2004年 アメリカ映画 100分 コメディ 採点★★★★
鼻を垂らしながら走り回っていた小学生時代。土曜の午前授業が終われば、ランドセルを教室に置き去りで駄菓子屋に走り栄養補給の後、アホな子丸出しで遊び狂っていたもの。しかしながら、所詮駄菓子。2時にもなれば腹が減ってくるので、渋々家に戻り昼食を。そんな時TVでやってたのが、『白バイ野郎ジョン&パンチ』。ボケ役だったはずのパンチがだんだん前へ出てくると同時につまらなくもなってきたシリーズだったが、サントラを駄々こねまくって買ってもらった記憶も。『白バイ野郎ジョン&パンチ』が終わると『刑事スタスキー&ハッチ』が始まるのだが、どうにもハッチの顔がコワイ。どうやら、当時劇場で観て震え上がった『死霊伝説』やら、小憎たらしい悪役として出ていた『ダーティハリー2』を思い出しちゃうようで、ハッチが出るや否やTVを消してまた外へ。もちろん、ランドセルのことなんか思い出しもせず。

【ストーリー】
熱血だが融通の利かない刑事スタスキーは、いい加減でお調子者のハッチとコンビを組まされることに。なんとなくギスギスしながらも、ある水死事件を捜査している過程で、ある大富豪に突き当たる。表向きはビジネスマンだが、裏で麻薬の取引をしていると睨んだ二人だったが…。

“ハッチの顔がコワイ”という理由だけでオリジナルTVシリーズを見ていなかったので、どれだけオリジナルに愛を注いでいるのかは全く分からず。でも、そんなことは全く関係なく面白い。
ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンの組み合わせと言えば、当然大傑作『ズーランダー』を思い起こさせる。ある意味本作は“裏ズーランダー”とも言えるのだが、二番煎じや二匹目のドジョウなんて志の低いものに全くなっていない。『ズーランダー』が80年代ポップカルチャーやディスコミュージックを再現したかのような、目に鮮やかな色彩と、隙間なく刻むビートの如くイベントやギャグを詰め込んでいたのに対し、本作は70年代のそれだ。ゆるさを敢えて再現した物語のテンポは確かに遅く、イベントも然程多くはないのだが、その心地よいゆるいテンポに刻まれるビートは、非常にシャープで強烈。溜める間とリリースのタイミングが計算されつくされているだけではなく、そこに出演者が生み出す独自の味わいを上手く織り込んでいるため、笑いが外れない。まぁ、もちろん好みの問題もありますが。
笑いを生み出すためにエフェクトや道具に頼らず、人の芸によって笑わせる映画が少なくなった昨今だが、本作が生み出す笑いは間違いなく芸の領域。さすが、ジョン・ランディスやアイヴァン・ライトマンの影響が随所に見え隠れしていた『ロード・トリップ』や『アダルト♂スクール』のトッド・フィリップス監督だけはある。
「オリジナルへの冒涜」「普通に刑事アクションにした方がマシ」などという意見も多かった本作だが、オリジナルにおんぶに抱っこの何ら工夫も面白味もないリメイクばかりが横行する中、その風潮自体を逆手に取った姿勢は賞賛に値するのでは。そもそも、フラットパックが関わる上では本作は最上の仕上がりで、彼らが関わった以上はそこらのアクション映画にすること自体、意味がないのではとも。

