2016年04月14日

ヴィンセントが教えてくれたこと (St. Vincent)

監督 セオドア・メルフィ 主演 ビル・マーレイ
2014年 アメリカ映画 102分 コメディ 採点★★★★

“同じ価値観”やら“共感”、“絆”なんて言葉が人との関係性を表すケースで頻繁に使われるようになって随分経ちますよねぇ。うちの子供らの口から万が一出てきたら「まずは冷静になろ。な?」と言いたくなる“ソウルメイト”とか。その一方で、価値観が違う人は徹底して敬遠する傾向も。確かに好みや価値観が似ている人と一緒にいるのは楽だし楽しいんですけど、そればっかりになっちゃうと「そうそう!わかる!」みたいな自分の再確認の繰り返し以外に何も新しい視点や考え方は得れないとも思うんですよねぇ。

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【ストーリー】
両親の離婚でニューヨークのブルックリンに母親と共に越してきた小学生のオリバーは、ひょんなことから隣に住む偏屈で近所の嫌われ者である初老の男ヴィンセントに面倒を見てもらうことに。誰彼構わず毒舌をまきちらし、小学生をバーや競馬場に連れまわすろくでなしなヴィンセントだったが、二人は妙にウマが合っていく。やがてオリバーは、嫌われ者のヴィンセントの意外な素顔を垣間見て・・・。

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本作が長編デビューとなるセオドア・メルフィが監督と脚本を手掛けた、ハートウォーミングなコメディドラマ。製作総指揮に『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のドン・チードルの名も。
偏屈老人といじめられっ子の交流を、細かな笑いのジャブをふんだんに含めながら描いた本作。この手の作品だと、子供の成長や変化および大人側の改心なんかを中心に描きがちだが、本作の登場人物たちは最後まで基本的に何も変わらない。オリバーは確かに孤独であったが、それは新しい環境に移ったための限定的なもので、初めっから結構口が達者で状況を達観して見ている少年。友達が出来るきっかけにヴィンセントが少し絡んでいるが、ヴィンセント抜きでも遅かれ早かれ友達が出来そうな性格。
一方のヴィンセントも素行の悪さから煙たがられてはいるが、バーテンダーやコールガールのダカ、妻が入所している介護施設の看護婦(監督の妻であるキンバリー・クインが好演)など、彼の本当の姿を知る人からは愛されている。オリバーの母も、シングルマザーになりたてだから必死になっているだけ。
そんな彼らが交わる中で見えてくる本来の姿を、着込み過ぎた服を一枚だけ脱ぐかのようなささやかさで描いた本作。そのささやかさが、タイトルにも絡む“聖人の定義”やあからさまで押しつけがましい善意ではなく“本当の意味での良き行い”というものと絶妙にブレンドした、ちょっと上手く表現できないが“微笑ましい”一本に仕上がってたなぁと。互いがシェルターを提供し合ってる作品の状況にマッチした、ボブ・ディランの“嵐からの隠れ場所”が流れるエンディングも絶品。

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ヴィンセントに扮したのは、なんかSNL出身者で一番の出世頭になった印象もある『グランド・ブダペスト・ホテル』のビル・マーレイ。常に仏頂面で不機嫌で、怒りを撒き散らしている一方で奥底には優しさと寂しさが潜んでいる。もうあて書きなんじゃないのかと思えるほど、ビル・マーレイとヴィンセントがイコールになる絶妙なキャスティング。物語の良さはビル・マーレイじゃなくても然程変わらなかったのかも知れないが、本作に漂う程よい毒気と気だるげなユーモアは彼じゃなければ生み出せなかったものだろうなぁと。
また、ビル・マーレイと新旧ゴーストバスターの顔合わせとなる、最近引っ張りだこな『かぞくはじめました』のメリッサ・マッカーシーも忘れ難し。今回は随分と控えめな印象ではあったが、リアクションや会話の間の開け方に「さすが!」と思わせる瞬間も多々。ところで、『タミー/Tammy』はソフト化待ちで諦めるとしても、ジェイソン・ステイサムやジュード・ロウも共演しているSpy』は公開しないのかい?
その他、薹の立ち具合が丁度良かった『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のナオミ・ワッツや、考えてみたら製作に回ったドン・チードルとはウォーマシンコンビな『サボタージュ』のテレンス・ハワード、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のクリス・オダウドらも印象的だった本作ですが、やはり本作のオリバー役で映画デビューした、ジェフ・ニコルズの新作『Midnight Special』にも出演しているジェイデン・リーバハーの、厳しい状況に反発するわけでも打ちのめされるわけでもなく、それを素直に飲み込む達観さと幼さならではの可愛げ、こしゃまっくれさとの入り混じりっぷりが非常に良かったなぁと。

