2016年02月26日

奪還者 (The Rover)

監督 デヴィッド・ミショッド 主演 ガイ・ピアース
2014年 オーストラリア/アメリカ映画 103分 サスペンス 採点★★★

男の子って、女の子と比べると言葉の発達が遅いと言いますよねぇ。今度中学生になるうちの長男なんて、未だに質問から主語が行方不明になりますし。TVで志村けんなんかを観ながら大爆笑していたかと思いきや、ふいに「ねぇお母さん、志村けんって面白いの?」と聞いてくるみたいに。要は“お母さんは面白いと思うのかどうか”を知りたかったんでしょうけど、聞かれた方からすれば「なんだい?お前はそれも知らないで笑ってたのかい?」となっちゃうんですよねぇ。まぁ、そういう言葉足らずなところも男子の可愛い所なんでしょうけど。

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【ストーリー】
世界経済の崩壊から10年が経過したオーストラリアの荒野。その無法地帯を放浪していたエリックは、3人組の強盗に愛車を奪われてしまう。彼らが乗り捨てたピックアップトラックで執拗な追跡を始めたエリックは、道中3人組に見捨てられた男を見つけ、共に追跡を始めるのだが…。

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『アニマル・キングダム』のデヴィッド・ミショッドが、『ウォーリアー』のジョエル・エドガートンと共に練り上げた物語を映画化した、荒廃した近未来を舞台にするサスペンスドラマ。
謳い文句にある“オリジナルの『マッドマックス』以来の最高の世紀末映画!”の“『マッドマックス』以来”って部分を派手なアクションが繰り広げられるものと捉えてしまうと、ビックリするくらい肩透かしを食らうであろう本作。ただ、『マッドマックス』(2も含め)が素晴らしかったのはそのアクションのみならず、完成された世界観にもあることを踏まえれば、肩透かしからの軌道修正も十分可能な魅力を持った作品でも。
大国や都市部ではまだ辛うじて秩序が保たれているが、経済破綻の影響から立ち直るすべを一切持たない地方では軍がやる気無さげに治安維持をしている以外ほぼほぼ無法地帯と化してしまっているってのが、雰囲気として伝わって来る本作。貨幣価値を持つのは米ドルのみで、僅かに残る経済活動も中国人を中心とした移民が握っている。中国はまだ元気なのか、本国から大量の物資が輸送されており、それを守るために傭兵が貨物列車を守っている。いちいち説明はないが、どのような状況に陥っていて、人々がどのような心境で日々を過ごしているのかちゃんと分かるよう世界が描かれている。そんな見捨てられた土地で、愛する者に裏切られた二人の男が出会い、旅を通してその人物像や二人の心境の変化を描いた一本。

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敢えて多くを語らず、表情や間、僅かな情報で登場人物の過去や心境を浮かび上がらせようとした本作。その手法は嫌いではないですし、退屈することなく楽しめた一本でも。ある程度の把握は出来ましたし。
ただまぁ、主人公が単に「それオレの車。お前の車まだ動くから返せ」と言って強盗が「わかった!」と言ってれば済む話ってのは、口を開けばすかさずハエが入って来てしまいそうなので口を開けたくないんだろうなぁと考えるとしても、執拗に自分の車を追い続ける意味までをも観客に丸投げしちゃうのは言葉足らずが過ぎたのかなぁとも。愛する者に裏切られた男の最後の心の拠り所なのかも知れないし、単なる愛犬家なのかも知れないし、要は自分にとって大切なものは他人に理解されるとは限らないってことなのかも知れないんですけど、もうちょっとストンと落ちる説明が前後に欲しかったかなぁと。雰囲気重視で終わったのが惜しいとも。
ただ、風変わりな映画の中で輝きを放つ『アイアンマン3』のガイ・ピアースを筆頭に、困っちゃうと「フンフン」唸る可愛いアホちゃんに扮したロバート・パティンソン、『フライト・ゲーム』のスクート・マクネイリーなど、舞台の世界観にすんなりはまり込む役者が揃っており、足りない言葉を補っていたのは嬉しい。

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伝えてくるまで待つ忍耐も大事

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posted by たお at 15:53 | Comment(2) | TrackBack(6) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月24日

