2008年 アメリカ映画 90分 コメディ 採点★★★★
映画本編の2時間かそこらだけを考えてしまうと、決して安いもんじゃない映画料金。“必ず満足する!”って約束もないですし。でもまぁ、その作品の存在を知った日からのワクワクやら、オープニングのファンファーレやら、終わった後に湧き上がってくるあれやこれやの感情を考えれば、納得も。だからといって、不用意に観ると2000円近く取られる入場料金は高すぎるって事実は変わりませんが。
【ストーリー】
1998年。かつて共にスター・ウォーズに熱狂していた旧友たちと再会したエリック。定職を持つエリックと異なり未だ熱狂的なスター・ウォーズファンとして行動する彼らに溝を感じるエリックだったが、親友だったライナスが末期癌であることを知り、彼のためにもいち早くスター・ウォーズの新作を観ようとルーカスフィルムの本拠地に侵入を試みるが…。
ある意味、世界中のスター・ウォーズファンが最も幸せだった『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』公開直前の1998年を舞台にした、ケヴィン・スペイシーも製作者の一人に名前を連ねたコメディ。
“熱狂的なスター・ウォーズマニアが主人公”“もちろん随所にオマージュが”“当然敵はトレッキー”というスパイスこそ効いているが、内容は“珍道中の中で友情やら愛情やら将来やらを見つめなおす”という王道中の王道である本作。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』をキッスのライブや、うっかり彼女に送ってしまった浮気の現場ビデオに置き換えても十分成立してしまう話であるし、爆発力はあるもののその場その場の笑いに重きをおいてしまった結果、キャラクターの成長過程がサラリとしすぎている感も否めない。しかしながら、そのサラリ感が“親友の死”が目の前にぶら下がり続ける本作をウェットにしすぎず、また、念願だったスター・ウォーズの新作を観れたことや、思わぬ形でのレイア姫とのキス以上に、それを実現してくれた親友たちと一緒にいれる時間を噛みしめるようなライナスの眼差しなどで語られる、個々のキャラクターの幸せの頂点その瞬間を切り取ることで、心地の良い余韻を残す成果をあげている。
若いが元気のないジェイソン・ミューズのようなサム・ハンティントンの地味さを存分にカバーするどころか溢れてしまいそうな顔ぶれが揃った本作。『燃えよ!ピンポン』同様イタい上に暑苦しいデブがばっちりとハマるダン・フォグラーに、気が付いたら一日の大半をパソコンの画面を見て過ごしてしまってそうな『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のジェイ・バルシェル、“死にそうな童貞”をやらせたら右に出る者がいなくなってきた感もある『臨死』『ガール・ネクスト・ドア』のクリス・マークエット、可愛いのか可愛くないのか一瞬悩む『寝取られ男のラブ ♂バカンス』のクリステン・ベルらメインの充実はもちろんのこと、ネタがネタだけにカメオもこれまた充実。
ファンの間では永遠に“姫”であろうキャリー・フィッシャーを筆頭に、ランド・カルリシアンならまだしも、いまさら誰がローズウッドのことを覚えているのか不明な役名で登場するビリー・ディー・ウィリアムズ、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』で唯一カッコよかったレイ・パークらスター・ウォーズ組のみならず、よりによってジャージャーのタトゥーを入れてしまう本作で最も不幸な男役で登場する『恋するポルノ・グラフィティ』のセス・ローゲンに、“カークに不可能はない”ことを立証したウィリアム・シャトナー、期待の新作『プレデターズ』でソニー・ランダムみたいな扱いになっちゃうんじゃないかと心配な『デビルズ・リジェクト』のダニー・トレホらと、好きモノ悶絶の顔ぶれ。当然、スター・ウォーズの匂いを嗅ぎつけたらどっからでも飛んでくるケヴィン・スミスも登場してますし。
一番幸せだった頃
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>そのサラリ感が“親友の死”が目の前にぶら下がり続ける本作をウェットにしすぎず
日本で作ったら、ラストなんかお涙頂戴になってしまったであろう、かなりウェットな青春物。
でも、そんな部分を上手く処理してある、と言うか、もっとリアルな彼らの感覚(親友の死は哀しいけど、スター・ウォーズの新作は嬉しい!)を描いてるのが良かったような気がします。
ついでに言えば、仲間の1人1人が“主役を張るにはいまいち?”級なところも、良かったかなと(笑)
ホント、大概は死ぬのをメインに持ってきちゃいますからねぇ。人が死んで悲しいのは当たり前なのに。
でもこれは、最高の幸せ(ファンファーレ後にそれはみごとに崩れ去るんですが^^;)の瞬間にメインを持っていってましたねぇ。