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プラスとマイナスだから引き合う

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posted by たお at 13:24 | Comment(8) | TrackBack(24) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月13日

初登校

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緊張を胸にお手々繋いで初登校する、新一年生コンビの息子たち。
成長喜ばしいですし、こんな日が来ることを待ち望んでもいたんですけど、なんか・・・
育っちゃってつまんない!

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タグ:雑記
posted by たお at 21:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日々のあれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今日のむぎさん

庭先でさっきからウグイスが鳴いてるんですけど、「ホーホキャキョチャチャチョーッ!」と怪鳥音を発したかと思えば、「ホー・・・キョッ!」と手を抜いたり、「キョキョキョキョキョキョーッ!」と狂い出してみたりと、なかなか個性的なアレンジを披露してくれてて、なんかとってもうるさい。

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そんな春真っ盛りの我が家でございますが、久しぶりにネコのむぎさんの話でも。ほんと、スゲェ久しぶりですが元気ですよ。
で、そのむぎさん。普段は人も猫も嫌いな孤高な方なんですけど、引っ越し準備に明け暮れてた先月末くらいから何か異変を察してか、妙に懐っこく変貌。捨てられるとでも思ったんでしょうかねぇ。引っ越したら引っ越したで新しい環境に警戒しまくりで、いつもなら滅多に傍に寄らないくせにベッタリ。まぁ、数日したらあっという間に新しいねぐらに慣れちゃって、日長一日縁側で昼寝をしているお婆さんネコに戻りましたが。

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今朝も日課の庭先散歩に出かけたむぎさんなんですが、いつもならその辺の草や枝先をクンカクンカして終わるのに、居間から庭を眺めると珍しく庭の松の木に上ってる。よく見ると、別の木の枝に止まってた鳥(カワラヒラ?)を狙ってるみたい。「お?さすがネコ!ガンバレや!」と応援しながら見てたんですけど、基本的に無理はしない達観婆さんなのでただただボーっと鳥を見つめながら枝をクンカクンカしてるだけのむぎさんだったとさ。
そんな、なーんにも起きないむぎさんの日常を書いて今日はおしまいー!

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見てるだけー

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posted by たお at 16:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネコばなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月12日

ムカデ人間3 (The Human Centipede III (Final Sequence))

監督 トム・シックス 主演 ディーター・ラーザー
2015年 アメリカ映画 102分 ホラー 採点★

面白くないギャグでも繰り返しやられると、つい笑ってしまいますよねぇ。でも、本当に面白くないものは、繰り返されれば繰り返されるほど腹が立ってくるもので。

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【ストーリー】
医療費も離職率も全米最悪で、暴動も頻発する劣悪な刑務所。改善策を模索していた所長のビル・ボスのもとに、部下で会計士のドワイトから一つの提案が出される。それは、ドワイトが大好きな映画『ムカデ人間』を真似て、囚人全員の口と肛門を繋げてみるというものだった。その案を気に入ったビルは、囚人500人によるムカデ人間を作り始め・・・。

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口と肛門を繋げる、とどのつまり強制ウ○コ食わせシステムであるムカデ人間を描いたシリーズ最終章。監督・脚本はもちろん『ムカデ人間』のトム・シックス。
刑務所を舞台に総勢500人を繋げちゃう本作。でも、それだけ。ひたすら下品芸に徹した『ムカデ人間2』では生理的嫌悪感や演出手腕にエスカレーションや進歩の具合が窺えたが、本作では人数が格段と増えた以外は何の特徴もなし。晴天の野外にいるムカデ人間にはこれといって嫌悪感を感じませんし。なんか、運動会の出し物みたい
監督本人も出演して映画内で現実と虚構を更に交差させたり、セルフパロディ的笑いを全面に打ち出し“なにか違うもの”に挑戦した気配はあるんですけど、それらが上手く行ってるとは到底思えないのも残念だった本作。下品芸で誤魔化せていた“下手さ”が如実に出た結果かと。もともとSM嗜好の強い本物の変態と言うよりも、そういうキャラの体当たり芸人みたいな作り手なので本物臭に相変わらず乏しいのは仕方がないんですが、今回はその芸自体にもパワーがないので台無し。

