2008年 アメリカ映画 95分 サスペンス 採点★★★
確か“Cueレーベル”だったかなぁ。「未公開だけど面白いよ♪」って、ワーナーあたりが出してたの。まぁ、確かにつまらなくはなかったが、別段面白くもなかった作品ばかりだったような記憶もあるが、どこのビデオ屋でもちょっとした小品を借りれたってのは良い思い出で。で、今だと“ツ○ヤロードショー”ってのがそれになるんでしょうけど、「ウチでしか借りれないよー」ってのは、ちょっとヤダ。気分的に。
【ストーリー】
プロの殺し屋による恐喝事件に巻き込まれてしまった、夫婦カルメンとウェイン。FBIの証人保護プログラムにより別の身分を手に入れ、別の土地での生活を始めた二人だが、殺し屋の追跡は執拗で…。
『ゲット・ショーティ』『ビッグ・バウンス』のエルモア・レナードが原作と製作総指揮を務め、『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』のジョン・マッデンがメガホンを握ったクライムサスペンス。
当初はトニー・スコット監督、ロバート・デ・ニーロ主演、クエンティン・タランティーノ共演でプロジェクトが始まるも、あれやこれやでサッパリ進まず、エンドロールの最後にクレジットされているシドニー・ポラックとアンソニー・ミンゲラという、共に今は亡き大御所2人を呼んで脚本のリライトを行い撮り終えるも、試写の評判は芳しくなく、ジョニー・ノックスヴィル出演シーン丸ごとカットを含む撮り直しに次ぐ撮り直しで、ようやく完成した本作。
もう、紆余曲折あり過ぎる本作を観終わった感想は、「至って普通」。手堅さを通り越して、「脚本をきちんとなぞりました!」ってな感じの普通さ。レビューを“普通”でまとめてしまうのには抵抗を感じちゃうが、そうとしか書けない。
エルモア・レナードの原作にしては、現場の小悪党に生き生きとした生活臭は一切感じられず、小粋な会話もない。自分に課したルールを徹底的に守ることで裏街道を生き抜いてきた殺し屋が、弟を殺してしまった事を引きずり、そんな中で弟にちょっとばかし似ていたチンピラに出会ってしまった事で、全ての歯車が狂ってしまうという本筋も、その掘り下げが全然されないので関係図がさっぱり深まらない。ジョン・マッデンの作品は初めて観たが、輪のバランスを崩してまで何かを撮ろうとする、映画の遊び心に欠けているんだろうか?
そんな融通の聴かない本作ではあるが、役者の顔が大いに救っている。というか、役者頼み?
結局順応性が高い以外はどんな人だか分らなかったウェインを演じるのは、『ミスト』『ドリームキャッチャー』のトーマス・ジェーン。顔のクリストファー・ランバート化が、随分と進んでいるようで。おかげで、『理想の恋人.com』『ハリウッドランド』のダイアン・レインとの夫婦役に、さっぱり違和感がないどころか、妙な生々しさを感じることに。それにしても、ダイアン・レインは綺麗。下手に唇を膨らませたり皺を取ったりするどころか、逆に増えた皺と目じりの傷痕さえ武器にして自然な美しさを表現している。良い歳の取り方をしてるなぁ。
なんか居るだけだった『デス・プルーフ in グラインドハウス』のロザリオ・ドーソンは別にして、やってることはやってるにも関わらず、格付けが“口だけ番長”から抜け出せないチンピラを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットも印象的だが、やはり『シン・シティ』『アレックス・ライダー』のミッキー・ロークには到底敵わない。ハーフとはいえ“ブラックバード”という粋な名前を持つネイティヴアメリカンには見えないという難点はあるものの、『レスラー』同様一つの事しか出来ない男の悲哀を存分に感じさせ、ミッキー・ロークの持つその重みがイコール本作の重みとなる存在感を示している。
共に80年代にブレイクし、なんだかんだ浮き沈みつつも近年再ブレイクを果たしたミッキー・ロークとダイアン・レインの、多分『ランブルフィッシュ』以来の顔合わせも有難いので、その辺に★ひとつオマケで。
武勇伝しか喋らない男には近づかない方がいい
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当初の顔ぶれだと、もっとアクの強い作品になっていたでしょうね。
>一つの事しか出来ない男の悲哀
まさに!
世渡り下手なところまでがカッコ良く見えてしまうのは、やはりミッキー・ロークだからでしょうか。
なんともアッサリした作品でしたが、ミッキー・ロークは良かったですねぇ。
トニー・スコットとミッキー・ロークの組合せで観たっかった!