ターボキッド (Turbo Kid)

監督 フランソワ・シマール/アヌーク・ウィッセル/ヨアン=カール・ウィッセル 主演 マンロー・チェンバーズ
2015年 カナダ/アメリカ/ニュージーランド映画 95分 アクション 採点★★★

「80年代映画のイメージと言えば?」という問題があったとすれば、個人的にはもう「ドン・ラフォンティーヌ!」以外になし。スプラッター旋風やら筋肉映画の全盛とかいろいろありますが、そういったものをすべて含めたのがドン・ラフォンティーヌの声。名前を見て「誰よ?」となる方も居られるかも知れませんが、当時の予告編のナレーターは大体このお方なので、声を聞けば納得されるかと。テープが劣化しボケボケになった会社ロゴ(ベストロンとか)が映し出された後、妙におどろおどろしいこのお方の声と共に予告編が流れてくると、どんな映画でもなんとなく面白そうと思っちゃったものですよねぇ。

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【ストーリー】
核戦争により文明が崩壊し、貴重な水を巡って生き残った少数の人類が熾烈な争いを繰り広げていた1997年。コミックヒーローの“ターボライダー”に憧れる冴えない少年キッドは、そんな無法地帯で辛うじて日々過ごしていた。そんなある日、キッドは風変わりな少女アップルと出会い互いに惹かれあうが、一帯を牛耳る悪の首領ゼウスにアップルをさらわれてしまう。彼女を救い出すためアジトへと向かう道中偶然見つけたターボライダースーツに身を包み、キッドはゼウスに戦いを挑むのだったが…。

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フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセルの若手3人が、ホラー・アンソロジー『ABC・オブ・デス』のコンペティションに応募した短編を基に長編化した、SFバイオレンスアクション・ラブコメディの80年代風味仕立て。だんだん村上信五に見えてくる主人公にマンロー・チェンバーズ、遠くから眺めてる分には可愛らしいヒロインにロランス・ルブーフ、ゼウス役にカナダが誇るスキャナー、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のマイケル・アイアンサイドがキャスティング。
ちょっと前の話になりますけど、『ラブソングができるまで』のテーマ曲“ポップ・ゴーズ・マイ・ハート”が素晴らしかったのは、80年代当時にこの曲があったとしても間違いなく好きになっていた曲としての完成度の高さなんですよねぇ。「っぽいでしょう」という想い出補正に頼ったものではなく、そのものの良さ。その観点から考えると、80年代にこの映画を観たとして、果たして夢中になったかと考えるとそれは微妙

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確かにいかにも世紀末然とした悪役のコスチュームや派手なスプラッター描写、シンセのサウンドにカラフルな衣装、ヒット作後に大量に製作されたパッケージ詐欺劣化版コピー作品のような安っぽさは懐かしさと楽しさに溢れているが、やはりそれは作り手の「っぽいでしょ?」に対し「ぽい!」と答えてしまう想い出補正によるものが大きいのかと。まぁ、年齢的にも作り手がリアルタイムで経験してきたものではなく、情報として後から得た物を再現したものだから記号の寄せ集めみたいになってしまうのは仕方がないことなんでしょうけど。
ただまぁ、様々なジャンルと記号のごった煮のようでいて意外と一本の作品としてきちんとまとめられており、中でも童貞少年と不思議ちゃんのラブコメディと少年の成長劇としてしっかり完成している点は評価すべきポイントでも。SFでもバイオレンスでもアクションでもスプラッターでもあるけど、一言でまとめると“童貞映画”になるみたいな。今回のように敢えて狙わず、世代的に素直に夢中になった題材で作品を撮ったら案外良いものが出来そうな気配があるだけに、ちょいと期待したい映画人かも。

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リードしたいけどやり方が分からずリードされちゃうってのが童貞の特徴でも

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posted by たお at 15:52 | Comment(2) | TrackBack(4) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

ベルファスト71 ('71)

