2015年10月31日

凶悪

監督 白石和彌 主演 山田孝之
2013年 日本映画 128分 サスペンス 採点★★★

犯罪に巻き込まれない為には犯罪者のテリトリーに身を置かない”ってのをモットーにしているので、これといった犯罪に巻き込まれたこともなければ、それっぽい知り合いもいない私。なもんで、ニュースや映画などで知る犯罪の内容を、ただただ「怖いねぇ、怖いねぇ」とお茶でもすすりながら言ってるのみ。でも、考えてみれば目や耳にするものって明らかになったものだけなので、知られないまま埋もれてる犯罪や、何食わぬ顔した犯罪者がその辺に居る可能性が高いんですよねぇ。そっちの方がもっと怖い。それでもまぁ、「怖いねぇ、怖いねぇ」と他人事のように言ってるだけなんですけど。

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【ストーリー】
スクープ雑誌“明潮24”の記者である藤井に届いた死刑囚の須藤からの手紙。そこには、判決を受けた事件の他に、彼が関わった知られざる3件の殺人事件について書かれていた。半信半疑であったが、取材を進めるうちにその告白が真実であると確信する藤井。やがて、事件の背後に“先生”と呼ばれる男の存在が明らかになり始め…。

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“新潮45”のスクープ記事によって明らかになった上申書殺人事件を基に、その凄惨な内容と記者の執念の姿を描いた実録犯罪サスペンス。死刑囚の告白やそれを基にした実録ものというと『冷血』や『カポーティ』を思い起こさせるが、どちらかと言えば怖いもの見たさの下世話な好奇心を満たしてくれる“劇場版ウィークエンダー”のような趣があった一本。
怒りや恨みではなく、欲や利益を満たすためである故に殺人に対する躊躇や罪悪感のない“先生”や、殺人が日常における特殊なイベントと化してる須藤の姿を中心に、借金清算の為に家族の殺害依頼をしたり、断り切れずに遺体処理を手伝う一般人、土地持ち老人を斡旋するブローカー、立件の難しい犯罪には手を出したがらない警察など、ありとあらゆる“悪”が描かれる本作。もう、隅々“悪”だらけ。善側に思える記者も、痴呆の母親を妻に押しつけている現実からの逃避と、「オレがやらなければ!」「正義の為に!」と正義を言い訳に取材を重ねているに過ぎない。明らかに感覚のズレた本物の怪物と、そのズレは僅かだがやってることは悪事に変わりがない所謂一般人との織り交ぜ方も上手い。
淡々と殺人を繰り返す犯罪者の思考や行動、またそれが日常と化してる様に戦慄を覚える“怖い映画”としては十分であるし、その“なぜ”が分からない怖さこそが本作の肝なんでしょうけど、「怖いねぇ」で終わってしまうそこに少々の物足りなさを感じたのも事実。人相の悪さを最大限に活かしたピエール瀧や、内から滲み出てくるような変態性が絶品だったリリー・フランキーが素晴らしかっただけに、彼らのそもそもの接点や形成過程をもう少し知りたかったなぁとも。

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欲に素直

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2015年10月30日

決して、ひとりでは見ないでください ベスト10

「すげぇ怖いから一人じゃ観ない方いいよ!」ってホラー映画のランキング。
ベタ且つ非常に古いキャッチコピーを記事タイトルに使用した上に、よそ様の企画をそのまんまペタリとしてるだけの安易さなんですけど、まぁハロウィンだからいいかと。なんで“いいか”なのかは自分でも不明

【Top 10 Movies You Shouldn't Watch Alone】


10位 ストレンジャーズ/戦慄の訪問者
   2008年 アメリカ映画 監督 ブライアン・ベルティノ 主演 リヴ・タイラー
9位 死霊館
   2013年 アメリカ映画 監督 ジェームズ・ワン 主演 ヴェラ・ファーミガ
8位 パラノーマル・アクティビティ
   2007年 アメリカ映画 監督 オーレン・ペリ 主演 ケイティー・フェザーストン
7位 エイリアン
   1979年 アメリカ映画 監督 リドリー・スコット 主演 トム・スケリット
6位 ファニーゲーム
   1997年 オーストリア映画 監督 ミヒャエル・ハネケ 主演 スザンヌ・ロタール
5位 REC/レック
   2007年 スペイン映画 監督 ジャウマ・バラゲロ 主演 マヌエラ・ベラスコ
4位 THE JUON/呪怨
   2004年 アメリカ/日本映画 監督 清水崇 主演 サラ・ミシェル・ゲラー
3位 ザ・リング
   2002年 アメリカ映画 監督 ゴア・ヴァービンスキー 主演 ナオミ・ワッツ
2位 ブレア・ウィッチ・プロジェクト
   1999年 アメリカ映画 監督 ダニエル・マイリック/エドゥアルド・サンチェス 主演 ヘザー・ドナヒュー
1位 エクソシスト
   1973年 アメリカ映画 監督 ウィリアム・フリードキン 主演 エレン・バースティン

