2016年02月09日

パラドクス (El Incidente)

監督 イサーク・エスバン 主演 ラウル・メンデス
2014年 メキシコ映画 100分 SF 採点★★★★

普段と何も変わらない行動を取ってるのに、異常に巡り合わせが良かったり悪かったりすることがありますよねぇ。“運”て言えばそれまでなんですけど、何かしらの見えない力が介在してるんじゃないのかって気になる時も。

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【ストーリー】
刑事に追われた兄弟はマンションの非常階段へと逃げ出す。追う刑事の放った銃弾は兄の足に命中するが、それと同時に原因不明の爆音が響き渡る。刑事と兄弟の3人はその場から出ようとするが、非常階段の扉は固く閉ざされ、階段を下りると元の場所へと戻ってしまう無限ループに陥ってしまう。一方、別れた夫の経営するホテルへと向かっていた中年カップルと子供たち4人は荒涼とした道をドライブしていたが、鳴り響いた爆音を切っ掛けに無限ループに陥り…。

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本作が初長編映画となるメキシコの新鋭イサーク・エスバンが脚本と監督を務めた、無間地獄の如き状況に陥った二組の姿を描くSFスリラー。
いやぁ困った。どうレビューを書いていいのやらサッパリ浮かばない。いや、面白かったんですよ。スゲェ面白い。ただ、観ながら頭の中で理解したことを文字に出来ない。もうもどかしいったら。下手に解説めいたことを書いちゃえば、それはそれで作品の面白さを削いじゃう気がしますし。
ってなわけで、手短&乱雑な無駄話でお茶を濁しますからご容赦を。

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“罪悪感”が生み出してる世界でもあるので『トライアングル』的な霊的な方面へ寄った物語のように見えるが、どちらかと言えばパラレル版『アジャストメント』みたいな“大きな力の介入による運命操作みたいな、劇中にも登場するフィリップ・K・ディックの“時は乱れて”やエッシャーの騙し絵の世界を、ロッド・サーリングと藤子 不二雄Ⓐの手を通過して映像化したような本作。不条理で分裂症気味な物語ながらも、ただ乱暴にシュールな世界に放り込むわけではなく、散りばめられた伏線や小ネタがしっかり最後に機能する練り上げられっぷりに感服した一本で。ピースがカチカチとハマっていき、最後にその世界の構造を理解出来た瞬間の脳内快感たるや。最後に繰り広げられる、普通なら余計なお世話になりそうな解説的映像もその理解する上での手助けに。
ちょっと言葉足らずなので作り手の脳内のみで完成されてるパズルのような感じも受けるが、その理解しきれなさがまた、鑑賞後に「アレはあーでこーなんだよなぁ?」と何度も反芻して考え込みたくなる魅力を生んでるとも。実際、昨晩一緒に観た妻との今日の午前中の話題の中心はこの作品でしたし。
如何にもシチュエーション・スリラー的なパッケージに期待し過ぎると題材がまるで違うため肩透かしを食らう可能性もありますし、人を選ぶ作品でもあるんですが、私は好き。もう断言

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でも結局今の自分を作り上げたのは自分でしかなく

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posted by たお at 15:25 | Comment(2) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月08日

ピクセル (Pixels)

監督 クリス・コロンバス 主演 アダム・サンドラー
2015年 アメリカ/中国/カナダ映画 106分 コメディ 採点★★★

何気に最初の就職先が大手ゲームメーカーだったので、80年代後半から90年代に掛けたゲームセンターの大変換期をその目で見てきたっていうか先頭に立って行ってきた私。所謂ゲーマーが集うテーブル筺体主体のゲームセンターから、女性やファミリーも気軽に楽しめるクレーン機やプリント機、大型筺体やメダル機が主体となる現在のゲームセンターの原形を作り売上も大幅に向上させてきたんですけど、その業界を離れてしばらく経った今ゲームセンターに遊びに行くと、バネがだるだるのクレーン機とプリント機ばっかでさっぱり楽しくない。ゲームそのものの面白さに欠いた現状に、「あれ?私の目指してた理想のゲーセンってこんなんだったっけ?」と自分の行ってきたことを振り返ってしまう瞬間も。