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一作目の主人公だったディーター・ラーザーや、普通の人になっててガッカリ甚だしいローレンス・R・ハーヴィー、荒ぶってなくてこれまたガッカリ甚だしい北村昭博らシリーズ組が揃ってるのはファンの人にとっては嬉しいのかも知れない本作。ただ、やる気の全く感じられない様がある意味衝撃的だった『インヒアレント・ヴァイス』のエリック・ロバーツや、『リトル★ニッキー』のトム・“タイニー”・リスター、『アウト・フォー・ジャスティス』のロバート・ラサードら半端に見たことのある役者が出てしまってる分“映画っぽさ”が出てしまい、観てはいけないものを観ている如何わしさや現実と虚構の交差感が弱くなってしまってたのも残念だったかなぁと。まぁ冷たい言い方ですが、“残念”というよりも“こんなもんだろうなぁ”って感じ。

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それではー6年生によるームカデ人間ですー

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タグ: ホラー
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2016年04月11日

ポルターガイスト (Poltergeist)

監督 ギル・キーナン 主演 サム・ロックウェル
2015年 アメリカ/カナダ映画 101分 ホラー 採点★★

ちょっと大きな家に引っ越したおかげで、念願だった自分だけの2階の部屋を手に入れた中1の長男。初日の日中こそは「うふーうふー♪」と大喜びで部屋の準備をしてたんですが、いざ夜になるとこれまで狭い家で家族5人がぎゅーぎゅー詰になってた密度に慣れちゃってた上に持ち前の怖がりを発揮して、さっぱり部屋に上がろうとしない。仕舞いには6歳の末っ子に「一緒に寝てください!」と土下座する始末。いずれ慣れるとは思うんですけど、兄弟でピッタリくっついて寝てる姿が可愛いので、お父さんは寝る前に怪談話をぶち込んでしばらくはビビリのままでいさせようかと。

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【ストーリー】
仕事を失ったことによる経済的理由で、郊外の格安物件に引っ越すこととなったボーウェン一家。新しいスタートを切ろうとした一家だったが、引っ越してくるや否や怪異現象に悩まされる。そんなある夜、末娘のマディソンが忽然と姿を消し、TVの中から助けを求める声が響く。超常現象研究家に助けを求めた一家は、その家にまつわる恐ろしい秘密を知り・・・。

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スピルバーグが製作し、トビー・フーパーがメガホンを握って1982年に公開された『ポルターガイスト』のリメイク。『スペル』のサム・ライミが製作を担当し、『エンバー 失われた光の物語』のギル・ギーナンが監督を務めた騒霊ホラー。
オリジナル版はビデオ、DVD、ブルーレイとメディアが変わるごとに買換えてた思い入れのある作品なのでフェアな視点での鑑賞は難しかったとは言え、ビジュアル的にもテンポ的にも経年劣化が著しいとは言えぬ作品をなんでわざわざリメイクし、しかもこんな形にしちゃったのか理解がさっぱり出来なかった本作。リメイクする以上は完全コピー品でお茶を濁すのではなく、より良いものにしようという気持ちだけでも伺えればまるで別物になっていても楽しめるのだが、本作にはそんな姿勢もオリジナルを好きだって気持ちもしっかり研究した気配も感じられない、ホント「なぜ作った?」としか言いようのない一本に。なんか、「『インシディアス』とか『死霊館』が当たってるから丁度いいんじゃね?」という安易な発想からスタートしたような感じが見え見え。オリジナル版の影響を多大に受けた作品にリメイク版の方が追従しちゃった、コピー版の劣化コピー版的な作品

