2013年 イギリス/ドイツ/アメリカ映画 123分 ドラマ 採点★★★
特にスポーツをやっていたわけじゃないので、所謂ライバルって存在には縁のなかった私。仕事や趣味の場など人間関係においても、好き嫌いが激しく嫌いな人間には一切関わらない性質なので「アイツにゃ負けたくねぇ!」って相手も居らず。そういう人を避けずにきていたら、もうちょっとマシな人間になってたんでしょうかねぇ。
【ストーリー】
酒と女をこよなく愛し、荒々しい走りでサーキットを駆け抜ける天才肌のジェームズ・ハントと、緻密に計算された冷静沈着な頭脳派レーサーのニキ・ラウダ。正反対の二人の天才レーサーは、F1年間チャンピオンの座を巡り熾烈な争いを繰り広げていた。1976年、二連覇を狙うラウダはポイント優勢のままハントを引き離し、第10戦のドイツGPに挑むのだが・・・。
2人の伝説的天才レーサーの姿を描いた、『天使と悪魔』のロン・ハワードによる実録レースドラマ。
私の世代なんかだと、テレビや映画でよくやっていた事故や災害を収めた残酷ドキュメントの最後の方に出てくる人として、レースに然程関心の無い人でも一度は名前や顔を目にしたことのある“不死鳥”ニキ・ラウダと、その好敵手ジェームズ・ハントの姿を描いた本作。ロックスターばりの派手な生き方を好むハントと、走りのプロに徹するラウダという水と油のような関係の二人が互いにぶつかり合い、刺激し合い、死と隣り合わせの世界にいるからこそ分かり合いながら切磋琢磨する、“これぞライバル!”な一本。
実際の事故のシーンを完全コピーしたかのようなクラッシュシーンや、レーサーという特殊な人種とその世界、当時のカルチャーなど細部に渡ってこだわりが窺える本作。まぁ、ロン・ハワードらしい手堅さやクセのなさは私的に少々食い足りない印象を残したりもしたが、過度な演出や偏りを避け二人の主人公の姿を対比させながら描く上では、その手堅さが良かったんだろうなぁとも。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクリス・ヘムズワースと、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のダニエル・ブリュールがそれぞれハントとラウダに扮した本作。煌びやかなスターと地味な職人的な対比が見事に表現されていたのと同時に、工業高校生的な雰囲気があるヘムズワースと知性派のブリュールの顔合わせだけに、スポーツバカのジョックスとインテリ気取りのブレインが反発しながら絆を深めていく往年の学園ドラマのような面白さも生まれていた好キャスティング。それぞれの似せ具合も見事でしたし。
その他、リチャード・バートンの最後の妻とエリザベス・テイラーの間に挟まれイマイチ記憶にないスージー・ミラーに扮した『カウボーイ&エイリアン』のオリヴィア・ワイルドや、これまた驚くほど雰囲気が似ていたラウダの妻に扮した『ヒトラー 〜最期の12日間〜』のアレクサンドラ・マリア・ララなども印象に残る一本で。
エゴではなく実力を競い合うからこそ良い結果を
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