【Another Top 10 Movies You Shouldn't Watch Alone】


10位 ハロウィン
   1978年 アメリカ映画 監督 ジョン・カーペンター 主演 ドナルド・プレザンス
9位 シャイニング
   1980年 イギリス映画 監督 スタンリー・キューブリック 主演 ジャック・ニコルソン
8位 ディセント
   2005年 イギリス映画 監督 ニール・マーシャル 主演 ショーナ・マクドナルド
7位 スペル
   2009年 アメリカ映画 監督 サム・ライミ 主演 アリソン・ローマン
6位 死霊のはらわた
   2013年 アメリカ映画 監督 フェデ・アルバレス 主演 ジェーン・レヴィ
5位 シックス・センス
   1999年 アメリカ映画 監督 M・ナイト・シャマラン 主演 ブルース・ウィリス
4位 ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ
   2005年 アメリカ映画 監督 ジョン・ポルソン 主演 ロバート・デ・ニーロ
3位 フッテージ
   2012年 アメリカ映画 監督 スコット・デリクソン 主演 イーサン・ホーク
2位 インシディアス
   2010年 アメリカ映画 監督 ジェームズ・ワン 主演 パトリック・ウィルソン
1位 ババドック 〜暗闇の魔物〜
   2014年 ジェニファー・ケント 主演 エシー・デイヴィス

ランキング形式の定めとして非常に無難な作品が並んでおりますが、「仮装して街を練り歩くのはアレだけど、せっかくのハロウィンだからホラー映画でも観るか!」ってお気軽気分の時には参考になるのかと。ただ、1位に『ババドック 〜暗闇の魔物〜』が来るのはちょっと意外。好きな作品なんで嬉しくはありましたが。

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タグ:雑記
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2015年10月29日

LEGO(R)ムービー (The Lego Movie)

監督 フィル・ロード/クリストファー・ミラー 主演 クリス・プラット(声)
2014年 オーストラリア/アメリカ/デンマーク映画 100分 アニメ 採点★★★

5歳の末っ子がレゴの箱を持ってきて、「これと同じものを作れや」と私にリクエスト。「かしこまりました」と形ばかりではなく色まで見本と同じものをせっせと作ってると、「ここにコレ付けて〜、そこはコレ!」とまるで違うパーツを付けてくる。「なるほど。これが子供特有の自由なイマジネーションなんだな」と私もある程度ワンパクに作り始めた途端、「全然違う!作り直せ!」とご立腹になる5歳児。結局、5歳児の言うことを聞いてるフリしながら見本通りのものをせっせと作る作業に戻る私でしたとさ。

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【ストーリー】
全てがレゴで作られたレゴワールドで暮らす、何の特徴もない作業員エメット。決められたルールに則って生きる平凡すぎる性格故に誰にも求められず、平和だが退屈で寂しい日々を送っていた。そんなある日、レゴワールドに君臨する“おしごと大王”の邪悪な企みを阻止する伝説の勇者と勘違いされてしまうエメット。バットマンら個性派揃いのヒーローたちと共に、世界を救う大冒険に出る羽目になってしまい…。

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クリス・プラットを始め、アニメ声優初挑戦のモーガン・フリーマンやリーアム・ニーソン、ウィル・フェレルといった豪華スター競演で贈る、『21ジャンプストリート』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーによるレゴアドベンチャー。
付けざる得なかったのか自主判断なのかは定かじゃありませんが、わざわざタイトルに組み込まれた商標登録マークが気になるものの、マトリックス社会下のトイ・ストーリー的な多層構造の物語と、バットマンやスター・ウォーズといった製作会社の枠を超えたキャラクター共演が楽しかった本作。子供にとって最も身近な支配階級である親を頂点とした社会構造や、現実的なルールに囚われない自由な発想の世界をそのまま映像にしたかのようなビジュアルなども非常に興味深く鑑賞出来た作品でも。「もうちょっとレゴセット増やしてみようかなぁ」と思わせるコマーシャルな力を持ちつつ、子供と遊ぶ時は子供の世界観を大切にするってことにも気付かされた一本。
ただ、“普通の何が悪い!”“誰もが特別”“自由な発想を大切に!”などなど、相反してはいないが微妙にベクトルの違う主張が入り乱れ過ぎて、結局のところどれを最も伝えたいのか分からなくなる散漫さが残念な印象も。レゴワールドにとって一難去ってまた一難じゃ済まされないクラスの大災害が待ち構えるエンディングも良かっただけに、ちょっとそこが惜しかったなぁと。

