2016年05月25日

セブン・サイコパス (Seven Psychopaths)

監督 マーティン・マクドナー コリン・ファレル
2012年 イギリス映画 110分 コメディ 採点★★★★

体験談とか思いついた話とか、自分の中では「面白い!」と思った話でも他者に伝えようとするとその面白さが全然伝わらなかったりしますよねぇ。自分だけ楽しそうに爆笑しながら話してるのに、聞き手は真顔って光景もよく見ますし。このサブタレも「この映画面白かったよ!」と伝えられればいいなぁと思いつつ細々と続けてますけど、自分で読み返してみると往々にして書いてる本人にも伝わってないし。なんかもう、難しいなぁ。

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【ストーリー】
“セブン・サイコパス”とタイトルだけ決まってる脚本に取り掛かるも、ネタが何も浮かばないまま締切日を間近に控えてしまった脚本家のマーティ。そんな中、ハンスという名の老人と共に愛犬誘拐詐欺を行っていた友人のビリーが、マフィアの愛犬を誘拐してしまい、巻き起こった大騒動に巻き込まれてしまう。図らずも映画のネタとして格好のサイコパスに囲まれたマーティは…。

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ヒットマンズ・レクイエム』のマーティン・マクドナーが脚本と監督を務めた、結構血生臭い描写も豊富なクライム・コメディ。これもまた、この面白さを伝えれる気がさっぱりしない一本
当たり前の話ではあるんですが、映画って完成している脚本(撮りながら書いてるケースもありますが)を基に撮影し、完成品を観客である私らが鑑賞する所謂“過去のもの”であって“架空のもの”なんですけど、本作にはその出来上がったものを観ているって感覚がない不思議な本作。脚本家が自身の経験や聞いた話を脚本にするって物語構造がそうさせているのか、なんか上手く言えないんですけど、目の前で映画が同時進行的に作られているような感じ。特に登場人物がこっちに語り掛けてくる第四の壁を破るような描写はないんですが、受ける印象は一緒。
また、これも当然脚本の時点で織り込み済みのはずなのに、まるで登場人物が映画を乗っ取って自由にコントロールし始めたかのような錯覚を味わえるのも本作の魅力。脚本が力強過ぎて映像で語り切れてない感もありましたが、映画を“観ている”って感覚よりも、変化していく様やジワジワと現実と虚構の境が滲んでいく様を“目撃している”ような独特の味わい、幾層にも重なり合う構成を持つ巧みな脚本、自由奔放で魅力的なキャラクターに、最後はとりあえず銃撃戦を入れておけばOKなハリウッドに対するほど良い批判と、隅々楽しむことができた一本で。

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マーティに扮したのは、『ヒットマンズ・レクイエム』でもマーティン・マクドナーと組んでいる『トータル・リコール』のコリン・ファレル。サイコパスに囲まれ散々振り回される、物語の中心に居ながら観客同様観察者にいるような主人公を、時計でいうところの8時20分な困り眉で熱演。関係ないですけど、役柄の“飲んだくれのアイルランド人”って“マグロ好きの日本人”みたいな感じ?
また、一人で大きな物語を背負うだけではなく、ちょい『トゥルー・ロマンス』でのデニス・ホッパーを思い起こさせる悪との対峙シーン(あっちでは悪側でしたねぇ)でシビレるカッコ良さも披露した『ザ・バッド』のクリストファー・ウォーケン、怖さと面白さが絶妙に混じってた『ディフェンドー 闇の仕事人』のウディ・ハレルソンらも素晴らしかったんですが、やはり本作の目玉は『ポルターガイスト』のサム・ロックウェルに尽きるかと。マーティのことが好き過ぎて彼のためにアレコレ頑張るも、如何せんサイコパスなんで概ね迷惑という可愛らしい役柄を狂気と可愛げとちょっとした怖さに哀愁を織り交ぜ熱演。にしても、サム・ロックウェルが輝いてる映画って大体面白いですよねぇ。
その他、シリアルキラーがパタッと犯行を止めた原因となった『ザ・ウォーカー』のトム・ウェイツや、『ロボコップ』のアビー・コーニッシュ、劇中語られる“女性の描き方が雑”ってのを体現したかのような扱いだった『スパイ・レジェンド』のオルガ・キュリレンコ、初っ端に出てくる『ラストデイズ』のマイケル・ピットら、メイン以外にも非常に良い顔触れが揃ってたのも嬉しかった一本で。

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“筆が走る”ってのを映像化するとこんな感じ?

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2016年05月24日

本当にあった奇妙な続編企画

ひとたびヒット作が生まれれば、続編やらスピンオフやらで搾りかすになるまで稼ぎ尽すってのが映画人としては至極真っ当な考え方のようで。ホント、ヒット作には必ずっていうほど続編の噂が立ちますし。そんな中でも、あわや作られそうになっちゃった奇妙極まりない続編企画を紹介する動画があったので、ここでもペタリと。

【Top 10 Bizarre Sequels That Almost Happened】


Iユージュアル・サスペクツ2/カイザー・ソゼを探して
見事なツイストで結末を迎えるも、曖昧さが多くの謎を残す結果となった『ユージュアル・サスペクツ』。「だったら、それ全部解明する続編作れば儲かんじゃね?」と企画をスタートしたが、そんなの作れば前作の価値までぶっ壊してしまうことに気づきお流れに。

Hジュラシック・パーク4
ジュラッシク・ワールド』ではなく、『ジュラシック・パーク』の正式にナンバリングされた第4弾。『ジュラシック・パークIII』後様々な企画が乱れ飛んだ中、グラント博士とマルコム博士が再度コンビを組み恐竜に立ち向かうってのがあったそうで。その中には、恐竜のDNAを軍事転用し兵器開発に用いるってアイディアも。

Gフェリスはある朝突然に2
大人になったフェリスが会社サボるって話。ホント、それだけ。なら、このCMで良くね?

