2016年05月25日

セブン・サイコパス (Seven Psychopaths)

監督 マーティン・マクドナー コリン・ファレル
2012年 イギリス映画 110分 コメディ 採点★★★★

体験談とか思いついた話とか、自分の中では「面白い!」と思った話でも他者に伝えようとするとその面白さが全然伝わらなかったりしますよねぇ。自分だけ楽しそうに爆笑しながら話してるのに、聞き手は真顔って光景もよく見ますし。このサブタレも「この映画面白かったよ!」と伝えられればいいなぁと思いつつ細々と続けてますけど、自分で読み返してみると往々にして書いてる本人にも伝わってないし。なんかもう、難しいなぁ。

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【ストーリー】
“セブン・サイコパス”とタイトルだけ決まってる脚本に取り掛かるも、ネタが何も浮かばないまま締切日を間近に控えてしまった脚本家のマーティ。そんな中、ハンスという名の老人と共に愛犬誘拐詐欺を行っていた友人のビリーが、マフィアの愛犬を誘拐してしまい、巻き起こった大騒動に巻き込まれてしまう。図らずも映画のネタとして格好のサイコパスに囲まれたマーティは…。

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ヒットマンズ・レクイエム』のマーティン・マクドナーが脚本と監督を務めた、結構血生臭い描写も豊富なクライム・コメディ。これもまた、この面白さを伝えれる気がさっぱりしない一本
当たり前の話ではあるんですが、映画って完成している脚本(撮りながら書いてるケースもありますが)を基に撮影し、完成品を観客である私らが鑑賞する所謂“過去のもの”であって“架空のもの”なんですけど、本作にはその出来上がったものを観ているって感覚がない不思議な本作。脚本家が自身の経験や聞いた話を脚本にするって物語構造がそうさせているのか、なんか上手く言えないんですけど、目の前で映画が同時進行的に作られているような感じ。特に登場人物がこっちに語り掛けてくる第四の壁を破るような描写はないんですが、受ける印象は一緒。
また、これも当然脚本の時点で織り込み済みのはずなのに、まるで登場人物が映画を乗っ取って自由にコントロールし始めたかのような錯覚を味わえるのも本作の魅力。脚本が力強過ぎて映像で語り切れてない感もありましたが、映画を“観ている”って感覚よりも、変化していく様やジワジワと現実と虚構の境が滲んでいく様を“目撃している”ような独特の味わい、幾層にも重なり合う構成を持つ巧みな脚本、自由奔放で魅力的なキャラクターに、最後はとりあえず銃撃戦を入れておけばOKなハリウッドに対するほど良い批判と、隅々楽しむことができた一本で。

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マーティに扮したのは、『ヒットマンズ・レクイエム』でもマーティン・マクドナーと組んでいる『トータル・リコール』のコリン・ファレル。サイコパスに囲まれ散々振り回される、物語の中心に居ながら観客同様観察者にいるような主人公を、時計でいうところの8時20分な困り眉で熱演。関係ないですけど、役柄の“飲んだくれのアイルランド人”って“マグロ好きの日本人”みたいな感じ?
また、一人で大きな物語を背負うだけではなく、ちょい『トゥルー・ロマンス』でのデニス・ホッパーを思い起こさせる悪との対峙シーン(あっちでは悪側でしたねぇ)でシビレるカッコ良さも披露した『ザ・バッド』のクリストファー・ウォーケン、怖さと面白さが絶妙に混じってた『ディフェンドー 闇の仕事人』のウディ・ハレルソンらも素晴らしかったんですが、やはり本作の目玉は『ポルターガイスト』のサム・ロックウェルに尽きるかと。マーティのことが好き過ぎて彼のためにアレコレ頑張るも、如何せんサイコパスなんで概ね迷惑という可愛らしい役柄を狂気と可愛げとちょっとした怖さに哀愁を織り交ぜ熱演。にしても、サム・ロックウェルが輝いてる映画って大体面白いですよねぇ。
その他、シリアルキラーがパタッと犯行を止めた原因となった『ザ・ウォーカー』のトム・ウェイツや、『ロボコップ』のアビー・コーニッシュ、劇中語られる“女性の描き方が雑”ってのを体現したかのような扱いだった『スパイ・レジェンド』のオルガ・キュリレンコ、初っ端に出てくる『ラストデイズ』のマイケル・ピットら、メイン以外にも非常に良い顔触れが揃ってたのも嬉しかった一本で。

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“筆が走る”ってのを映像化するとこんな感じ?

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posted by たお at 13:22 | Comment(0) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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