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“額に汗して得た成功”ってのがリアルじゃなくなった時代なので、経済的に困窮している一家への変更はまぁ分かる。それが家族関係の希薄さを生み、異常な経験を経て家族の再生を図るってのもまぁ。「それじゃぁ『悪魔の棲む家』のリメイクじゃね?」って気もするが、その辺は大目に。善し悪しは別にして、時代に合わせた変更を試みたんでしょうし。
ただ、実際に報告された霊現象に基づいた怪異描写の静かな積み重ねとエスカレーションや、子供のために全てを投げ打って怪異に立ち向かい親の強烈なまでの愛、原因に接点を持っていた家族という設定、闇でひと際輝く子役の姿、祖父母の居ない核家族化が進む郊外族に助けの手を差し伸べる一つ上の世代、そしてジェリー・ゴールドスミスによる素晴らしいテーマ曲など、オリジナルを輝かせた素晴らしい要素の数々をバッサリ削っちゃったのはどうなのと。代わりに目を引くものが加えられてるなら良いんですけど、本作に加えられたのが研究家と霊能力者の不器用な恋模様とか、屋内で居る場所の高低差まで判別するGPS、なんかラジオみたいに雑音を拾いまくるスマホ、霊界に突入するドローン、エンディングに唐突に流れてくる全くそぐわない曲にオマケシーンと、どれもこれもいらないものばかり。長女が「ショッピングモールも潰れてる街」と言った次のシーンで父親がショッピングモールで買物してたり、近所に人が住んでる気配が全くなかったり、初日に地下室からヘドロが湧き出てるのになんら文句を言わなかったりする、脚本のいい加減さも目に余る
まぁ、こんな細かいところばかりに文句を言ってると単なる年寄りの小言みたいなので、『ポルターガイスト』をモチーフとしたアトラクション映画として楽しもうと気持ちの軌道修正を図るも、とんとん拍子に怪奇現象が起きてとんとん拍子に解決する、なんの溜めも開放もない平坦な作品なのでアトラクションとしてもイマイチ。なんというか、真っすぐ平坦なレールの上を時速30キロくらいで走るジェットコースターのよう。
無駄遣いでしかなかったとはいえ、『セブン・サイコパス』のサム・ロックウェルをたっぷり観れたってのだけは救いだったかと。

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幽霊屋敷だろうが失業中に家が買えるんだからまだマシ

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タグ:★★ ホラー
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2016年04月10日

2016年3月度 ベスト&ワースト

小・中・高のトリプル入学式に引っ越しというバタバタをようやく乗り越え、少しずつ日常の落ち着きってのを取り戻してきた我が家。まぁ、新入学用品を揃えたり教材に名前書きをしたりと発狂寸前の女房の逆鱗に触れぬよう、存在を消しながらゲームに興じる緊迫感溢れるステルス日常は引き続き続行中ですが。
そんなこんなのランキングをちゃっちゃとー!

ベスト
@MUD マッド
Aコードネーム U.N.C.L.E.
Bカンフー・ジャングル

そこそこ本数を観たつもりだったんですけど、その大半が久々に観返してみた再鑑賞ものばかりだったので、相変わらず新作らしい新作を観てなかった3月。@も新作とは言えない作品なんですけど初めて観たんだから新作扱いを。ただ、その少ない新作ではあるものの早く大人にならなければならない過酷な環境下、乗り越えなければならない壁がかなりの難題だった@を筆頭に、遊び心満載で映画的快感に溢れてたA、カンフー映画のみならず香港映画界全体に対する大きなエールのようだったBなど、見応えある作品に恵まれたのは幸いだったかと。

ワースト
@ファンキーランド

地雷らしい地雷を踏まなかったのも3月の特徴だったんですが、役者・題材共に良いものを揃えながらも台無しにしちゃった@の残念さは半端なかったなぁと。

こんな感じの3月。新しい環境なんでまだ映画を観るってリズムを掴み切れてはいないんですが、まぁ無理ない程度に映画を楽しめて良ければなぁと。では!

