2016年05月08日

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (Star Wars: Episode VII - The Force Awakens)

監督 J・J・エイブラムス 主演 ハリソン・フォード
2015年 アメリカ映画 136分 SF 採点★★★

特別な愛や“信仰”ってのをスター・ウォーズに関して持ってない私ではあるんですが、円卓の騎士の物語や指輪物語など普遍性の高い物語をSFの中に巧みに盛り込み、『スター・ウォーズ』でのあたかも壮大な物語のごく一部であるかのような“第四章”から始まるハッタリ、そして『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』における「私がお前の父親だー!」という大どんでん返しによってスター・ウォーズを新しい神話にしたジョージ・ルーカスの手腕というのは、確かに映画史に燦然と輝く見事なものであるなぁと。ただその一方で、“特別編”やらフォーマットが変わる度に加えられる改悪、そして映像作家としての勘を取り戻せないまま作り上げたプリクエル三部作と、まるで私物かの如く自ら作り上げた神話を汚し続けたルーカスの手からスター・ウォーズがようやく解き放たれたってのは、信者ではなくただ単純に面白い作品を待ちわびているだけの私のような観客にとっては非常に嬉しい出来事でも。

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【ストーリー】
帝国の崩壊から30年、残党により結成された“ファースト・オーダー”は消息を絶っている最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの行方を追っていた。一方、そのカギを握るレジスタンスのパイロットとドロイド“BB-8”は捕らわれてしまうが、ファースト・オーダーのやり方に疑問を感じていたストームトルーパーのフィンの手助けで脱出に成功。そして、砂漠の惑星ジャクーで孤独な少女レイと出会い…。

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しかし、それがよりによってSUPER 8/スーパーエイト』のJ・J・エイブラムスの手に渡ってしまうとは。
確かに『M:i:III』にしろ『スター・トレック』にしろ、立ち行かなくなってきたシリーズ作を再起動させ“それっぽい”作品に仕上げる手腕を持ち合せていますし、実力者に好かれ人と金を集める政治力も相当なもののようなんですが、出来あがる作品は“それっぽい”だけでザックリと楽しめる以上のものはなし。なんと言うか、こだわりや愛が感じられない。「実は昔から○○が大好きでー」とか言う割に、「中でもエンタープライズ号とダースベイダーが好きです!」みたいな。大体みんなそうだよ

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ただまぁ、そのお馴染みのザックリ感がある程度功を奏していたのも事実。下手に新しいことに挑戦せず、馴染みがあり最も愛されている『スター・ウォーズ』の物語をその主人公の子供たちの世代に置き換えたかのような展開に、これもお馴染みの“親子の物語”ってのを中心に据え、お馴染みのキャラやメカが随所に出てくる、この安心して楽しめる作りは「あぁ、今スター・ウォーズを観ているんだな」という実感と充実感に溢れている。リアルタイムでシリーズを追い続けてきた身としてはやはりハン・ソロは迎える運命は衝撃的だし、次回作へと期待を引っ張る作りも上手い。プリクエル三部作という苦行を乗り越えたってのを差し引いても、ようやくスター・ウォーズらしいものを目にすることが出来た喜びってのが生み出されてはいた。

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しかしながら、ザックリとしているだけあって粗も目立つ。
一回の充電に恒星一個分のエネルギーを使う、旧デス・スターを遥かに凌ぐ破壊力を持つ惑星兵器が出てくるも、自由自在には動けそうにない天然惑星とのハイブリッド兵器っぽいから「使い捨てなのかい?」って疑問も浮かびましたが、それはまぁロマンの問題だからここでは不問。たまたま近くにミレニアム・ファルコン号が落ちてて、たまたまその近くにそれを探してたハン・ソロが居たってのも。
問題なのは、タイトルにもテーマにもなってる“ジェダイ”と“フォース”の扱いの雑さ。ジェダイの騎士しか持てないはずのライトセーバーを、ファースト・オーダーからイモ引いて逃げてきたただの人間フィンに手渡した揚句に、そいつが普通に武器として使用し、尚且つダース・ベイダー的ポジションにいるはずのカイロ・レンとそこそこ戦えちゃうってのはどうなんだいと。また、血筋が良いとは言えアナキンの息子ルークですらそれなりの修業を積んだってのに、ルークの娘レイはさくさくフォースを使いこなしちゃうってのもどうだと。フォースってのは代々濃くなっていくもんなんでしょうか?

