1990年 アメリカTV 188分 ホラー 採点★★★
映像化された作品こそ多いが、「これぞ!」って作品が滅多にないスティーヴン・キングの本。まぁ、あれだけ膨大な文章から映画的に見栄えの良さそうなシーンだけを抜き取ってしまえば、ネタのシンプルさだけが目立っちゃうのも仕方がないんですが。実際、とてつもない文章量で描かれる状況説明や人物描写があってこそ、使い古されたネタにも関わらず輝きを発するキング作品だけに、面白い映画にするのは難しいんでしょうねぇ。そう思うと、やっぱり『ドリームキャッチャー』は傑作。全編ゲップとオナラの音ばかりだったけど、傑作。

【ストーリー】
メイン州デリーで、子供ばかりを狙った連続殺人事件が発生。図書館員のマイクは、30年前に起こった事件と同様、この地に潜む“イット”の仕業と確信。少年時代共に“イット”と戦った旧友たちを呼び出すのだが…。

ちょっとした百科事典並みの分厚さにもかかわらず、読み始めるや否やその面白さにページをめくる手が止まらなかった、スティーヴン・キングの一つの到達点でもある傑作“IT/イット”のテレビ映画化。監督は、ジョン・カーペンター畑出身のトミー・リー・ウォーレス。
最近のキング作品ではお馴染の、現在と過去を交差させながら描く本作。どもり・デブ・貧乏・喘息持ち・お喋り・マイノリティと、普段の学園生活においても恐怖に晒されている弱者が、古から存在する邪悪なイットに立ち向かおうとする前半部の面白さは絶品。ノスタルジーと恐怖のブレンド具合も良い。元々持っている原作の面白さを、たっぷり時間を掛けて描いているから面白いとも言えるのだが、黄色い雨具を着た子供を見ると真っ先にこの作品を思い出してしまうような映像的に強烈なショットも少なくなく、映像の面白さと物語の面白さが両立しているとも。
なにかと評判の悪い後半部は、確かに収拾するのにバタバタしている感は否めないし、“指輪物語”のシェロブをモデルとしたであろうイットの正体に関しても、その造形のあんまりな感じも含め一気に失速してしまった感もあるのだが、それまで引っ張ってきた面白さで充分脳内補完出来る範疇であるし、落とし所がイマイチだったのは原作も一緒なので、まぁ頑張ったんじゃないかと。

セス・グリーンやオリヴィア・ハッセー、スーパーマンの初恋の人でもあるアネット・オトゥールに、こっそり“Xファイル”のキャンサーマンまで出ている本作だが、失速する後半部を含め決して短くはないランニングタイムを飽きさせず引っ張ってこれたのも、やはり『レジェンド/光と闇の伝説』『殺人ゲームへの招待』のティム・カリーがいたからこそ。
ジョン・ウェイン・ゲイシーをモデルにしたと言われる殺人ピエロの扮装で登場するティム・カリー。『ロッキー・ホラー・ショー』でもそうなのだが、この人はどんなに分厚いメイクをしていても、と言うかメイクが分厚くなればなるほど強烈なティム・カリー臭を発する。今回も、「もうオマエ素顔なんじゃないのか?」と思えるほど。とにかくクドイ。せっせと嫌がらせをし、相手の驚く顔に大袈裟な身振りで爆笑している様なんか、腹が立つほどクドイ。しかも、面白い。尚且つ、怖い。もう、面倒くさい。そんな強烈なティム・カリーのペニーワイズがあってこその本作なのだが、そのあまりの気味悪さに、撮影中共演者に避けられまくってたとか。それはそれで可哀想な気もするが、ピエロメイクで風船持ったティム・カリーが、スタジオの片隅に一人ポツーンと座ってる姿を想像するとやっぱり怖いので、私も避ける。

かくれんぼも一人で
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コメントありがとうございました。
この作品は幼少期のノスタルジーさといい
作品のホラーさといい
とても面白かった記憶がありますね。
しばらく雨の日は排水溝やマンホールの
近くを歩けませんでした(苦笑)。
なんか、排水溝にペニーワイズっていうか、ティム・カリーが居そうで怖いんですよねぇ。。。
ペニー・ワイズを思い出します
そのくらい強烈な存在感でしたよね
昔この作品を見て、あまりのピエロの怖さにやっぱりピエロは不気味というイメージを完全に印象付けられました
あと、ピエロの真夏のアイス売りも。
アメリカじゃあ何で誕生日に呼ぶほど子供に人気なのかわかんないです。
なまはげ並に怖いと思うんですが、向こうの子供らは平気で近寄りますよねぇ。まぁ、私のピエロの認識がコイツかジョン・ウェイン・ゲイシーなので特に怖いと思ってるのかも知れませんけど^^;