パリより愛をこめて (From Paris with Love)

監督　ピエール・モレル　主演　ジョン・トラヴォルタ
2010年　フランス映画　95分　アクション　採点★★★★

ベッソンって、ホント素直なんでしょうねぇ。何かを観て気に入ったり「スゲェ！」と思ったら、即座にベッソンネタ帳に「俺だったらここをこーやって、そんであそこであーなって・・・」とかワクワクしながら書き込んでそうで。「で、首輪外すと凶暴化して…。あ！元凄腕軍人のドライバーってのもいいなぁ」とか、男子魂満載のキャラ設定なんかを図解で書いてそう。好きな物は自分で作ろうって姿勢は素晴らしいですね。まぁ、作らされるのはいつも後輩ですが。



【ストーリー】
フランスのアメリカ大使館に勤めるＣＩＡ見習い捜査官のリース。世界を救うような派手な活躍を夢見るも、地味な仕事ばかりを与えられる毎日。そんなある日、アメリカから凄腕エージェントのワックスがやって来て、リースが相棒に抜擢される。張り切るリースだったが、ワックスはあまりに豪快で…。



生身の人間技で魅せる『アルティメット』や、リーアム・ニーソン主演のセガール映画『９６時間』のピエール・モレリがメガホンを握ったスパイアクション。原案は、もちろんリュック・ベッソン。
タイトルこそ傑作『００７／ロシアより愛をこめて』をもじってるが、別に何か絡むわけではない本作。きっと「スパイ映画って言ったら『００７／ロシアより愛をこめて』でしょー！」って言うベッソンの素直さが出た結果で。せっかくトラヴォルタがパリに居るんだからと、「ロイヤル・ウィズ・チーズ」と『パルプ・フィクション』の名セリフを言わせてしまうのも、その素直さゆえの事。ベッソンが目の前で聞きたかったんでしょうし。
そんな観たい物、聞きたい事、やりたい事が素直に盛り込まれた、ベッソニズムに溢れる本作。内容自体はノートに書かれた走り書き程度のものだが、それをピエール・モレリが粗に気付く隙を与えないスピードと、『シューテム・アップ』ばりの豪快なアクションで描き切った一本。インテリ男の成長物語と悲しい愛の物語がスパイス程度に加えられてるが、あまり重きを置き過ぎる事もなく、「やったなぁ、コイツぅ」的エンディングで締めるのも好印象。まぁ、観終わった途端に色々と頭から消えていく作品ではあるものの、だからと言ってそれが“つまらない”って定義にはハマらないので、この評価で。



凄腕エージェントに憧れながらも、盗聴機一つ満足に付けられないインテリ見習いリース役に、『Ｍ：ｉ：ＩＩＩ』『マッチポイント』のジョナサン・リス・マイヤーズ。程良い色気と下品さが混在している彼だけに、エージェントとして成長するにつれて下品具合を徐々に増していく感じがピッタリ。線は細いが、表情一つで一気に男臭くなるジョナサン・リス・マイヤーズは見所の一つ。ただ、本作はやっぱり『団塊ボーイズ』『ゲット・ショーティ』のジョン・トラヴォルタの登場で、俄然面白くなる。
『サブウェイ１２３　激突』でもそうだったのだが、取る物取ってからの弾けっぷりが凄い。そこらのあんちゃん的喋りの軽快さは残しつつ、そこにかなり増した恰幅と見事な形のスキンヘッドで生み出される凄味を交えて、殺し屋にひと手間加えるのが大好きなベッソンに“チーズバーガー好き”という設定を付け加えられた、壊れ気味のベテラン凄腕エージェントとして充分説得力ある存在感を示すことに。その恰幅と、基本マイルールで動く様に、セガールに見えてしまうこともありますが。
トラヴォルタと言えば、もちろん“嫁ヴォルタ”ケリー・プレストンなんですが、本作にちゃっかりカメオ出演しておりましたねぇ。仲が宜しいことで。お兄ちゃんのジョーイ・トラヴォルタは、最近さっぱり見かけませんけど。


こういうスコーンと楽しめるアクションは、ベッソン経由でしか観れなくなってきたようにも

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Comments

一般的に高評価の96時間は娘達と元嫁等にイラッとしてしまったので少数派のようですが私は今作のほうが断然好きです!この無駄の削ぎ落とされたシンプルさが良いですね。かといって物足りないということもなく。
ベッソンメモって発想面白いですね!あの敏腕運転手さんや花瓶ネタなんかが確かに載ってそうです笑

とにかくトラヴォルタがかっこいいです!彼の存在感が素晴らしい。リースとのコンビも嵌まってましたが、トラヴォルタで成り立ってる映画だなと感じました。

Posted by ソク at 2010年09月19日 12:15

ソク様、こんにちは！
ベッソンらしい思い付きでやってみた度が高いのは本作の方ですよねぇ。そういうベッソンが好きな私にとっても、こっちの方が結構好き。

Posted by たお at 2010年09月19日 15:04

素敵なサイトですね。
はじめてお邪魔しました。
映画大好き！！最近ようやくゆっくりと観れる環境になりましたので、また参考にお邪魔させていただきますね。

Posted by さくらんぼ at 2010年09月19日 20:59

さくらんぼ様、こんばんは！
素敵とは程遠い気もしますし、参考になるかと言えば更に自信がないサブタレですが、そんなんでも良ければ宜しくお願いいたします＾＾；

Posted by たお at 2010年09月20日 01:33

毎々どうもですが、いつ観ても猫が可愛らしい。

なかなか突き抜けたというか、ベッソンのやりたい放題って感じでした。

Posted by KGR at 2010年09月20日 09:43

ベッソンや映画のことをあまり知らなくて残念だなあとも思いましたが、
この映画は楽しめましたよ〜面白かったです♪

Posted by りどる at 2010年09月20日 17:11

KGR様、こんばんは！
基本やりたい放題のベッソン。
まぁ、やらされるのは後輩なんですがｗ

Posted by たお at 2010年09月21日 02:13

りどる様、こんばんはー！
未だベッソンに『レオン』やら『グランブルー』の頃を期待されてる方もおられるようですが、もう私の中のベッソンはこんな感じ。好きなものだけをドっと詰め込んで、スコーンとした作品を作ると。

Posted by たお at 2010年09月21日 02:16

トラヴォルタがとにかくカッコよかったですね〜♪　潔いスキンヘッド（笑）がまた素敵でした(^^)　結構、このコンビっていい味だしてたので、続編あってもいいかも？

Posted by りら at 2010年09月21日 23:41

りら様、こんばんはー！
続編やるなら、別な国の別な都市で失礼三昧を繰り広げて頂きたいなぁと。
物凄く型どおりに描かれた、例えばビール片手にソーセージ投げつけてくるドイツ人相手にフランクフルトで大暴れするこのコンビとか。

Posted by たお at 2010年09月22日 01:39