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さっきも書きましたが、クローン兵団じゃないにしても幼少期から破壊と殺戮のみを教育されてきたはずのフィンが、最初の戦闘で「これは間違ってる!」とイモ引いちゃうのもなんともかんとも。
そして何よりも、カイロ・レンに悪のカリスマ性を全く感じられないってのが致命的。“まだ若い”ってのを推した結果なんでしょうけど、出番を重ねるごとにどんどん威厳を失っていき、最終的には駄々っ子のように見えてきてしまうのは痛恨の極み。マスクを取ると、なんかヌルンとした若干苛立たしい顔が出てくるのも然り。まぁ、三部作を通して立派な黒のカリスマに成長していくんであろうと期待はしてますが。

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とまぁ不満も多かった本作ではありましたが、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のハリソン・フォードや、『ファンボーイズ』のキャリー・フィッシャー、『キングスマン』のマーク・ハミルといったオリジナルキャストや、C-3POにR2-D2、老いなのか夏毛なのかどことなく毛並みがスッキリとしたチューバッカらオリジナルキャラが勢揃いしてるのはやはり嬉しい限り。
そんなベテラン勢を見てしまうと若手のみの場面が途端に学芸会ぽくなってしまう難点こそありましたが、どこかキーラ・ナイトレイ的なじゃじゃ馬さが魅力的だったデイジー・リドリーや、『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』のビル・ヘイダーも声のコンサルタントを行った新ドロイド“BB-8”の、その文字まんまな丸っこい可愛らしさがその辺を存分にフォロー。

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また、『ドライヴ』のオスカー・アイザックや、『ロビン・フッド』のマックス・フォン・シドー、せっかく動けるのにただ出てくるだけでもったいなかったザ・レイド GOKUDO』のイコ・ウワイス&ヤヤン・ルヒアン、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアンディ・サーキスに、『しあわせはどこにある』のサイモン・ペッグといった、人集めの上手いJ・J・エイブラムスらしい顔触れが揃ってるのも魅力。レイのフォースでいい様に扱われるストームトルーパー役として、『007 スペクター』のダニエル・クレイグが潜んでたりもしてましたし。
こんな感じで不満も多く書きましたが、まだまだ新シリーズは始まったばかり。決して悪い滑り出しでもないですし、先が気になる展開が多し。また、製作に回ると良い仕事をするJ・J・エイブラムスは次回作では製作に専念するようですので、期待をしながら次を楽しみにしようかなぁと。

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砂漠の惑星→氷の惑星→緑の惑星って流れになるんでしょうかねぇ?

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タグ:★★★ SF
posted by たお at 01:24 | Comment(8) | TrackBack(65) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月06日

ディッキー・ロバーツ 俺は元子役スター (Dickie Roberts: Former Child Star)

監督 サム・ワイズマン 主演 デヴィッド・スペード
2003年 アメリカ映画 98分 コメディ 採点★★★

強い日差しをモノともせず頭から湯気を出しながら無心に地面に穴を掘ってたり、雨の中傘もささずに水たまりで遊んでたり、とりあえず棒を持ったら辺り構わず振り回したりと、子供(特に男子)のやることってのは傍から見るとアホ丸出しですよねぇ。ついつい親として止めてしまいがちな行動なんですけど、そんなアホの積み重ねってのが心身の発育上とっても重要だったりも。

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【ストーリー】
お茶の間の人気者だった元子役スターのディッキー・ロバーツも、35歳となったいまではかつての人気も輝きも失い、定職にも就けない冴えない大人となっていた。そんなある日、ロブ・ライナーの新作オーディションを受けるも、まともな子供時代を過ごしていなかった彼には“普通の男”の役が出来ないと指摘されてしまう。そこで彼は、自分が体験しなかった子供時代を過ごし直すため、とある一家を雇うのだったが…。

