2010年10月03日

シャイニング (The Shining)

監督 スタンリー・キューブリック 主演 ジャック・ニコルソン
1980年 イギリス映画 119分 ホラー 採点★★★★

レビューを書くにしろ、何か新しい事を始めるにしろ、とにかく時間が掛かる私。やり始めれば早いんですが、それまでの暖気の時間が長い。頭の中でモヤモヤーっと色々考えて、それらがカチリとハマるとそっからは早いものの、モヤモヤしている最中に気が散ると、もう全部リセット。「あー!もう!」ってなる。出来上がった物が大したもんじゃない事に関しては、「あー!もう!」ってならないくせに。

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【ストーリー】
冬の間の5か月間閉鎖される山間の豪華ホテルに、管理人としてやってきた作家志望のジャックとその家族。外界と接点がない山の中で執筆活動に勤しもうとするジャックだが、執筆はなかなか進まず、ジャックのイライラは堪る一方。そんなある日、ジャックは精神は遂に破綻し…。

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人類を進化させたのは神なんかじゃなく高度に発達した宇宙人で、その宇宙人から「ちょっと来いや」と呼び出し食らったから出かけてくる『2001年宇宙の旅』でも分かるように、神や霊的な物を信じないキューブリックが、スティーヴン・キングの幽霊屋敷小説から幽霊を差っ引いて作り上げたホラー。自分の作品から、“館の持つ力”“霊の力”“主人公の息子に対する想い”など肝心な部分を差っ引かれればキングが激怒するのも理解できるが、出来た映画が別な意味で面白いので、観る側としては然程文句もなく。
作品中に数々描かれる怪奇現象のほとんどが、“極限状態に陥った人間の幻覚”や“偶然”に置き換え可能な本作。家族内にあった小さなわだかまりが、外界から隔たった空間内で肥大していき、責任に対するプレッシャーにより常軌を逸していく描写が綿密で怖い。斧を手にするかしないかは別にして、あの状況であの奥さんだったら、私もキレる。この、僅かに理解できる線を観客との間に残し続けている分、恐怖も増大していると言える。
普段賑わっている場所から人が居なくなった時の不気味さや、歴史ある建物の語られない影の部分を見事な絵力で見せ切る本作。ただ、原作でもあと一歩の大活躍をするハロランさんのエピソードは、なまじ霊的な物を残してしまう分、なくても良かったかなぁと。まぁ、そうするとタイトルの意味すらなくなってしまうんですが。

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主人公ジャックに扮するのが、『ディパーテッド』のジャック・ニコルソン。出て来るや否や、もう初っ端から怖い。スタートラインから既に相当高い位置にいる分、壊れ始めるともう手の届かない所まで行ってしまう怖さ。酒をやめている理由や、こんな山奥にまで来た理由など、原作ではタップリ過ぎるほど語られてた主人公らのバックグラウンドがさっぱり語られない本作だが、ジャック・ニコルソンの顔一つで相当テンパってるのだけは充分過ぎるほど伝わってくる。キューブリックがどうのこうの以前に、ジャック・ニコルソンだから怖かったとも。
この見た目一発で決まったようなキャスティングは、妻役のシェリー・デュヴァルにも適用されたようで。ポパイのオリーヴが、マンガからそのまんま出てきたらどんなことになるのかを痛感させられた『ポパイ』同様、見事なまでにイライラさせる役柄を好演。オドオドした大きな目といい、甲高く上ずる声といい、絶妙なまでに外すタイミングといい、これだけイライラさせるキャラクターはそうそういないっていうのに、一緒に閉じ込められてるってんだから、そりゃぁキレる。このキャスティングもあってか、ある意味DVの一例を挙げたような映画にも。
ところで、ブルーレイで観賞した本作も例のコンチネンタル版なんですが、以前ビデオで出てたバージョンはもう出ないんですかねぇ。

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posted by たお at 01:26 | Comment(5) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本作はやはりバーのシーンが好きですねぇ… 何気ないんですが微動だにせぬバーテン相手のジャック・ニコルソンの語りの緊張感はたまらんものがありますよね。
 
