天使と悪魔 (Angels & Demons)

監督　ロン・ハワード　主演　トム・ハンクス
2009年　アメリカ映画　146分　サスペンス　採点★★★

神さまって信者の数が増えれば増えるほど力を増すって言うけど、カソリック信者１０億人もいれば相当なもんなんでしょうねぇ。１０億って言えば、ビートルズのアルバム累計販売枚数がその位だったような。なんか、急に身近な数字になったような気もしますが、そのビートルズが東京ドームを満員にし続けたとして、１０億人集めるのに……２万回公演。やっぱ、すげぇなぁ。



【ストーリー】
教会に復讐の機会を待ち続けていた秘密結社イルミナティが、爆発すれば街一つ跡形もなく消し去る威力を持つ反物質を盗みだし、ヴァチカン市内に隠す。同時に次期法王候補の枢機卿４人も誘拐し、１時間ごとに殺害すると予告。困り果てたヴァチカンは、過去に遺恨はあるがその腕は認めるラングドン教授に助けを求める。



“前作より面白い”って謳い文句が随分と後ろ向きな気がする、“ロバート・ラングドン”シリーズ第２弾。監督は、前作『ダ・ヴィンチ・コード』から引き続き、ロン・ハワードが担当。劇場版よりちょい長い、エクステンデッド版での観賞。
瀕死のおじいちゃんが全裸で駆け回りながら残した手掛かりがダ・ヴィンチだっただけで、ダ・ヴィンチ自体はそれほど関係のなかった前作同様、“秘密結社イルミナティ！”とおどろおどろしいコピーが躍る割に、イルミナティさして関係なしの本作。「イルミナティって何ー？」に対する答えが、豆知識として随所で披露される感じ。
ミステリー自体は、最初に怪しいと思った人物がその動機も含め想定内に収まる本作だが、落とし所の上手さにロン・ハワードの職人技が光る本作。“豆知識披露しながらの捜索→発見→間に合わず→豆知識披露”の繰り返しなのでやや単調だが、タイムリミットを設けている分スピード感とテンポは保っているし、ロケ地の美しさにちょっとした観光気分も味わえる。
前作同様、ギュっと詰め込んだストーリー上を駆け足でなぞってるだけの印象もあるし、眉唾もののトンデモネタ満載の本作だが、話し半分で見る分には充分楽しい。元々そういうネタが好きですし。



今回も作品の副音声みたいな感じだった、トム・ハンクス演じるラングドン。ただまぁ、解説しながらやりたい放題。悪気はないんでしょうが、外気に晒さぬよう厳重に管理された貴重な書物の数々を外気に晒すし、強引に説得して同行させた警官は命を落とすし、しまいには枢機卿の一人にとどめを刺す傍若無人ぶり。まぁ、作品自体がヴァチカンを破壊しまくってるんですが。なんでしょ？ヴァチカンに恨みを持ってるのは、イルミナティじゃなくてダン・ブラウンの方なんでしょうか？“ローマ法王の腐乱死体”なんて滅多に見れない物を晒してますし。
前回に比べると、キャスティングが若干地味になった感じもする本作。大して鍵も持ってないけどそばにいる感じだった『バンテージ・ポイント』のアイェレット・ゾラーに、芸幅が広いのに悪人面だけさせられてた『不眠症　オリジナル版　インソムニア』『キス★キス★バン★バン』のステラン・スカルスガルド、最近“老い先短い助言者”って役ばかりな気がする『ミッション・トゥ・マーズ』のアーミン・ミューラー＝スタールといった顔ぶれ。目玉はやっぱり『ステイ』『アレックス・ライダー』のユアン・マクレガーなんでしょうが、扱いが未だ若造って感じで。もうすぐ４０になるのに。


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Comments

>作品の副音声みたいな感じ
そうか、そうなのか！
だから、そう簡単に事件を解決しちゃいけない役回りなんだ！

>“ローマ法王の腐乱死体”
宗教絡みでは色々縛りがあるようですげ、これはＯＫだったんですね（笑）

Posted by 哀生龍 at 2010年09月28日 06:25

哀生龍さま、こんにちはー♪
なんかこう、解説しながら走り回ってた印象が＾＾；
カソリック教とは、どんな感じで観てたんでしょうねぇ。

Posted by たお at 2010年09月28日 16:53

こんばんは
そうなんですよね。タイムリミットの緊迫感で飽きることはないですけど同じ展開の繰り返しで…。ぱっぱっと推理出来ちゃう割にあとちょっとだった!!みたいな感じで。
ヘリコプターが出てきたり色々破壊したりでだいぶ近代的でなんでもありのアクションものって感じでしたね。せっかくの題材なのになぁと…。