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主人公のエメットの声を担当した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラットを始め、ワイルドガールに扮した『ハンガー・ゲーム』のエリザベス・バンクス、お得意の二面性を披露する『ラン・オールナイト』のリーアム・ニーソンや、ナレーションの仕事も多いからてっきりやってるとばかり思ってたら意外にもアニメ声優初挑戦だった『オブリビオン』のモーガン・フリーマンといった、非常に豪華なキャストが揃った本作。
それ以外にも、すっかりネタ扱いのグリーン・ランタンに扮した『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』のジョナ・ヒルや、そのジョナとのコンビ芸がお馴染みになりつつある『フォックスキャッチャー』のチャニング・テイタムがスーパーマンに。また、シャキール・オニールやC-3PO、ランド・カルリシアンはご本人登場という豪勢さ。
ただ、やっぱり本作の目玉と言えば『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』のウィル・フェレルでしょうねぇ。アニメパートでのダークサイド父親を嬉々として演じたかと思えば、実写パートではそれを秘めた控えめ父親を演じる、非常に細やかな表現力を披露したフェレル。その器用さは、同じく声優に挑戦した『メガマインド』を思い出すまでもなく分かっていたつもりでしたが、やっぱりフェレルは芸達者だなぁと改めて実感した一本で。

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個性派に囲まれたら普通の方が目立つ

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2015年10月28日

ゼロ・ダーク・サーティ (Zero Dark Thirty)

監督 キャスリン・ビグロー 主演 ジェシカ・チャスティン
2012年 アメリカ映画 157分 ドラマ 採点★★★

結局のところ真実ってのはその当事者しか知らないんですよねぇ。もちろん第三者の裏付けってのも必要ですけど、基本的には当事者の発表を「ハイ、そうなんですね」と受け入れるしか。ただまぁ、全てに疑いの目を向けるってのもアレですけど、記憶は記録じゃないんでその証言を鵜呑みにし過ぎるのも危険ですよねぇ。

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【ストーリー】
2001年9月11日に発生した同時多発テロの首謀者としてアメリカが全力を挙げて捜索するも、一向にその行方を掴むことが出来ないウサーマ・ビン・ラーディン。巨額の予算を投入しても進展のなかったCIAだったが、女性分析官マヤの奮闘が実り、ウーサマが潜伏していると思われる屋敷を発見。特別チームが屋敷を急襲するが…。

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もう死んでんじゃね?」ってのが有力になりつつあった時期だけに、その唐突さに驚かされたウサーマ・ビン・ラーディン殺害に至るまでの経緯と、女性分析官の執念の捜査を描いた、『ハート・ロッカー』『ハートブルー』のキャスリン・ビグローによる実録サスペンス・ドラマ。
ブッシュ政権時代には戦争を継続させたいがためだけに所在を知りつつも敢えて泳がせているとか、同じ理由で死んでるのを隠しているとも噂され、思慮深過ぎて世界情勢を混乱に陥れるオバマの時は二期目の選挙を前にした実績作りに利用したとも噂された、ほぼほぼ都市伝説のような存在だったビン・ラーディンの発見・殺害に至るまでを丹念に描いた本作。2時間半超えの長尺ながらも、世界が大きく変わってしまった瞬間である9.11の記憶をまざまざと蘇らせるオープニングから、畳みかけるイベントの多さと拷問も厭わない捜査の苛烈さ、明確に描き分けされた人物像などで一切だらけさせることなく突き進んだ手腕は見事。政府の方針が変わることによる現場への影響や、決して劇的ではなくひょんなことから事態が急変する実録ならではの展開も興味深い。達成感よりも、そこに至るまでに失った時間や人々、変わってしまった自分を見つめた故での涙のようなエンディングも印象的。
ただまぁ、政府と当事者の発表のみであるビン・ラーディンの殺害と遺体確認、その後の空母上での水葬やDNA鑑定に関する不透明さという、当時感じたモヤモヤを解消するだけの描写は一切なく、「ハイ!これでぜーんぶ!オシマイ!」と無理やり幕を下ろされた感じを受けてしまったかなぁとも。

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“白髭に杖”で真っ先にガンダルフを思い出す主人公のマヤに扮したのは、『インターステラー』『MAMA』のジェシカ・チャスティン。痩せぎすで落ち窪んだ眼がどこか亡霊的で、揺るぐことのない執念深さを印象付ける熱演。
また、『デス・レース』のジェイソン・クラークや、見る度にメアリー・マクドネルを思い出す『ロボコップ』のジェニファー・イーリー、ここ最近ハズレ映画で見たことがないキングスマン』のマーク・ストロング、『アルゴ』のカイル・チャンドラーに、『ボーン・アルティメイタム』のエドガー・ラミレスといった錚々たる顔触れが集結。
その他、『ウォーリアー』のジョエル・エドガートンや、『ジュラシック・ワールド』のクリス・プラット、最近立て続けに出演作を観てる気がする『THE GREY 凍える太陽』のフランク・グリロ、『オーバードライヴ』のハロルド・ペリノー、監督としてのイメージが強い『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』のマーク・デュプラスに、『エクスペンダブルズ2』のスコット・アドキンスといった、これまた錚々たる面子が短い時間ながらも次々と登場してくれるのも嬉しい。
そんな中でも、鈍重そうに見えながらも人の本質を鋭く見抜くCIA長官に扮した『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』のジェームズ・ガンドルフィーニを観れたのが一番嬉しかった一本で。

