2008年 アメリカ/ドイツ映画 90分 アクション 採点★★★
ずぼらで大雑把な性格が災いしてか、何事に対してもスロースターターな私。動かざること、山の如し。まぁ、ただボヘーっとしているわけでもなく、あーだこーだとウダウダ頭ん中で色々と組み立てて、ロクな結果が見えなければ動かないが、カチリと先がはまると引っ張りに引っ張ったゴムを放すかのような勢いで猛然と物事に取り掛かることも。なんというか、スタートと同時に爆睡を決め込んで、目覚めるや否や猛ダッシュでゴール到達直前のカメを颯爽と抜いていくウサギというか、なんだかんだと越冬してしまうキリギリスのような。
【ストーリー】
タイ北部で静かに暮らすランボーは、隣国ビルマで迫害され続けているカレン族を支援するキリスト教団体が軍事政権に拉致された報を受け、救出の為に敵地へと向かう。
多感な年頃に出会ってしまったが故に、その後の映画人生をある意味とても楽しいものにしてくれるほど強い影響を受けた『ランボー』。おかげで、ゴダールとかには近寄りもしませんでしたし。その辺の思い入れを書くだけでえらい長いレビューになってしまうので、それはいずれ書くであろう『ランボー』のレビューに任せるとして、キャラクターとして完成されすぎちゃった感がこれまた大好きだった『ランボー3/怒りのアフガン』から20年振りとなる最新作。まぁ、“○○年振り!”を喜びこそはすれ、だからと言ってリアルタイムでの評価を含めシリーズ全部の評価をがらりと変えてしまうのは如何なものかと思いますが。監督は、実質的に主導権を握っていたとはいえ、本シリーズでメガホンを握るのは初となるスタローン。
一作目と同じ土台を持ちながらも、今現在のスタローンだからこその主張と想いが強く込められた、身につまされる説教映画の傑作『ロッキー・ザ・ファイナル』。その成功と勢いに乗って、スタローンによるもう一つの当たり役“ランボー”の復活と相成った本作。前作から多少の浮き沈みこそあったものの、企画自体は消えることのなかった本シリーズであるが、愛した国とその人々に拒まれ帰るべき場所を失った男の悲哀を描いた『ランボー』も、いつの間にやら外国に乗り込んで外人を殺戮しまくるシリーズと。新たな敵を探そうにも、冷戦が終結した今では目に見える分かり易い敵を見つけるのも困難だし、タリバンなんかは非常に分かり易いが前に手を貸してしまっている分バツが悪いし、そんなこんなしているうちに“南米の麻薬王相手に大暴れ”と非常に地味な設定に落ち着きそうになったりしたが、結果的に“軍事政権の圧政に苦しむビルマ(気分的にここではビルマに統一)”と、世界規模で上映される作品として最も無難な場所に着地。
冒頭にこそビルマの現状を映し出すニュース映像が多用されているが、ジャングルを舞台に現地の兵士が暴虐の限りを尽くす本編が始まると、そこに“ベトナム”というテロップが出ても然程違和感を感じないほど『ランボー/怒りの脱出』的味わいの濃い本作。トラウトマン大佐もジェリー・ゴールドスミスの音楽もカロルコのロゴもない寂しさは拭えないが、『プライベート・ライアン』もかくやと言わんばかりの、画面上で常に人体が粉々に破壊されている戦闘シーンは凄まじく、“暴力は暴力しか生み出さないが、暴力に対抗できるのは暴力しかない”“誰かを守るなら、身体を張ってその手を汚せ”と至極真っ当かつ身につまされる説教も健在で、近年稀に見る筋肉映画の傑作となっている。しかし、だからと言って「ランボーを観た!」という強い実感を得たかと言えば、それはまた別の話。
ランボーの人間面・性格面にやや重きを置いた本作であるが、アクション映画としての本シリーズの面白さの一つの側面であった“サバイバル技能”や“ゲリラ戦術”といったスキルの部分の面白さや、我慢に我慢を重ねた上で怒りが爆発するカタルシス、戦いを拒んでいる男が戦場に向かわざるを得ない強烈な目的などが薄まっており、猛烈に強い男が一目惚れした女を追いかけて悪いアジア人を機関銃で一掃する映画に見えてしまう趣も。一作目で寒空の中歩いていた長い道のりがようやく終着点を迎えたエンディングは感動的であるのだが、せめてそこにダン・ヒルの甲高い歌声を被せて欲しかったなぁと、ちょっとした願いも。
とは言っても、60歳を越えてあれだけの肉体作り上げアクションをこなすスタローンには。脱帽以外のなにものでも。キメ台詞が「家に帰れ」という、なんかこう面倒くさくなってしまったかのようなぶっきらぼうさに滲む人の良さも、非常にスタローン的で良し。『ロッキー・ザ・ファイナル』といい本作といい、キャラクターの名前を銘打った自身の店じまい総決算セールの様相が強まってきているが、時流を察知する類稀なる嗅覚センスと、60を越えて確立した“筋肉説教”という持ち味を存分に発揮するスタローンが店じまいをするにはまだまだ早いと思うので、是非とも『マリオン』とか『タンゴ』とかを作って店じまいを先延ばしにしていただきたいと、切に願うもので。
そんなスタローンの強烈なオーラにすっぽりと隠され、他にどんな人が出ていたのか今ではさっぱりの本作ではあるが、アクの綺麗に抜けたティモシー・オリファント然とした『バイオハザード3』のマシュー・マースデンと、量産型ニコール・キッドマンっぽかったジュリー・ベンツはちょっぴし魅力的。まぁ、金髪の白人女性で鼻がツンと上を向いていれば、誰でもニコール・キッドマンに見えてしまう私が言うのもなんですが。
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これって『ランボー』でなくてもいいなぁと思って見てました。私は社会性を一番感じた1作目が好きです。
「釣り」の話題じゃないですけど、長らく劇場から遠ざかっていた父を誘うにはうってつけではあったんですが。
『ランボー』は、ある種の映画の代名詞みたいなもんですから、久しぶりに見る映画としては打ってつけなのかもしれませんねぇ^^
まぁ、『ランボー』っぽいけどちょっと違う感じの作品ではありましたが。
ハードルが上がる?パターンなんでしょうかね。
あたしはロッキーにしても新作が作られなかったら
下手したら一生観てなかったかもな感じなので、
まぁこれらのシリーズを観るきっかけを
作ってもらったって感じもあって
結構甘い評価になってるかもしれません。
もちろん好きだからこその評価なんですが、“これをきっかけに”ってのがあればそれはそれでいいですよねぇ。