2016年05月17日

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (Captain America: Civil War)

監督 アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ 主演 クリス・エヴァンス
2016年 アメリカ/ドイツ映画 147分 アクション 採点★★★★

チーム・キャプテン・アメリカとチーム・アイアンマン。主義主張はそれぞれ一長一短なので置いておくとして、自分だったらどっちのチームに参加したいかなぁ?リーダーで比べてみると、真面目で良い人だけど融通が効かなそうで面白味に少々欠けるキャプテンよりは、アクが強くて腹も立ちそうだけどアイアンマンの方が魅力的かなぁ。チームメイトを見てみると、人間味に溢れててユーモアもありそうだからキャプテンチームだな。ヴィジョンと遊んでも楽しくなさそうですし。女性陣となると、うーん…迷うなぁ。ここまで一勝一敗一分かぁ。ホント、どっちもどっちだなぁ………あっ!チーム・アイアンマンに入れば、メイおばさんとお知り合いになれるかも!あのぅ、さっきは“どっちもどっち”みたいなこと言ってスイマセンでした。やっぱアイアンマンっすよね!トニーさん、最高っす!

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【ストーリー】
世界の危機を救ってきたアベンジャーズだが、その活動によって一般市民へ甚大な被害も被らせていた。やがてその強大な力を危険視する声が高まり、彼らを国連の監視下に置く法案が議論される。アベンジャーズを存続させるためそれに従う考えを示したアイアンマンだったが、キャプテン・アメリカは信念を貫き反対。アベンジャーズは二分されてしまう。そんな中、法案の調印式の会場となったウィーンで爆破テロが発生。容疑者として、行方をくらませていたキャプテン・アメリカの旧友バッキーが手配される。この事件の対応により、アベンジャーズ内の対立構造はより深刻化してしまい…。

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アベンジャーズ同士の対立と対決を描いた、“キャプテン・アメリカ”シリーズ第3弾。メガホンを握るのは、前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』から引き続いて、『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』のアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が。主演はもちろん『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクリス・エヴァンスと、『ジャッジ 裁かれる判事』のロバート・ダウニー・Jr。
目的と志を共有することでひとつとなっていたが、もともとまとまっているのが奇跡的でもあったアベンジャーズの中でも特に正反対の存在であったキャプテン・アメリカとアイアンマンの対立を、マーベル映画史上最長のランニングタイムで描いた本作。マーベル映画お馴染みであるエンドクレジット後のオマケ映像でも触れられる新生スパイダーマンの番宣的意味合いを含めながらも、オールスター映画にありがちな見せ場のオンパレードに走らず、見せ場と悲劇的な過去が生み出した計算され尽くした復讐劇を描くドラマのバランスを絶妙に保ちながら、この長尺を飽きさせないで最後まで引っ張る構成力がまず見事。また、アクション描写も無重力&物理学無視の迫力重視のものに走るのではなく、映画的誇張を巧みに盛り込みながらドッシリと地に足付いたしっかりと作り込まれた演出になってるのも好印象。
火力だけを見ればアイアンマンを筆頭に、ウォーマシンにヴィジョンまでいるチーム・アイアンマンが圧勝しそうな感じだが、個々のキャラクターの特性を大切にするマーベルらしくなんだかんだとパワーバランスが保てているチーム構成も素晴らしい。また、ヒーロー同士の対決を“夢の対決”にせず、そうならざるを得ない悲痛さをしっかりと描いているのも良し。重苦しいままでいるのではなく、ポイントでユーモアを忘れないマーベルらしさも流石。

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先ごろ公開された『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』同様、正義の行動が生んでしまった犠牲ってのを発端としているが、もちろんそれは物語に影を落とし続けてはいるものの、“正義とは?”ってのを禅問答の如くこねくり回すのではなく、「これから気をつけます!」的な切り返しで本筋に入っていくのもある種清々しかった本作。その辺はDCに任せとけってことなのか、本作のベースとなっている同名のコミックシリーズや、映画だと『X-メン』でも描かれていたヒーロー(ミュータント)登録法案へと繋がりかねない国際連合の協定の是非を中心に描かれている。
一般市民からすれば強大な力を持つヒーローらは、自分が困っている時か全く害の及ばない所で活躍してくれる分には問題ないが平時においては畏怖する存在でもあるので、何処にどんな奴が居るのか明確にしておきたいってのも分かる。しかし、一方のヒーロー側からすればその力のせいで一般の市民であれば当然のように得れる権利を剥奪され、また多くのミュータントがそうであったように差別や迫害から身を守るために隠れることや身分を偽ることが出来なくなってしまう問題も。別の星からフラっとやって来て用が済んだら母星に気軽に帰れるソーが地球人と同じ権利を得れないってのは100歩譲って分かるとしても、人間として生まれながらも、他者と違うってだけで人間として扱われないってのは差別以外の何物でもないし、国家によってその力をいいように使われるのは奴隷と変わらない。
もちろん本作ではそこまで掘り下げているわけではなくあくまで理念の対立ってところで留まっているのだが、南北戦争の意味を持つ原作コミックからタイトルだけを持ってくるのではなく、そこに行きついてしまう危険性をしっかりと匂わせると同時に、マイノリティ目線ってのを忘れることがないマーベルらしさがまざまざと表れてたってのが見事だった一本で。

