2010年09月02日

狼男アメリカン (An American Werewolf in London)

監督 ジョン・ランディス 主演 デヴィッド・ノートン
1981年 アメリカ映画 98分 ホラー 採点★★★★

学生の頃、特に何の当てもなくブラリと関西方面へ一ヶ月ほど一人旅に出た私。誰にも気兼ねをすることがないので、何事もノープランな私はのびのびと旅を楽しんだんですが、同じ国内とはいえ東北とはアレコレ違う関西の空気に色々とお見舞いされ、戸惑いと何とも言えぬ寂しさを感じることも。まぁ、これも一人旅の醍醐味なんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
イギリスの片田舎を旅する、アメリカ人のデヴィッドとジャック。突如彼らは何物かに襲われ、ジャックは死んでしまう。ロンドンの病院で目覚めたジャックは、傷こそ癒えたが恐ろしい悪夢に苛まれるようになっていた。そんなある日、目の前に死んだはずのジャックが現れ、彼らを襲ったのは狼男で、その血筋をひいてしまったデヴィッドも次の満月に狼男となってしまうと告げる。更なる犠牲者が生まれる前に、自ら命を絶つように迫るジャックであったが…。

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古典的な狼男の物語と現代的なユーモアの絶妙なバランスが見事な、『ブルース・ブラザース』のジョン・ランディスによるホラー。
“コメディホラー”という括りで語られることもある作品だが、本作は立派なホラー。確かに笑いも少なくないのだが、あくまでそれは会話の流れの中でのユーモアであり、出てくる度に傷みが酷くなってくるジャックを筆頭としたキャラクターのユーモラスな一面を映し出しているに過ぎない。本作は、異国の地で狼男の血筋を受け継いでしまった男の悲しみと孤独を描いている作品であり、その物語を壊さない程度にブレンドされた出しゃばらない笑いのさじ加減が絶妙
当時度肝を抜かれた特殊メイクも、これ見よがしに映すのではなく、作品のインパクトと恐怖感を与える事を重視して映し出している。惨事が密集して起こるクライマックスといい、さすが絶頂期にあったジョン・ランディスらしく、映像表現にもストーリーテリングにも、その手腕が冴えまくっている一本。“月”にこだわりまくった選曲や、一番派手なスタントを自ら担当したり、ジョン・ランディス作品に漏れなく付いてくる“See You Next Wednesday”がしっかりと混ぜ込んであったりと、遊び心も豊富。

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『食人大統領アミン』かなんかの同時上映で観た『ホットドッグ』とこれでしか劇場で観た事がないデヴィッド・ノートンや、個人的な“怖かった映画ベスト10”に入り続けている『アフター・アワーズ』のグリフィン・ダンも、その首を中心に痛みつけられている生々しい傷痕メイクを含め印象的な作品なのだが、やはり本作の顔を決定づけているのは、ジョン・ランディス同様に無類の猿好きとして付き合いも長い、『キングコング』『マイティ・ジョー』のリック・ベイカーによる特殊メイク。
人間から一気に狼男に変身することで話題をかっさらった『ハウリング』に対抗してか、「向こうが薄暗い部屋なら、こっちは明るい部屋でだ!」とばかりに、ライトが煌々と照らされる室内で繰り広げられる変身シーンが圧巻。「バキバキーッ!ボキボキーッ!」と、骨格そのものが変形する激痛を表現する音響も見事。無論、今では1カットでもっと凄い変身が可能となっているが、物理的にその場に存在している質感や重量感は、好みの問題もあるでしょうが、如何に優れていても急にリアルなアニメに変わったかのような印象も受けるCGからは得れない感触。どうやっても実現できない技術的な壁を、あの手この手の創意工夫で乗り切ろうとする姿勢も、やっぱり好き。

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「誰が特殊メイクをやってるか?」も、作品選びの重要なひとつだった時代

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posted by たお at 02:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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