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【ストーリー】
グアムの空軍基地やインドを突如襲撃した往年のゲームキャラクターの姿をした謎の物体。それは、NASAが1982年に宇宙へ向け発した友好メッセージに含まれるゲーム映像を、宣戦布告と勘違いした知的生命体による地球侵略であった。通常の軍隊では歯が立たない状況に、元ゲーマーの米国大統領ウィルはかつてのゲーム仲間を集め戦いに挑むのだが…。

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パトリック・ジーンの同名短編を基に映画化された、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のクリス・コロンバスによるSFアクション・コメディ。
アンブリンやライトな作風の中にパーソナルな想いを込めて未だに愛される作品を多く残すジョン・ヒューズの下で学んだとは思えぬほど、手堅いが題材に対する愛情や気配りの感じられない“ふつー”の娯楽作ばかり作ってる印象のクリス・コロンバスは正直好きな監督ではないんですが、やはりその“らしさ”が如実に出ていた本作。時代考証にもゲームの特性にもゲーマーの生態にも気を配った痕跡の無い、ふつーのSFコメディに。確かにパックマンやギャラガが出てくれば私世代は「懐かしー!」となるし、競合メーカーのキャラが並ぶ姿に驚きもしたが、それと同時に「でもなんか違う…」と感じてしまう一本に。
しかしながら、アダム・サンドラーやアレン・コヴァートら“ハッピー・マディソン”組ががっつり噛んでくれてるおかげか、80年代ヒット曲に溢れたアダム映画っぽさを味わえた一面も。一般的には役立たない特技が世界を救う様や、子供時代のトラウマでしがない中年男となってしまった男が立ち直っていく展開、ラブコメ場面で見せる切り返しや会話の妙など、最近ちょっと元気がなかっただけにアダム・サンドラーらしさが垣間見れて嬉しかったりも

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靴職人と魔法のミシン』のアダム・サンドラーを筆頭に、『モール・コップ ラスベガスも俺が守る!』のケヴィン・ジェームズ、出るとは思ってたが予想外に出番の多かった嫁サンドラー、なんか久々に見た気がするアレン・コヴァート&ジョナサン・ラウラン&ニック・スウォードソンといったアダム一家が勢揃いしていた本作。ロブはどうした?
その他にも、『ミッション:8ミニッツ』のミシェル・モナハンや、『X-MEN:フューチャー&パスト』のピーター・ディンクレイジ、『インターンシップ』のジョシュ・ギャッド、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のブライアン・コックスに、こちらもちょっと久々に見た『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』のダン・エイクロイドといった賑やかな顔触れが勢揃い。
ただ、やはり一番の注目は『ソルジャーズ・アイランド』のショーン・ビーン。ほとんど期待していなかった本作を手に取ったほとんどの理由がショーン。「今日はどういう風に死ぬのかなぁ♪なにをやらかしちゃうのかなぁ♪」と楽しみに待ってる私の前に現れたショーンは………なんか太ってる。顔もお腹周りもパンパン。まぁ、ベテラン軍人の役だから恰幅良くしたんでしょうねぇと、そこはスルーし活躍を待ってるとなーんにもしねぇ。ただ怖い顔して怒ってるだけ。どうもクリス・コロンバスにとってショーンは、ただ怖い顔したイギリス人のようで。そんな怖い顔したイギリス人同士のショーンとブライアン・コックスを「キャッ!」と抱き合わせて「どう?面白いでしょ?」とこちらを窺うコロンバスに、やっぱりこいつとは趣味合わねぇなぁと痛感した次第で。

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見たゲーム映像がバイオハザードとかじゃなくて良かったですねぇ

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posted by たお at 15:51 | Comment(0) | TrackBack(22) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月07日

死霊のしたたり (Re-Animator)

