2013年 オランダ/アメリカ/チェコ映画 84分 ホラー 採点★★
『トイ・ストーリー』のシドに限った話じゃなく、男子ってのはオモチャをバラバラにしてアレコレ合体させるのが好きですよねぇ。怪獣にしろ怪人にしろ、一種類の生物がベースのものよりも複数の生物、もしくは機械と合体してるやつの方が心惹かれるし、そもそも“合体”って言葉自体にトキメキを感じたりも。
【ストーリー】
第二次世界大戦末期の東部戦線。スターリンの命によりドイツの占領下を進んでいたソ連軍の偵察部隊は、無数の虐殺された死体が放棄された教会に辿り着く。その地下に潜入した一行であったが、そこで待っていたのは死体と機械の合体に心血を注ぐフランケンシュタイン博士の末裔が作り出した怪物たちで…。
ジャッキー・チェンの『フー・アム・アイ?』や『機械じかけの小児病棟』、ブライアン・ユズナやスチュアート・ゴードンらの作品でコンセプトアートなどを手掛けてきた、リチャード・ラーフォースト初長編となる合体怪人ホラー。『バレット モンク』のカレル・ローデンが合体好き博士を怪演。
観客がその場に迷い込んでしまったかのような臨場感や没入感を手っ取り早く演出でき、且つ粗を適度に隠してリアルに見せてくれるので腕に自信のない作り手が手を出してしまいやすいPOVの手法を用いた本作。結論から言えば、本作のPOVは邪魔以外の何物でもなし。カメラを持ち続ける理由付けは辛うじてされているが、怪人が間近で襲い掛かってるのに正面で映し続けてる様には、いくら自慢の怪人を見せたいからとはいえさすがに「まず逃げろや」と思っちゃいますし、そのくせこっちがちゃんと怪人を見たい時は見せてくれない。そんでもって、多少加工はしているがツルッツルの高画質なので、当時のフィルムを見ているかのような独特の如何わしさもなし。なんかもう、POVにする必要性が皆無。
また、腸が飛び出たり脳みそを剥き出しにしたり、四肢切断に知らん内に子供が真っ二つになってたりとゴア描写が盛大なのは嬉しいんですけど、舞台の照明が妙に明るいってのもあってかどこか能天気で、“ナチスの人体実験”“死体改造”とかのキーワードの割に陰惨さや生理的嫌悪感がないってのも好みが分かれるところかと。
ただまぁ、本作の見どころというか作り手が目指しているのはそんなちゃんとした地点じゃなく、「オレの怪人スゲェだろ!」ってとこであろうし、実際「スゲェな!」と思ったので特に不満もなし。
機械と合体しナチスの制服を着た怪人らはパッと見スチームパンク的だが、そこまで洗練された退廃さは微塵もなく、どちらかと言えばノコギリクワガタやヘラクレスオオカブトに心ときめかすのと同様の小学男子魂が炸裂しているのが魅力。ガンダムよりもガンタンクやガンキャノンに惹かれると言うか、「やっぱデストロンの怪人が一番カッケーよな!」みたいな。もしくは「ゲッターは2と3に限る!」的な男子魂。頭にめり込んだヘルメットを無理やり外したら脳みそがペローンと飛び出る様なんかも、非常に小学男子的感覚でしたし。
口に巨大ドリルが埋め込まれてたり手にやたらと刃物が付いてたりする武器として辛うじて納得いくものから、頭部が飛行機のプロペラという「なんだ?オマエは飛ぶのか?」という用途不明なものまで、男子悶絶の怪人が多数登場する本作。映画としては随分とアレな作品ではありましたが、盛んにこちらの男子魂を刺激してくる素敵な一本でもありましたねぇ。
ガチャガチャや食玩にあったら散財しそう
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