1988年 アメリカ映画 90分 アクション 採点★★★
総入替え制のシネコンが主流になっちゃったんで、こんな田舎でも同時上映ってのがなくなって久しいですねぇ。同じ金額で一本しか観れないせいか、ラインナップも冒険心のすくない無難な物ばかりのようにも。確かにメジャーな俳優が出ている大作も面白いんですが、当時それの抱き合わせで付いてきた一癖も二癖もある作品の方が、未だに強く印象に残ってたりするんですよねぇ。
【ストーリー】
異星人の難破船が漂着し、移民として受け入れられた近未来のアメリカ。新移民となった異星人たちはその特性を活かし、様々な職場で活躍をしていた。そんな中、新移民による強盗事件が発生。現場に駆け付けた新移民嫌いのベテラン刑事サイクスだったが、相棒を殺されてしまう。強盗犯逮捕に執念を燃やすサイクスは、新たに赴任した新移民の刑事フランシスコを相棒とし、捜査に乗り出すが…。
性格の異なるコンビが繰り広げる丁々発止が楽しいバディ映画も、異人種でのコンビがメインになったり、しまいには人間ですらない犬が相棒になったりとバリエーション豊かに。で、今回の相棒は宇宙人。地球上のものですらない。一見、行きつく所まで行き尽くしたゲテ映画のようでもあるが、どうしてどうして。思いのほかシッカリした作品に。
アメリカが新たに抱えた移民及び新たな人種としての異星人の描写が、非常に丁寧な本作。移民としてアメリカ人と同等の権利を得た元奴隷の異星人が社会に与える影響や、リベラルとタカ派(まぁ、権利を与えたのはレーガンって設定だが)の反応の違い、異星人の生態系などの諸情報を物語にすんなりと溶け込ませることで、異物である異星人が生活臭漂うキャラクターとしてしっかりと自立。麻薬が絡む物語自体や、アクションの見せ方はやや一本調子であるが、その後社会がどうなるのか想像膨らむ面白いアイディアを存分に活かした描写も多く、決して退屈することはない。腐った牛乳とバーボンで一夜を語り明かし相互理解を深める、バディ映画としての基本をしっかりと守っているのも好印象。新移民が集うバーで、デヴィッド・ボウイの“スケアリー・モンスターズ”が流れているのも、尚更好印象。まぁ、ボウイが流れてれば大体いつも好印象なんですが。
時代に取り残され気味のベテラン刑事サイクス役に扮するのは、『誘拐犯』『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜』のジェームズ・カーン。古き良きアメリカってのを引きずる半面、排他的でもあるが、情には厚いサイクスには、ワンパクがそのまんま歳を取ったようなジェームズ・カーンがまさに適任。
一方、サイクスとは正反対に何事もふわふわした感じのフランシスコ役のマンディ・パティンキンの好演も印象深い。『ヒドゥン』のカイル・マクラクランもそうだったのだが、善い宇宙人ってのは、地に足が付いてない感じなんですかねぇ。そんなマンディ・パティンキン同様のジャガイモのような分厚いメイクながらも、とても元奴隷とは思えぬゾッド将軍ばりの“偉い人”臭漂わせるテレンス・スタンプも忘れ難い。
スタローン、シュワルツェネッガーという東西の筋肉横綱と対決したブライアン・トンプソンも、異星人役で出演。“X−ファイル”での印象のせいか、なんかいっつも宇宙人やってる感じも。まぁ、人間離れした骨格ですしねぇ。
どこに漂着するかで、待遇が大きく変わりそうです
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
確かにオーソドックスで一本調子ではありますが最近の緻密なエフェクトで脅迫的なのって歳のせいかどうも疲れてしまうんでこういう気軽に観れる作品って貴重だと思いますわ…
アイディアと状況設定を上手に消化した作品ですよねぇ、コレ。一種の爽快感というか安定感がある分、第9地区より好きだったりも。