Fカサブランカ2
80年代にオリジナルの脚本を手掛けたハワード・コッチが企画を立てたとか。リックとイルザの息子が父親探しの旅に出るって物語で、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットの名が挙がってた様で。

Eスーパーマン・リブズ
ニコラス・ケイジが衣装着てる動画や画像が結構出回ってるので、これは有名ですよねぇ。『バットマン』で成功を収めたティム・バートンがスーパーマンを撮るってのは自然な流れではありますが、スタジオ側から出された条件ってのが、“スーパーマンは飛ばない(何故?)”“独自のコスチューム”“でっかい蜘蛛と戦う”と少々イカレてて、あれこれ揉めてる内に制作直前でキャンセル。因みに、そのでっかい蜘蛛ってアイディアは『ワイルド・ワイルド・ウエスト』に転用。

Dグラディエーター2
あれ?マキシマス死んだよね?
大丈夫!“ゴッド・オブ・ウォー”みたいに、死んでから神と戦って不死の肉体を手に入れたマキシマスが闘神になるんだから!

Cフォレスト・ガンプ2/ガンプと仲間たち
だいたい同じような話を80年代と90年代に置き換えただけだって。

Bセブン2:エイト
なんでも見通しちゃう男が警察の手助けをして犯罪を解決するって元々あった脚本を、モーガン・フリーマン演じるサマセットに置き換えたっていう安易なやつらしく、その脚本自体は処分されちゃってもう日の目を見ないそうで。つうか、続編作るならコレでいいじゃん。タイトルも一緒ですし。

Aミセス・ダウト2
ロビン・ウィリアムズが女装して子供のとこに行くってコンセプトはそのままに、今度は成長して大学に進んだ娘がちゃんとやれてるか見に行くってものだったようなんですが、あんまりな内容にロビン・ウィリアムズが出演を固辞。その後脚本は手直しし続けられ、2014年になってようやく完成。ところが、企画が動き出した矢先にロビン・ウィリアムズが亡くなってしまい、そのままキャンセルに。

@E.T.2/夜の恐怖
なんかもう『E.T.』に付くサブタイトルとは思えず。なにやら、スピルバーグの頭の中にあったアイディアとしては、E.T.を探しに来た凶悪なアルビノ族のE.T.がエリオット少年らを誘拐、それをE.T.が助けに来るってものらしいんですが、「やっぱオリジナルを大事にしなきゃね!」ってことで企画をやめたとか。考え直して頂けたことは非常に喜ばしいんですが、だったらあの“特別編”もやめて欲しかったなぁとも。

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2016年05月23日

ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金 (Pain & Gain)

監督 マイケル・ベイ 主演 マーク・ウォールバーグ
2013年 アメリカ映画 129分 ドラマ 採点★★★

ちょっと語弊のある言い方かも知れませんが、“馬鹿”が大嫌いな私。別に学がない人とか物を知らない人のことじゃなく、知ろうとしない人や想像力に欠如した人が嫌い。自分の言動が相手にどんな思いをさせてしまうのかや、何が起きるのかを想像できない人って悪意がない分だけ本当に性質が悪いと思うんですよねぇ。また、知ろうとしない挙句に開き直っちゃう人ってのは、もう論外。

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【ストーリー】
フロリダのジムでトレーナーとして働く“筋肉命”のダニエルは、さえない自分の人生に終止符を打ち一発逆転のアメリカンドリームを手にするため、ジムの顧客である裕福なビジネスマン、ヴィクターの誘拐を計画する。同僚で同じく筋肉命のエイドリアンと、前科者のポールを仲間に引き入れ計画を実行するが…。

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1995年にフロリダで実際に起きた事件を追ったルポを基に、ナルニアとマーベルの脚本ばっか書いてる印象もある『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のクリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリーが脚本を手掛け、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のマイケル・ベイがメガホンを握って彼にしては低予算の2600万ドルで作り上げた実録クライム筋肉コメディ。
もうバカと筋肉しか出てこない。筋肉バカがステロイドのせいで脳まで筋肉になったかのようなバカなことをして、それが当然バカな結果を生み出すこの物語が結構事実に忠実だってのに大いに驚かされちゃうが、これをあのマイケル・ベイが意外にも面白く仕上げたってのにも驚かされた。実際に起きた結構凄惨な事件を、ナレーションを多用して過去を振り返る形で描く所謂『グッドフェローズ』タイプの作品を、ドラマなんぞそっちのけでド派手なアクションばかりを描き、その肝心のアクションも派手すぎて何が起きてるのかさっぱり分からなくしちゃうあのマイケル・ベイが撮るってんで、正直不安しかなかった本作。キャストが良いのに監督作としては初めて日本未公開ってのも、その不安を上乗せしてましたし。ところがどっこい、実際観てみるとこれがなかなか面白い。
もちろんマイケル・ベイが普通の監督が作るような作品を撮ったのではなく、日焼けしたテカテカ輝くムキムキの筋肉にフロリダの青過ぎる空の下、分かりやす過ぎるくらい記号的な美女に頭空っぽの登場人物たちが、テンション高すぎるやり過ぎ描写げ描かれる、まさにベイにしか撮れない本作。その、ネタにされ笑われがちな自らの演出を逆手に取ったのか、笑いの演出としてしっかりと活かされているベイ風味ってのも楽しい。事件が陰惨な方向へと転がっていく後半、ダークコメディとして勢いを増していくわけでも、シリアスへ急展開してコントラストを効かせるわけでもなく、序盤とさして変わらぬテンションのまま進んでしまうのでダレてしまう難点こそありましたが、ゴテゴテと飾り付けられたアメリカンドリームの虚像とそれに振り回される空っぽの人々の姿を、そんな作品ばかり撮ってたベイが皮肉へと転化させていたってのが興味深くも楽しめた一本で。