【2016年3月度 全鑑賞リスト】
カンフー・ジャングル ★★★
エクスプロラーズ(再鑑賞) ★★★
クルーレス(再鑑賞) ★★★★
食人族(再鑑賞) ★★★★
キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー ★★★
デッドフォール(再鑑賞) ★★★
コードネーム U.N.C.L.E. ★★★★
ファンキーランド ★★
MUD マッド ★★★★
NARC ナーク(再鑑賞) ★★★★

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タグ:ランキング
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2016年04月09日

デッド・オア・リベンジ (Landmine Goes Click)

監督 レヴァン・バキア 主演 スターリング・ナイト
2015年 ジョージア映画 105分 サスペンス 採点★★★

どちらかと言えば人を怒らせるほうが多いので、復讐したいほど恨んでる人間ってのがほとんどいない私。大抵その場でそこそこやり返しますし。それでも何人かはいつかこっ酷く仕返ししてやろうと思ってる人物もいるにはいるんですけど、アレコレ仕返しのやり方を想像しているだけで満足しちゃうもんなんですよねぇ。そもそも、そんな人にはもう二度と会いたくありませんし

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【ストーリー】
ジョージアの山奥にトレッキングにやって来たダニエルと婚約者のアリシア、そしてダニエルの親友クリスのアメリカ人三人組。しかし、ひょんなことからクリスが地中に埋もれていた地雷を踏んでしまい身動きが取れなくなってしまう。だがそれは、アリシアとクリスの浮気を知ったダニエルの復讐であった。そんな中、山中に取り残されたクリスとアリシアの前に地元住人のイリアが通りかかる。助けを求めた彼らだったが、イリアが求める見返りはどんどんエスカレートし、やがてアリシアをレイプして・・・。

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未だに東欧的なエキゾチックさ溢れる“グルジア”って響きの方がやっぱり好みな、ジョージア産バイオレンスサスペンス。『セブンティーン・アゲイン』のスターリング・ナイト、『バイオハザード IV アフターライフ』のスペンサー・ロックらが出演。
浮気した仕返しに地雷を踏ませる導入部から、地雷踏んでて動けない状況下で愛する人が目の前でレイプされる中盤まで、もういろいろ突飛な本作。なんかこう、その後の復讐劇を盛り上げるためにだけレイプしやすい状況を無理やり練り上げたって感じが。そこに至るまでのやり取りも隙が多過ぎてイマイチ緊迫感も盛り上がらず。
ただ、そこから急転回する復讐劇はなかなか面白い。やられたことを逐一しっかりやり返す復讐劇には一種のカタルシスが味わえるし、その相手となるレイプ犯が単なる異常性愛者ではなく、戦場のような異常な状況下で残虐行為を平気で行う兵士が家に返ると単なる一般人に過ぎないのと同様に、ちょいと酒癖の悪い一般人でしかない様を描くことで、復讐者ともども人間の深層に潜む残虐性を際立たせる演出も巧い。また、果たしてしまった復讐が何も生み出さないどころか、負の感情と負の現実しか生み出さないことを明確にする結末も見事。無理やり過ぎる出だしに、そもそも原因となった人物が空気のようにフワフワとどっかに漂い去ってしまう展開など、難点も少なくない歪な作品ではあったんですけど、なんだかんだと最終的に強烈な印象を残す一本には仕上がってたなぁと。

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旅先でいろいろ捨てるのはやめましょう

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2016年04月08日

キャノンフィルムズ爆走風雲録 (The Go-Go Boys: The Inside Story of Cannon Films)

監督 ヒラ・メダリア 出演 メナヘム・ゴーラン他
2014年 イスラエル映画 89分 ドキュメンタリー 採点★★★

100万ドルで作った映画だろうが1億ドルで作った映画であろうと、概ね同じ料金で楽しめるってのが映画の素晴らしい所の一つですよねぇ。ただ、本来なら老若男女気軽に楽しめる大衆娯楽のはずが、こと日本ではおおよそハンバーガーのセット3個分、牛丼なら5杯分に匹敵する料金設定もあってか、“映画に行く”ってのがイベント化しちゃってなかなか気軽に楽しめなくなってきた感じも。そうなってくると上映される作品や観に行こうとする作品も料金に見合うものに偏ってきちゃって、バラエティにも品質のふり幅的にも乏しくなってきたなぁと。

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【ストーリー】
イスラエル映画界で成功を収めた映画監督のメナヘム・ゴーランと、従兄弟でプロデューサーのヨーラン・グローバスは渡米し、映画の都ハリウッドで新興映画会社キャノン・フィルムズを立ち上げる。低予算娯楽映画を大量生産し巨万の富を築き上げた彼らは、巨額予算作品やアート系など映画全方位に手を広げていくのだが・・・。