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世間向けの“ここだけの話”

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2015年10月27日

劇場版 テレクラキャノンボール2013

監督 カンパニー松尾 出演 バクシーシ山下 他
2014年 日本映画 132分 ドキュメンタリー 採点★★★★

テレクラや風俗ってのを、これまで一度も使ったことのない私。別に真面目ぶってるわけでもなければ、そこで働く人や利用する人を見下してるわけでも、性欲に乏しいわけでもなし。むしろ過多。ただ単に、セックスのどこに喜びを感じてるかの違いだけなのかと。もちろん行為そのものも好きなんですけど、そこに至るまでの手間暇とか経緯が大好き。ついこの間までただの知人の一人にしか過ぎなかった人が今目の前で全裸になってる、そんな日常の大きな変化が好き。たぶん、「やりてー!風俗行くか!」って人よりもエロいんだろうなぁ、私。

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【ストーリー】
東京から札幌までを各々車やバイクで移動し、各都市で制限時間内にテレクラやナンパを駆使して見つけた女性をビデオ撮影に持ち込めるかを競うレース。前回、最終決戦地の札幌まで首位を独走しながら逆転敗退してしまったバクシーシ山下は、雪辱を果たすべく今回も首位をキープしたまま札幌入りを果たすのだが…。

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ヌキどころがないとはいえ基本的にはアダルトビデオなので、エロ・グロ・スカトロに全く耐性のない方や、女性問題に関し日々戦ってらっしゃる方々には全くお勧めできないことをあらかじめ。うちは女房と二人でゲラゲラ観てましたが、それは特殊ってことで
なにやら人気シリーズらしいAVの2013年度版を、劇場用に再編集したゲームバラエティ系ドキュメンタリーである本作。まず、そのゲーム性と面白さが共存して成立しているのが、観ていてなんとも楽しい。年齢、プレイ内容、顔だしの有無、「あ〜ん、今までで一番〜!」と言ってもらえるかどうかなど、アダルトならではのルールでポイントを競いあうのだが、それらのルールが現場で変化していき、自ら変化させたルールで自分たちが苦しめられていく様の可笑しいこと可愛いこと。最終的にウ○コが勝敗の行方を握ってしまうのだが、たとえAVであっても勘弁願いたいシーンのはずが、レースに勝ちたい一心の男たちの姿をそこに至るまで散々観てきているので、不快感より先に「偉いよ、君たちは!」と感心してしまうことも。

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普段見ることのない、若しくは居ないことになっている人々の生態を文字通り丸裸で観察できる、“人間博物館”としても興味深かった本作。ある種の珍獣のような女性たちとのセックスを成立させるために、その道のプロであるはずのAV監督たちがあの手この手で難関を乗り越え奮闘する様は、もう笑えるを通り越して手に汗握る瞬間すら。日常では観ることの出来ないものをたっぷり見せてくれるって意味では立派な映画だし、何気に爽やかに締めくくるのも好みだった一本で。マイノリティのグループ独特の密度の高さや一種の温かさってのを感じられた作品でも。
ホラー映画の嫌いな人は、あんな作品を作る人は普通じゃないって認識を持ってたりするんですけど、ゴアシーンのメイキングなんかを見ていると、結構スタッフの皆さんが悲鳴を上げながら働いてたりするんですよねぇ。自分の妄想や欲求を形にしてるのではなく、ただただ凄いものを作って観客をビックリさせたいって意識というのか。私自身も少々勘違いしてたんですが、本作に登場するAV監督たちもそういう人種なんだなぁと、ウ○コに悲鳴を上げる彼らを観ながらふと。なんとなくジョン・ウォーターズとディヴァインの関係性を思い起こさせた一本でもあったなぁと。

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いや、あなたはホント凄いよ。勇者だよ。

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2015年10月24日

ジョン・ウィック (John Wick)

