアバズレっぷりが見事な『キャスパー』のキャシー・モリアーティ、さり気なく潜むアンジェラ・バセットなど、なかなかの顔ぶれで。
鼻から発信機が出そうで出ない。でも、きっと入ってる。
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
シュワルツェネッガーとしても、キンブルとしても、“強面の荒事専門の筋肉男”と強調しておいて、後は子供の中に放り込んで終わり。
このシンプルさが良かったですね!
コミカルな演技をしようと頑張り過ぎないから、かえって面白さが滲み出ちゃってました(笑)
「俺だっけ色んな事ができるんだー!」って欲を出したいのも分かるんですが、実際あんまりは出来ていないので、その独特の風貌をそのまんま活かした方がいいんですよねぇ^^;
奇をてらった地元特産品を使った料理よりも、シンプルな調理法の方が美味しいみたいな。