2014年 イギリス/アメリカ/フランス/スウェーデン映画 92分 サスペンス 採点★★★
ウチの子供らが話す“小さい頃の思い出話”を聞いてると、結構な割合で私ら親が話した「あんたの小さい頃〜」の話が本人の記憶にすり替わってたりするんですよねぇ。仕舞いには「覚えてる?」とまで言われますが、覚えてるも何も、それ話したの私だし。時折、記録よりも記憶を重視してしまう風潮を感じてしまうこともありますが、記憶なんてものは容易に編集改竄出来るものなんだよなぁと、子供らの様を見て改めて感じた今日この頃。
【ストーリー】
彼女は朝目覚めると前日までの記憶を全て失ってしまう記憶障害に悩まされるクリスティーン。彼女を献身的に支える夫のベンのことも、記憶障害の原因となった事故のことも思い出せない困惑と混乱の日々を送っていた。そんな彼女は担当医の勧めでビデオ日誌をつけ始めるが、それにより医師と夫の言い分の食い違いに気づいてしまう。誰を信用していいのか分からなくなった彼女は…。
そこそこネタバレしますよ。
S・J・ワトソンによるベストセラーミステリー『わたしが眠りにつく前に』を、『28週後...』『ラスト・ターゲット』の脚本を手掛けたローワン・ジョフィが映画化したサスペンスミステリー。製作総指揮にリドリー・スコットも。
都合の良い記憶を植え付けることが可能なだけにミスリードし放題な本作。ただ、それだけミスリードを試みるってことは、一番疑いにくい人物がクロだってことを言ってるようなものなので、真相は至って想定内の安心設計。まぁ、意外な真相でビックリさせるタイプの作品ではなく、混乱の中から少しずつ真相に近付いていく主人公の姿を描いている作品なのでネタの安易さには然程不満はないものの、困惑描写以外にこれといって見どころがないのは少々物足りず。
また、道端でたまたま見掛けた主人公を親身に診療する医師や、毎朝面倒くさい説明業務をこなし続けてまでもそばに居続けようとする“夫”など、状況設計のためとはいえ不自然と言わざる得ない人物描写にも難ありかと。この不自然さをスパーンと解消するだけの説得力が締めになくフワっと軟着陸してしまったのも、ネタは良いんだけど調理がイマイチって印象を感じた要因では。まぁ、“優しくハンサムな夫”“その夫に似てハンサムな息子”と散々ハードルを上げておきながら、出てきたのが妙に甘ったるいチンチクリン夫とボヤっとした息子だったってインパクトは強烈でしたが。
宵越しの記憶を持たないクリスティーンに扮したのは、『ウソツキは結婚のはじまり』『奥さまは魔女』のニコール・キッドマン。以前は常に惚れ惚れさせられる大好きな女優の一人だったんですけど、少々お直しが過ぎてしまってからは主演作を観る気にならなかったんでずいぶんと久しぶりに観た印象があるんですけど、薄化粧に緊張した困惑顔で始終映ってからか、記憶にあるニコール・キッドマンとほぼ一致。冷静に考えれば浮気ばっかりしている役柄に、それなりの気品ってのを感じさせたのは流石かなと。
また、些細なことで異常なまでにキレるくせに妙な所では辛抱強い“夫ベン”に扮したのが、『キングスマン』のコリン・ファース。表裏を巧みに演じ分けられる役者だけに適役ではあったんですけど、最近ちょっと苦虫を噛み潰したような顔ばっかしてる印象も。
そんなコリン・ファースとは『キングスマン』でも共演している『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のマーク・ストロングも、持ち前の胡散臭さを発揮した好演を。
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