監督 スチュアート・ゴードン 主演 ジェフリー・コムズ
1985年 アメリカ映画 85分 ホラー 採点★★★★

一人の異常者と、それに対する分かりやすい理由と原因を求める識者やメディアによってホラーが悪者にされて久しいですねぇ。犯罪を助長するいかがわしい代物としてバッシングを受け、店頭からも劇場からもブラウン管からもホラーが消え、直接的な人体損壊描写の少ない比較的安全な作品ばかりが残ることに。その一方で、『プライベート・ライアン』みたいに、低予算のホラー映画なんか目じゃないくらい凄まじい人体破壊がメジャー映画で繰り広げられてたりもしますが。まぁ、「ホラーはいかがわしくない!美しいんだ!」なんて擁護をするつもりなんてさらさらないですし、ことスプラッター映画なんかは根っこの部分でポルノと同じ映像的快楽に繋がってるのも実感として理解出来るんですけど、だからと言って“いかがわしいものをすべて排除するのが当然”みたいな心の狭すぎる世の中ってのは嫌だよなぁと。他人が何を好んでいようが別に良いじゃないの

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【ストーリー】
死体蘇生薬の開発に成功した医学生ハーバート・ウェストはルームメイトのダンと共に死体安置所で実験を行うが、蘇った死体は凶暴なゾンビと化し暴れ出し、そこへやって来た学長ホルジーを殺してしまう。彼らはホルジーの蘇生にも挑むが、ホルジーもまた凶暴なゾンビと化してしまう。そんなホルジーの診断をした脳外科医のヒルは死体蘇生薬の存在を嗅ぎつけ、それを奪おうとウェストのもとを訪れるが…。

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H・P・ラブクラフトによる原作“死体蘇生者ハーバート・ウェスト”を、本作が劇映画デビューとなった『フロム・ビヨンド』のスチュアート・ゴードンが映画化した、日本公開時に“ZOMBIO(ゾンバイオ)”なるなんとなく言いたいことが分かるタイトルを頭に付けられていた、ゴシック風味のゾンビホラーのコメディ和え。製作総指揮には、本作以降ホラーファンの間で一躍その名を知られることになるが、作る作品作る作品基本的にアレなので、“ヤツの映画だからしょうがない”と諦めと大らかな気持ちで挑む覚悟の象徴にもなるブライアン・ユズナが。本作だったか『ドールズ』だったかどの作品なのかは忘れちゃいましたが、当時劇場で巨大ロボット同士が戦ってたり、アマゾネスが荒廃した惑星の檻に閉じ込められてたりする魅惑的なイラストが切手シートタイプのチラシにびっしり描かれた“近日公開予定”チラシを貰ったのも良い思い出。その大半が作られもしなかったってのも、今となっては良い思い出の一つ。さすがエンパイア・ピクチャーズ
80年代のスプラッター映画ブームを語る上で外すことの出来ない本作。決してそのブームのど真ん中に立つ作品ではないが、埋もれて消え去っていた数多くの作品とは異なり、独特なユーモアと暴走するゴア描写が織りなす強烈な個性がいまだ輝き続ける一本。

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その見せ場だけを簡単にリストアップすると、
■筋肉ムキムキゾンビがチ○チ○をぶらぶらさせながら大暴れ!
■首を切断された男がブロッケン伯爵ゾンビになる!
■性欲を暴走させるブロッケン伯爵が裸にひんむいたヒロインに生首ク○ニ!
■その生首を怒ったヒロインのパパゾンビが捻りつぶす!
■チ○チ○ぶらぶらさせたゾンビ集団がスクリーンを埋め尽くす!
■腸が元気いっぱい飛び出し人間に絡みつく!
■バーバラ・クランプトンの柔らかそうなオッパイ!
ほら、もう文字だけでも魅惑的。妄想を爆発させた中学男子が前かがみになってビデオ屋直行。
そんな、特殊メイクを学ぶ学生たちを「現場体験できるよ!」って甘い言葉でタダ働きさせて作り上げた創意工夫溢れるゴア描写と、惜しげもなくその揉み心地の良さそうなオッパイをさらけ出すバーバラ・クランプトンの体当たりエロ描写(一部の好事家向けにダルダルに太ったオバサンのヌードも!)といった、文字通りエログロが炸裂する作品ではあるんですが、本作の魅力はそこだけに集中しているわけではあらず。

