ホワイトアウト (Whiteout)

監督　ドミニク・セナ　主演　ケイト・ベッキンセイル
2009年　アメリカ映画　101分　サスペンス　採点★★

仕事の関係で、山形に住んでいた頃の話。ホームセンターに普通に除雪機が売ってるのに驚きはしたものの、「宮城も山形も同じ東北。そんなビックリするくらいは雪降らんだろう」と大いにナメていたもので。まぁ、何に対しても“ナメてかかる”ってのが私の標準装備なんですが。で、冬。休みも取れたんで、駅に車を駐車し朝の列車で仙台へ。多分その間に雪が降ったんでしょうねぇ。夜に帰ると、自分の車を停めたはずの場所に、２メートル近くあるこんもりとした雪山が。



【ストーリー】
アメリカの南極観測所アムゼン・スコット基地。ここに働く唯一の連邦保安官キャリーは、数日後に控える帰国の日を待つだけだった。しかし、そこで殺人事件が発生。非常に過酷な環境下、彼女は捜査を開始するのであるが…。



つまらなくはないが、だからと言って決して面白いわけでもない作品を出し続けるダークキャッスルによる、グラフィック・ノベル原作のサスペンスアクション。監督は、『ソードフィッシュ』依頼久々に劇場映画のメガホンを握る、ドミニク・セナ。
如何せん、南極が舞台の映画だと『遊星からの物体Ｘ』しか知らないので、オープニングで描かれるまるで空港のロビーかのように人々でごった返す、やたらと賑やかな南極基地の様子にビックリする。ただ、この映画でビックリするのはここまで。あとは、ただひたすら定番の枠内から一歩も外れず、外れないくせに定番の面白みは活かしきれない展開をズルズルと。
“過酷な自然環境”“謎の殺人者”“刻々と迫るタイムリミット”“意外な黒幕”と、サスペンスをなんぼでも盛り上げる事が出来る要素は取り揃っているのだが、“タイムリミット”はあってないようなものだわ、『血のバレンタイン』に出てきそうな風貌で期待させる“謎の殺人者”も防寒着取れば普通の人だわ、“意外な黒幕”も「この手の映画って、実はこの人が犯人でしたーってのよくあるよねー？」と始まって早々指さしてみた人が本当に犯人だわと、全く盛り上がりようがない。それでも、この映画の唯一の売りである“南極”という特殊な環境を活かしてくれてれば、それなりに盛り上がれるのだが、残念ながらそこも見事に外す。真っ白になって周りが見えなくなるという“ホワイトアウト”という現象も、登場人物が強風の中モタモタするだけで、仕舞いには誰が何処で何をしようとしているのか、観ているこっちがホワイトアウトに見舞われる効果しか上げていないのでは、せっかくのクライマックスも台無し。そもそも、俳優に強風を当ててエフェクトで雪を散らしただけの画面で「寒そうでしょー？」と出されても、全く寒そうじゃないのが痛い。



その美貌だからこそ、『アンダーワールド』『アンダーワールド：エボリューション』のヴァンパイア役にある種の説得力を持たせ、『もしも昨日が選べたら』のように普通の奥さんを演じれば「なんてラッキーな旦那だ！」と羨ましく思わせた、ケイト・ベッキンセイル。本作でも惜しげもなく披露する人形のような華奢な身体と、ツンとした鼻が特徴の美人顔が生み出す微妙なアンバランスさが非常に魅力的。指が無くなろうと、顔に痣を作ろうと、全てのカットが美人。それは大変結構なのだが、生憎連邦保安官にだけはどうやっても見えない。しかも、南極の。
そんな不満だらけの本作であったが、唯一『デッドゾーン』『ウィズダム／夢のかけら』『スティーヴン・キングのデスペレーション』のトム・スケリットだけは別。齢８０も間近だというのに褪せる事のない色気と、過酷な環境であればある程匂い立つ男臭さには、本当にシビレる。この手のイイ男ってのは、近頃貴重だなぁってことで★ひとつオマケ。


ここが逆だった方が、まだ面白い

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Comments

なんとたおさん、山形在住の経験がおありでしたか。
雪の量は内陸ですが、ホワイトアウトをぜひ庄内で経験していただきたかった。
身近に経験できますんで、お勧めスポットです。
あそこにひと冬いると、人生観変わりまっせ。
ゆるい南極でしたね。
ケイトのファンの方向けの映画だったようで、いい男がいなくて、ちょっと寂しかったかなあ。

Posted by sakurai at 2010年07月08日 18:05

sakurai様、こんばんは！

当時住んでいたのは置賜地方なんですが、一度真冬に会議だってんで車で鶴岡に。月山道路で見事に心が折れました…。

Posted by たお at 2010年07月09日 01:37