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80年代ハリウッドで大旋風を巻き起こしたキャノン・フィルムズの繁栄と衰退、そして形は違えど映画に対し情熱を燃やすゴーランとグローバスの姿を描いたドキュメンタリー。
とりあえず出だしにキャノン・フィルムズに対する思い入れとか思い出とかを書いて、ノスタルジックなレビューにでもしようかと思ったんですけど、どう頭を捻っても特に思い入れなど出てこない。いや、別に全く無関心なわけなんかじゃなく、ざっと調べただけでもその特定の時期に映画館なりビデオなりで観たキャノン映画の数が50本近いという、あまりに当たり前の存在過ぎて書くことが浮かばず。80年代の映画体験のかなりの割合がキャノン。もう、ほぼほぼただの日常。なので、特に書くことなし。
ただ、今の若い子なんかはキャノン映画と言われてもピンと来ないでしょうから簡単に特徴を説明すると、概ねチャック・ノリスとブロンソンとニンジャで出来てる映画。時折ゴダールやシェークスピアに手を出しちゃったりもしますが、それと同時にスタローンやトビー・フーパー、そしてやっぱりチャック・ノリスとブロンソンも手掛ける、“面白ければ別に良いじゃん”的会社。例えるなら量が多くて味付けが濃い目の大衆食堂って感じでしょうかねぇ。

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そんなキャノン・フィルムズを作り上げたゴーランとグローバスの姿と会社の盛衰を描いた本作。当人たちやジャン=クロード・ヴァン・ダム、ジョン・ヴォイトら関係者のインタビュー、当時の映画製作の舞台裏、社会や業界の反応などで構成された本作は、キャノン・フィルムズの歴史のみならず80年代映画史の一側面をうかがい知ることが出来る、懐かしさに頬を緩めながら非常に興味深く楽しめた一本で。
もともとキャノン帝国の滅亡と共に袂を分かったゴーランとグローバスの再会をメインにした作品であるためか、80年代業界史としてもキャノン映画史としても満遍なく抑えている分ある特定の分野に特化した深みはなく、「もうちょっと知りたい!」という欲求が出てしまうのだが、その辺は同時期に製作されたキャノン・フィルムズに関するドキュメント“Electric Boogaloo: The Wild, Untold Story of Cannon Films”やもろもろの映画本で補完も可能なので、その方面の知識を深めたい方々の導入編としては十分な一本。
メジャー会社が牛耳るハリウッドに風穴を開けかけた、本作の完成後程なく惜しくも亡くなってしまったメナヘム・ゴーランの映画製作に対する情熱、そして暴走するそんなゴーランを後ろでしっかりと守り続けたヨーラン・グローバス。この二人のエネルギッシュな姿に、今の映画に足りないものがなんなのかという答えが一瞬頭をよぎる感じもした一本でしたねぇ。まぁ、それが『スーパーマン4/最強の敵』じゃないことだけは確かですけど。

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失敗を悔いない姿勢は見習いたいなぁ

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2016年04月07日

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (Batman v Superman: Dawn of Justice)

監督 ザック・スナイダー 主演 ベン・アフレック
2016年 アメリカ映画 151分 アクション 採点★★★

背負ってる荷物が重過ぎて難儀していたお婆さんの荷物を代わりに背負って目的地まで一緒に行ってあげる。“善悪”で考えればこれは明らかに善ですよねぇ。でも、これが“正義か悪か?”って問題になると、ちょいと複雑になってくる。極端な例え方にはなるんですけど、この婆さんが誰かを殺すために爆弾を背負ってたんなら、善行したつもりが殺人の片棒を担いでしまう。その“誰か”ってのが連続殺人犯とかだったりすると、これまた複雑になってくる。もうちょっと極端にしてみると、その“誰か”ってのが圧政を強いる独裁者だったりすれば、それは所謂西側諸国にとっては“正義”になるのか?逆の立場ではどうだ?結局のところ、“正義”って主観的なものでしかないんですよねぇ。