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本作や『キャッスル・フリーク』のイメージから、ブレーキの壊れたダンプカーの如く暴走と破壊を繰り広げる作風の監督、若しくはチ○チ○ブラブラさせるのが好きな監督と思われがちなスチュアート・ゴードンですが、元々舞台出身でゴシックホラー好きってのもあり、本作でもゴア描写以外の演出は基本的にゴシック調で非常に手堅い。舞台こそ現代だが、どこかハマーフィルムのような香りすら。その丁寧で手堅い演出から一転、ゴア描写になると大暴走するローギアとトップギアしかないふり幅の極端さが魅力。どっちか一方に偏ってたり、段階を踏んだエスカレートでは味わうことの出来ない極端すぎる緩急が本作をここまで輝かせている。
また、作品の雰囲気こそはかけ離れているが、ラブクラフトの原作からポイントだけはしっかりと押さえていたり、男のキャラクターが新しい生命の創造に躍起になる中、唯一生命創造の鍵を握る女性キャラがだけがそれに異を唱えたりと、原作に対するリスペクトと独自のテーマ性を確立している点も見事。「イヤイヤ!」といちゃついてるシーンから「いいわ!いいわ!」とベッドシーンへと繋がるように、何気に編集も気が利いていて巧い。
本国ではコメディとして認知されている本作。ただ、それは端から狙った笑いではなく、やり過ぎと不器用さから自然発生的に生まれた笑いがほとんど。特徴的なのは、さっきまで身綺麗で厳格だった学長がゾンビになると同時にコント髪のアホになってしまうシーン。場面の意味合いも演者もシリアスなのに、絵面がコントだからなんともシュール。そんな狙いすぎない自然な笑いも本作の魅力で。

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当たり役を手にしシリーズを象徴する役者になっただけではなく、ホラーアイコンとして数々の作品に起用され作り手の通っぷりをアピールする丁度いい人材となった『さまよう魂たち』のジェフリー・コムズを筆頭に、ハーバート・ウェストがふっ飛んでる分、観客の心の拠り所として機能していたブルース・アボット、“揉みたいオッパイランキング”なるものが存在すれば間違いなく上位に君臨してたであろうバーバラ・クランプトンなど、この後しばらくジャンル的にお馴染みとなる顔触れが揃ってるのも嬉しかった本作。そんな若手の奮闘と、この後程なくして亡くなってしまったデヴィッド・ゲイルの怪演が強い印象を残した一本で。
個人的な思い出話でアレなんですが、当時本国で話題になってることは専門誌などで知ってはいましたが、日本公開のめどは立っておらず幻の作品だった本作。そんな折、街角の小さなビデオ屋で直輸入の海賊版ビデオを発見。レンタル料金が軽く1000円を超えてた時代、本作に限っては3000円の値が。友達から金を集めていざ皆で鑑賞すると、劇場のスクリーンを直で撮ったようで観客の声から頭からなにもかにも入り込んでる上に、やたら青い画面のピントも合ってない粗悪な代物。そんなものでも期間中繰り返し観たのは良い思い出で。数年後に初めて劇場で観た時、全てのシーンをすっかり覚えていたせいか、バーバラ・クランプトンのオッパイの白さに一番驚いたってのも、今となっては良い思い出で。
因みに、最初に出てくるムキムキゾンビに扮していたのが、『ターミネーター』から『ジングル・オール・ザ・ウェイ』まで14作連続でシュワルツェネッガーのスタントダブルを担当したピーター・ケントだってのと、ボウイがこの作品のファンだったっていう小ネタをねじ込んでおしまい。

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“揉めるけど見れない”ってのと“見れるけど揉めない”ってのではどっちがいいかなぁ

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2016年02月05日

カジノ (Casino)

監督 マーティン・スコセッシ 主演 ロバート・デ・ニーロ
1995年 アメリカ/フランス映画 178分 ドラマ 採点★★★★

パチンコやパチスロといった、所謂ギャンブルってのに全く興味の無い私。もう少し詰めて言うなら、ギャンブル好きな人が嫌い。チップ上で設定されたペイアウト率が全ての世界だってのに、わざわざ攻略本まで買って大金をつぎ込む神経が分からない。でもまぁ、ビジネスとしては優れてるなぁと思ってたりも。程よく出してしっかり搾り取るバランス感覚にしろ、絶妙に弱みを突いたやり方にしろ、善良な世界とは言いませんが金儲けのやり方としては上手いなぁと。

