2016年11月29日

センソリア/死霊の館 (Sensoria)

監督 クリスティアン・ハルマン 主演 ラナ・オールソン
2015年 スウェーデン映画 81分 ホラー 採点★★★

映画だけに限らず、“天国で愛する人と一緒になる”って話をよく聞きますが、自分がそう願ってても相手側がそこまで思ってない場合はどうなっちゃうんでしょうねぇ?いざ死んで会いに行っても、「あら、来ちゃったんだ…」みたいな気まずい空気が流れませんかねぇ?

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【ストーリー】
夫に捨てられた中年女性のキャロリン。人生の新たなスタートを切るため古びたアパートの一室に引っ越すが、日に日に孤独に苛まれ、精神状態も不安定になっていく。そんなある日、ひとりの少女が彼女のもとを訪れ…。

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各国のファンタ系映画祭で話題を呼んだという、スウェーデン産の心霊ホラー。製作/脚本/監督に、本作が初長編となるクリスティアン・ハルマンが。
全てを失った中年女性が、かつて忌まわしい事件があったアパートの一室で恐怖に襲われる様を描いた本作。“恐怖に襲われる様”と書いてはみたが、序盤から異常な出来事は起きてるものの、主人公がそれに気付き恐怖するのは終盤も終盤で、メインに描かれる恐怖は“孤独”。その孤独に苛まれ追い詰められていく描写が、主演のラナ・オールソンの生々しいまでにリアルな風貌と、寒々しい室内、そして更に寒々しい野外の風景と相まって、見事なまでに表現されている。身も心も冷え切ってしまいそうな孤独の描写が頂点に達すると同時に、室内に潜むもうひとつの孤独な存在が彼女と呼応する展開も非常に物悲しく、この作品が描く孤独をより深く描いているようにも。一途なあまり相手の都合を全く考えない子供らしさが描けているのも好印象。
雰囲気作り担当でしかない他の住人らの個性が前に出すぎちゃってて、本来もっとシンプルなはずである作品の世界観が多少複雑になってしまってる印象もあるが、パッケージの煽り文句に期待値を上げ過ぎなければ十分に楽しめる一本なのではと。

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お母さんが探してるんじゃないの?

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2016年11月28日

死霊館 エンフィールド事件 (The Conjuring 2)

監督 ジェームズ・ワン 主演 ヴェラ・ファーミガ
2016年 カナダ/アメリカ映画 134分 ホラー 採点★★★★

実話ベースの映画に出てくる幽霊って、満ち足りた大富豪の家なんかじゃなく、経済的問題など家庭内に大きい厄介事を抱えている家に現れがちですよねぇ。ただでさえ問題山積なのに幽霊まで出てきちゃって、なんかもう泣きっ面に蜂って感じ。ただ、その体験談で一家が一儲けもしてたりするんで、もしかするとそんな幽霊って、困窮している一家を助けるために「どれどれ、いっちょ一肌脱いだるか!」的に出てきてるんですかねぇ。そう考えると、なんか優しい世界。その方法は間違ってる気もしますが

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【ストーリー】
アミティヴィル事件を調査したことで一躍脚光を浴びる一方で、世間から激しいバッシングも受けてしまう、心霊研究家のウォーレン夫妻。強力な悪魔の存在を身近に感じると同時に、夫エドの死の予兆を感じ取った妻のロレインは、今後心霊事件に深入りしすぎないことを誓う。そんな夫妻のもとに、英国で発生したポルターガイスト事件の調査依頼が舞い込む。短期間の調査だけで終わらせるつもりのウォーレン夫妻だったが…。

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実在する心霊研究科ウォーレン夫妻の体験をベースにした、『死霊館』の第二弾。今回は、子供時代に読んだ怪奇事件本にはもれなく載っていたメジャーなポルターガイスト案件、“エンフィールド事件”にちょろりと一噛みした時の体験がベースに。前作に引き続き『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワンが監督を手掛け、主演には相変わらず惚れ惚れしてしまう美しさに目を奪われる『ジャッジ 裁かれる判事』のヴェラ・ファーミガと、『インシディアス 第2章』のパトリック・ウィルソンの、なんか片田舎の元ジョックスカップルみたいなお似合いコンビが。また、共演陣には強面になっててビックリした『ボーン・アイデンティティー』のフランカ・ポテンテも。タイプの顔だったのに。
前作から全ての面において進化を果たした本作。ジェームズ・ワンによる、往年のオカルト映画を彷彿させる静の恐怖演出と、唐突に尼僧姿のマリリン・マンソンみたいなのが飛び出てくる動の恐怖演出のコントラストや、その配分バランスに至ってはもはや達人芸の域に。クライマックスでのアクション映画ばりのテンションも、唐突さや不自然さを全く感じさせない、計算された演出バランスの妙を。
夫婦や家族の絆を描く感情描写はより深みを増し、怖がらせ一辺倒の映画では味わえない人間ドラマ的側面を作品に与えていたのも素晴らしかった本作。また、超常現象を全て鵜吞みにするのではなく、もともとの事件にもある胡散臭さを隠していないってのも好印象。日本のTVでの紹介され話題を呼んだ、ウォーレン夫妻がアミティヴィル事件調査の際に撮影したという、2階の部屋から顔を出す少年の霊や、少女がベッドで楽し気に飛び跳ねてるようにしか見えないポルターガイスト写真などの再現性の高さも、好き者としては堪らなかった一本で。