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【ストーリー】
スーパーマンとゾッド将軍との戦いは、メトロポリスに甚大なる被害をもたらした。スーパーマンの持つ超人的能力は人々の尊敬を集めると同時に、人類の脅威として人々の心に恐怖を植え付けてしまう。バットマンとしてゴッサムシティの闇を守るブルース・ウェインもまた、スーパーマンの存在に脅威を感じていた。そんな折、スーパーマンに対抗しうる力を探していたブルースに天才実業家レックス・ルーサーが近付いてきて・・・。

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DCコミックの2大ヒーローの対決と、タイトルにある通りジャスティスリーグの誕生を描いたアクション大作。『300 <スリーハンドレッド>』のザック・スナイダーが『マン・オブ・スティール』からキャストと共に続投し、キャストが総入れ替えとなったダークナイト組のクリストファー・ノーランらは製作総指揮に。
ウルトラマンメビウスの第一話で、念願の地球デビューとなった新米ウルトラマンのメビウスが張り切って怪獣を倒すも周囲の街は瓦礫の山と化し、防衛チームの隊員に怒られションボリ。ふとそんなことを思い出させるオープニングから、一貫して“正義”の意味と功罪を描く本作。複数の人間の意志決定で行われるのではなく、一個人でしかないヒーローの主観的正義観念による行動がもたらしかねない恐怖や、その強大な力を前にした時の人々の反応、移ろいやすい世論など、ヒーローが現れた時の“もしも”視点で描かれる世界観が非常に興味深い。スーパーマンの宿敵として有名なレックス・ルーサーが力で対抗するのではなく社会的に抹殺しようと試みたり、スーパーマン自身もバットマンをメディアの世論誘導で悪者にしようとする、人間目線に寄った視点も面白い。

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スーパーマンとバットマンという2大ヒーローの激突をメインに描いているのだが、このヒーローたちの描き分けも巧い本作。
根っからの善人であり、その行動はあくまで個人的な正義感と善意に基づくスーパーマン。ただその一方で、『ウォッチメン』のDR.マンハッタンとオジマンディアスのように正義の実現のために自ら悪になる覚悟も大局的視点も持たない故に、その行動が思わぬ場所に害をなす場合も。また、欲や理念が行動原理を占めてるわけではない善人ならではの融通の利かない性格と、天罰に匹敵するパワーは国家や人類の脅威になりうる危険性も。アメリカを中心として活動しているが、本人に悪気がない分敵対国側に立った行動をしてしまう危険性もなくはない。国家としては危険極まりない存在
一方のバットマンもまた個人的な主観に基づいた正義感で行動をしているが、理念を実現する為には犯罪行為に手を染めることも厭わず、また自覚もしている。また、その視点は徹底的に人間側に立っている。同じくスーパーマンに対し脅威を感じているレックス・ルーサーからクリプトナイトを強奪するのだが、まだ表立った犯罪行為を行ってないルーサー側に容赦ない攻撃を加え強奪する様は、まさにダークヒーローここにあり
この性質の似て非なるヒーローたちの描き分けや社会描写、DCコミックらしい暗く重いビジュアルなど見どころ満載な本作なのだが、面白いのは残念ながらクライマックスを前にしたここまで

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いざ対決がメインとなる中盤以降になると、一気に描写が雑になってしまう本作。結局レックス・ルーサーは何がしたいのかさっぱり分からなくなるし、スーパーマンの脅威となるクリプトナイト槍を捨てたロイス・レインはそれがドゥームズデイに対抗しうる唯一の武器であることを知らないはずなのにおもむろに取りに戻ったりする行き当たりばったりさ。そんなスーパーマン最大の敵であるはずのドゥームズデイも、「あぁ、そう言えばレックスなんかやってたなぁ・・・」と思っちゃうくらい登場が唐突だし、スーパーマンすら一度は倒れた強大な敵が突然現れちゃうもんだから、バットマンは途端に空気になってしまうパワーバランスの悪さも気になる所。その空気と化したバットマンがジャスティスリーグ結成の必要性に気付く経緯も、やっぱりなんか唐突でしたし。
結局のところ、アベンジャーズでアメコミ映画フランチャイズビジネスを大成功させたマーベルに、ジャスティスリーグで対抗しようってのが本作の目的なんでしょうけど、先に挙げたパワーバランスの悪さやキャラ描写の雑さなどマーベルと比べてしまうと準備不足感が否めないだけに、今後単品で登場する予定のフラッシュやアクアマン、サイボーグらに対する期待感がイマイチ高まらないのは痛い。