監督 チャド・スタエルスキ/デヴィッド・リーチ 主演 キアヌ・リーヴス
2014年 アメリカ映画 101分 アクション 採点★★★★

映画の観方ってのは人それぞれ自由であっていいと思いますし、批判も自分の思った通りに展開すればいいと思ってる私。ただ、その作品が“何を描いてるのか?”“何を見せたいのか?”ってのだけは見誤らないように常々注意しないといけないなぁとは。なんというか、難病で死ぬ様を描いて観客を悲しませたい映画に対し「ケッ!内臓も飛び出さないのかよ!」と文句をつけたり、恋愛ものに「オッパイが足りない!」と不満を言うみたいな。一方で、オッパイ売りの作品でたまたまストーリーが良かったとしても、「形が悪い!」と批判するのはある意味正しい鑑賞姿勢とも思いますが。

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【ストーリー】
愛する妻を病で亡くし悲しみのどん底に落ちていたジョン・ウィックのもとに、失意の夫の癒しになるよう妻が用意していた子犬が届けられる。妻の愛の深さに胸を打たれるジョンであったが、ある夜、彼の車目当てに家に侵入してきたマフィアのボスの息子に襲撃され、子犬を目の前で殺されてしまう。怒りに燃えるジョンは、すぐさま復讐に立ち上がる。一方のマフィアのボスは、息子の襲撃した相手の名を知り驚愕する。ジョン・ウィックは、どんなターゲットも抹殺する伝説の殺し屋だったのだ。

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ハートブルー』でのキアヌのスタント・ダブルでデビューして以来、数多くの作品でスタント・コーディネーターやアクション監督を務めてきたチャド・スタエルスキと、同様にベテランスタントマンであるデヴィッド・リーチが共同で初メガホンを握り描いたリベンジ・アクション。ザックリと言えば“キアヌがガン=カタっぽいアクションを披露するセガール映画”。主人公の名を聞いたボスがあそこまでうろたえる様なんて、セガールの『暴走特急』以来観たことなかったですし。
込み入った設定や世界観と内省的な内容のアメコミ映画がアクション映画の主流になりつつあることへの反発か、はたまた50男になると何の躊躇もなくカッコいい自分を演じたくなるのか定かじゃありませんが、ただただ強い主人公のひたすらカッコいい姿だけを描いた本作。これまでも数多くの現場で顔を合わせてきたキアヌとチャドが、60〜70年代の日本映画や香港映画、往年のギャング映画など好きな映画の話題で盛り上がり「あんなアクションしたい!こんなアクション作りたい!」と夢を膨らませてる内に形になっていった様子が容易に想像できる、“オレたちの好きなものだけで出来てる”作品。そんな夢と希望の塊映画を嫌いになれるわけがない

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確かに粗は多い。殺し屋協会の掟を破ればどうなるのか重々承知しているのにも拘らずあっさり破る殺し屋が居たり、友情とプロ意識との葛藤が全然描かれてなかったり、仕舞いには結局のところ犬だったら別に何でもよかったというオチに着地したりと、真面目に考えれば首をかしげる展開が多い。しかし、本作はそんな所を観る映画ではない。そこばかりを批判するのは、食事に行ってお店自慢のメインディッシュには触れず、お通しに対し延々文句を言ってるようなものである。本作の観るべきポイントはアクションと夢のようなヒーロー像。もうそこのみ。そこ集中。
スタントマンあがりらしい、デジタルやメカニカルに頼り過ぎず、肉体のテクニカルな部分に特化したアクションが堪能できる本作。柔術をベースにした格闘アクションや、その格闘技とガンアクションを融合させた銃撃戦、場面こそ少ないがスピード感より重量感に重きを置いたカーアクションなど、かなりハイレベルのスタント仕事が隅々に。特に格闘ガンアクションの流れるような美しさは『リベリオン』以来だったのではと。“ボス驚愕”からのオープニングアクションの素晴らしさと、そこで貯めた貯金を使い切らずに保った勢いも見事。
また、主人公の愛車が『フェイク シティ ある男のルール』と同じだったり、隠れ家で使ってる名前が何気に“Neo”だったりと、一緒歴の長い気の合う仲間が集まってる感が伝わってきた本作。画作りや物語自体はヘビーなはずなのに、作り手が満面の笑顔でこっち見てる“ボクらが作りました!”感も好みだった一本で。
なにやら三部作を予定していて、既に次回作の準備に入ったとも言われる本作。下手に欲張ったり賢くなったりせずこの路線を突っ走ってくれるのならば、最後まで付き合ってみたいなぁと。

