2013年 スペイン/フランス映画 116分 コメディ 採点★★★
そう考えること自体が端から間違っているってのをとりあえず置いておいて、敢えて“女性よりも自分の方が優れている事”ってのを考えてみると、さっぱり思いつかない私。体力なんてもう初老の域ですし。強いて挙げるなら“後先考えない決断力と実行力”なんでしょうけど、そこに至るまで異常に時間が掛かりますし、そもそもその決断が正解とも限らず。こんなんだから、「男ってバカよねぇ」「幼稚よねぇ」とピンポイントで詰られるわけだ。いざこっちが言い返そうにも、「女は分かってないんだよ!」っていう非常にアバウトで掴み所のない反論しかできないし。
【ストーリー】
離婚によりヤケをおこしたホセは、幼い息子を連れ仲間と共に宝石強盗を決行。逃亡劇に巻き込まれたタクシー運転手マヌエルらと共にフランスとへ向かうホセらだったが、人喰い魔女が潜むスガラムルディという小さな村に迷い込んでしまい…。
『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』のアレックス・デ・ラ・イグレシアによる、自由気ままな展開がワンパクなホラー・コメディ。
スペインと言うと宗教裁判と魔女狩り(バスク地方)と天本英世しか浮かばない私が言うのもアレですが、その名産品の一つである“魔女”と、男神が君臨するキリスト教に淘汰されるまでは各地に点在していた豊潤と繁栄の象徴でもある女神信仰モチーフにしつつ、ドタバタした笑いにアクションにホラーと様々な娯楽要素をぶち込んで仕上げた本作。逃亡中の犯罪者がモンスターの集落に迷い込むプロット自体は『フロム・ダスク・ティル・ドーン』だが、著名な魔女・悪女に混じってサッチャーやメルケルも登場するオープニングタイトルからも察せられるように、本作で描かれているのは力強い女性に対する男の愚痴。徹頭徹尾ひたすら愚痴。それがなんとも情けないも可愛らしい。男女の間にある溝に、とりあえずの妥協点を見出すわけでもない姿勢も潔し。
クライマックスからちょいとダラけてしまう印象もなきにしろあらずでしたが、古代の女神像を漫☆画太郎が描いたかのような“母”の強烈過ぎるインパクトや、面倒くさい女性に振り回されたいっていう隠しがちな願望を具象化したようなカロリーナ・バングの、非常にそそられるが深入りしたくはない魅力がその辺を十分相殺した楽しい一本で。
羨ましいのと関わりたくないってのが半々
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