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【ストーリー】
賭博師としての才能を買われ、ラスヴェガスのカジノ“タンジール”の経営を任されたサム・ロススティーン。経営にも天賦の才を発揮するサムの手腕によりカジノの売上は伸び続け、背後に控える組織の信頼も得ることに。やがて一目惚れした美人ハスラーのジンジャーと結婚し彼の人生は絶頂期を迎えるが、同郷のギャングで友人のニッキーがヴェガスに移り住んでから事態が徐々に悪化してきて…。

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監督にマーティン・スコセッシ、原作と脚本にニコラス・ピレッジ、そして出演がロバート・デ・ニーロとジョー・ペシという『グッドフェローズ』組が再集結して作り上げた、ラスヴェガスの裏側を舞台に描かれるモブ・ドラマ大作。
最近では大企業が経営するカジノが大多数を占め健全なエンタメギャンブル街というイメージが強いが、まだまだマフィアが頑張ってた頃の70〜80年代を舞台に、その裏側をつぶさに描いた本作。サクっと映画を楽しみたい時には手を出しにくい3時間という長さだが、ひっきりなしに誰かが喋ってるナレーションとキレの良い編集、そしてポイントを絞って繰り出されるバイオレンス描写が圧倒的なスピード感を生み出し、観る者を最初から最後まで釘づけにして時間を忘れさせてくれる。
また、主要キャラ全員がギャングだった『グッドフェローズ』とは異なり主人公が賭博師ということもあって暴力的な描写は減っているが、その分ふっ飛んだデ・ニーロがクルクル回るオープニングタイトルでも味わえる独特なユーモアが常にドラマ上に漂い、そのユーモラスな雰囲気に油断してる隙に凄惨な暴力描写が挟み込まれる緩急の付け方も見事。“モブ・ドラマのスコセッシ”を決定づけさせるだけの巧みさを持った一本で。
リベンジ・マッチ』のロバート・デ・ニーロを筆頭に、『いとこのビニー』のジョー・ペシ、人気に陰りが出始め起死回生を狙ってます感がありありだった『トータル・リコール』のシャロン・ストーン、『ハード・ウェイ』のジェームズ・ウッズといった、人気と実力を兼ね備えた大物が揃った本作。楽しむことよりも緻密な計画を立てそれを実現することに心血を注ぐデ・ニーロ扮するサムや、“友人”に対しては全幅の信頼と愛情を示しながらも、その関係に少しでもズレが生じれば途端に殺意を向け始めるピットブルのようなニッキーに扮したジョー・ペシなど、その役者の持ち味を最大限に引き出すキャスティングも魅力。

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ネタがネタだけに基本的に皆クズの役なのだが、その中でもシャロン・ストーン扮するジンジャーはピカイチ。人間的にはジェームズ・ウッズ扮するヒモ男がダントツのクズなんですが、印象とインパクトに関してはジンジャーに軍配。結婚し莫大な財産を手にし子供も儲ける最高に恵まれた環境を手にしながらも、クズのヒモ男との浮気も貢ぐこともやめず、仕舞いには夫の友人でもあるジョー・ペシにも手を出し事態を悪化させるジンジャー。酒と薬に溺れ、他の男と逢引に行くために実の娘をベッドに縛り付けるクズ中のクズとして描かれている。
ただまぁ、言い寄る男を巧みに手玉にとり、身を守るために強い男に近付き、自分の愛情は情けないダメ男に全て注ぐジンジャーの生き方や性質ってのは理解できなくもないんですよねぇ。そう生きることにメリットがある世界ですし。「愛してないと言っても、あれだけのことしてくれる男なんだから諦めれば良いじゃん!何が不満なの?」って意見も分からなくもないですけど、たぶんそれはサムを男前のデ・ニーロが扮してるからそう思うんだろうなぁ。実際ジンジャーが悪いのは確実なんですけど、サムの人としての面白味の無さってのは拷問級でしたし。
共感も身近さも感じない別世界の別人種の物語ではあるんですけど、深く描き込まれた描写にふと自分の中の悪さや弱さを見出す瞬間があったりする、非常に良く出来たドラマで。

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“人生”ってギャンブルでは負け続け

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posted by たお at 09:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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