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ジョン・ウィックに扮したのは、イーライ・ロスの『Knock Knock』も控えてるキアヌ・リーヴス。ヒョロリと細長くベタついた髪の毛に骸骨のような輪郭を生み出す髭面が、ブラジル当たりの骸骨キーホルダーを彷彿させ、出始めこそは「あれ?今日のキアヌなんか気持ち悪い…」と思ってしまったが、これまでの中でも最高レベルのアクションを披露し始めると俄然輝いてくる。その骸骨感も“死神”をイメージさせ、役柄にハマってましたし。スター俳優にこう言うのもアレですが、キアヌは本当に感情表現の乏しい役柄がハマる
また、最後は肉弾戦を挑んでくる、なんかカート・ウィマー作品のラスボスみたいなボスに扮した『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のミカエル・ニクヴィストや、“マフィアのボスの息子”で思いつく全ての要素を持ち合せていたダメ息子役に“ゲーム・オブ・スローンズ”のアルフィー・アレン、“スピード”シリーズでキアヌとニアミスしていた『グランド・ブダペスト・ホテル』のウィレム・デフォーなど、イイ顔が揃っていたのも印象的だった本作。
その他、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のブリジット・モイナハンや、『ヘラクレス』のイアン・マクシェーン、『GAMER』のジョン・レグイザモ、『レギオン』のエイドリアンヌ・パリッキといった何気に豪華なキャスティングも魅力。そんな中でも、WWEのレジェンドレスラーであるケビン・ナッシュと『48時間』のデヴィッド・パトリック・ケリーを短いシーンながらも観れたのは嬉しかったなぁと。

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“ペットロスには新しいペットを”って話

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2015年10月23日

THE GREY 凍える太陽 (The Grey)

監督 ジョー・カーナハン 主演 リーアム・ニーソン
2011年 アメリカ映画 117分 アクション 採点★★★

動物って集団の中からボスを見出す能力に優れてますよねぇ。「あ、この家ではこの人が一番偉い人だ!」と、すぐに見分ける。ウチのネコらなんかもそうなんですけど、どんだけ腹を減らしていても私の刺身には手を付けず、皿を見つめたままひたすら耐えてますし。まぁその代わり、息子のオカズは箸でつまんでいる最中のものであっても奪い去るんですけど。

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【ストーリー】
アラスカの石油採掘上で、わけあって過酷な地にやって来た世捨て人集団のような従業員たちを凶暴な野生動物から守る仕事をしているオットウェイ。彼は悲しい過去を背負い、生きる意欲を失っていた。そんなある日、休暇で帰途につくため乗っていた飛行機が墜落。彼を含め僅かばかりの生存者は、極寒の大雪原に取り残されてしまう。寒さに震えながら救助隊を待つ彼らであったが、血に飢えた野生の狼が彼らを取り囲み…。

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狼の死刑宣告』のイーアン・マッケンジー・ジェファーズによる短編小説を、『クレイジー・ドライブ』のジョー・カーナハンが映像化したサバイバル・アクション。製作にリドリー&トニー・スコットらも。
登場人物の内面やドラマなど生まれる余裕もなく人が無情なまでにあっけなく死んでいく様に、圧倒的な力を持つ自然を前にした生身の人間の無力さをまざまざと見せつけられた本作。飛行機が墜落すれば死ぬし、大怪我を負い治療を受けられなければ死ぬ。運良くそこを生き延びたとしても、氷点下20度にもなる環境では寝てるだけでも死ぬ。しかも、この過酷な環境下を生き抜く腹を空かせた狼の群れが彼らを取り囲み、一人ずつ餌食にしていく。武器を持たない人間は、動物一匹に対しても無力となる。そして、その無力な人間に出来ることは、美しく大切な思い出を胸に死を受け入れることのみ。
この過酷な状況を、映画的な希望や妥協をとことんそぎ落として描き切った本作。風景も変わり映えせずドラマも生まれないまま淡々と進む作品ではあるが、その背景とスタイルがあったからこそ、見失っていた生の意味を再確認し、その生の絶頂で死を迎えようとする主人公の姿がより浮き彫りになったのではと。

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妻を亡くすと同時に生きる意味も失った主人公。本作は、そんな主人公が過酷な経験を通し「やっぱり生ーきよ!」となる作品ではない。失ったものは戻ってこないし、彼にとってはそれがすべてであることにも変わりはない。かといって、死にたがりの男のやる気のない様を描く作品でもない。ちょっと私の文章力では表現する自信がないのだが、自ら命を捨てるのではなく、ある一瞬に生を凝縮し全うして死を迎える男の姿を描いている。エンドクレジット後のシーンで聞こえる主人公の呼吸音に、「助かったんだ!ハッピーエンドだ!」と捉える方もおられるかと思うが、私にはそれが生を全う出来た安堵の最期の一呼吸に思えてしまう。捉え方の違いではありますが、それもハッピーエンドには変わりなし。そんな複雑な主人公の強さと弱さを表現して見せた、『ラン・オールナイト』のリーアム・ニーソンの見事さたるや。安心印のアクション俳優ってイメージが強まっていただけに、こういう本来のリーアム・ニーソンの巧さを見れたのも嬉しかったなぁと。
そんなリーアムに目を奪われがちな作品ではありましたが、『ウォーリアー』のフランク・グリロや、『ゾディアック』のダーモット・マローニー、より線の細くなったジャレッド・レトっぽかった『クレイジーズ』のジョー・アンダーソンら女っけのないキャスティングも印象的だった一本で。