笑いの抽出所を間違わなかった監督の功績も大きいが、本作最大の貢献者は、やはりベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンの二人。誰かに絡むことで輝きを発するベン・スティラーと、誰かに絡まれることで可愛さを倍増させるオーウェン・ウィルソンにとって、両者はまさに理想的な相方。オーウェンにとって同系統の相方といえば『ウエディング・クラッシャーズ』のヴィンス・ヴォーンがいるが、ヴィンスとではあまりに精神年齢が離れすぎ(と言っても高校生と中学生程度だが)で、相方と一緒というよりは保護者同伴にしか見えなくなってしまう。『ドッジボール』でのベン&ヴィンスにも同様のことが。この名コンビの妙は、会話の間にあるとも。正反対の性格を表しつつも、ふと呆けるタイミングが一緒だったり、オッパイに対するリアクションが一緒だったりと、まるで小学校からの友達のような息の合いよう。ケンカの様子も、教室の隅っこで言い合ってるレベルですし。
そんなベテランの域に達しているともいえる名コンビの、コスプレ芸満載の本作。そもそも映画全体が、男二人でスタスキー&ハッチのコスプレを楽しむ“男チャーリーズ・エンジェル”の様なものなのだが、舞台が変わる度に披露される派手なコスプレは、やはり見もの。中でも、見事にコピーされた『イージーライダー』のコスプレは、繋がりの違和感も含め絶品。

それにしても、本作のオーウェンはカワイイ。まぁ、いつも言ってることなんですが。フニャフニャと喋り調子だけはいいが、思いのほか頑固のうえしたたかで抜け目がない一面を披露。普段は頼りないが、いざと言う時は非常に頼れる、私が女だったら間違いなく惚れるタイプ。そんなオーウェンが、あまりに屈辱的な目に遭い、半ベソに遠い目をしているシーンに、オーウェンファンの皆様は萌え死にしたことでしょうに。
もちろんファンにとってはそれぞれのベスト・オーウェンがあるんでしょうが、ゆるさ、可愛さ、その他もろもろで、私的には本作のオーウェンがベスト。

フラットパックもののお楽しみと言えば、もちろんお馴染みの顔ぶれの集結。特に本作は、トッド・フィリップスの前作『アダルト♂スクール』から引き続きの出演組が多数。70年代カルチャー風味を一手に担うスヌープ・ドッグや、知能指数よりも血糖値の方が高そうな役をやらせると絶品な『誘拐犯』のジュリエット・ルイスらが作品を彩っているが、やはり今回は悪役のヴィンス・ヴォーンが見事。まぁ、“見事”とは言っても、人を殺す以外はいつもの保護者ポジションにいるヴィンスなんですが。
その他にも、70年代ブラックスプロイテーション文脈で欠かすことの出来ないフレッド・ウィリアムソンや、『バタフライ・エフェクト』のエイミー・スマート、『キス★キス★バン★バン』のクリス・ペンらも印象深いが、やはりアノお方の破壊力を前にしちゃうと…。“アノお方”とは、もちろんウィル・フェレル。登場時間こそ短いが、出るや否やベン&オーウェンを泣かせる力強さは圧巻。動きのクドさを封印してさえも、殺傷力の落ちない目のクドさが素晴らしい。
ここまでダラダラと書いているうちに、書いてる自分も忘れてしまっていたが、本作はTV『刑事スタスキー&ハッチ』のリメイク。観ている人にもそれを思い出させようとしてか、ラストにオリジナルのスタスキー&ハッチが登場。さすがにお歳を召してましたが、やっぱりハッチの顔は怖かったです。
2007年3月1日 大幅加筆

是非この4人で続編を
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ベン・スティラー最高です♪
私はもう彼に惚れましたよw
ズーランダーとはまた違った面白さでこれまたたまらないっ
片っ端から見ていくつもりですw
スティラー地獄にはまりましたねw
長いですよー。中毒になりますよーw
そのやられっぷりをレビューで楽しみにしております♪
女でオーウェン・ウィルソンの大ファンです。
彼って馬鹿っぽいんだけどなんだか
憎めないし、また大切な時は頑張るとこも
あって可愛くそしてかっこいいですよね。
ベン・スティラーは彼の人柄からか
いつもすごく豪華キャストですよね。
これからもベンにも期待です。
オーウェンはバカっぽいというか、フニャフニャとした語り口の割に絶対折れない頑固さがたまらないですよねぇ。
ベン・スティラーは、『ナイトミュージアム』が楽しみで♪
オーウェン出てるしw