本作、私は北米版で購入したんですがBlu-tayの初期だけあって正直言って画質にピンとこなかったのが残念でありました。まぁ古い映画フィルムからのマスタリングだからしょうがない気もした反面、でも今迄に何度か出てるし初期の劇場公開版込みの再リマスターが出るんだろうなぁ… っと期待してますわ〜
Posted by USA-P at 2010年10月03日 23:58
USA-P様、こんにちはー♪
いいですよねぇ、バーのシーン。
霊ってことにすると、屋敷そのものの持つ力とか存在をちらつかせている会話ですし、ただ壊れた人の妄想として見ると、微妙にかみ合わない会話も怖いんですよねぇ。
Posted by たお at 2010年10月04日 12:06
なぜかエラーが出るので、続けて書いちゃいますが、画質に関してはまぁ満足だった本作。
ちょっと話は変わりますが、DVDをブルーレイのプレーヤーで再生すると、DVDプレーヤーよりちょい綺麗になるって聞いたんですが、逆に走査線っぽいのが目立っちゃう気がするのは、気のせい?^^;
Posted by たお at 2010年10月04日 12:08
たお様の過去と現在の視聴環境が解らないんで何とも言えませんが、私の場合29型のブラウン管にD2接続から42型液晶にHDMIってなった時にプレイヤーのアップコンバート機能にも期待をしてたのですが話に聞いてた程ではなかったかな… という印象がありましたが今はソフト次第だと思ってます、ハイ。

ウロ覚えなんで話半分、って程度にして頂きたいのですが…

Blu-rayプレイヤーのDVDアップコンバート、SDの640x480からフルHDの1920x1080への補間と変換をしてのもの、とされていますがぶっちゃけ単純拡大メインで中間部の若干の補正って程度ではないかと思いますんで32型以下のプログレッシブ方式でフルではないHDサイズ(1366×768、とか)ならばDVDプレイヤーのD5端子の接続よりもHDMI接続のBlu-rayプレイヤーの方が欠落部分を埋めている分だけ若干綺麗になる、という事ではないのかな?と思いますが、それ以上の画面サイズの場合は正直言ってソフトの動画サイズとビットレート次第では、ってトコなんじゃぁないかと。
 
でも現在でこそ720×480の動画サイズのDVDが当たり前になったんですけど中期までは大抵640x480、下手すると480x360くらい?って画面サイズだけでなく、画質(ビットレート)1つにしてもDVDの上限のほぼ10Mbpsまで達してるのもあれば2Mbps程度ってソフトもありますしね… 横で3倍以上縦で2倍以上表示させるとなると、まして画面サイズが大きくなればなる程にドットのサイズも大きくなるんで余計に元ソースのサイズとビットレートの欠落はより大きく出てしまう… それこそ走査線やボケ、ブロックノイズが、って事になりやすいんではないかと。まして640x480のインターレス方式向けのチューンと1920x1080のプログレッシブ方式向けのチューンってのもあるでしょうし。

実際、先日チョイと2002年くらいのDVDを個人輸入したんですが海賊版かッ!というくらいにブロックノイズ&走査線出まくりだったもので手持ちの昔のソフトを再生するのが怖くなってますワ。最初はTV側の画像補完機能のせいかとかプレイヤーの再生方式がインターレスになってんじゃないかとか色々設定をイジってみたんですけど結局駄目でしたしねぇ… まぁ機器の補間機能のクセとか相性とかもあるような気もしなくもないんで場合によってはプレイヤーやTV側の設定を再チェックするのもいいかもしれませんよ〜 でも東芝の超画質技術とか補間技術もまだまだこれからだと思いますし、今の時点では諦めるか買い換えるか待つかの三択ではないかな、っと。
 
…こんな感じで宜しいでしょうか? AVに詳しい方の更なる解説なりアドバイス希望〜(笑)
 
Posted by USA-P at 2010年10月04日 22:24
USA-P様、こんばんはー♪
これはこれは、ありがとーございます!
再生環境はほとんど書かれているのと変わりないので、動画サイズとビットレートなんでしょうねぇ。物によっちゃうんで。先日観た香港映画の『コネクテッド』なんて、「なんだい?動画サイトなのかい?」って感じでしたし^^;
ま、ちょっと様子見てみますー
Posted by たお at 2010年10月05日 02:07
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