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リーアムならどんな動物にでもボス認定されそう

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2015年10月21日

オーバードライヴ (Snitch)

監督 リック・ローマン・ウォー 主演 ドウェイン・ジョンソン
2013年 アメリカ/アラブ首長国連邦映画 112分 アクション 採点★★★

“親ってのは何があっても子供の味方であるべき”って意見には、全く異論のない私。もう当たり前。ただ、その“味方”の捉え方を大いに誤解されてる親御さんってのも少なくないなぁと思ったりも。うちの子供らの同級生の親御さんなんかでも、明らかに子供が悪くて先生や他の大人に怒られたのに、そのことについて子供と話すのではなく、「そこまで言わなくてもいいのにねぇ」みたいに子供の不満に同調してしまう親御さんが見受けられますし。悪いことをしたら正しい償い方を教えるってのが、将来のことを考えても“子供の味方をする”ってことになると思うんですけどねぇ。

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【ストーリー】
運送会社社長のジョンは、別れた妻に引き取られた18歳の息子ジェイソンが、麻薬密売人を密告すれば罪が軽くなる制度を悪用されて逮捕されたと知らされる。ジェイソンも密告すれば罪が軽くなるのだが、他の売人は知らない上に友人を罠にはめることもしたくない。このままでは最低でも10年の禁固刑になってしまう息子を救うため、ジョンは運び屋を装い麻薬組織へと自ら潜入するのだが…。

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ブロブ/宇宙からの不明物体』や『ゼイリブ』にも参加していたベテランスタントマンであるリック・ローマン・ウォーが監督と脚本を務めた、実話を基にするアクション風味のサスペンスドラマ。主演のドウェイン・ジョンソンも、製作者の一人として名を連ねている。
芋づる式に犯罪者を捕まえることが出来るメリットがある半面、減刑目的に一般人を罠にはめるケースも少なくないチクリ制度の問題点と、家族を守るために奮闘する父親の姿を描いた本作。巨大麻薬組織に単身潜入する父親の物語で主演がドウェイン・ジョンソンとくれば、角材片手のロック様が素手ゴロで組織を壊滅する様を想像してしまうが、たとえロック様のような筋骨隆々の大男であっても拳銃を向けられれば竦んでしまう、そんなリアルな人間像を描いているので過度な期待は禁物。
アクションを期待すると少々痛い目に遭う本作ではあるが、その一方で筋肉幻想が通用しない怖さや緊迫感の生み出しには成功している一本でも。また、別れた妻のもとに居る息子を全力で救おうとする行動が今の家族を苦境に陥れてしまうジレンマや、元犯罪者の更生を阻む厳しい現実など考えさせられるドラマに仕上がっていた。
ただ、リアルさを求め過ぎた結果なのか少々メリハリに乏しく、これといって心に強く残る印象や個性に乏しいってのも否めず。また、法のシステムとしての不備を訴えたいのは分かるが、罠にはめられた方も犯罪行為をしている自覚があるので、ちょっとメッセージとして誤解される恐れもあるのかなぁとも。

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主演には『ワイルド・スピード SKY MISSION』『ヘラクレス』のドウェイン・ジョンソンが。相手が凶悪な巨大麻薬組織であろうが素手で背骨を引き抜いて歩きそうなロック様だが、今回はその肉体的な強さは完全封印。ただ、その肉体的な強靭さに匹敵する精神的な強靭さを表現できる器用さを兼ね備えるロック様なので、フラストレーションは全く溜まらず。様々な角度から強さを表現できる、ホント稀有なアクションスターだよなぁと感服。「オレが居ればこんなことにならなかった!元嫁は何をやってたんだ!」と妙なプライドが現実把握の邪魔をする、男の足りなさ加減もしっかりと演じ切れていましたし。
また、善人の中に潜む邪悪を表現させたらピカイチである『リベンジ・マッチ』のジョン・バーンサルや、少々潜入捜査が長過ぎたのかなと思わせる眼差しの絶望感が光っていた『トゥルー・グリット』のバリー・ペッパー、作品にちょっとした格と知性を与えていた『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』のスーザン・サランドンらが、本作のドラマ部分をがっちりと固める好演を。
その他、『ロボコップ』のマイケル・ケネス・ウィリアムズや、『デモリションマン』のベンジャミン・ブラット、自己主張の少ないサラ・ジェシカ・パーカーみたいだったパーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のメリーナ・カナカレデスらも共演。

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この親父に怒られるのが一番の罰

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2015年10月18日

10月21日っていえば

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もうすぐドクとマーティが来る頃なんですよねぇ。
思いのほかファッションも普通だしスケボーも空をまだ飛んでない未来にガッカリしなきゃいいなぁ。

