2009年 アメリカ映画 108分 コメディ 採点★★★
「嘘が嫌い!」って人はよくいますが、嘘をつかない人にはあんまり会った事がないですねぇ。まぁ、大体嘘ってのには自分なり相手なりへの損得が絡んでるんで、気分の良し悪しは別にしてなんとなく嘘をついてしまう心理は理解できるもの。ただ、たまに息を吐くが如く嘘をつく人もいるから困りもの。「なんでそんなつまらないことまで嘘をつくんだろう?」と、怒りを通り越してその人の頭の中を徹底的に調べてみたい興味の方が湧いたりも。
【ストーリー】
農業関係の大企業ADMに対する恐喝事件が発生。FBIは報告者であるADMの管理職マークに事情を聞くが、その過程でマークは突如ADMが世界各国をまたにかけた違法な価格協定を行っていると告発する。マークを協力者に潜入捜査を開始するFBIだが、マークはとんでもない男で…。
90年代にアメリカを揺るがした実際の事件を基にした、『オーシャンズ13』のスティーヴン・ソダーバーグ監督によるコメディドラマ。ジョージ・クルーニーも製作者の一人に名前を連ねている。
往年のスパイコメディ風味の小洒落た音楽に彩られた、結局のところ自分の事が一番可愛い大嘘つきと、それに散々振り回される周囲を描いた一本。いつものウザったいカメラ遊びは控えめに、比較的正攻法で撮られた本作。全編に散りばめられた無意味とも思えるモノローグも、見た物全てに意識を奪われ考えが無秩序に膨らんでいってしまう、“病んだB型っぽい”主人公の性質を表すのに功を奏している。次々とぼろを出してくる主人公に対する周囲のリアクションも「ポカーン」と漫画的で、扱っている事件の大きさと相反するマヌケさが可笑しい。ただ、コメディとしてもドラマとしてもあと一歩突き抜けていない半端さが惜しい。
発端は欲でしかない悪事を働いておきながら、自分を正当化する嘘を重ねているうちに色んな事が麻痺しちゃって、後ろめたさや罪悪感が小さくなっていく主人公。嘘がばれると、「本当の事を言います!」と嘘をつく。そんな口から二酸化炭素の代わりに嘘が出る主人公を演じるのは、『ボーン・アルティメイタム』『ディパーテッド』のマット・デイモン。ついこの間までジェイソン・ボーンだったとは思えぬジミーちゃん面と、ぼってりと肉付けされた腹回りで主人公を好演。最近ちょっとコメディから遠のいちゃっているが、こういうジミーちゃんはやっぱり良い。
弁護士役で、『ハイランダー/悪魔の戦士』のクランシー・ブラウンも登場。さすがに老けてしまってはいるが、ちょっと油断するとすかさず首を切り落としてきそうな凄味は健在。こんな弁護士はヤダ。
あれこれ被って自分を正当化
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