サロゲート (Surrogates)

監督　ジョナサン・モストウ　主演　ブルース・ウィリス
2009年　アメリカ映画　89分　ＳＦ　採点★★★

ドラえもんの秘密道具って、良いですよねぇ。「あれもできる、これもできる」と、概ね邪まな夢ばかりがグングン膨らみますし。同じ藤子不二雄の作品だと、パーマンのコピーロボットも良いですよねぇ。記憶が共有できるってのが良い。面倒くさいことは任せっきりにすればいいし、生身じゃ色々とマズイこともコピーにやらせて、記憶だけ頂いちゃえば、あたかも自分がやったような気になれますし。まぁ、どっちみち邪まな事ばかりなんですが。



【ストーリー】
日常生活の全てを身代わりロボット“サロゲート”に任せるようになった近未来。犯罪も激減し、人類は理想郷を手に入れたと思っていたが、サロゲートと共に持ち主が変死する殺人事件が発生。ＦＢＩ捜査官のトムが事件を担当するが、事件の背後に巨大な陰謀が隠されている事を知り…。



ロボットの重さと固さを「ガイーンゴイーン」と素敵な音響で表現していた、出来はともかくシリーズ中最も愛着のある『ターミネーター３』のジョナサン・モストウによる、グラフィックノベルを映画化した引き籠りＳＦ。『恋するポルノ・グラフィティ』のエリザベス・バンクスも、製作者に名前を連ねている。
“身代わりロボットがあったら？”という発想先行型の本作。ストーリーの骨組み自体はありきたりであるがシンプルにまとめられており、“サロゲートと持ち主はイコールと限らない”というネットにありがちな問題など、その発想を基にした展開は面白い。ただ、“ってことは人口密度は倍ってこと？”とか、“普及率全人口の９８％らしいけど、圧倒的多数の貧困層はどうなってんの？”とか、“スポーツの試合とか映画とか選挙は？”など、発想を作品の世界観に膨らませるまでの描写や設定決めに著しく乏しいため、薄っぺらい印象も否めない。理解は出来るが、極少数の意見で多数を巻き込む結末も好みではない。どうせなら、家に帰ったら現実社会に適応できない奥さんが死んでたくらいの後味の悪さを残せば、随分と印象も変わったのに。短時間でまとめたのは良いのだが、結果色々と宙ぶらりんになってしまった印象が惜しい。



ここのところ“アナログ人間”の代表格になってきた、『ダイ・ハード4.0』『ラッキーナンバー７』のブルース・ウィリス。生傷絶えない顔に、無精髭と深く刻まれた皺。いつものブルース・ウィリスなのではあるが、まるでフォトショ加工済のようにテラッテラの顔をした集団の中に立つと、いつも以上にその生身感が引き立ち、作品のテーマもより一層際立つ、非常に良い映画的顔の持ち主である事を再確認。これがトムちんだったりすると、「サロゲートもハンサムだけど、生身のボクはもっとハンサム」と、趣旨から大いに外れかねないので、やっぱりブルース・ウィリスが適任。
そんなアナログ顔のブルース・ウィリスの脇を固めるのが、同様にアナログ顔の『Ｍ：ｉ：ＩＩＩ』『チャックとラリー　おかしな偽装結婚!?』のヴィング・レイムス、ポリゴン顔の代表格『サイレントヒル』のラダ・ミッチェルと『ＤＯＯＭ　ドゥーム』のロザムンド・パイクと、概ねイメージ通りの配役。
ところで、『ロンゲスト・ヤード』のジェームズ・クロムウェル。個人的には子ブタを可愛がってそうなイメージなんですが、本作では『アイ，ロボット』同様ロボット作ってる人の役。そんなイメージがまかり通ってるんですねぇ。ロボット博士というと、もじゃもじゃの髪が頭の両脇に生えてて、鼻がおっきいイメージが真っ先に浮かんじゃいますが。


出生率が著しく低下しそう

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓


　　　　　　　　

　　　　　　　　

Comments

>家に帰ったら現実社会に適応できない奥さんが死んでたくらいの後味の悪さを残せば

これ良いですね。

良かれと思ってやったことが自分にとって最悪の事態になる、くらいのアンハッピーエンドであれば許せますが、あのラストで人間性を取り戻すなんてのはおこがましい。

仰るようにべらぼうに高いはずのサロゲートが全世界の９８％に普及するはずがないし、あっという間に「レポ・メン」が回収に来ちゃいます。

Posted by KGR at 2010年08月07日 14:48

アナログ顔のブルース･ウィリスがやっぱり好きです（笑）
髪の毛ふさふさの、のっぺりした顔よりよっぽど味がありますもんね〜(^^)

Posted by りら at 2010年08月07日 19:18

KGR様、こんばんは！
「オレが正しいんだー！」ブチー！
って終わっちゃいますもんねぇ。
警鐘を促すテーマがある割に、ほろ苦さがない。。。

Posted by たお at 2010年08月08日 00:16

りら様、こんばんはー♪
誰しも“理想の自分像”ってのがあるんでしょうけど、あのブルースの髪はないなぁ。。。

Posted by たお at 2010年08月08日 00:17

なーーんか、薄っぺらかったですね。
あたしは、政治は一体だれがやってるんだろう、と謎でした。
選挙で選ばれるのは誰！みたいな。

ラダ・ミッチェルと言えば、やっぱ「ピッチ・ブラック」ですなあ。
あのイメージから、脱却できずにいます。

Posted by sakurai at 2010年08月08日 13:39

sakurai様、こんにちは！
選挙のポスターなり芸能人なり、あれこれ手を加えてるんでこの映画と然程変わらないんでしょうけど、その辺の皮肉をもっと効かせても良かったですよねぇ。

Posted by たお at 2010年08月09日 15:28

ストーりーはともかく（笑）
「アナログ顔のブルース・ウィリス」のキャスティングは“うまいっ！”
サロゲートの顔とのギャップが、“言いたいこと＆説明”の一端を担っていましたよね。

Posted by 哀生龍 at 2010年08月13日 07:59

哀生龍さま、こんにちは〜♪
ホント、ストーリーはともかくですよねぇｗ
ブルース・ウィリスのキャスティングはばっちりでしたねぇ！

Posted by たお at 2010年08月13日 16:57