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こっから先は映画と全く関係ないんですけど、2週間ほど前の日曜日にあった出来事を。
夜の11時近くに仕事が終わり、終電までまだ時間があったんで一服でもしようと、ビルの10階にある喫煙所に向かった私。時間も遅く日曜なので人気の全くないフロアを進み、フロアの一番奥にある喫煙所に行くとドアが開かない。ドアに掛けられてたパネルを見ると、“喫煙所の利用は22時まで”と。
仕方がないんで帰ろうとエレベーターに乗り、1階のボタンを押す。「ドアが閉まります」のアナウンスが流れる。でも、ドアが閉まらない。「あぁ、日曜日はセキュリティパスをかざさなきゃダメだったんだ!」と、パスをセンサーに当て、「ピッ!」と音がした後、1階のボタンを押し、また「ドアが閉まります」のアナウンス。でも閉まらない。1階のボタンは光ってるし、1階に行く分に関してはそもそもセキュリティパスが必要ないことを思い出す。
「なんだい?故障かい?」と頭を捻ってると、今しがた自分が向かっていた喫煙所の方から足音がする。フロアに敷かれたカーペットが擦れる音。「まだ誰か居たのかなぁ?」と思うも、喫煙所は締め切られているし、他のオフィスには人気がなかった。非常階段からこのフロアに来ることも可能だが、私がここに来てからドアが開閉する音は聞いてない。聞こえるのはエアコンの微かな音と、もう4度目になる「ドアが閉まります」のアナウンス、そしてこちらに向かっている足音のみ。
流石に嫌な感じがしてきて、再度パスカードをかざし、閉まるボタンを連打。足音がエレベーターホールに向かう曲がり角まで近づいて来た気がしたその瞬間、5度目のアナウンスと共にようやくドアが閉まり、1階に到着。そりゃぁもう、振り返らず帰りましたさ。
結局あれがなんだったのかいまだに分かりませんし、転職したての会社でこんな話して“話を盛るヤツ”とか“注目集めたいヤツ”なんて思われたくないんで、誰にも話しておらず。でもなんかモヤモヤするんで、映画レビューの流れを無視して書いちゃいましたよ。

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自宅で呪われるだけの簡単なお仕事です

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2016年11月08日

COP CAR/コップ・カー (Cop Car)

監督 ジョン・ワッツ 主演 ケヴィン・ベーコン
2015年 アメリカ映画 88分 サスペンス 採点★★★

親であれ教師であれ、近所の口うるさいオッサンであれ、子供にとって大人って懲罰者として君臨する存在ですよねぇ。そうすると、警察官ってそんな大人にとっての懲罰者ってことだから、キング・オブ・ザ・懲罰者なんですねぇ。道理で、親の言うことをさっぱり聞かないウチの子供らも、「お巡りさんに連れてってもらうからね!」と言うと途端に大人しくなるわけだ。

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【ストーリー】
家出中の悪ガキ、トラヴィスとハリソンは、空き地で一台のパトカーを発見。周りに誰もいないことをいい事に、「ヒャッホーイ!」と乗り込み公道を大暴走。一方、パトカーの持ち主である保安官のミッチは、ある秘密をトランクに隠してあったパトカーが盗まれたれたことに気づき大慌て。無線で悪ガキどもに呼びかけるが…。

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来年公開予定の『Spider-Man: Homecoming』が控え、出世街道驀進中である『クラウン』のジョン・ワッツが脚本と監督を務めた、悪徳保安官のパトカーを盗んでしまった悪ガキと保安官の追っかけっこを描いたクライム・サスペンス。とってもナチュラルな子役を相手に、製作総指揮も務めた『ラブ・アゲイン』のケヴィン・ベーコンによる、カートゥーンの悪役じみた怪演が見どころ。ちなみに、無線係として嫁ベーコンのキーラ・セジウィックが声のみで出演。
ヒッチャー』や『ジャッカー』のエリック・レッドが注目を浴びてた頃の、レッド風味の亜流を観ているかのような懐かしさがちょいと嬉しかった本作。サスペンスの中心が子供たちではなく、まずいことになった保安官に集中していたり、子供らが運転するパトカー並みの微妙なスピード感の展開や、劇中の大半を遊びで過ごしながら、結末間際になってようやく遊びじゃ済まなくなってしまう構成の配分など、独特な味わいが特徴。
ただ、そんな懐かしさや、作り手の滲み出すぎる個性に頼り切ってるわけでもなし。「チンコ!オッパイ!」と口に出してるだけで楽しいって様や、銃口を覗き込んだりAEDを胸にあてたりと知らぬ内に死にに行っちゃうみたいな、男子ならではの特性ってのをしっかりと描き出してたりも。また、劇中では全く語られてはいないが、髪形や服の汚れ、セリフの些細な個所から家出に至った子供らの置かれた状況が垣間見れるのも巧かったなぁと。