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デヴィッド・スペードと『キューティ・バニー』のフレッド・ウルフが手掛けた脚本を、『D2/マイティ・ダック』のサム・ワイズマンが監督を務め映画化したコメディ。製作には『ピクセル』のアダム・サンドラーらが。
ホームドラマで人気を博した主人公が、そのおかげで失った子供時代をホームドラマのように絵に描いたような家庭の中で、ホームドラマのように過ごして取り戻すという、考えると軽く頭がクラっとくる奇抜な設定で描かれる本作。ただ、設定こそ奇抜だがハチャメチャな笑いで貫くのではなく、それを活かしつつも抑え気味のトーンで家族の再生や幸せの再発見に至る様を描く、アダム・サンドラー関連作品でお馴染みの“優しさ”ってのを前に出して描いていた一本。互いが影響し合い、足りない部分を補い合いながら真の幸せに気付いていく物語は定番なものであるが、定番ならではの安定した面白味にハリウッドの内幕や子役という特殊な環境をネタにした笑いが混じり合い、本作ならではの独特な風合いが生まれていたのも良かったなぁと。

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主人公に扮したのは、『アダルトボーイズ青春白書』のデヴィッド・スペード。母の愛を取り戻したいがためにスターに返り咲きたいという思いのほか切実な動機付けがあるせいか、明るく振る舞えば振る舞うほどその裏に悲しさが見えてくる、最も彼が輝く役柄を好演。アダム一家随一の可愛げを発揮しながらも、どこか不安定な脆さも窺わせる、彼のベストワークのひとつになるのではと。
その他、なんか美人格闘家って感じもしたメアリー・マコーマックや、今回は全てを破壊し尽くすような笑いに走らず一途な優しさすら見せて驚かされた『がんばれ!ベンチウォーマーズ』のジョン・ロヴィッツ、本人役で登場する『ア・フュー・グッドメン』のロブ・ライナーに、『クラッシュ』のブレンダン・フレイザーといった顔触れも。
で、ネタがネタだけに“元子役”がわんさか出演しているのも見所の本作。『コマンドー』のアリッサ・ミラノを筆頭に、『ロストボーイ』のWコリー、レイフ・ギャレット、アーノルド坊やにエマニエル坊やと、後に苦労している面々が勢揃い。そんな彼らが揃ってエンディングで子役の苦労を歌う様は、ちょっぴり感動しちゃったりもした一本で。

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ちゃんと育てよ

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2016年05月05日

ピッチ・パーフェクト2 (Pitch Perfect 2)

監督 エリザベス・バンクス 主演 アナ・ケンドリック
2015年 アメリカ映画 115分 コメディ 採点★★★

40代以上の主演級で活躍する男優ってのはぞろぞろ居ますけど、それが女優となるとホント数えるくらいしか居ませんよねぇ。一方で、それが20代前後となるとまるっきり逆になる印象も。もともと映画は観客の夢やら願望、憧れや下駄を履かせ気味の自己投影なんかをする場でもあるんで、安易ながらもそういう傾向になってしまうのは理解は出来るんですけど、実力者を活かしきれないのはやっぱりもったいないので、昨年ちょっと話題になったハリウッドの男女格差の是正なんかも含め、もっと中年女性が活躍できる映画作りってのをやって欲しいなぁと。もちろん、“面白い映画”ってのが大前提で。

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【ストーリー】
全米大会3連覇中の女子アカペラグループ“バーデン・ベラーズ”。そんな絶頂期にいた彼女らだったが、大統領の誕生日イベントで大失態を犯してしまい、チームの活動を禁止する処分が下される。名誉挽回の唯一のチャンスであるアカペラ世界大会の優勝を目指す彼女らであったが、世界のレベルの高さに自信と自分たちらしさを失い…。