監督 ヤン・ドマンジュ 主演 ジャック・オコンネル
2014年 イギリス映画 99分 サスペンス 採点★★★

“道に迷う”ってことが案外嫌いじゃない私。知らない土地で道に迷うダイナミックさも好きですが、馴染みの土地で一本道を外れて迷ってしまうミステリアスさも好き。時間が経過していくと共に確かに気持ちに焦りも生まれてきますが、それも含めたちょっとした非現実な感じが堪らないんですよねぇ。だから未だ人生に迷ってるんだ。きっとそうだ

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【ストーリー】
紛争が激しさを増す、1971年の北アイルランド。英国軍の新兵ゲイリーは、治安維持を目的にベルファストへと送り込まれる。しかし、暴動に巻き込まれた部隊は撤退し、その混乱の中ゲイリーは一人取り残されてしまう。右も左も分からなければ敵か味方かも分からない状況下、彼は兵舎へ向けて脱出を図るのだが…。

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本作が長編デビューとなるヤン・ドマンジュがメガホンを握り、戦場と化したベルファストに一人取り残された兵士の脱出劇を描いたサスペンスドラマ。主演に『名もなき塀の中の王』のジャック・オコンネル、共演に今回も抜群の気持ち悪さを発揮する『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のショーン・ハリスらが。
血の日曜日事件を翌年に控えた、紛争が激化の一途をたどる1971年の北アイルランドを舞台にした本作。一人の兵士を追う、イギリス軍、カトリック系のIRAの穏健派、それに反発するIRA暫定派、プロテスタント系の民兵組織アルスター義勇軍の姿と、複雑に絡み合うそれぞれの思惑を通し当時の状況を肌感覚に描き出している。16mmフィルムとヴィンテージ風レンズによる映像も、当時の空気をより明確に伝えていた。また、思春期特有の苛立ちと現状に対する怒りが溜まりに堪った青年ショーンの顔立ちや、頭数合わせに過ぎない一兵卒の命が政治利用される様に、紛争の暗部をまざまざと描き出していたとも。
ただ、その状況描写に重きを置き過ぎたせいか、脱出劇としての疾走感や緊迫感に欠けてしまってる感も強し。テーマや物語こそは興味深いが、盛り上がりに欠けるマッタリとした時間が流れ続けるのは少々もったいないなぁと。
因みに、劇中ボウイの記事と話題が出てきて個人的に「キャー!」となったが、記事の扱いや写真の時代考証が正しくないので、いつものアドバンテージ採用にまでは至らず。まぁ、どうでもいい話ではありますが私的にはそこ大事

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別に誰でもいい存在に

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2016年02月19日

【予告編】ドルフ・ラングレン “キンダガートン・コップ2”

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のドルフ・ラングレンを主演に迎えて製作された、アーノルド・シュワルツェネッガーが子供相手にてんやわんやするアクションコメディ『キンダガートン・コップ』のまさかの続編。メガホンを握るのは、『トレマーズ ブラッドライン』『ジャーヘッド2 奪還』『山猫は眠らない5 反逆の銃痕』『U.M.A レイク・プラシッド ファイナル』と、出尽くした所から更にもう一回搾り取る“出涸らし映画”請負人の印象も強いが、その一方でみんな大好き『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』の脚本を手掛けてたりもするドン・マイケル・ポール。
本国でもDVDストレートのようですし期待するポイントも見当たらないんですが、ちびっ子とドルフの組合せも案外悪くなさそうなので心に余裕がある時にでも観てみようかと

【Kindergarten Cop 2 - Trailer】


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タグ:予告編
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2016年02月18日

キャプテン・フィリップス (Captain Phillips)

監督 ポール・グリーングラス 主演 トム・ハンクス
2013年 アメリカ映画 134分 ドラマ 採点★★★★

“海賊”と言うと、今の子なんかは手足が伸びる元気いっぱいの男の子とかジョニデのアトラクション映画を浮かべるんでしょうけど、私が真っ先に思い浮かべるのはビッケ。もうそれオンリー。なもんで、“ソマリアに海賊!”と初めて聞いた時に頭に浮かんだイメージは、“角付き兜を被ったガリガリでボロ着た黒人が木造船でヒャッハー!”。で、妙に鼻の下を掻いてばかりいる子供がひとり。あらやだ先入観。