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主犯格のダニエルに扮したのは、『テッド2』『ローン・サバイバー』のマーク・ウォールバーグ。頭は少々弱いが人当たりの良いあんちゃんって役柄を得意としているだけあって、“愛すべきバカ”と“憎むべきバカ”の狭間に立つこの役柄を、相当パンプアップした肉体で熱演。知恵も想像力もないくせに行動力だけあるこの役柄は、下手すればただ苛立つだけのものになりそうだが、彼の持つキャラがそこをだいぶ救ってくれてたなぁと。
また、ポジション的にはヒロインに近い共犯のポールに扮したのが、『カリフォルニア・ダウン』『ワイルド・スピード SKY MISSION』のドウェイン・ジョンソン。持ち前のコメディセンスと豊かな表現力で、可愛げが炸裂する前半と凄みの増す後半という様変わりする役柄を好演。バカ過ぎて救いのない物語に、一種の和みってのを与えてたのが彼なのかなぁ。
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』のアンソニー・マッキーも相当身体を作り上げての出演でしたけど、上記の二人が少々勢いに任せて突っ走ってる感もあるので、足りないエモーションの部分とか笑いといった隙間をコツコツと埋める2番打者的役割をしっかり務める好キャスティング。
このムキムキしたメインキャストにばかり目を奪われそうだが、劇中唯一まともな人間に扮した『ラン・オールナイト』のエド・ハリスや、『22ジャンプストリート』のピーター・ストーメア、『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』のケン・チョンといったベイ作品ゆかりの顔触れや、『ギャラクシー・クエスト』のトニー・シャループ、『SEXテープ』のロブ・ゴードリー、『ピッチ・パーフェクト2』のレベル・ウィルソン、『キック・アス』のマイケル・リスポリに、囚人の中に紛れてるレスラーのカート・アングルといった、濃いめの顔触れが揃ってたのも魅力の一本で。

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“想像力がない”ってのが一番の罪

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2016年05月20日

武器人間 (Frankenstein's Army)

監督 リチャード・ラーフォースト 主演 ロバート・グウィリム
2013年 オランダ/アメリカ/チェコ映画 84分 ホラー 採点★★

『トイ・ストーリー』のシドに限った話じゃなく、男子ってのはオモチャをバラバラにしてアレコレ合体させるのが好きですよねぇ。怪獣にしろ怪人にしろ、一種類の生物がベースのものよりも複数の生物、もしくは機械と合体してるやつの方が心惹かれるし、そもそも“合体”って言葉自体にトキメキを感じたりも

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【ストーリー】
第二次世界大戦末期の東部戦線。スターリンの命によりドイツの占領下を進んでいたソ連軍の偵察部隊は、無数の虐殺された死体が放棄された教会に辿り着く。その地下に潜入した一行であったが、そこで待っていたのは死体と機械の合体に心血を注ぐフランケンシュタイン博士の末裔が作り出した怪物たちで…。

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ジャッキー・チェンの『フー・アム・アイ?』や『機械じかけの小児病棟』、ブライアン・ユズナやスチュアート・ゴードンらの作品でコンセプトアートなどを手掛けてきた、リチャード・ラーフォースト初長編となる合体怪人ホラー。『バレット モンク』のカレル・ローデンが合体好き博士を怪演。
観客がその場に迷い込んでしまったかのような臨場感や没入感を手っ取り早く演出でき、且つ粗を適度に隠してリアルに見せてくれるので腕に自信のない作り手が手を出してしまいやすいPOVの手法を用いた本作。結論から言えば、本作のPOVは邪魔以外の何物でもなし。カメラを持ち続ける理由付けは辛うじてされているが、怪人が間近で襲い掛かってるのに正面で映し続けてる様には、いくら自慢の怪人を見せたいからとはいえさすがに「まず逃げろや」と思っちゃいますし、そのくせこっちがちゃんと怪人を見たい時は見せてくれない。そんでもって、多少加工はしているがツルッツルの高画質なので、当時のフィルムを見ているかのような独特の如何わしさもなし。なんかもう、POVにする必要性が皆無
また、腸が飛び出たり脳みそを剥き出しにしたり、四肢切断に知らん内に子供が真っ二つになってたりとゴア描写が盛大なのは嬉しいんですけど、舞台の照明が妙に明るいってのもあってかどこか能天気で、“ナチスの人体実験”“死体改造”とかのキーワードの割に陰惨さや生理的嫌悪感がないってのも好みが分かれるところかと。

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ただまぁ、本作の見どころというか作り手が目指しているのはそんなちゃんとした地点じゃなく、「オレの怪人スゲェだろ!」ってとこであろうし、実際「スゲェな!」と思ったので特に不満もなし。
機械と合体しナチスの制服を着た怪人らはパッと見スチームパンク的だが、そこまで洗練された退廃さは微塵もなく、どちらかと言えばノコギリクワガタやヘラクレスオオカブトに心ときめかすのと同様の小学男子魂が炸裂しているのが魅力。ガンダムよりもガンタンクやガンキャノンに惹かれると言うか、「やっぱデストロンの怪人が一番カッケーよな!」みたいな。もしくは「ゲッターは2と3に限る!」的な男子魂。頭にめり込んだヘルメットを無理やり外したら脳みそがペローンと飛び出る様なんかも、非常に小学男子的感覚でしたし。
口に巨大ドリルが埋め込まれてたり手にやたらと刃物が付いてたりする武器として辛うじて納得いくものから、頭部が飛行機のプロペラという「なんだ?オマエは飛ぶのか?」という用途不明なものまで、男子悶絶の怪人が多数登場する本作。映画としては随分とアレな作品ではありましたが、盛んにこちらの男子魂を刺激してくる素敵な一本でもありましたねぇ。

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ガチャガチャや食玩にあったら散財しそう

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タグ:★★ ホラー
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2016年05月19日

【予告編】アサシン クリード (Assassin's Creed - Official Trailer 1)

美麗なグラフィックで描かれた箱庭の中をフリーランニングで走り回る爽快感と映画的な演出に引き込まれるも、“暗殺者”って設定の割に豪快に大暴れしててもクリア出来ちゃったり塔に登って飛び降りるの繰り返しに、私自身は瞬く間に飽きちゃったゲーム“アサシン クリード”が映画化された模様で。