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スマッシュヒットを記録した『ピッチ・パーフェクト』の続編。メガホンを握るのは、本作が長編初監督となる『崖っぷちの男』のエリザベス・バンクス。主演はもちろん『ライフ・アフター・ベス』のアナ・ケンドリック。今回も表情の種類少なめながらも、ボブルヘッド人形のような可愛らしさで乗り切りを。
自分の夢の実現や将来と仲間たちの絆だったら迷うことなく前者を取る私ですし、相変わらずアカペラそのものに興味が湧かないので物語自体にはイマイチ気持ちが入り込まなかったんですけど、随所に放り込まれた笑いと煌びやかなステージの勢いに押し切られ、なんだかんだと楽しめた一本。強力なライバルの出現に自分たち本来の姿を見失いそこから立ち直る様や、主要メンバーのドラマなど見どころ豊富な分、少々物語が散らかってしまっていたり、人種ネタがステレオタイプのものになってしまい笑いきれない印象もあったが、最終的には上手くまとめ上げたなぁって感じも。
好きな女優の一人でもあるエリザベス・バンクスが“どんな映画を撮るのか?”って興味が、本作を手に取った最大の理由なんですけど、初長編とは思えぬ手堅さに驚かされた一本でも。製作も兼ねて作品を知り尽くしてるってのもあってか、個性を発揮するってのよりも前作からの流れを壊さないよう職人に徹したって印象。笑いの間やネタ選びが独特で、画作りもしっかりとしてるので監督としてもちょっと期待できるなぁと思えたのが一番の収穫で。

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丁度いいのが見つかって良かったね

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2016年05月03日

SEXテープ (Sex Tape)

監督 ジェイク・カスダン 主演 キャメロン・ディアス
2014年 アメリカ映画 94分 コメディ 採点★★

セックスレス対策なのかは知りませんけど、“ヤル日”ってのを決めてる方々も少なくないとか。なんか、それはヤダなぁ。スケジュールに組まれちゃうと、途端に楽しくなくなってくる感じがしちゃって萎えますし。自発的にするお手伝いはそこそこ楽しいけど、言われてからするお手伝いは苦痛なだけみたいな。

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【ストーリー】
仕事と子育てに充実した日々を送る一方で、いつの間にかセックスレスに陥っていたアニーとジェイの夫婦は、打開策として二人のセックスを撮影してみることに。しかし、その動画がジェイのiPadと同期された知人らのiPadでも閲覧可能となってしまい・・・。

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娯楽映画のなんたるかを知り尽くしたローレンス・カスダンを父に持ち、ジャド・アパトーのもとで『ウォーク・ハード ロックへの階段』という傑作を作り上げたジェイク・カスダンが監督を務め、『寝取られ男のラブ♂バカンス』の黄金コンビであるニコラス・ストーラーと主演も務めるジェイソン・シーゲルが脚本に携わっているんだから、評判の悪さは耳に入っていましたがエロコメ好きの私なんで十分楽しめると思ってたのに………これがビックリするほど楽しめない
恋人同士が夫と妻の関係になり、やがてパパとママの関係になる。題材としては中年期の変化や危機を描くお馴染みのものに、“H動画流出”って変化球を加えた本作。普通に考えればそこそこ面白くなりそうなもんなんですけど、ただただ「セックスしよー!セックスしよー!」と喚いてるだけの夫婦の姿を延々見せつけられ、ようやく本題に入ったと思えば流出と言っても非常に限定的なものなので、適当に見つくろった理由で事態を収拾できそうなものを支離滅裂な言動と展開で無理やり大事にし、いい加減こっちもその物語に付き合うのが苦痛になって来た頃になって唐突に“良い話”でまとめようとする、ただただ苦笑いしか浮かばない90分。敢えて笑いをスカさせる狙いがあるのなら救いがあるんですけど、どうもそうじゃないってのも救いようなし。

