2009年 カナダ/アメリカ映画 101分 コメディ 採点★★★★
今でも男の子に大人気の、ライダー変身ベルト。私も小っちゃい頃、散々駄々こねて買ってもらったものです。スイッチを押すとただプロペラが回り出すだけの随分とまぁちゃちな代物でしたが、あれを腰に巻いただけで、普段の自分にはない力がみなぎる様な感じがしたもので。まぁおかげで、「トウッ!」の掛け声とともに土手を転がり落ち、散々立木に体中を打ち付け、最終的に蜂の巣に突っ込むという荒行を成し遂げてしまうんですが。
【ストーリー】
間は道路工事現場で働いている、いささか頭はトロいが正直者のアーサーは、夜になると手作りのコスチュームに身を包んだスーパーヒーロー“ディフェンドー”となり、荒廃しきった街の悪党にビー玉をぶつけたりしていた。そんなある日、売春婦のキャットと出会ったことをきっかけに、宿敵“暗黒街の総帥”の居場所が分かり…。
“ディフェンダー”じゃなくて、“ディフェンドー”。その辺のスペル違いを突っ込むとキレられるので、要注意。“ドー”への強いこだわりを持つディフェンドー。多分、彼の中では“ディフェン道”。
ビー玉で転ばせたり、ライムジュースを顔にかけたり、怒った蜂を投げつけたりと、必殺技が小学生の嫌がらせレベルのディフェンドー。パッケージだけを観れば、そんな彼の滑稽な扮装や、的外れの行動を笑い飛ばすコメディのようにも思えるが、あまりにピュアな人間の行動が周囲を巻き込んでいく本作の持つ味わいは、ある種ピーター・セラーズの傑作『チャンス』にも似たものがある。
ある事件で裁かれるにあたり、精神鑑定医に“何故そんなことをしたのか?”をインタビューされる場面から、メインの話が始まる本作。ヒーローの扮装にこだわり、満身創痍になりながらも“暗黒街の総帥”を追い続ける理由、それらが明らかになるにつれ、その全てに対し真っ直ぐすぎる強い思いに胸が熱くなる。ディフェンドーの姿を借りなければ行動を取れなかったアーサーが、アーサーとして初めて行動を取ったことにより、「アーサーこそがディフェンドーなんだ」と目覚め、自分のような思いをする子供が一人でも減るようにと決死の行動をとる姿は、非常に感動的ですらある。
子供の頃の楽しかった思い出と、家族の思い出を全身にまとったディフェンドーに扮するのは、『ダイヤモンド・イン・パラダイス』のウディ・ハレルソン。『ノーカントリー』といい『ゾンビランド』といい、最近非常に良い仕事が続いている彼だが、本作でも素晴らしい。というか、中身が7歳児の中年男がここまでハマる俳優も、彼以外にそうそう浮かばない。
そのほかにも、『ドーン・オブ・ザ・デッド』で一番おいしい所をかっさらっていたマイケル・ケリーや、『THE 4TH KIND フォース・カインド』のイライアス・コティーズ、『40歳の童貞男』のカット・デニングスなど、劇中のキャラクターの魅力を存分に引き出した顔ぶれも見事。特に、観ているこっちと同様、アーサーの人柄にグイグイ引き込まれていく精神科医を演じた『ハード キャンディ』のサンドラ・オーが印象的。
なにやら日本語吹替えも収録されず、とりあえずレンタル店のコマ揃えの為に発売されたような扱いの本作だが、間違いなく今年一番の拾い物でしたねぇ。
ところで、“Kick-Ass”は公開しないつもりかい?
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
9月に出る英国版Blu-rayには日本語字幕&吹き替えが収録されているそうな… また『Hot Fuzz』等のようなパターンですが、結局日本の映画産業が弱体化しているんでしょうね… 『Kill Bill Vol.1』とか、かつては日本上映版をソフト化してたのにBlu-rayではアメリカ版そのまんま、とか、これはたお様もそろそろ個人輸入派に転向、ですかの?
さすが、その辺の情報収集は早いw
劇場公開されなくても、きちんとソフト化してくれれば文句もないんですが、大手が「よくわかんないのは仕入れないよー」なんて言い始めちゃってるんで、観たい作品は家でも観れないのかって感じになって来ましたねぇ。
個人輸入かぁ…。
そうじゃないと映画を楽しめなくなってきたのかもしれないですねぇ^^;
本人は、本気も本気。 スリングショットを構える姿など、カッコ良くすら見えますよね。
純粋で真っ直ぐなところが、何よりもカッコ良く、そして感動的でした。
ところで、“Kick-Ass”
楽しみにしているのですが・・・
真剣なんですよね、何事に対してもディフェンドーは。カッコつけようともしていない。出来る事を必死に真剣に。
なんかKick-Assは、どこぞの大手が独占レンタルとかで出しちゃいそうですねぇ、今の流れだと。あぁ、やだやだ。