2008年 イギリス/アメリカ/オーストラリア映画 111分 サスペンス 採点★★★★
国家が国民に対し情報を隠すってのが概ね“悪いこと”とされてたりしますけど、知らせるべき情報と知らせるべきじゃない情報ってのがあるはずなんで、なんでもかんでも開示することが“良いこと”とは限らないと思うんですよねぇ。そういうのをゴッチャにして、隠していること自体が気に入らず騒ぎ立ててる感じもしますし。また、「より開かれた○○を!」って同ジャンルの方々が言ってたりもしますが、ビローンとなんでもかんでも開くのは品がないと言うか、味気がない気もするんですよねぇ。知られてない/開かれてないからこその品格とか魅力とかってのもありますし。
【ストーリー】
1971年のロンドン。経営難の中古自動車店を営むテリーは、昔なじみの美女マルティーヌから強盗計画を持ち掛けられる。現状打破のためにその計画に乗り、仲間を集めて強盗準備に取り掛かるテリーであったが、その強盗計画の真の目的は、貸金庫内に保管されている王族の決して知られてはならない秘密で…。
『スパイ・レジェンド』のロジャー・ドナルドソンによる、実際に起きた強盗事件を基にした実録クライムサスペンス。
その手口の大胆さと、強盗進行中の無線のやり取りを一般市民が傍受していた“強盗生中継”が話題となり一躍メディアを賑やかすも、数日後にぱたりと報道が止んだことからD通告(国防機密報道禁止令)が発令されたのではないかと言われる“ウォーキートーキー強盗”に、当時ジョン・レノンらとも親交のあった黒人運動家マイケルXが絡む殺人事件と、スキャンダラスな話題も多かったマーガレット王女の秘密を一つにまとめた、実話ナックルズ的な一本。真相はさて置き、「アラアラ、それは大変だ!」ってな面白さを存分に味わえた。
強盗準備から実行、そしてその後の逃亡劇という強盗物の基本をベースに、国家機密に絡む諜報サスペンスに裏社会までが物語に絡んでくる盛り沢山な内容だが、手堅さが売りのロジャー・ドナルドソンらしくきっちりと破たんすることなく最後までテンションを保ち続けたのは見事。特権階級の面々がアワアワしてる隙に、闇社会の人間がグイグイ主人公らに迫っていく様や、もうちょっと主人公が強気に出れる気もしたがクライマックスの銃撃戦のないメキシカン・スタンドオフのような展開も面白かった、忘れられがちだが見逃せない一本で。
主人公のテリーに扮したのは、『ワイルド・スピード SKY MISSION』『ワイルドカード』のジェイソン・ステイサム。もともと腕っぷしも頭もキレる小悪党が似合うってのもありますが、服装さえ変えればどんな時代設定にも入り込める便利さもあって、70年代を舞台にした小悪党役に何ら違和感もなくすんなりとハマる好キャスティング。暴れないステイサムなので最近のステイサム映画に慣れてるファンには少々物足りないかも知れませんが、最後にはきっちり暴れてくれますし、こういうロンドンの気の良いチンピラ役ってのがそもそものハマリ役なので不満は全く感じず。濃いめのフェロモンを濃いめの無精ひげで表現してたので、妙にモテモテってのも違和感ありませんでしたし。
その他、主人公の妻に扮したキーリー・ホーズや、その妻にとっては気が気じゃない存在のマルティーヌに扮したサフロン・バロウズ、本作ではスパイってことになってたゲイル役のハティ・モラハンら女優陣はもちろんのこと、スティーヴン・キャンベル・ムーアや『ビザンチウム』のダニエル・メイズなど強盗メンバーらの面々も70年代にすんなりとはまり込む良いキャスティングで。
また、今では名探偵ポアロ役が真っ先に浮かぶ『エグゼクティブ・デシジョン』のデヴィッド・スーシェや、銀行員役という小さな役柄で小芝居を見せるミック・ジャガーなんかも印象に残る一本で。やっぱりミック・ジャガーのカメオ出演って、昔マーガレット王女と噂になったことがあるからなんでしょうかねぇ?
どうせ持つならバレても開き直れる程度の秘密を
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