2015年 アメリカ映画 103分 サスペンス 採点★★★
政情不安な国での暴動やクーデターのニュースを見ると、生活レベルの面で関わりのない国ってのもあって他人事として受け止めがちな私。表向きの原因や、それに至るまでの根深い過去なんてものへの好奇心よりも、「この人たちっていっつも怒ってるなぁ」「平日の昼間っからオッサンたちがいっつも店先をブラブラしてるよなぁ」という、見たまんまへの驚きの方が先にきちゃうんですよねぇ。きっと私がこんなんだから、うちの息子もアホなんでしょうねぇ。子供の「なんでこの人たちはこんなに怒ってるの?」の問いに、「暑いからじゃね?」としか答えてないですし。
【ストーリー】
妻と二人の娘と共に東南アジアの某国へ赴任したジャック。初めての海外生活に戸惑いながらもホテルの到着した彼らだったが、程なく欧米企業の経済的支配に反発する大規模なクーデターに巻き込まれてしまう。身を守るためにホテルの屋上に籠城するジャックらだったが、外国人をターゲットとする暴徒がなだれ込んできて…。
右も左もわからない外国でクーデターに巻き込まれたアメリカ人家族の逃避行を描く、『デビル』のジョン・エリック・ドゥードルによるサスペンス・アクション。
どこか上から目線の欧米人が途上国でしっぺ返しを食らうという、成立する程度の作品数はあるジャンルに属する本作。何もかにもが違う海外生活の不安や驚き、平穏な生活を送ってきた男が家族のために命懸けで戦う様など定番ネタを、最後までテンションが緩むことなく突き進むノンストップぶりで楽しませてくれた一本で。
一般家庭人の目線で進んでるとは言え、暴徒がただの蛮人の集団にしか見えない描き方にはちょいと首を傾げてしまったが、その怒りの原因をしっかりと描いているってのは好印象。支援事業という表向きには善意である行為で経済的に支配していく、武力を使わない侵略のカラクリも非常に興味深く。カギを握るのがかつて散々なことをしたベトナムってのも、ちょいと面白いヒネリと皮肉で。
十分に楽しませてくれはするが小粒感も否めない、同時上映の併映だったらとっても嬉しくなる“めっけもん”的な作品だったかなぁと。
『インターンシップ』のオーウェン・ウィルソンがクーデターに巻き込まれる新鮮味がミソになる作品なのかなぁと思いきや、案外いつも通りのオーウェンだった本作。フワフワ特に何も考えずに流されていながら、妙な所で頑固になったり大胆になったりする、アホちゃんで可愛いいつものオーウェン。アワワアワワと走り回ってた『エネミー・ライン』とだいたい一緒。危機は常に誰かの助けで脱する他力本願な主人公でもありましたが、こんなオーウェンだからこそ助けたくなるってもので。
そんなオーウェンを助けっぱなしだった謎のイギリス人に扮したのが、『スパイ・レジェンド』のピアース・ブロスナン。これがもう、登場から退場までの全てがカッコいい。どんな国にでもすんなりと溶け込み、いかなる時でもユーモアと女性に対する気遣いを忘れず、しかも強い。で、ハンサム。「やっぱ、ブロスナンのボンドの方が良かったなぁ…」って声なき声を反映したかのような好キャスティング&好演。ジェームズ・ボンドの交代劇でいつも“若返り”ってのがテーマに上がりますけど、このピアース・ブロスナンを見てしまうと、50歳を超えてからがボンド適齢期なんじゃないのかなぁと思わされたりも。このブロスナンを観るだけでも価値ある一本で。
「イギリスのCIAみたいなやつ?」って台詞がアホっぽくて可愛かったなぁ
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