前作の方がまだストーリーがあった気がしますし、扱っている話題もこっちのほうが面白くて前作は結構楽しんでしまいました笑
世界史や宗教に詳しくはないですがこういう宗教絡みの話ってなんかわくわくしてしまいます。
オドレイトトゥも素敵で存在感がありましたし。

Posted by ソク at 2010年09月28日 19:28

こんばんは♪
>今回も作品の副音声みたいな感じだった、トム・ハンクス演じるラングドン。
笑！派手に走り回ってたのに印象薄かったです。
キャラをもっと深く描いてくれ〜とも思いましたが、そうなると時間が更に長くなってダメでしょうねぇ。

Posted by りどる at 2010年09月29日 01:10

ソク様、こんにちは！
正直前作はポール・ベタニーの使い方がもったいないなぁってことと、2000年近く頑張って来たキャンペーン台無しにされて教会も大変だなぁくらいの記憶しかないんですが、あと3か月もすると本作も、ステランの使い方もったいないなぁってことと、2000年近く守って来た文化財台無しにされて教会も大変だなぁ、ってくらいしか記憶に残らないかも＾＾；

Posted by たお at 2010年09月29日 11:58

りどる様、こんにちはー
必死に解決してるってよりは、解説してるって感じが強かったんですよねぇ＾＾；
池上さんみたいな。

Posted by たお at 2010年09月29日 11:59

＞ヴァチカンに恨みを持ってるのは、イルミナティじゃなくてダン・ブラウンの方
ほんとに！！
そこみたいですね、ダンさんのいいたいとこは。
どっちも本を既に読んでいたので、話の展開はわかっていましたが、まだ「天使・・」の方が、若干説得力があったと思います。
最後は抜きにして・・・。
映画としてのテンポもまだよかったと思いますです。

一応、「ロスト・シンボル」も読んじゃいましたが、これ今までで最低。全然つまんなかったです。わざわざ映画にするか・・くらいのしょぼさで、本を読んだ時間を返してもらいたいくらいでした。
ダン先生、ダンダン面白くなくなっていくという珍しい作家先生だなあと思っております、はい。

Posted by sakurai at 2010年09月29日 22:32

ラングドン教授…ひ弱そうな印象のわりには行動派で暴れまくってますよね。そんな意外性が好きです（笑）
結構、派手なシーンもあって見応えのあるつくりになってたかな、と思いますが、前作よりも面白い、って謳い文句は、確かに後ろ向きかも（笑）

Posted by りら at 2010年09月29日 23:03

sakurai様、こんばんはー！
やっぱりダンさん、そこを狙ってますよねｗ
やりたい放題でしたもの。
原作はどれも読んではいないんですが、ロスト・シンボル、名前でダジャレられるほど最低なんですねぇｗ

Posted by たお at 2010年09月30日 02:13

りら様、こんばんはー！
ですよねぇ。
なんか、「○○より泣ける！」みたいな感じで。

Posted by たお at 2010年09月30日 02:14

TBありがとうございました。
この本は原作も読みましたが、原作が深すぎて映画にすべて反映できていないのが少々残念に感じました。
また私のブログにも遊びに来てください＾＾

Posted by mahirose at 2010年09月30日 08:16

mahirose様、こんばんは！
量が量だけに、まとめるのも大変そうでしたが、まぁ良くまとまったのではとも。
また、お邪魔させていただきまーす！

Posted by たお at 2010年10月01日 01:50

ご無沙汰しております。
コメントとTBどうもありがとうございました。
こういう、”ありえへんやろ！”とツッコミ満載な
ハリウッド大作、映画らしくて好きです。
でも、映画館で観るのと家でWOWOWとかで観るのとでは
映画の感じ方も全然違うもんだなーと改めて痛感してます。

Posted by kino at 2010年10月11日 00:56

kino様、御無沙汰しておりましたー！
ある意味、勢いに身を任せたみたいな作品でしたねぇ。
私も、最近はもっぱら家で観るのが中心になってきちゃいましたが、それはそれでまぁいいかなと。わざわざ足を運んで観たい作品も少なくなってきちゃいましたし＾＾；
『エクスペンダブルズ』はもちろん別ですが！

Posted by たお at 2010年10月11日 02:02