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【ストーリー】
2009年4月。ケニアへ向けてソマリア沖を航行していたアメリカのコンテナ船マースク・アラバマ号が、4人組の海賊に襲撃される。船員を守るため単身人質となった船長のリチャード・フィリップは、小さな救命艇に乗せられ、海賊と共にソマリア本土へと向かわされる。一報を受けたアメリカ政府は、船長救出のために精鋭部隊のシールズを現地に派遣するが…。

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2009年に発生した“マースク・アラバマ号乗っ取り事件”の顛末を書き上げたリチャード・フィリップスによる“キャプテンの責務”を原作に、『グリーン・ゾーン』『ユナイテッド93』のポール・グリーングラスが映像化した実録サスペンスドラマ。製作者の中にケヴィン・スペイシーの名も。
内戦で無政府状態になったことにより管理されなくなったソマリア近海で欧州の船団が魚を乱獲。それに加え欧米の企業が放射性物質を含む産業廃棄物をソマリア沖に投棄したことにより環境が悪化し、数万人の地域住民が発病。それらにより困窮した地元漁民の一部が武器を手に海賊化したと言われるソマリア沖の海賊。
単なる野蛮な悪党として描くのではなく問題の背景をしっかりと捉えたうえで、お馴染みでもある現実感溢れる映像と高いサスペンス描写により、ドキュメンタリー並のリアリティと娯楽性、そして社会性を兼ね備えたポール・グリーングラスらしい一本に仕上がっていた。
マースク・アラバマ号のクルーと海賊との攻防劇と、シールズが参戦する救出劇という2本柱の海上サスペンスが主となる本作だが、この微妙に毛色の違う構成が怒濤の展開を生み出していた。また、その場の状況のみならず、19世紀以来となるアメリカ商船の乗っ取り事件に国民の注目が高まり、その声に押されるように圧倒的な戦力で迅速な解決を図ろうとするアメリカ政府の思惑や、不真面目な子供の将来を心配する主人公が、自分の子供と然程歳の変わらぬ将来に夢も希望もないソマリアの青年たちに襲撃されるという、一種の世界縮図をさり気ないながらも効果的に織り込み、問題の深さを説教臭さ抜きで描きだしたのも見事。なぜ今まで手に取らなかったのかを痛烈に後悔した一本で。

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主人公のフィリップ船長に扮したのは、『トイ・ストーリー3』『天使と悪魔』のトム・ハンクス。この“トム・ハンクスが髭面でどっか遠い海上で大変な目に遭う”というコンセプトを初めて耳にした際、勝手に「あぁ、なんだかんだの後抱き合って終わる、ゼメキスかロン・ハワード的なアレね」と解釈してしまい関心を持たなかったってのが、今日まで本作を手にしなかったほとんどの理由。猛省
で、本作のトム・ハンクスですが、“真面目で良い人”という標準装備をベースに規律と規則を重んじる、少々面白味に欠ける海の男を熱演。個人的にはもう少し険しい顔の役者の方がハマった気もしましたが、本物の方も案外ホワンとした顔立ちなのでこのキャスティングなのかと。原作を本人が手掛けてるだけに多少美化されているとは思うんですが、極限状態から解放され感情が爆発するラストからも見える様に、単純な英雄譚ではなく一個人とそれを取り巻く社会の物語でもある本作の主人公を演じる上では、雰囲気が似ていると同時に一般人的な役柄がハマるトム・ハンクスがベストチョイスで。
ただ、そのトム・ハンクス以上に強烈な印象を残したのが、海賊のリーダー、ムセに扮した本作がデビューとなるソマリア出身のバーカッド・アブディ。これまた当の本人の雰囲気に良く似たキャスティングなのだが、状況の変化と共に自身の立場も変化してしまう難役を、デビューとは思えぬ迫真の演技で好演。商船の船長と海賊船の船長という二人のリーダーのベクトル明確な違いと、共に重い責任を背負わされた中間管理職的リーダーであるという共通点、そして環境の違いからくる切実度の差など、トム・ハンクスとのコントラストをより明確にした見事な熱演で。夢であったアメリカ上陸を不本意な形で実現してしまったムセ。過酷な環境のソマリアからアメリカの監獄へと渡った彼の眼に、アメリカはどう映ってるのかなぁと思いを馳せたりも。
その他、出番があっという間で誰だか分らなかった『かいじゅうたちのいるところ』のキャサリン・キーナーや、グリーングラス作品常連組である『ボーン・アルティメイタム』のコーリイ・ジョンソン、『パージ』のクリス・マルケイ、『サボタージュ』のマックス・マーティーニなど、名前よりも舞台に馴染む顔を重視したキャスティングが光っていた本作。また、役者以上の存在感と威圧感を放ち、小国と大国の関係図すら透かし見せたミサイル駆逐艦トラクスタンも印象的だった一本で。

