2009年 アメリカ映画 107分 ドラマ 採点★★★★
初めてバイトらしいバイトを始めたのが、大学に入ったばかりの頃。“働く”ってこと自体が初めてみたいなもんだったんで、既に働き始めていたバイト先の人間が、年齢の上下関係なく自立した大人に見えたもので。既婚者なんてもう、“ザ・大人”。で、何年か働いた後、自分もそんな大人になったかと言えば、全くそんな感じもせず。若い連中と働いても、「若いなぁ」と思う以外はそんなに距離感を感じもしない。まぁ、向こうはそう感じてはいないんでしょうけど。
【ストーリー】
親の都合で学費の一部を工面しなければならなくなったジェームズは、地元のさびれた遊園地でアルバイトをすることとなる。低賃金のうえにバイト仲間は変わり者ばかりという環境で気分が乗らないジェームズだったが、エムという名の美少女と親しくなっていき…。
傑作『スーパーバッド 童貞ウォーズ』グレッグ・モットーラによる、1987年を舞台とした青春物語。
学費と卒業旅行代は親頼み、新生活の拠点となるアパートは友人頼りという他力本願気質で、大学を卒業する歳だというのにバイトもしたことなく、しかも童貞という全てにおいて出遅れている主人公が、学校生活とも家庭生活とも違う、“バイト先”という新たな世界に足を踏み入れ成長していく姿を描いた本作。
登場人物が抱える問題は、小さくもないが大き過ぎでもない、ただ抱える当人にとっては十分に重過ぎる。その等身大の問題の数々の中で主人公が成し遂げる成長も、決して飛躍的なものではなく、童貞らしい“3歩進んで2歩下がる”的な歩幅。ただ、その小さな成長の一歩は、いずれ振り返った時にその大きさに気付く重要な一歩でもある。そんな登場人物を見つめる作り手の視線が、まるで自分の記憶の中にある“誰か”を振り返っているかのような温かさと懐かしさに溢れており、それが観ている側の頭の中にある“あの時、あの人”を思い出させてくれる。
ファルコの“ロック・ミー・アマデウス”を1日20回聴かされるのは拷問以外の何物でもないが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやキュアらの楽曲の使い方も、非常に上手い。ボウイが流れてきて「うわぁーい!」となるのはいつもの事なのだが、それに加えジーザス&メアリーチェーンやらINXS、リプレイスメンツにクラウデッド・ハウス、ニック・ロウらと、まるで当時自分が作っていたカセットを聴いているかのような選曲も、これまた嬉しい。
理想と現実の見極め方がいまいちフワフワしている、いかにも童貞な主人公を演じるのは、『ハンティング・パーティ』でも理想と現実の間でふわふわしていたジェシー・アイゼンバーグ。そんな主人公にとって、親と先生以外で初めて出会う大人の象徴であり、“大人と言ったって何歳になっても実際は大人になりきれない”象徴でもあるコンネル役に、『悪魔の棲む家』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のライアン・レイノルズが好演。
また、本作のコメディリリーフとして登場シーン全てに強烈な印象を残す、『寝取られ男のラブ ♂バカンス』『ナイト ミュージアム2』のビル・ヘイダーの往年のダン・エイクロイドを彷彿させる芸風も見事の一言なのだが、やはり本作は、ちょっぴり大人で影のある美少女エムを演じる、『ゴースト・ハウス』のクリステン・スチュワートの魅力に尽きる。「ついこの間パニックルームに逃げ込んでギャーギャー騒いでた小娘が、いつの間にこんないい女に成長したんだ?」と驚くも、自分的には“ついこの間”でしかない本作が舞台の1987年には、まだ彼女は産まれてもいないという事実に、そりゃあ成長するよなぁと。
たかだか“バイト先の出会い”でも、一生を左右する事すら
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周りから見たらどうって事ない悩み、後々振り返ってみたら何で悩んでたんだろうと思うような事柄。
でも、今はどうしようもなく悩んでる。
青春だなぁ〜
かつては自分も・・・
そんな気分になる作品ですよね!
>後々振り返ってみたら何で悩んでたんだろうと思うような事柄
で、後から不意に、それこそ車の運転中とかに思い出して、恥ずかしさのあまり絶叫したくなるんですよねぇ^^;