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そんな後発としての焦りが見え隠れしてしまった本作ではありましたが、思わぬ収穫があったのも事実。それはブルース・ウェインに扮した『ゴーン・ガール』のベン・アフレック。そのケツアゴのせいか何度かアメコミヒーロー役候補として名が挙がり、実際にマーベル映画の黒歴史の一つである『デアデビル』やある意味スーパーマン役だった『ハリウッドランド』にも出演。ただ、どちらかと言えばいじめっ子や卑屈な役柄が似合うだけに、正統派ヒーローに扮すると違和感ばかりが際立ったりも。
今回もバットマン役に名が挙がるや否や世界中から反対の声が上がってしまったベンアフでしたが、どうしてどうして。これがなんとも素晴らしい。あくまでパーソナルな恨み辛みに怒り、嘘に信頼感の無い胡散臭さなどなど、人間としてのネガティヴさが全面に出たブルース・ウェインを見事なまでに好演。ガチムチ重量型バットスーツから見えるケツアゴも見事にフィットした、ベンアフならではのバットマンを思う存分堪能できた一本。
正直言うと男性ファンを中心に圧倒的な支持を得ているノーラン版バットマンがどうにも好きになれない私だけに、このベン・アフレックと、英国式アイロニーがより出ていたアルフレッドに扮した『エラゴン 遺志を継ぐ者』のジェレミー・アイアンズのコンビによるお高くとまり過ぎないバットマンってのを新たに作ってもらいたいなぁと思ったほどハマってたキャスティングで。

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ベン・アフレックとジェレミー・アイアンズにばかり目を奪われてしまった本作ではありましたが、大作ならではの豪華キャストを楽しめた一本でも。
古典的な二枚目なのだが、どこか嘘をついてるかのような信用できなさが良いスパイスになっているスーパーマンに扮した『コードネーム U.N.C.L.E.』のヘンリー・カヴィルを筆頭に、今後足を引っ張るだけの存在に成り下がる気配もあった『人生の特等席』のエイミー・アダムス、『キルショット』のダイアン・レイン、『シグナル』のローレンス・フィッシュバーン、『ドラフト・デイ』のケヴィン・コスナーら『マン・オブ・スティール』はそのまま続投。『MUD マッド』のマイケル・シャノンも死にっぱなしで続投
また、マーク・ザッカーバーグを更に突き抜けさせたかのようなレックス・ルーサーに扮した『ファンキーランド』のジェシー・アイゼンバーグや、スクリーンで見るのは随分と久しぶりな気がした『Mr.インクレディブル』のホリー・ハンターらも印象深し。
そしてやっぱり外せないのは、本作最大のウリでもあるワンダーウーマンに扮した『ワイルド・スピード MEGA MAX』のガル・ガドット。物語に絡んでそうで案外そうでも無かったり、出てくるや否や大暴れする溜めの無さも気にはなったが、あの攻撃的な美貌とスタイルはやはり見もの。展開そっちのけで目を奪われてしまうだけの魅力と存在感は忘れ難し。ジャスティスリーグ単品作品群の中で、唯一劇場で観たいなぁと思わせるだけの存在だったなぁと。

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焦る気も分からなくはないですが

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posted by たお at 16:04 | Comment(6) | TrackBack(35) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月04日

ここんとこのアレコレ

あらあら、ちょいとご無沙汰しちゃっておりましたが、ちゃんと生きてます。元気ですよ。
って言うのも、先週引っ越しをしまして。同じ町内の近所へ引っ越したので一切業者を使わず自分らの手で行ったんですけど、これが思いのほか重労働。家族総勢5人とは言っても、末っ子は未就学児だし長女は出不精、長男に至っては単なるアホなので何の役にも立たず。
なもんで3日もあれば終わると思った引っ越しが1週間も掛かり、先日ようやく終了。ネットも繋がりサブタレも再開出来たんですけど、まだまだ荷開けと掃除が終わってないのでちょいと更新サボりがちになるかと思いますけど、どうか気長にお付き合いくださいませ。
では、今から前住人のヤニで染まった壁掃除をしてきまーす!

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タグ:雑記
posted by たお at 09:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日々のあれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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