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これもまた世界の縮図のようなもの

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2016年02月16日

末っ子、プロポーズされる

全国大会出場も果たしたマーチングバンド内で目立つ存在となり、黙ってれば可愛い顔立ちも幸いしてか昨年からモテ期に突入した小6の長男。デートにも誘われ出し「こりゃぁ、バレンタインは大変なことになるなぁ」とお父さんは楽しみにしてたんですけど、ふたを開けたらチョコ1個のみ。それも大量配布の義理もん。
確かに黙ってドラムを叩いてればカッコいいけど、それ以外の時間はアホの極みとして過ごしてますし、そっちの時間の方が圧倒的に長いのでモテ期は一種の気の迷いだったのかと。

そんな期待外れのバレンタインに落ち込む長男をよそに、6歳になる末っ子の保育園児が4つのチョコを片手に帰宅。最近妙に人気者だって話は聞いてましたが、ここまでとはパパもビックリ。
本人もまんざらじゃないようで、落ち込む兄に「なんなら、ひとつ差し上げましょうかい?」と挑発。兄激怒→兄弟喧嘩勃発→弟号泣→兄の宝物シャーペン破壊→兄号泣→最初に戻るの無限ループが。

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で、その内のひとつのチョコに手紙が入ってたんですが、読んでみると

“○○くん おたんじょうびおめでとうございます(15日が誕生日)
 ○○くん いいしょにけこんしようね
 ○○くん だいすき △△のこともだいすきだよね”

とプロポーズされてやがる。しかも「お前も私のこと好きだろ?違うか?」と強めに迫られてる。
好かれてることは本人も知ってるようなんですが、さすが私の子。どうもグイグイ来る子は苦手なようで、本人の返事は「やだ」のみ。まぁ、相手の返答も「うそだ!」のみだったようですけど。
これが最後のモテ期にならないよう、気を付けて育てていかないとなぁと思ったお父さんでしたよ。自分の経験はなんの役に立たなさそうですし。

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2016年02月15日

ハード・ラッシュ (Contraband)

監督 バルタザール・コルマウクル 主演 マーク・ウォールバーグ
2012年 アメリカ/イギリス/フランス映画 109分 アクション 採点★★★

上司に気に入られることに全力を尽くす人っていますよねぇ。それはそれで才能の一つだとは思うんですけど、気に入られた結果、大きなプロジェクトや責任ある立場を任せられちゃって実力不足を露呈したりも。そこで身の程を知って努力をすればいいんですが、そういう人って責任転嫁の才にも長けてるんで、実力を伴わないまま出世し続けたりも。

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【ストーリー】
世界最高の運び屋と称されながらも、家族のために裏稼業から足を洗い真っ当な生活を送っていたクリス。だが、義弟が麻薬の密売に失敗し多額の借金を背負ってしまう。組織から家族を守るため、クリスはかつての仲間を集めパナマから大量の偽札密輸計画を立てるのだが…。

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2008年のアイスランド映画『Reykjavík Rotterdam』を『2ガンズ』のバルタザール・コルマウクルがリメイクした犯罪アクション。主演のマーク・ウォールバーグも製作者に名を連ねている。以前にも一度鑑賞しているんですが、「なんか面白かった」って以外はすっかり記憶から消え去っていたので再鑑賞を。
“堅気になった凄腕犯罪者が家族のためにもう一度だけ犯罪を犯す”という、よくあるプロットをよくある展開で最後まで通す、よくあるづくしの本作。主人公が犯罪の才も頭脳も腕力もずば抜けているので全くハラハラしない安心感に溢れすぎてるってのも、鑑賞後するする記憶から消え去っていく要因なのかと。
じゃぁ、その“なんか面白かった”って印象はどこから生まれたかと言えば、それはやはり犯罪描写の緻密さから。組織やネットワークの在り方から手口、巧みなトリックなど「そんなにバラして大丈夫なのか?」ってほど運び屋稼業の手の内を見せてくれている。犯罪には変わりないし運ぶ物にもよってくるんですが、基本他人に害を与えないどこか“怪盗○○”を見てるかのような清々しさや面白さ、憧れすら感じるカッコ良さが。
また、全てにおいて優れている主人公目線で観るとスリルが感じられないが、そんな主人公の近くにいたからこそ評価され、それを実力と勘違いしてしまった身の程知らずの悪役目線で観るとなかなかスリリング。困ってるのは主人公じゃなく悪役の方だし、四面楚歌で絶体絶命なのも悪役の方でしたし

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主人公のクリスに扮したのは、『テッド2』『ローン・サバイバー』のマーク・ウォールバーグ。素がそうだからしょうがないんですけど、元チンピラもしくは現在進行形のチンピラがここまで似合う役者もそうそう居ない。天才的な犯罪者で人望も厚く、腕っ節が強くて奥さんが美人という完璧すぎる役柄を、完璧なキャスティングであるマーク・ウォールバーグが演じてるという所が案外本作の印象を薄くしてしまった一因なのかと。
また、恋愛感情に似た匂いすら漂う忠実な部下や相棒役をやらせるとひときわ輝くメカニック』のベン・フォスターや、やたら凄んでくるのに主人公にやられっぱなしで良い所が一つもなかった『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』のジョヴァンニ・リビシなど、この“ハマり過ぎたキャスティング”ってのは隅々に施されていた本作。似合い過ぎてて印象が薄いってのはここでも同じなんですが、悪巧みが全てばれて主人公にボコられた後の、まるで失恋をしてしまったかのような哀しげな顔したベン・フォスターは絶品で。
この中では、クリスの美人過ぎる妻に扮した『トータル・リコール』のケイト・ベッキンセイルに若干の違和感を感じるんですが、田舎町でよく見かける“品の無いママグループの中では上品”という程よい下品さが、やっぱり良くハマってたなぁと。
その他、「コイツ一人死ねばいいんじゃね?」と思うほど状況を悪化させるだけの存在だった『ビザンチウム』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズや、ジョン・ブックの頃の面影が半端に残っててちょっと気持ち悪さすら感じた『インセプション』のルーカス・ハース、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のJ・K・シモンズに、ボールドウィン一家やウェイアンズ一家並にウジャウジャいるウォールバーグ一家より『イコライザー』のロバート・ウォールバーグらがキャスティング。

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強い人の隣にいると自分も強いと勘違いしちゃいがちで

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2016年02月13日

ゾンビーバー (Zombeavers)

監督 ジョーダン・ルービン 主演 レイチェル・メルヴィン
2014年 アメリカ映画 77分 ホラー 採点★★

ダメな作品を笑い飛ばす楽しみ方ってありますよねぇ。で、そういう作品って、作ってる方が真剣であればある程面白くなったりも。若しくは、金のために仕方なくホラー映画を撮ってたりする場合に醸し出される嫌々感や恨みつらみなんかも、狙っては出せない得も知れぬユーモアが感じられたりするんですよねぇ。でも、そういった作品を器用な人が狙って作ったり、腕が付いてきてない人が逃げの方法で作ったりすると、途端に面白味がなくなったりする場合も。

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【ストーリー】
湖畔へキャンプにやって来た女子大生三人組。それぞれの彼氏らも合流し乱痴気騒ぎを楽しんでいたが、そこへ突然医療廃棄物の影響で凶暴なゾンビと化したビーバーが襲ってくる。山小屋に立て篭もる彼らだったが、ゾンビーバーはその小屋を取り囲み…。