監督にジャスティン・カーゼル、出演に『X-MEN:フューチャー&パスト』のマイケル・ファスベンダーと『ダークナイト ライジング』のマリオン・コティヤールという『マクベス』トリオが。予告編を見る限りは何種類かの時代を行き来してるようなので、ゲームのシリーズを一つにまとめたって感じなんでしょうかねぇ?
見せ場なんかはゲームのまんまなので、ちょっと楽しみだなぁと。まぁ、ゲームの方も予告編だけはスゲェ面白そうなんですけどね

【ASSASSIN'S CREED - Official Trailer 1】


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タグ:予告編
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2016年05月18日

2016年4月度 ベスト&ワースト

新学期のゴタゴタもゴールデンウィークもようやく終わり、ちょっとは家の中に落ち着きが戻り始めた今日この頃。これでノンビリ家で映画でも観れるかなぁと思ったんですが、新しい学校生活のストレスが溜まってるのか、子供ら全員寝る直前まで今日の出来事やら愚痴やらをブワァーと喋り倒すのでそうもいかず。もうわかったから、早く寝ろ
そんなわけで、4月度のランキングをさっさとー。

ベスト
@裏切りのサーカス
Aリンカーン弁護士
BRe:LIFE〜リライフ〜
Cヴィンセントが教えてくれたこと
D死の恋人ニーナ

@は一言で言えば“地味”な作品なんですけど、本を読んでいるかのようにジワジワと湧きあがる面白さたるや。ここ数年のスパイ映画の中核を担うキャストが揃ってるのも嬉しい一本で。Aも一種の読書感的な面白さを持ちつつ、映画ならではのスピード感とばっちりハマるキャストで魅せるベストセラー映画化の好事例かと。Bは他愛のない作品ではあるんですけど、こういうヒュー・グラントが観たくて手に取ったんだから満足で。Cもまたキャストの力に頼ってる部分はあったんですけど、それだけ仏頂面を名人芸の域にまで昇華させたビル・マーレイが素晴らしいってことではと。Dは変化球なホラーでしたが、思いのほか恋愛ってのをえぐってたなぁ。

ワースト
@ムカデ人間3
Aポルターガイスト

笑えもしなければ不快でもなく、ゴア描写に「ヒャッハーッ!」となるわけでもない、ただただ苦笑いしか浮かばない@がダントツ。Aは作る意味がいまだ不明。

そんな感じの4月。暖かくなってきたので映画観てる時間よりも釣りしてる時間の方が長くなりそうですが、まぁぼちぼちとレビューを書けたらいいなぁと。ではでは!

【2016年4月度 全鑑賞リスト】
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 ★★★
キャノンフィルムズ爆走風雲録 ★★★
デッド・オア・リベンジ ★★★
ポルターガイスト ★★
ムカデ人間3 ★
ヴィンセントが教えてくれたこと ★★★★
リンカーン弁護士 ★★★★
ナイトホークス(再鑑賞) ★★★
裏切りのサーカス ★★★★
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 ★★★
ラッシュ/プライドと友情 ★★★
グリーン・インフェルノ ★★★
ヴィジット ★★★
クリード チャンプを継ぐ男 ★★★
死の恋人ニーナ ★★★
Re:LIFE〜リライフ〜 ★★★★

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タグ:ランキング
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2016年05月17日

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (Captain America: Civil War)

監督 アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ 主演 クリス・エヴァンス
2016年 アメリカ/ドイツ映画 147分 アクション 採点★★★★

チーム・キャプテン・アメリカとチーム・アイアンマン。主義主張はそれぞれ一長一短なので置いておくとして、自分だったらどっちのチームに参加したいかなぁ?リーダーで比べてみると、真面目で良い人だけど融通が効かなそうで面白味に少々欠けるキャプテンよりは、アクが強くて腹も立ちそうだけどアイアンマンの方が魅力的かなぁ。チームメイトを見てみると、人間味に溢れててユーモアもありそうだからキャプテンチームだな。ヴィジョンと遊んでも楽しくなさそうですし。女性陣となると、うーん…迷うなぁ。ここまで一勝一敗一分かぁ。ホント、どっちもどっちだなぁ………あっ!チーム・アイアンマンに入れば、メイおばさんとお知り合いになれるかも!あのぅ、さっきは“どっちもどっち”みたいなこと言ってスイマセンでした。やっぱアイアンマンっすよね!トニーさん、最高っす!

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【ストーリー】
世界の危機を救ってきたアベンジャーズだが、その活動によって一般市民へ甚大な被害も被らせていた。やがてその強大な力を危険視する声が高まり、彼らを国連の監視下に置く法案が議論される。アベンジャーズを存続させるためそれに従う考えを示したアイアンマンだったが、キャプテン・アメリカは信念を貫き反対。アベンジャーズは二分されてしまう。そんな中、法案の調印式の会場となったウィーンで爆破テロが発生。容疑者として、行方をくらませていたキャプテン・アメリカの旧友バッキーが手配される。この事件の対応により、アベンジャーズ内の対立構造はより深刻化してしまい…。