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大人から解き放たれる時間も重要

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2016年11月07日

10 クローバーフィールド・レーン (10 Cloverfield Lane)

監督 ダン・トラクテンバーグ 主演 メアリー・エリザベス・ウィンステッド
2016年 アメリカ映画 104分 サスペンス 採点★★★

J・J・エイブラムスって、監督としてはこれといった個性もそつも思い入れも感じられない、“記憶に残らない映画”を作る天才って印象しかないんですが、プロデューサーとしては立ち行かなくなった企画や大きすぎるプロジェクトを動かす“凄腕”ってイメージがありますよねぇ。人と金を集め、無茶と思える企画すら通しちゃうその手腕には、素直に敬意すら感じたりも。きっと、プレゼン能力が凄まじく高いんでしょうねぇ。近くに居たら嫌いなタイプだ

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【ストーリー】
運転中の事故で意識を失ったミシェル。目を覚ますと、彼女は見知らぬ地下室で手錠に繋がれていた。そこに現れたのは、シェルターと化した地下室の所有者ハワード。彼は、外でとてつもなく恐ろしいことが起きているので外に出すことはできないと彼女に説明する。足の怪我で思うように動けないミシェルだったが、隙を見て脱出を試みる。外まであと一歩のところで彼女が目にしたのは…。

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先の読めない展開と、『クローバーフィールド/HAKAISHA』と世界観を共有する姉妹編的作品ということでも話題となった、J・J・エイブラムス製作による密室スリラー。監督を務めたのは、本作が長編デビューとなるダン・トラクテンバーグ。もともとは『クローバーフィールド/HAKAISHA』と全く関係のない独立した脚本だってこともあるので、一旦その辺は脇に除けておこうかと。
ざっくりと言えば、『ミザリー』と『サイン』をギュっとまとめて、そこに『宇宙戦争』を振りかけたみたいな、映画好きが集まって盛り上がった話をそのまんま脚本にしたかのような本作。マッチ一本で大爆発しかねない可燃性のガスでパンパンになった宇宙船で攻めてくるなんて、なんか水が苦手なくせに水だらけの惑星を侵略しに来た『サイン』の連中みたいでしたし。ただまぁ、確かに先は読めないが、寄せ集め故の先の読めなさって感じも。
しかしながら、ハワードが“単なる狂人なのか?”と“異常な状況に立ち向かっている一般人なのか?”の疑問の間で観客を迷わせ、最終的に“どっちも”にもっていく設定と展開は巧い。アイディアの勝利というか、やったもん勝ちな感じもするが、なかなか楽しめた展開で。

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温厚なイメージがあるだけに、秘めたる欲求が狂気に転じた時の手に負えない恐ろしさを見事に体現していた『アルゴ』のジョン・グッドマンや、ジョン・マクレーン並みにダクトを這い回り(そういえば娘役やってた!)、『宇宙戦争』のトムちん並みに細かいことに気が付くミシェルを持ち前の冷静さで演じた、『遊星からの物体X ファーストコンタクト』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド、そんな存在感の大きい二人に挟まれ影が薄くなってしまったが、その薄さがキャラの個性と合致していたジョン・ギャラガー・Jrという、限定空間での少ない人数の作品ながらも物足りなさを感じさせないキャスティングも魅力だった本作。声だけながらも、『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーが出ている、ちょっとしたボーナスも嬉しい一本で。
で、ちょっと脇に除けてた『クローバーフィールド/HAKAISHA』の話。“あの時ほかの場所で何が起きていたのか?”って意味では非常に興味をそそられる物語ではあるんですが、その反面、関連しているという事前情報や作品のタイトルからも、尋常じゃないことが起きている世界であることが分かってるので、作品そのもののサスペンスを大いに削いでしまってるデメリットも。一方、関連作として楽しもうにも、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のメイキングでJ・J自身が語っていた背景と本作で語られる状況が一致しないので、ただただ困惑するばかり。その辺の、上っ面だけで作品自体に思い入れの感じられない、非常にJ・Jらしい一本だったなぁと。

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今回も大阪で最初に撃退してたりするんでしょうかねぇ

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posted by たお at 14:13 | Comment(0) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする