1998年 アメリカ映画 95分 ホラー 採点★★
「こんなタイトルまで!?」って驚くほど、多くの作品がDVDやブルーレイになっているのに、なんで日本では『ブロブ/宇宙からの不明物体』がDVDで発売されないんですかねぇ?アメリカ版を見ても、そんなに版権が面倒くさくなりそうな特典があるわけでもないですし、まさかケヴィン・ディロンがギャラをふっかけているわけでもないでしょうし。
【ストーリー】
コロラド州の美しい町スノーフィールドに帰って来た、ジェニーとリサの姉妹。しかし、彼女らが目にしたのは、つい先ほどまで生活していた痕跡と、謎の死を遂げた死体、そして無残に切断された人体の数々だった。400人の住人が、全て消え失せていた…。
読んでいる最中は面白いのだが、読み終わった後に残る物が特にないディーン・R・クーンツの作品にしては、結構記憶に残っている面白さだった同名小説の映画化。クーンツ自身が脚本も担当。
細かなディテールを積み重ねていき、静かに恐怖を盛り上げていく序盤は、いかにも小説的で面白い。随所に挟まれたショッキングな描写も、一体この町で何が起こったのか関心を引き続ける効果を上げているし、敵のエゴを突いて反撃に転ずる展開も面白い。しかしながら、序盤で状況整理の為に積み重ねてきたこの静かなテンポが、ずーっと続く。クライマックスであっても変わらず、ずーっと同じテンポ。映画的な緩急が全くない。原作者が脚本を担当した悪い例。小説と同じ見せ方で、映画も見せてしまう。これで監督に映画的なセンスでもあればいいのだが、残念ながら見せ方の工夫もなにもかにもがTV的で、至って凡庸。ひとつひとつのシークエンスも、ダラダラと長い。ベン・アフレックと犬のにらめっこを、あんなにじっくりと撮らなくてもいいのに。
内容的に視覚効果の見せ方で大いに盛り上がるクライマックスも、そのおかげで全く盛り上がらず。せっかく『IT/イット』のように太古より地下に潜む、『ブロブ/宇宙からの不明物体』のような不定形の知的生命体が、『遊星からの物体X』のように変幻自在に姿を変え人々を恐怖に陥れるという、盛り上がり放題に盛り上がれそうな物語なのに、なんとももったいない。まぁ、全部“○○みたい”で済んでしまうのも、どうかとは思いますが。
主人公であろう保安官を演じるのは、『ハリウッドランド』のベン・アフレック。この“であろう”というのも、登場人物がどんな人間なのかさっぱりわからない人物描写の浅さから。小説であれば複数の人物をじっくりと描けるものだが、如何せん映画となるとそうもいかない。結局、“過去に少年を誤射した保安官”“真面目な女医”“その妹”“変な保安官助手”“変なのを研究している学者”“ざっくりとした軍”と、肩書きのみで乗り切ろうとしてしまっているようにも。本来頼りになりそうな保安官なのに、そこん所が書き込まれてないんでベン・アフレック特有の“イヤな奴臭”が漂ってきちゃってましたし。
まぁでも、顔ぶれだけはそこそこ豪華で、『プラネット・テラー in グラインドハウス』のローズ・マッゴーワンに、『ソルト』のリーヴ・シュレイバー、作品に箔を付けるためなのかピーター・オトゥールまでも登場。この顔ぶれを見ると、やっぱりなんかもったいないなぁ。
顔のよく見えない人がゾロゾロと出てくるだけ
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