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アベンジャーズ同士の対立と対決を描いた、“キャプテン・アメリカ”シリーズ第3弾。メガホンを握るのは、前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』から引き続いて、『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』のアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が。主演はもちろん『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクリス・エヴァンスと、『ジャッジ 裁かれる判事』のロバート・ダウニー・Jr。
目的と志を共有することでひとつとなっていたが、もともとまとまっているのが奇跡的でもあったアベンジャーズの中でも特に正反対の存在であったキャプテン・アメリカとアイアンマンの対立を、マーベル映画史上最長のランニングタイムで描いた本作。マーベル映画お馴染みであるエンドクレジット後のオマケ映像でも触れられる新生スパイダーマンの番宣的意味合いを含めながらも、オールスター映画にありがちな見せ場のオンパレードに走らず、見せ場と悲劇的な過去が生み出した計算され尽くした復讐劇を描くドラマのバランスを絶妙に保ちながら、この長尺を飽きさせないで最後まで引っ張る構成力がまず見事。また、アクション描写も無重力&物理学無視の迫力重視のものに走るのではなく、映画的誇張を巧みに盛り込みながらドッシリと地に足付いたしっかりと作り込まれた演出になってるのも好印象。
火力だけを見ればアイアンマンを筆頭に、ウォーマシンにヴィジョンまでいるチーム・アイアンマンが圧勝しそうな感じだが、個々のキャラクターの特性を大切にするマーベルらしくなんだかんだとパワーバランスが保てているチーム構成も素晴らしい。また、ヒーロー同士の対決を“夢の対決”にせず、そうならざるを得ない悲痛さをしっかりと描いているのも良し。重苦しいままでいるのではなく、ポイントでユーモアを忘れないマーベルらしさも流石。

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先ごろ公開された『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』同様、正義の行動が生んでしまった犠牲ってのを発端としているが、もちろんそれは物語に影を落とし続けてはいるものの、“正義とは?”ってのを禅問答の如くこねくり回すのではなく、「これから気をつけます!」的な切り返しで本筋に入っていくのもある種清々しかった本作。その辺はDCに任せとけってことなのか、本作のベースとなっている同名のコミックシリーズや、映画だと『X-メン』でも描かれていたヒーロー(ミュータント)登録法案へと繋がりかねない国際連合の協定の是非を中心に描かれている。
一般市民からすれば強大な力を持つヒーローらは、自分が困っている時か全く害の及ばない所で活躍してくれる分には問題ないが平時においては畏怖する存在でもあるので、何処にどんな奴が居るのか明確にしておきたいってのも分かる。しかし、一方のヒーロー側からすればその力のせいで一般の市民であれば当然のように得れる権利を剥奪され、また多くのミュータントがそうであったように差別や迫害から身を守るために隠れることや身分を偽ることが出来なくなってしまう問題も。別の星からフラっとやって来て用が済んだら母星に気軽に帰れるソーが地球人と同じ権利を得れないってのは100歩譲って分かるとしても、人間として生まれながらも、他者と違うってだけで人間として扱われないってのは差別以外の何物でもないし、国家によってその力をいいように使われるのは奴隷と変わらない。
もちろん本作ではそこまで掘り下げているわけではなくあくまで理念の対立ってところで留まっているのだが、南北戦争の意味を持つ原作コミックからタイトルだけを持ってくるのではなく、そこに行きついてしまう危険性をしっかりと匂わせると同時に、マイノリティ目線ってのを忘れることがないマーベルらしさがまざまざと表れてたってのが見事だった一本で。

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自分たちの判断で行動することを望むキャプテン・アメリカと、国際理解を得るためにも国連管理下に置かれることは已む無しと考えるアイアンマン。平和のために戦う決意とアベンジャーズの存続という目的は同じだが、理念とプロセスが相容れない為に対立してしまう二人。それだけの問題であれば妥協案も見つかりそうなものだが互いの私情や事情が背後にある分、そう易々とはいかないってのが難しいところ。正解・不正解で答えが導き出されるような単純な問題ではなく、またそのどちらかに肩入れしているわけでもない本作は、観客にも自らの政治的な傾向を確認するが如くどちらのチームに身を置くかを促しているようにも。
国家の思惑に左右されず自らの信念と判断での行動を望むキャプテン・アメリカ。極端な例えではあるんですが、大義なき戦争の代名詞でもあるイラク戦争に「NO!」を突き付けるのがキャプテン。私も若ければ迷うことなくキャプテン側を選ぶ。しかしながら、少数および個人の判断のみで強大な力を行使することに対しては大きな危険性を感じざるを得ない。信念は時に冷静な判断を奪いかねないし、独善や排他に繋がりかねない。これまた極端な例であるのだが、自ら信じる正義の実現のために無断で他国に侵犯し、その国の国民である“悪党”を成敗する行動というのは国際社会から見ればテロ行為と取られかねないのではないのかと。
一方のアイアンマンは、先の例えに則ればイラク戦争に対し「YES!」という立場になる。他国と協調路線を歩むことはアベンジャーズとしての理念や大義を失う危険性もあるし、大国の思惑通りに動く大量破壊兵器の機能を持った傀儡集団もしくはお飾りに成り下がりかねない。また、行動を起こすに際し多くのプロセスや認可が必要になってくるので、迅速さは間違いなく失われる。そういったデメリットや危険性を孕んでいるが、決定権を持つ組織に残るということは、主張をする機会及び理解や改善を得る可能性が僅かながらも残っているということでもある。
キャプテン・アメリカとアイアンマン。レビューの冒頭ではふざけ半分でアイアンマンに票を投じたが、真面目に考えてみても私はアイアンマン側に一票を。まぁ、“メイおばさん”という私情と事情が絡んでいるのは言わずもがなですが。

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ここでいつも通り主要キャストについて書いちゃうと膨大な量となってしまうので、前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』と『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』組は大きく割愛させてもらって、新参組と印象的なキャストを中心に。書いたところで、ただ名前が並ぶ上にキャプテン・アメリカに対して“超人的な真面目さ!”とか前とあまり変わりのないことしか書けなさそうですし。
となると、真っ先に頭に浮かぶのがバッキーに扮したセバスチャン・スタン。前作や『アントマン』にも出ていたが、今回はなんともまぁ苛立たしい役割。洗脳下での行動なので責任がないとはいえ、自らの手によって引き起こした過去と正面から向き合うわけでも行動を起こすわけでもなく逃げ隠れに終始し、純然たる被害者であるアイアンマンの怒りが爆発する終盤になるとただただキャプテン・アメリカの後ろに隠れてるだけだし、仕舞いには全部から逃げて寝ちゃう。もちろん事情は理解できるし、ただ逃げてるだけじゃないのも分かるんですが、「あんたも被害者でしょうけど、私も被害者なんです!」って発展性の見込めない議論をしているような感じは、あれだけの混乱を生み出した張本人の行動としてはやっぱりイヤだったなぁと。なんか、一昔前の映画の配慮に欠けたヒロインみたい。
また、アベンジャーズの面々の間に立っている違和感が良い方向に働いていたってか、急にジャイアントマン化してビックリした『40男のバージンロード』のポール・ラッドや、ピーター・パーカーの童貞臭さが良く出てた『わたしは生きていける』のトム・ホランド、その財力や権力の強大さではトニー・スタークに匹敵するブラックパンサーに扮したチャドウィック・ボーズマン、復讐の不毛さを描きながらもその悲劇的な過去と見事過ぎる計画性には共感せざるを得ないジモ大佐に扮した『ラッシュ/プライドと友情』のダニエル・ブリュール、エンドクレジットで流れるキャラの特徴を捉えたシルエットがネクタイだった『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のマーティン・フリーマン、考えてみたら初登場だったマリア・スタークに扮した『ワイルドカード』のホープ・デイヴィスに、『インクレディブル・ハルク』以来の登板となるウィリアム・ハートらも印象的だった本作。
ただ、やっぱり個人的な目玉は『Re:LIFE〜リライフ〜』のマリサ・トメイに尽きる。サリー・フィールドにしろローズマリー・ハリスにしろ、“メイおばさん”というとお婆さんをイメージしてしまうんですけど、それがマリサ・トメイである嬉しい驚きたるや。こんな叔母が家で待ってるんだったら、全身タイツで糸飛ばしてる場合じゃないよなぁ。それとも、そんなモヤモヤが外で白い糸を飛ばさせてるのか。ちょっと興味が湧かなかった新生スパイダーマン“Spider-Man: Homecoming”ですけど、俄然そそられてきたなぁと。

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まぁ、私も極限まで目を背けないと次の一歩が踏み出せないタイプではありますが

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2016年05月13日

キリング・サラザール 沈黙の作戦 (Killing Salazar)

監督 キオニ・ワックスマン 主演 スティーヴン・セガール
2016年 ルーマニア映画 90分 アクション 採点★★

ここ数年のセガール映画を大きく二つに分けると、“セガールが動く映画”と“セガールが動かない映画”に。本来アクション映画の主演スターが“動かない”ってのはあり得ない話なんですけど、セガールにはあるんですよねぇ。で、動く方のセガール映画はそれぞれのシーンの舞台になる場所にちゃんとセガールが出向いているので、主人公が物語に絡む比較的普通の映画に近い仕上がり。アクションシーンも基本的にセガールがやってるので、お楽しみであるセガール拳を堪能できたりも。ただ、一方の動かないセガール映画が食わせもの。基本同じ部屋の椅子に座りっぱなしなので主人公なのに物語にはさっぱり絡まないし、肝心のアクションも若手に任せっぱなしでクライマックスにようやく「ヨヨヨイッ」とダルめのセガール拳を披露。しかも首から下しか映らなかったり、妙に細身の後ろ姿ばっかだったりも。

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【ストーリー】
麻薬カルテルのボスであるサラザールを確保し裁判で証言させるために高級ホテルで保護していた所に、裏切りを許さないカルテルの殺し屋集団が襲撃。連邦保安官のトムらは、次々と襲い来る武装集団からサラザールを守り抜かなければならなかったのだが…。

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で、これは残念ながら“動かない”方のセガール映画。監督はもちろん『リターンド・ソルジャー 正義執行人』のキオニ・ワックスマン。
基本的には籠城劇で、悪党を更なる悪党から守る中で生まれてくる絆という鉄板ネタを描いているのでタイトでそれなりに面白い作品になりそうなんですけど、そう簡単に行かないのがセガール映画の魅力。襲撃事件の生き残りの回想って形式を取ってしまったが為にテンションもテンポもぶつ切りで、現在と過去の行き来に手間を割く割には人物や状況描写は一気にテロップで済ませちゃうので、ただただもう混沌。そのくせ、画に変わり映えがないので20分くらい気を失っていても展開が進んでいるとは思えないかったるさ。

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これでせめてセガールが動いてくれれば救いがあるんですが、先にも言ったように本作はセガールが動かない方の映画。前の晩にちょっと飲み過ぎちゃったのか、目が開いてるのかどうかも分からぬほど顔をパンパンに腫らしたセガールが座ってるだけ。もちろんたまには「ヨヨヨイッ」と動きますが、基本的には座りっぱなし。顔パンパンで不機嫌な泥棒ヒゲのお爺ちゃんとにらめっこをしてるかのような、なんともマニアックな90分。
物語の進行を『デス・レース2』のルーク・ゴスに任せ、主演なのに物語に絡まない一番楽なポジションに居た今回のセガール。主人公とか悪役とかその他大勢とかのカテゴリーにはまらない、扱いがもう“大御所”。また、お気に入りの美女が居ないと現場に出たがらないのか、座ってるだけのシーンなのにすぐ横に台詞もない謎の胸元強調美女を配置。でも、それ以外のシーンにも妙にエロい美女が随所に配置されてたんで、ただ演技やアクションするのが面倒くさいだけで、現場にはまめに足を運んでいたんでしょうねぇ。これで食べれてるんだから、ホント理想の老後だなぁと。

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立つだけでご褒美がもらえる

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2016年05月12日

ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー (The Night Before)

監督 ジョナサン・レヴィン 主演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット
2015年 アメリカ映画 101分 コメディ 採点★★★

考えてみたら今現在、定期的に会う“友達”と言える存在がいない私。友達としてカウントしている人間には、もう何年も会ってないですし。たぶん、まだ生きてるはず。別に今が孤独ってわけじゃないですし、他者との接点を絶ってるわけじゃないんですが、“友達と遊ぶ”って行為が生活の中からすっぽりと消えちゃったなぁと。高校から大学を出る頃までをピークに、仕事で他県に行ったり結婚したり、子供が生まれたり育ったりしていく内に、ホントなんとなーく遊ばなくなっちゃったんですよねぇ。全力で遊びたいって気持ちは常にあるのに。

