2006年02月08日

運命を分けたザイル (Touching The Void)

監督 ケヴィン・マクドナルド 主演 ジョー・シンプソン
2003年 イギリス映画 107分 ドキュメンタリー 採点★★

いや、いい映画なんだと思いますよ。どーやって撮ったんだと驚くようなショット満載だし。でも、観る前の予想とあまりにもかけ離れすぎてて、結局気持ちの整理がつかないまま観終わっちゃったんで、この採点で。コピーが“生きて帰るには、これしかない”で、タイトルが「運命」を「分けた」だもん。熱い友情と、生死をかけた苦渋の決断を描く映画だと思っちゃうでしょ?ね?俺だけじゃないよね?

いきなり初っ端からモデルとなった登山家のインタビューが始まる。始まった途端に「なーんだ。生きて帰ってきたんじゃん」とオチが割れてしまう。で、インタビューと同時に再現フィルムの形で映画が進むのだが、映像より先に自分達で武勇伝喋っちゃったりするので、展開にスリルなし。で、肝心の『運命を分けた』部分。よくある映画だと、パートナーが負傷し、ザイルで宙ぶらりん。「大丈夫かー!」「ダメだー!俺を置いて、お前は生きろー!」「何を言うー!」てな展開をして、苦渋の決断を強いられるのだが、さすがドキュメンタリー。その辺はいたってドライ。“パートナーの負傷”=“自分の生きて帰れる確立大幅ダウン”といった、堅実かつ血も涙もない理論で進む映画なので、パートナーの負傷に対するリアクションは、「あ〜あ…」である。失望プラス怒りである。清々しいほどドライである。で、決断も早く、あっさりザイルをぷちりと。にこやかに武勇伝を語る当事者たちの映像と、あまりに痛々しい再現フィルムが交互に行きかうので、集中して観れず。監督は、スピルバーグの『ミュンヘン』の元ネタにもなった、72年のミュンヘンオリンピックで起きたテロ事件を題材に『ブラック・セプテンバー』を撮ったケヴィン・マクドナルド。
いや、いい映画なんだと思うよ。たぶん

touching.jpg
こんなもん、あっさりプチっと

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posted by たお at 00:55 | Comment(11) | TrackBack(25) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TB有難う御座いました♪
全く以って同感です。
題材としては凄く良いのに作り方間違えてますよね。
ギリまでネタ割らないでくれてたらもの凄く感動出来たと思うんですけど・・・
ま、良い映画ですけどね^^

ではでは、これからもよろしくお願いします。
Posted by Aki. at 2006年02月09日 04:51
たおさん初めまして、トラックバックありがとうございます。
興味深く拝見させていただきました。
確かに邦題を普通に解釈すると「違うんじゃないか?」と感じるかも知れません、実は私も当初そう感じました。しかし生還後二人はそれぞれ全く異なる道を歩きそれぞれに成功を収める、その運命を別けたのがこの切られたロープだったという意味に解釈しています。ちなみに原題は「Touching The Void」空虚、空洞との接触と訳すべきでしょうか。
本人達が最初から登場するのはあくまでもセミドキュメンタリーであるこの映画では彼等がどのように生還したのかが問題であって、生還したのかしないのかでは無いと言う事、ザイルをあっけなく切ってしまったのは、高山では一瞬の判断ミスが生死にかかわるという事、私は彼等なりにできる限りの努力をした末にロープを切る判断をした様に描かれていると感じたのですが・・
ロープを切断したサイモンイェーツがその事を気にかけキャンプの撤収を遅らせたことが結果的にジョーシンプソンの生還に繋がったわけです。

是非また御訪問ください、よろしくお願いします。
Posted by ヨシヲ at 2006年02月13日 02:10
初めまして、今日は。
私は2日前に当作品をビデオで初めて観ました。
感想は、やっぱ、隣県・福岡県の映画館に行けば?良かったカナ?と、思わず思ってしまいました。