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バラエティ番組の放送作家なんかをやっていたジョーダン・ルービンの長編デビュー作となる、ゾンビなビーバーが大暴れするホラーコメディ。
基本悪ふざけだけで出来ている本作。「ビーバーがゾンビになるんだよぅ!そのビーバーは出来そこないのパペットなんだよぅ!面白いでしょ!」ってな姿勢なんですが、如何せん全力で悪ふざけをしてるんではなく、「別にふざけてるだけだし」と言う感じの逃げの姿勢が垣間見えちゃって全然ノレず。10分程度の1コーナーコントであれば存分に楽しめたんでしょうけど、長編としては笑いも怖さも全て及第点以下の代物に。せめてどちらか一方に特化してくれれば良かったのになぁと。もっともう一方のビーバーの意味をイジリ倒すとか。
ただまぁ、ホラー映画の典型的なキャラ配置とロケを用いつつ最初に死にそうなアバズレキャラを最後まで奮闘させたりする捻りや、繋がりの良いオチ、意外とよく出来てた感染者メイクと見どころも少なくないので★はオマケ気味。“ZOMBEE”っていうストレートすぎるダジャレも嫌いじゃなかったですし。
そう言えば、オープニングとエンディングに出てくる運搬業者、てっきりビル・ヘイダーかと思ってたらミュージシャンのジョン・メイヤーだったんですねぇ。

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ビーバー&ビーバー

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タグ:★★ ホラー
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2016年02月12日

ナイトクローラー (Nightcrawler)

監督 ダン・ギルロイ 主演 ジェイク・ギレンホール
2014年 アメリカ映画 117分 ドラマ 採点★★★★

街行く人々のほぼほぼ全員がある種の撮影機器を持ってるようなもんなので、“一億総ジャーナリスト時代”とか“一億総パパラッチ時代”とか言われてたりしますねぇ。ただまぁ、別に発信した情報に責任を持ってるわけでも義憤なりの考えがあるわけでもなく、ただただ「スゴイでしょ!」と拡散して共感を得たいだけってのがほとんどなので、その称され方は当てはまらないような気が。なんと言うか、ただの野次馬なだけなのではと。

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【ストーリー】
ロサンゼルスで定職に付かず、コソ泥などでその日暮らしを続けるルイス・ブルーム。そんなある日、偶然出くわした事故現場でニュース映像専門のパパラッチ“ナイトクローラー”に出会った彼は、自身もナイトクローラーを生業にしようと決心。早速ビデオカメラを購入し夜の街に車を走らせるのだが…。

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ボーン・レガシー』の脚本を手掛けたダン・ギルロイが監督デビューを果たした悪党ドラマ。兄のトニー・ギルロイが製作を務め、双子のジョン・ギルロイが編集を手掛けたギルロイだらけの一本。
報道の自由やら伝える義務やらを笠に着て、プライバシーもモラルも無視し刺激的で過激な映像を撮り続けるナイトクローラーと、視聴率と自分の進退のためにその映像を高値で買い続けるTV局という、基本的にゲスな人種しか出てこない本作。その背後に居る刺激的な映像を求める一般視聴者の存在も同類。結局“野次馬代行人”でしかないメディアの現状と内幕を、美しい夜の映像とスピーディな展開で描き切った一本。
警察無線を傍受し、救急隊や警察より早く現場に到着して犠牲者を撮影する彼らの姿にはモラルの欠片もない。また、映像としての刺激性を高めるために死体を移動し、次なるニュース映像を得るために証拠映像を隠す様などは、モラル以前に犯罪でしかない。ただ不思議なことに、あくまで私個人の印象なのかもしれないが、そこに嫌悪感が然程感じられない。ゲスな商売なのは確かだが、ニーズに応えるプロの姿として清々しさと悪党ならではの暗い輝きを持って描かれているような感じすら。闇雲なメディア批判ではなく、人々の持つ暗い欲求と、それを生業とするダークヒーローの姿を正面から描いた作品という印象が。なんと言うか、「確かにオレはゲスだけど、その映像見て喜んでる君らはどうなの?」と突き付けてくる、清々しいまでの開き直りっぷりと現実を見つめる冷静で冷徹な視線みたいな。正直なところ、“死”をとことんボカし文字上の出来事としてしか伝えないメディアと、自分が不快に感じる物は一般論的な悪だと押し付ける視聴者、その一方で公人や著名人に対しては何をやってもいいという野次馬根性と私刑感情に溢れた日本のメディアとその周辺に比べれば、全然健康的だなぁと思えてしまう瞬間すら。