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【ストーリー】
両親を事故で亡くし孤独の身となったイーサンを悲しませないために、親友のアイザックとクリスはクリスマス・イヴを毎年3人で過ごしてきた。それから10数年。弁護士となったアイザックはもうすぐ父親に、クリスはアメフトのスター選手となった一方で、イーサンは未だ大人として自立しきれないでいた。そんな3人で過ごすクリスマスを今年で最後にする決意をした彼らは、最高の思い出を作ろうと伝説のパーティ会場を目指すのだが…。

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ジョナサン・レヴィンが脚本と監督を手掛けジョセフ・ゴードン=レヴィットとセス・ローゲンが主演する、『50/50 フィフティ・フィフティ』トリオが再度集結して贈るローラーコスター型クリスマスドタバタコメディ。セスの盟友エヴァン・ゴールドバーグがもちろん脚本と製作総指揮を。
大人になりきれないボンクラが騒動を通して自立と成長を果たす一方で、その変化により最高だった青春時代に別れを告げるセス映画でお馴染みのテーマを、『ホーム・アローン』や『ダイ・ハード』などのクリスマス映画遊びと、溢れんばかりのハッパ愛を込めて描いた本作。脚本を大枠に演者がアドリブで好き放題やっただけに、観ている側も一緒になって巻き込まれているかのような一体感や勢いが生まれているし、良く練られたパンチ力の高い笑いではなく程よい緩さが仲間内の身近さを味あわせてくれる。ただその一方で、最近のセス映画に顕著である“自分たちだけが楽しんでる”ってのも目立っていて、観ている側の気分次第ではただただ置いてけぼりになってしまう危険性も。
しかしながら、そんなハチャメチャな騒動を繰り広げながらも、父親になる潜在的な恐怖や、不釣り合いで見せかけだけの友人関係の不毛さ、居心地の良いぬるま湯状態から抜け出せない男の様など、描くべきものをしっかりと描き、それぞれの結末を最後にきちんと集結させてるのは流石だなぁと。
にしても、相も変わらず“俺たち”と最近目にするようになった“ハングオーバー”という、頭を捻った形跡の窺えない邦題が残念ですよねぇ。ただまぁ、映画のポスターなんかもそうなんですけど、情報過多にして一目でどんなものなのか分からないと興味を持とうとしない受け手の問題も大きいんだろうなぁとも。

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イーサンに扮したのは、ナイーヴをこじらせた男を演じさせたらピカイチである『ドン・ジョン』『ダークナイト ライジング』のジョセフ・ゴードン=レヴィットが。重大な局面からは逃げ続け、それが原因で振られた元カノに対して未練たらたらで、夢と理想は大きいけど特にそれに向かって頑張ってるわけでもないのに、自尊心だけは大きくてそれを守るために言い訳ばっか言ってる、まさに彼ならではの役柄。寂しそうな目と線の細い印象とは裏腹に、物言いは結構強めってのもぴったりだったなぁと。
一方のアイザックに扮したのが、『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のセス・ローゲン。劇中のほとんどをクスリで飛んだままで過ごす役柄ながらも、ずうずうしく見えて案外気い使いしいだったり、どこか無理している感じを出す細やかさを。誰かの親友役ってのが本当に似合うなぁ。
また、クリス役には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アントマン』のアンソニー・マッキーが。ちょっと意外な組み合わせって感じもしましたが、その“ちょっと違う”感じがまたスターになってちょっと変わったクリスって役柄に合ってた好キャスティングで。
その他、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの相手役にはゾーイ・デシャネルっぽい子が似合うのか、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のリジー・キャプランが元カノに扮し、『22ジャンプストリート』のジリアン・ベル、『憧れのウェディング・ベル』のミンディ・カリング、ハッパ神の使者役の『MUD マッド』のマイケル・シャノン、ナレーションも担当していた『ファンキーランド』のトレイシー・モーガン、マイリー・サイラスといった、気の合う仲間って感じの顔触れが集結。もちろん、セスの大親友である『バトルフロント』のジェームズ・フランコも本人役で登場し、嬉々としてチ○コネタを披露してましたよ

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変化は終わりではなく

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2016年05月11日

ブリッジ・オブ・スパイ (Bridge of Spies)

監督 スティーヴン・スピルバーグ 主演 トム・ハンクス
2015年 アメリカ/ドイツ/インド映画 142分 ドラマ 採点★★★★

私の世代的なものもあるのかも知れませんし、いつ見ても似たり寄ったりの服装にモジャモジャ髭と変わらない風貌のせいかも知れないんですけど、私の中のスピルバーグのイメージって“天才若手映画作家”なんですよねぇ。もうすぐ70歳なのに。時代と共に作風が大きく変化してたりすればそんなイメージも変化していったんでしょうけど、扱う題材こそ変化していってもどの作品も明確に“スピルバーグ印”ってのが刻印されている上に、時代に迎合し過ぎないので、どの作品を観ても著しい経年劣化ってのを感じないんですよねぇ。相変わらず本題とは関係ない書き出しなんですけど、改めてスピルバーグのプロフィールを見てみたら年齢的にはすっかりお爺ちゃんなんだってことに気付かされちゃったので、つい。

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【ストーリー】
米ソ冷戦下の1957年。逮捕されたソ連のスパイ、ルドルフ・アベルを弁護することとなったジェームズ・ドノヴァン。敵国のスパイを弁護することで国民の非難を一身に浴びるドノヴァンであったが、その職責を全うしアベルの死刑を回避する。5年後、アメリカの偵察機がソ連上空で撃墜され、パイロットはスパイとしてソ連に拘束されてしまう。政府はパイロット救出のためアベルとの交換を計画。その交渉役としてドノヴァンが選ばれ、彼は東ベルリンへと向かうのだが…。

