1998年 アメリカ映画 108分 ホラー 採点★★★★
10万ドルの予算でも、1000万ドルの予算でも同じ触感の映画を撮る男。違いを聞き分けるのが困難なスコアを書く男。「人が集中して映画を観れるのは90分間だ」として、ムダに長い映画を撮らない男。たとえスティーヴン・キングの原作映画だろうが、タイトルに自分の名前を付ける男。彼の名は、ジョン・カーペンター。
【ストーリー】
強大な力を持つ吸血鬼ヴァレックに急襲された吸血鬼ハンター・ジャックとそのチーム。ジャックと旧知の相棒モントヤを残し全滅したが、ヴァレックに襲われ吸血鬼となりつつあり、ヴァレックとテレパシーで繋がれている売春婦カトリーナを連れ逆襲に転じる。
同時期に公開されたウェズ公の『ブレイド』の影にすっぽりと隠れ、カーペンターファン以外には忘却の彼方へ葬り去られている傑作。あ、“傑作”は言い過ぎかもしれないけど。
“吸血鬼ホラーと西部劇の融合”として話題になったが、舞台となるメキシコの風景のみならず、ストーリーラインにも徹底されている。アウトローの主人公と吸血鬼の宿命的な対決を主軸とし、売春婦とモントヤの間に芽生える愛と、青二才の神父の成長物語を絡める様は、古典的西部劇の典型だ。その反面、古典的吸血鬼物にありがちな棺や蝙蝠といったものは登場せず、ドラキュラから続く“モンスター”としての吸血鬼ではなく、暗い過去を秘めた種族として描いている。カーペンター節をバックに、地中から吸血鬼の群れが現れる様は非常に美しく、何度でも観たいシーンだ。というか、何度も繰り返し観ましたが。
女性キャラの扱いが非常にぞんざいなことでも知られるカーペンター映画だが、この映画でのカトリーナの扱いは別格。人間から吸血鬼へと変貌していく悲しみ、モントヤとの恋(ま、彼の一方的な片想いのようでもあるが)、殺されていく吸血鬼に見る自分の未来への恐怖を見事に描いている。『ツイン・ピークス』での“世界一美しい死体”として一躍脚光を浴びたシェリル・リーだが、その後作品に恵まれず、その間に刻まれた年輪がカトリーナの持つ悲しみとマッチしているかのようだ。
“ツイン・ピークス組”は、皆どこへ?
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>10万ドルの予算でも、1000万ドルの予算でも同じ触感の映画を撮る男。違いを聞き分けるのが困難なスコアを書く男。「人が集中して映画を観れるのは90分間だ」として、ムダに長い映画を撮らない男。たとえスティーヴン・キングの原作映画だろうが、タイトルに自分の名前を付ける男
無茶苦茶ウケました!!
2本続けて観ていたら、まさにそのとおりの監督ですよね。
たまにこういう作品観るのも面白いです。
メージャーに屈することなく自分の撮るべき映画だけを撮り続ける、作品同様男気溢れる作家でもあるんですよね、カーペンター。
たまにどころか、毎月のように観てたりもします^^
“砂塵吹き荒れる西部劇”調の作品だからこその、素敵なシーンですね!
「ブレイド」が真似しようたって、都会のコンクリ&アスファルトを突き破って出てきても、哀愁漂う格好良さは表現できません(言い切る 笑)
まぁアッチは、ウェズリーがどんだけカッコいいかがキモの映画ですしねぇw