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なんと言っても、ジョーズはまだ4で止まったままだし!
せめて予告編だけでも貼って彼らをお待ちすることにしましょうかと。

【ジョーズ19 予告編】


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タグ:雑記
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2015年10月17日

ハートブルー (Point Break)

監督 キャスリン・ビグロー 主演 キアヌ・リーヴス
1991年 アメリカ/日本映画 122分 アクション 採点★★★

本来のヒーローよりも悪役の方が輝いてる作品って多いですよねぇ。まぁ考えてみれば、「あれやっちゃダメ、これもやっちゃダメ」と制約の多いヒーローよりも、ルールが適用されずに好き放題できる悪役の方が作ってる方としても楽しそうですしねぇ。実生活でも善人ぶってばかりいる人ってのはイマイチ信用できなかったり、ちょっとしたミスがステイタスをガタ落ちにさせたりするのに対し、勝手気ままな人ってなんか妙にモテたりもしますからねぇ。どうまとめたらいいかちょっと分からなくなってきましたが、まぁ自分に正直に生きるのがよろしと。

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【ストーリー】
歴代大統領の覆面を被り、誰も傷つけず僅かな時間で犯行を終了させる銀行強盗が、ロサンゼルスのベニスビーチで続発。犯人は非常に統制のとれた集団で尚且つサーファーであると目星をつけたFBIは、新人捜査官のジョニーをビーチに潜入させる。やがて、とあるグループのリーダーのボーディと知り合い絆を深めていくジョニーだったが…。

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悪の魅力を描き切った『ニア・ダーク/月夜の出来事』や『ブルースチール』でのキレの良いアクション演出で注目された女流監督キャスリン・ビグローが、ただでさ男社会の傾向が強いハリウッドにおいて、ことさらその傾向が強いアクション映画界に乗り込んで作り上げた犯罪アクションドラマ。製作開始当初はまだギリギリ旦那だったジェームズ・キャメロンが製作総指揮を。近日、本作をリメイクした『Point Break』が全米公開予定。
これまでも潜入捜査官がエキセントリックな捜査対象者に心酔していったり深い絆が生まれたりする作品は多かったが、その中でも未だに根強い人気を誇る本作。如何せんサーフィンなるものにそこまでの情熱を持ち合せていないし、大自然を相手にした禅問答のようなやりとりにもピンと来るものが私自身にはないのでそこまでのめり込むことはないのですが、音楽をやってる人間が集まる世界にはそこだけの言語や空気があるように、ある特定のグループが持つ空気感やそこでしか生まれえない絆ってのは非常に良く描けている一本ではと。大自然を相手に死の恐怖を一歩踏み越えた者同士の繋がりってのは、私のようなインドア派の人間にでもよく伝わってくる描かれ方。派手なアクションを期待するといささか肩透かしを食らうが、その世界観やダークヒーローであるボーディの魅力など、脚本の足りない部分をキャスリン・ビグローがしっかり補ってた印象が。
ただまぁ、主人公の身分がバレてからの苦悩や葛藤もそこそこに、単なる犯罪者と化したボーディを相手によくあるアクション映画と化してしまった終盤はいただけず。この、せっかく積み上げてきたものがゴール目前で崩れてしまう感じがもったいないなぁと。

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新人捜査官のジョニー・ユタに扮したのは、当時注目の若手真っ最中だった『フェイク シティ ある男のルール』のキアヌ・リーヴス。どういうわけか“演技派”と称され、この後に史劇などで大いにやらかしてしまうキアヌだが、本作では結構な時間をキアヌが最もハマるビルとテッドのテッド系統のキャラとしてビーチで過ごしているので、然程粗も目立たず。まぁ、捜査官のパートになると途端に作品がフワフワしちゃうのはアレでしたが。
ただ、そんなキアヌのフワフワ感をシッカリと抑えてくれてたのが、『若き勇者たち』のパトリック・スウェイジ。どちらかと言えば海よりは山が似合う気もするので、潮焼けしたチリチリ頭を見慣れるまで少々時間が掛かってしまったが、もともと若者たちの精神的支柱となる役柄が似合う彼だけに強盗団のカリスマ的リーダーを好演。『ロードハウス/孤独の街』ばりの格闘アクションを披露してくれるのも嬉しい。
また、『ビッグ・ウェンズデー』からの流れなのか、ビーチの住人感が見事に出ていた『リーサル・ウェポン』のゲイリー・ビューシイや、『追撃者』のジョン・C・マッギンレー、『タンク・ガール』のロリ・ペティ、『ドリームキャッチャー』のトム・サイズモアらも印象的だった一本。
そう言えば、キアヌに絡むチンピラサーファーの一人として、この頃何気に映画出演が多かったレッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー・キーディスも出ておりましたねぇ。

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きっかけはなんであれ、夢中になれるものが見つかるってのは幸せなこと

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