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そもそも、メディア批判ってよりも現代人の闇の方に注目した本作。「やだねぇ、怖いねぇ、でも自分じゃなくって良かったねぇ」と言いたいだけの野次馬視聴者はもちろんのこと、他者との深い関係性を築けず、知りたい知識のみをネットから得て、それだけで全てを知ったと勘違いするような人種。
そういう意味では、本作で製作も務めた『エンド・オブ・ウォッチ』のジェイク・ギレンホールのキャスティングは完璧。もともと空ろな眼をした覇気の無い現代っ子役がドハマリする役者だったが、そんな若者が他者との接触を持たないまま中年へと差し掛かってしまったかのようなルイスを、鬼気迫るなんて言葉が安易に思えるほどの熱演。これまた安易な例えで申し訳ないんですけど、まさに現代のトラヴィス・ビックル的な気持ち悪さとカッコよさが。
また、ダン・ギルロイの妻でもある『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のレネ・ルッソの、虚勢と虚栄と過去の栄光にしがみ付いてる様を象徴するかのような怪物めいた厚化粧っぷりも、本作で描く闇を見事に表していたなぁと。
その他、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のビル・パクストンや、キューザック家の長女『ポイント・ブランク』のアン・キューザックらも印象的だった一本で。

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モラルはないが偽善でもない

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posted by たお at 14:52 | Comment(3) | TrackBack(32) | 前にも観たアレ■な行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月10日

2016年1月度 ベスト&ワースト

常に“今現在のボウイ”を愛してたんで、“ボウイの存在しない今”ってのに未だにイマイチ対応しきれてないたおです。そんな音楽を聴く原動力の根っこの部分がフワフワしちゃってるんで、最近音楽からは遠ざかっちゃってますが、映画に関してはまだ大丈夫。そんなこんなでランキングー!

ベスト
@マーシュランド
Aピエロがお前を嘲笑う
Bアリスのままで
Cジャッジ 裁かれる判事
Dマザーハウス 恐怖の使者

年明け早々見応えある作品ばかりに出会えた、なかなかの好スタートを切れた1月。非ハリウッド系のめっけもんが多かったのも特徴で。まぁ、本国ではそれなりの評価を得ている作品に対し“めっけもん”と言うのもアレですけど
中でも、本格的な刑事ドラマの醍醐味を存分に味わえただけではなく、投げっぱなし気味の結末にその国が抱える過去をしっかりと織り込んでいた@が突出。また、受けた影響を素直にそのまま消化し、そこにオリジナリティ溢れる映像表現が加わったAを作り上げたバラン・ボー・オダーは、今後が楽しみな映画作家の一人で。BCに関してはもうちょっと掘り下げて欲しかった気もするが、実力ある演者がその実力をこれでもかってほど披露してくれたので、その辺の不満はチャラに。Dはどう考えても父親が不憫でしょうがないんですけど、物語構成の巧さには舌を巻いた一本。

ワースト
@カリフォルニア・ダウン

良い作品にばかり出会えたんで不満の無い一カ月だったんですが、“地震”という設定がまるで活かされていない、雑で溜めもないカタルシス皆無の破壊描写と、個人主義が悪い方向に出た都合のよいドラマという、大味大作のお手本のようだった@はちょっと手に負えなかったなぁと。

そんなこんなの1月。今月もこんな感じでマッタリ映画を楽しみたいなぁと思ってるんですが、娘の高校受験に長男の中学入学準備、末っ子の小学校入学準備と、考えてみたらイベントがとんでもなく重なってるのでそうもいかないなぁとボヤいておしまいー!

【2016年1月度 全鑑賞リスト】
ピエロがお前を嘲笑う ★★★★
チャイルド44 森に消えた子供たち ★★★
マザーハウス 恐怖の使者 ★★★
マーシュランド ★★★★
カリフォルニア・ダウン ★★
アリスのままで ★★★★
Mr.タスク ★★★
テッド2 ★★★
ジャッジ 裁かれる判事 ★★★★

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posted by たお at 11:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 月間ベスト&ワースト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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