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ナイト&デイ』のキャメロン・ディアスとの共演に気合が入り過ぎちゃったのか、ジェイソン・シーゲルにいつもの自然体ならではの面白さがなく、どこか全力で台詞を“読んでる”感じがしたってたのも痛恨だった本作。良い人さは伝わってくるんですけど、絶妙なだらしなさやそこから来る苛立たしさ、でもやっぱり許せちゃうっていう本来の持ち味が活かされてなかったなぁと。
ただまぁ、もちろんバストトップは見せないもののキャメロンはスッポンポンで奮闘してくれてましたし、若づくりのお爺ちゃんみたいになってて驚いた、自身もセックステープ絡みで散々な目に遭った経験を持つ『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のロブ・ロウや、ノンクレジットでの出演となる『ザ・マペッツ』のジャック・ブラック、『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』のロブ・コードリーに、『伝説のロックスター再生計画!』のエリー・ケンパーといった、ちょっと得した気分になれる顔触れが揃ってたんでこれでも採点は甘めに。

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この映画自体が消し去りたい代物なのでは

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posted by たお at 12:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月01日

グッドナイト・マミー (Ich seh ich seh)

監督 ヴェロニカ・フランツ/ゼヴリン・フィアラ 主演 エリアス&ルーカス・シュヴァルツ
2014年 オーストリア映画 99分 ホラー 採点★★★

うちの子供らが歳も性格もバラッバラなもんでちょっと分からないんですけど、やっぱり双子って顔も性格もそっくりなもんなんですかねぇ。想像すると単純に「わぁカワイイ!」ってなるんですけど、中学生にもなって「足が速くなるらしい!」と、一日中外で友達とケンケンパをし続けるうちの長男みたいなアホが2人いると思うと、ちょっと荷が重いなぁ。で、声変わりして無精ひげなんか生やしたむさ苦しい野郎なんかに成長しちゃったら、なんかもう手一杯。双子うんぬん以前に、アホは一家に一人で十分

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【ストーリー】
人里離れた豪邸で母親の帰りを待つ9歳になる双子の兄弟。しかし、帰って来た母親は整形手術を受け顔全体を包帯で覆われた姿であった。その日以来別人のように冷たくなった母親に対し、兄弟らは何者かが母親のフリをしているのではと疑念を感じ始める。そして彼らは母親の正体を暴こうと行動に出るのだったが・・・。

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予告編がスゲェ怖いってので話題となった、オーストリア産のサイコスリラー。“パラダイス3部作”の脚本を手掛けたヴェロニカ・フランツがゼヴリン・フィアラと共に脚本/監督を。そのまま役名にもなった双子の兄弟エリアス&ルーカス・シュヴァルツと、パッと見美人なんだけどよく見るとジョン・マルコヴィッチにも見えてくるズザンネ・ヴーストらが出演。
端から隠すつもりがないのか結構大きめのネタが開始早々割れるので、ここでもネタバレ方向で。
予告編を観る限りは母親が“悪”で子供らが犠牲者って感じでしたが、その予告編自体が一種のミスリードでもあった本作。ザックリと言えば、現代版『悪を呼ぶ少年』みたいな感じ。
母親が本物じゃないと信じてしまう子供と、子供に信じてもらえない母親という、一つの恐怖を両面から描いた本作。自分の心と体の半分を失ったのと同様の悲劇と罪悪感に押しつぶされるエリアスが、そこから逃れる手段として生み出したかのような“ルーカス”。その悲劇から早く立ち直りたい、また私の憶測ではあるんですが、その状況から逃げ出し(若い女のもとにでも)去って行った夫への決別の意味も含め整形を施した母親。決して多弁ではないが、惨劇に至るまでの精神状態も含めた状況描写の積み重ねも効果を上げている。
ただ、物語で怖がらせようってのよりも、子供ならではの悪意なき残虐性の矛先が母親に向かう倫理的不快感を追求したって感じが強い印象も。好きか嫌いかはさて置いて、子を持つ親としては物凄い不快感を感じたって意味ではその目的を達した作品なんでしょうから、オマケ気味のこの評価で。

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親の心子知らず

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posted by たお at 23:23 | Comment(4) | TrackBack(7) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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