まだ、操作未熟なPCで他の方達の感想等、拝見すると、著しく“温度差”を感じます。
その原因は、多分?積極的に登山経験が在るか?
と、思います。その登山経験者の雪山‐ザイルが必要な対象山岳…つまり、登山程度の差でも感想が違うと思います。
私はザイルが必要な登山はしませんが、3000m未満の雪山登山の経験が在ります。

ヨシヲさんが2月13日に記述された様に、
「生還して一件落着!」では無く、
「どの様に生還したのか?当事者達が回顧しながらの検証劇」と思います。

只々、【最善を尽くす】事の価値を示してると思います。
主に2人の心中を察すると、
両者とも[正しい判断]で、ザイルを切断せねばならない側が、底なしの心のクレバスに落ちなかったのが、観る側の心が救われる想いがします。
又、切られた側の〔執着心〕は、思わず敬服の笑いが込み上げてきそうで、もっと見習わければなりませんね。m(__)m!共感?します。
{帰路が長いんだ!}

最後に、ビデオ返却の前にもう一度、鑑賞を(^^♪
DVD再生機、非所有だけどDVDソフト購入しようカナ?

それと、欧州・外国との根本的な一般登山認識と楽観的見地の差を認知せねばならないと思います。

長文失礼しました。m(__)m
Posted by 熊本の高峰登山愛好家 at 2006年03月23日 16:21
遅くなってしまいましたがTBありがとうございました。
実話を基にしているせいかリアルでしたね。
撮影も実際に高山でロケしたそうで、画もリアルでした。
極限状態の強さが伝わってきました。
本人のインタビューがあるので助かったのは解るのですが、その過程がリアルでしたね。
正に「事実に勝る創作なし」ですね。
Posted by 健太郎 at 2006年05月08日 22:30
健太郎様コメント&TBありがとうございます!!
なんとも心の準備が全然違う所にいっちゃってたようで、入り込めないまま。。。^^;
機会があったらまた観ようかと…観ないかなぁ^^;
Posted by たお at 2006年05月09日 16:27
TBRありがとうございました。この映画は本当に良かったです。成功者の語りでどんどん進んでいきますが、その時の心境を詳しく説明してくれるので本当に臨場感たっぷりで良かったです。男同士の絆、友情を垣間見たような気がします。また遊びに来ます。よろしくお願いします。
Posted by あっしゅ at 2006年05月11日 19:17
あっしゅ様、コメント&TBありがとうございます!!
典型的な劇映画に慣らされてしまっている身には、なかなか辛いものがあった作品ですが、完成度は高いのは確かですよね。
これからもよろしくお願いします!
Posted by たお at 2006年05月12日 03:15
うっひゃっひゃっひゃっひゃ(爆
何気に映画タイトルリストを見て、読んでみたら、たおさん節の炸裂にお腹抱えて爆笑しちゃいました(笑)
私は途中で「はは〜ん、なるほどこういう話か」と切り替えが出来たので気持ちの整理はついたけど、気持ちの整理がつかないと「なんでだぁ!!」って言いかねませんね。こればっかりは、山のことを多少は知ってないとわかんない話だし、山ってのはこういうもんで、時にはこういう決断もせねばならんのじゃと理解できればいいんじゃないでしょか。

まじめなコメントは自分のレビューに書いたのでここじゃ書きません(笑)
Posted by chibisaru at 2006年11月24日 04:29
chibisaru様、こっちにもようこそ〜♪
いやぁ・・・いい映画なんでしょうよ。
観ている間中、寒かったですし。登山をしている人ならストレートに伝わったんでしょうけど、生憎登山には興味が。。。
Posted by たお at 2006年11月25日 02:21
TBさせていただきました。

まさに奇跡の生還。
極限状態での生への執着と気力に感動しました。
Posted by タウム at 2007年03月31日 00:26
タウム様こんばんは!
いやぁ、まさに奇跡の生還であり、生への執着が生んだドラマなんでしょうねぇ^^;
ただどうにも、自分の気持ちが入り込まなくて。。。
Posted by たお at 2007年04月02日 00:45
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