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後にケネディ大統領からの依頼で、ピッグス湾事件の失敗により捕虜となった1万人を超える米国人捕虜の帰還交渉を務めることとなる弁護士ジェームズ・ドノヴァンが注目されるきっかけとなる事件を描いた、実録サスペンスドラマ。マット・シャルマンと、キャラクター描写などの加筆が主な仕事だったと思われる『トゥルー・グリット』のコーエン兄弟による脚本を、父親がほんのちょっとばかしこの一件に絡んだという『ミュンヘン』のスティーヴン・スピルバーグがメガホンを握って映画化。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』なんかでちょっと忙しかったってのと体調不良により、盟友ジョン・ウィリアムズに代わって『007 スペクター』のトーマス・ニューマンがスコアを担当。
赤狩り、朝鮮戦争、ローゼンバーグ事件と、共産主義に対する警戒と不信、恐怖がピークに達していた冷戦下の時代を舞台に、法と国のあり方の原理原則を守り続けようとする男の奮闘と、敵国スパイとの間に生まれる絆を描いた本作。2時間半近くの長尺ながらも無駄なシーンが一切なく、だからと言ってアベルの裁判、アメリカ人パイロット拘束、東ベルリンでの交換交渉と3本の物語で構成されているが慌ただしいわけでも盛り沢山過ぎるわけでもない、映画として必要な描写を的確かつスムーズに描き出す、非常にスピルバーグらしい手際の良さで最後まで引っ張った一本。ベルリンの街を自転車で走る青年をカメラがワンショットで追うシーンで、ある一線を越えたドンピシャのタイミングで“東ベルリン”のテロップが出る、さり気ないながらも巧さが光るシーンや、自称アベルの家族との面会シーンの真顔でのギャグなど、本作にもスピルバーグ印がそこかしこに刻印されていたのも嬉しい。また、今まさに壁が作り上げられているベルリンの街の混乱や悲壮感など、その瞬間の空気を見事に捉えていたのも流石。

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主人公が単なる善意で行動を起こしているのではないってのも、非常に興味深かった本作。もしこれが“良い人”の物語であったら、敵スパイとの間に生まれるのは上辺だけの友情で、なんか良い話を聞いたなぁって気にはなれるかも知れないが、後に残るのはそんなボンヤリとした印象のみに。
しかし本作は、しっかりとジェームズ・ドノヴァンの人となりを描いている。法の原理に沿うことならば一般常識では正しいことも撥ね退けるある種の“狡さ”を見せる一方で、法の原理原則を守るためには全国民の非難を一身に浴びても挫けることがない“信念の人”としても描かれている。“法の原理原則に忠実”というどっしりとして動くことのない軸の両面性をきちんと描いていたからこそ、言動の“なぜ?”がはっきりと理由付けられ、法に忠実な主人公と国家に忠実なスパイとの間に絆が生まれるのも至極当然の結果として伝えることが出来たのかと。
国家のあるべき姿や原理原則といったちょいと荷が重い問題じゃなくても、日々何かにつけ「仕方がないよね」とか「ま、いっか」とルールや理想をないがしろにしがちであるし、またその一方で“ブレない”って言葉を安易に使い過ぎてる気もする昨今。本作では“異常事態にある時こそ原理原則を守らなければならない”という信念を貫く過酷さを描きつつ、それが出来るのは決して特別な人間とは限らないってのを明確に描いていた一本で。
また、「共産圏に生まれなくて良かったねぇ」といった相手の欠点を捉えて優越感に浸るようなアメリカ賛美映画なんかでもなく、双方が目指すべき理想を持ちながらもそれを見失ってしまっている様や、その建前に国民が翻弄される様を描いた作品であるのも素晴らしかった本作。車窓から見える光景が、一方では壁を乗り越え射殺される人々の姿で、一方では壁を乗り越え遊ぶ子供たちの姿というコントラストの効いたシーンがあるが、これも「あぁ、やっぱアメリカだよな!」ではなく、あるべき姿を見失った場合の行く末を危惧するものなんだろうなぁと。

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主人公のジェームズ・ドノヴァンに扮したのは、久々のスピルバーグ作品主演となった『キャプテン・フィリップス』のトム・ハンクス。“ユーモアを忘れない真面目な良い人”というお馴染みのイメージを守りつつも、その内面に結構怒りっぽくてヒステリックな一面というかつて得意にしていたキャラクター性をホンノリ残す、まさにトム・ハンクスここにありってな感じの熱演。歳を重ねた分トーンを抑えているだけで、なんかのきっかけで『マネー・ピット』の時のトム・ハンクスが飛び出してきそうな感じが素敵。この“らしさ”が非常に良く出てたのは、人物描写を中心に手掛けたコーエン兄弟の手腕なのかと。
一方のルドルフ・アベルに扮したのが、『ブリッツ』のマーク・ライアンス。“ソ連のスパイ”というと剃刀のように冷たく切れ味鋭い殺戮マシンか、シュワルツェネッガーのような岩の塊を思い浮かべてしまうが、何処にでも居そうなとぼけたオッサン風情のスパイをこれまた好演。理想を貫くためにアクティヴなトム・ハンクスとは逆に、国家のおかしな点を冷静に見つめながらも理想のために耐え続けるアベルの姿を、淡々としながらもユーモアを滲みださせながら見事に表現。このコントラストの効き具合と、双方抑えながらも滲み出てくるユーモアが、本作に大きな面白味ってのをもたらしてくれていたなぁと。
その他、『ペントハウス』のアラン・アルダや、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のエイミー・ライアン、『アンノウン』のセバスチャン・コッホに、『セッション』のオースティン・ストウェルといった顔触れが出演。長尺のメジャー作品だと集客と観客の集中力を途切れさせない為に小さな役柄に大物を起用したりするが、そんな小手先に頼らず作品バランスと役柄に沿った実力者を揃えてるってのも嬉しかった作品で。

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ベクトルは違うが目指している本来の目的は一緒

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