世界で一番パパが好き！ (Jersey Girl)

監督　ケヴィン・スミス　主演　ベン・アフレック
2004年　アメリカ映画　101分　ドラマ　採点★★★

コミックと映画（特に『スター・ウォーズ　帝国の逆襲』）への溢れんばかりの愛情と、故郷ニュージャージーへの愛憎。そして、自身の手痛い体験を作品に織り込み続ける男、ケヴィン・スミス。これまでの作品が全て“同じ世界の出来事”で、登場人物もリンクしていたが、今回は別の世界のお話。だもんで、ジェイとサイレント・ボブは出てません。残念ですが。

【ストーリー】
音楽業界のヤリ手宣伝マンとして、ニューヨークで活躍するオリー。しかし、最愛の妻が出産で急死。仕事もヘマで失い、やむなく故郷のニュージャージーへと戻る。7年後、田舎暮らしにも肉体労働にもウンザリし、華やかな業界への復帰を夢見るオリーの元へ、音楽業界での仕事の話が舞い込む。しかしその面接の日は、娘の学芸会の日と重なってしまい…。



自身の手痛い失恋話を、その当事者を出演させ『チェイシング・エイミー』を撮った、ケヴィン・スミス。今回は、父親となった自分の喜びと戸惑いを包み隠さず描く。
ニュージャージーを舞台に、ベン・アフレック、ジェイソン・リー、マット・デイモンなど気心の知れた俳優達と作り上げる、“いつもの”ケヴィン・スミス映画になるはずだったが、当時ゴシップ誌を賑わせていたベン・アフレックとジェニファー・ロペス（以下、二人合わせてベニファー）のネガティヴ方面の話題が障害となってしまう。ベニファー共演作の『ジーリ』が大コケ。“第二の『ジーリ』”になることを恐れたスタジオが、急遽様々なプロモからジェニロペの姿を消去し、公開時期を大幅にずらし、色んなものをウヤムヤにして公開。しかし、短くなったとはいえ本編にはジェニロペ出てるもんだから、内容云々の前に観客は“第二の『ジーリ』”と見事に位置づけ、散々な評判に。そんなに悪い作品じゃないのにねぇ…。



男の本質・弱さ・痛々しさを、ろくにオブラートにも包まず描くケヴィン・スミス映画の中で、その“男の権化”的役割を演じる事の多いベン・アフレック。今回も、妻と華々しいキャリアを失い、ド田舎に引っ込まざるえない苛立ちをストレートに演じ、“多少イヤな奴”を演じる方がサマになる俳優である事を立証。“イヤな奴”と書いたが、そのあまりにリアルな男性像とその言動に、「あぁぁ、それを言っちゃぁ」「あー、やっちゃったぁ」と声を出す事に。男性諸君。他人事ではないですよ。同じ状況下では、かなりの確立で同じ事しますから、あなたも。『チェイシング・エイミー』なんか観ちゃったら、彼の言動に過去の恥ずかしい思い出が蘇り、絶叫したくなりますから。



監督自身のファンタジーなのか、男性がどうやっても理解できない女性像の象徴なのか、彼の作品には“学術的にセックスに興味津々”で“すぐにやらせてくれる”都合がいいのだが、扱いづらい美少女が登場する事が多い。今回はリヴ・タイラーが演じることになるのだが、これがイイ！別にいなくても物語りに影響のないキャラクターなのだが、“父と娘”のハートウォーミングドラマなのにギスギスしたこの作品を、彼女の持つ柔らかさが救ってくれる。いままであまり興味のなかった女優だったのだが、学芸会のシーンでの彼女はものすごく可愛い。あんな娘が働いているんだったら、そこのビデオ屋に毎日通う。就職しちゃう。



序盤の深い葛藤の割には、取って付けたかのようなハッピーエンドではあったが、慣れないジャンルにしてはよく出来た方では。どっちかと言えば、子供嫌いな方だと思うし。クライマックス、学芸会で他の親子が延々と同じ演目を演じる中、主人公達だけが“殺人床屋の人肉パイ”を嬉々として演じる姿に、ケヴィン・スミスを観た気が。でも、ジェイとサイレント・ボブが出てないのはやっぱり寂しいので、この点数で。
あ、ウィル・スミスのこと書くの忘れてた。出てたよ。


娘のことも書くの忘れてましたねぇ…

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Comments

トラバありがとうございます。
ベニファー。。。いいですね、使わせてもらいます。

Posted by reko at 2006年04月07日 03:59

reko様こんにちは！
コメント＆ＴＢ、ありがとうございます!!
アメリカで実際そう呼ばれてたみたいです。ジェニロペと別れた後結婚したのがまたジェニファーだったので、“ベニファー”が完全定着したようで＾＾
トム・クルーズとケイティ・ホームズの“トムキャット”より、語呂がよくて好きなんですよ♪

Posted by たお at 2006年04月07日 12:21

こんばんにゃーーー(笑)
『チェイシング・エイミー』も『ジーリ』も見てないのですが、これいい感じでした。意外と楽しく見せつつホンワカあったかい感じで、よかったのになあ。なんかそんなにウケなかったのが不思議。
ジミー「デイモン」は、ほんと楽しそうに演じてましたね。最初誰かわからなかったけど(^o^;

Posted by chibisaru at 2006年06月11日 23:27

chibisaru様ようこそー♪
なんか“ラジー賞”と聞いただけでダメと決め付けちゃってるんでしょうね。ベニファーの組み合わせがイジリ甲斐あるだけなのに。ラジー賞とつまらない映画ってイコールじゃないんですがねぇ。。。
もともとケヴィン・スミスとベンアフの付き合いがあって、ベンアフの友達ってことでついてきたジミーちゃんですが、一番楽しそうでｗ
『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本をスタジオに推してくれた恩義もあるんでしょうが。

Posted by たお at 2006年06月12日 14:53