スペル (Drag Me to Hell)

監督　サム・ライミ　主演　アリソン・ローマン
2009年　アメリカ映画　99分　ホラー　採点★★★

中学の時かと思いますが、通いましたねぇ『死霊のはらわた』。最初に観た時散々怖い目に遭ったんで、２度目以降は同じ目に遭わせてやろうと、同級生たちを道連れに。併映の『悪魔の受胎』も、拷問のようなつまらなさであるのを知ってるのに、行くたびに観てたもので。３度目以降にもなると、さすがにいつドッキリが来るのか覚えてしまってるので、怖さのあまり眼鏡を外して床を見つめたまま動かない友人をしり目に、「来るぞ、来るぞぅ」とワクワクしながら観てたものですねぇ。



【ストーリー】
銀行の融資担当であるクリスティン。昇進が掛かったプレッシャーの中にいたある日、ローンの延長を必死に懇願する老婆の願いを拒絶してしまう。その夜、彼女は怒り狂った老婆の待ち伏せに遭い、不気味な呪いをかけられてしまう。３日の後に地獄へ引きづり下ろされるその呪いによって、クリスティンの身の回りに次々と悪夢のような出来事が発生する。



ひと昔前なら、“死霊の逆恨み”とか“私を地獄に連れてって♪”とかいう邦題が付けられてそうな、サム・ライミが手掛ける久々のビックリ型ホラー。
サム・ライミとブルース・キャンベルが、ドライブインシアターに幾度となく足を運び、観客がどのようなホラー映画に興奮し、どのシーンで悲鳴を上げ、どのタイミングのショックシーンが効果的であるかを徹底的に分析し、そのデータを基に作り上げられたのが、『死霊のはらわた』だとか。その大胆な展開とダイナミックな演出に、センスと勢いに任せたワンパクな映画作りをする監督かと思ってしまうが、実のところ調味料をミリグラム単位で管理したレシピを基に、卓越したテクニックで料理を作るシェフのような技巧派監督である、サム・ライミ。作品の好き嫌いは別にして、その見せ方の巧さに、常に舌を巻いてしまう監督である。



本作も、そんなサム・ライミの“巧さ”が良く出た一本。計算されたビックラかすタイミング、それに至るまでの絶妙な間、ストンと混ぜ込むギャグ、敢えてクラシカルなエフェクトと、死霊こそ出ていないが、まさに“死霊のはらわたシリーズ”の味わい。今にも切り落とされた手首が、中指立てて出てきそうな勢い。とにかく色んな嫌な物が口の中に入ってくるショックシーンの数々も、非常にライミ的。
ただし、その巧さと面白さが“想定できるサム・ライミの範囲内”に、きっちりと収まってしまっている感も。テンポ良く繰り広げられるショックシーンの数々も、上々の出来で平均化している反面、強烈な印象を残すものは少ない。まぁ、“上々の出来で平均化”しているだけでも、充分立派なんですが。
涙ぐましい努力はしているものの、取り巻く環境全てに向いていないクリスティンを演じるアリソン・ローマンに、正直あまり魅力を感じられなかった分、『恋するポルノ・グラフィティ』『ダイ・ハード 4.0』のジャスティン・ロングに期待するも、なんかもうただそこにいるだけって感じで。『死霊のはらわた』の脚本家でライミ作品のカメオでもお馴染のスコット・スピーゲルや、ライミ一家がぞろぞろと出てるんで、じゃぁ、ブルース・キャンベルでも探そうかと思いきや、今回は出ていないんですねぇ。ちぇっ。


金の切れ目が縁の切れ目

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Comments

こんにちは
トラックバックありがとうございます♪
こちらから返信できなかったのでミラーブログのほうから送らせていただきましたがそちらも届いてなかったらごめんなさい

絶妙な笑いと恐怖の間はやはりサム・ライミさんでしたね。そして広がりすぎずどこか箱庭的というか、小さくまとまるのもサムさんです。
楽しませていただきました♪

Posted by maki at 2010年07月20日 09:01

これ、すっごくおもしろかったです。
バーチャン強烈でした（笑）

安心してたのしませてもらった感じだけど
言われてみれば確かに、きっちり収まりすぎな
ところもあったかな。

Posted by kenko at 2010年07月20日 20:50

maki様、こんにちは！
シーサーの奴は、ＴＢ反映するまで時間が掛かる場合があるようですが、どちらとも受け取りましたよ＾＾
にしてもこれ、とってもライミっぽかったですねぇ。一貫してほんのり自主製作っぽい香りがする所も、まさに。

Posted by たお at 2010年07月21日 13:20

kenko様、こんにちは〜♪

婆さんに親切にしないと、かじられるって映画でしたねぇ。
羽目外してる所もあるんですが、その辺が全部“口からなんか出るおよび入る”に集中しちゃってましたねぇ＾＾；

Posted by たお at 2010年07月21日 13:23