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自分たちの判断で行動することを望むキャプテン・アメリカと、国際理解を得るためにも国連管理下に置かれることは已む無しと考えるアイアンマン。平和のために戦う決意とアベンジャーズの存続という目的は同じだが、理念とプロセスが相容れない為に対立してしまう二人。それだけの問題であれば妥協案も見つかりそうなものだが互いの私情や事情が背後にある分、そう易々とはいかないってのが難しいところ。正解・不正解で答えが導き出されるような単純な問題ではなく、またそのどちらかに肩入れしているわけでもない本作は、観客にも自らの政治的な傾向を確認するが如くどちらのチームに身を置くかを促しているようにも。
国家の思惑に左右されず自らの信念と判断での行動を望むキャプテン・アメリカ。極端な例えではあるんですが、大義なき戦争の代名詞でもあるイラク戦争に「NO!」を突き付けるのがキャプテン。私も若ければ迷うことなくキャプテン側を選ぶ。しかしながら、少数および個人の判断のみで強大な力を行使することに対しては大きな危険性を感じざるを得ない。信念は時に冷静な判断を奪いかねないし、独善や排他に繋がりかねない。これまた極端な例であるのだが、自ら信じる正義の実現のために無断で他国に侵犯し、その国の国民である“悪党”を成敗する行動というのは国際社会から見ればテロ行為と取られかねないのではないのかと。
一方のアイアンマンは、先の例えに則ればイラク戦争に対し「YES!」という立場になる。他国と協調路線を歩むことはアベンジャーズとしての理念や大義を失う危険性もあるし、大国の思惑通りに動く大量破壊兵器の機能を持った傀儡集団もしくはお飾りに成り下がりかねない。また、行動を起こすに際し多くのプロセスや認可が必要になってくるので、迅速さは間違いなく失われる。そういったデメリットや危険性を孕んでいるが、決定権を持つ組織に残るということは、主張をする機会及び理解や改善を得る可能性が僅かながらも残っているということでもある。
キャプテン・アメリカとアイアンマン。レビューの冒頭ではふざけ半分でアイアンマンに票を投じたが、真面目に考えてみても私はアイアンマン側に一票を。まぁ、“メイおばさん”という私情と事情が絡んでいるのは言わずもがなですが。

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ここでいつも通り主要キャストについて書いちゃうと膨大な量となってしまうので、前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』と『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』組は大きく割愛させてもらって、新参組と印象的なキャストを中心に。書いたところで、ただ名前が並ぶ上にキャプテン・アメリカに対して“超人的な真面目さ!”とか前とあまり変わりのないことしか書けなさそうですし。
となると、真っ先に頭に浮かぶのがバッキーに扮したセバスチャン・スタン。前作や『アントマン』にも出ていたが、今回はなんともまぁ苛立たしい役割。洗脳下での行動なので責任がないとはいえ、自らの手によって引き起こした過去と正面から向き合うわけでも行動を起こすわけでもなく逃げ隠れに終始し、純然たる被害者であるアイアンマンの怒りが爆発する終盤になるとただただキャプテン・アメリカの後ろに隠れてるだけだし、仕舞いには全部から逃げて寝ちゃう。もちろん事情は理解できるし、ただ逃げてるだけじゃないのも分かるんですが、「あんたも被害者でしょうけど、私も被害者なんです!」って発展性の見込めない議論をしているような感じは、あれだけの混乱を生み出した張本人の行動としてはやっぱりイヤだったなぁと。なんか、一昔前の映画の配慮に欠けたヒロインみたい。
また、アベンジャーズの面々の間に立っている違和感が良い方向に働いていたってか、急にジャイアントマン化してビックリした『40男のバージンロード』のポール・ラッドや、ピーター・パーカーの童貞臭さが良く出てた『わたしは生きていける』のトム・ホランド、その財力や権力の強大さではトニー・スタークに匹敵するブラックパンサーに扮したチャドウィック・ボーズマン、復讐の不毛さを描きながらもその悲劇的な過去と見事過ぎる計画性には共感せざるを得ないジモ大佐に扮した『ラッシュ/プライドと友情』のダニエル・ブリュール、エンドクレジットで流れるキャラの特徴を捉えたシルエットがネクタイだった『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のマーティン・フリーマン、考えてみたら初登場だったマリア・スタークに扮した『ワイルドカード』のホープ・デイヴィスに、『インクレディブル・ハルク』以来の登板となるウィリアム・ハートらも印象的だった本作。
ただ、やっぱり個人的な目玉は『Re:LIFE〜リライフ〜』のマリサ・トメイに尽きる。サリー・フィールドにしろローズマリー・ハリスにしろ、“メイおばさん”というとお婆さんをイメージしてしまうんですけど、それがマリサ・トメイである嬉しい驚きたるや。こんな叔母が家で待ってるんだったら、全身タイツで糸飛ばしてる場合じゃないよなぁ。それとも、そんなモヤモヤが外で白い糸を飛ばさせてるのか。ちょっと興味が湧かなかった新生スパイダーマン“Spider-Man: Homecoming”ですけど、俄然そそられてきたなぁと。

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まぁ、私も極限まで目を背けないと次の一歩が踏み出せないタイプではありますが

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posted by たお at 12:09 | Comment(4) | TrackBack(35) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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