2015年09月30日

スーパーヒーロー・パーティ/サタデー・ナイト・ライブ

アントマン』のレビューを書いてる時にちょいと思い出したSNLのスケッチがあったので、せっかくだからペタリと。ヒーロー流行ってますし。
若い世代だと誰が誰なんだかサッパリ分からないって方も多いかと思いますので、ついでに出演者の名前も。
まぁ、見て分からないってことは読んでも分からない可能性大ですけど。

■スーパーマン/ビル・マーレイグランド・ブダペスト・ホテル
■ロイス・レイン/マーゴット・キダー(78年版スーパーマンのロイス・レーンその人)
■フラッシュ/ダン・エイクロイドチャックとラリー おかしな偽装結婚!?
■ビバリー/ギルダ・ラドナー(故人 ウーマン・イン・レッド)
■ラナ/ジェーン・カーティン40男のバージンロード
■ハルク/ジョン・ベルーシ(故人 ブルース・ブラザース)
■クッキー/ラレイン・ニューマンコーンヘッズ
■アントマン/ギャレット・モリスアントマン

【Superhero Party - Saturday Night Live】


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タグ:雑記
posted by たお at 17:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アントマン (Ant-Man)

監督 ペイトン・リード 主演 ポール・ラッド
2015年 アメリカ映画 117分 アクション 採点★★★

キャラクターの宝庫だけあって次から次へと映画化してきますねぇ、マーベルは。それでいて、娯楽作品としての一定のレベルを維持し続けてるってのも凄い。こうなると、どれもこれも似たり寄ったりになりそうなんですけど、それぞれの作品にある程度の個性ってのを持たせてるも立派ですよねぇ。アクションに強い職人監督や知名度のあるスターにとりあえず任せるんじゃなくて、一見門外漢の人を連れてきてるようでいて、その人の個性を活かしつつ、自社のキャラクターイメージは守り続ける、キャラクタービジネスのお手本のような感じが。そもそも本国以外では知名度の低いキャラクターの映画をヒットさせるんだから、それだけでも立派。同様にコミック映画ばっか作っていながらも、悪い意味でのマンガ映画にしかなってない作品を乱発してるどこぞの国の業界さんもちょっとは見習って欲しいもので。それ以外の根本的問題から目を背けて、「予算がぁ」ばっか言ってないで。

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【ストーリー】
電気工学に関する深い知識を持ちながらも前科者故に定職に就けず、養育費が払えないばかりに愛する幼い娘に会うことも出来ないスコット。真っ当な生活を望んでいた彼だったが、刑務所仲間と共に止むを得ずとある老人宅への侵入を決意する。難なく侵入した彼は巨大な金庫を破るが、中に入っていたのは風変わりなスーツのみであった。しかしそのスーツには、着る者を蟻のサイズに縮めるパワーが秘められており…。

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キャプテン・アメリカの第3弾『Captain America: Civil War』への登板も決まっている、マーベルコミックのヒーロー“アントマン”の活躍を描いたアクション・アドベンチャー。メガホンを握ったのは『チアーズ!』のペイトン・リードが。
アントマンというと、ギャレット・モリス扮するアントマンがダン・エイクロイド扮するフラッシュに「へぇ、人間の力のまま小さくなるんだぁ。人間の力のままでねぇ」と冷やかされる、サタデー・ナイト・ライブの“スーパーヒーロー・パーティ”しか浮かばない私。“小さいヒーロー”となると、ミクロイドSとミクロマンしか浮かびませんし。そんなアントマン知らずの私でも、難なく入り込むことが出来た本作。
基本的には『Captain America: Civil War』への前フリ映画であるんですが、その共通世界観を保ちつつ、アクション性や迫力重視ってのよりも笑いやホームドラマの部分に重点を置いた、この作品ならではの個性を楽しめた一本で。敢えてアクションのリズムを崩して笑いを挟み込むクライマックスも好みで。
また、大小変幻自在なサイズを活かした奇抜なアクション構成も見どころ十分。虫嫌いの方には耐え難いかも知れませんが、蟻の群れを巧みに使うってのも面白かったなぁと。
この辺の笑わせながらもキメるべきアクションはしっかりとキメ、尚且つそのキャラクターのコアな部分を壊さない作りってのは、脚本を手掛けた『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のエドガー・ライトとその盟友の一人ジョー・コーニッシュと、『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』のアダム・マッケイ、そしてポール・ラッドの“らしさ”ってとこなんでしょうねぇ。ただ、「正直なところこの顔触れにしては…」って印象も拭えず。マーベルの縛りがブレーキの働きをしちゃったのかなぁと。

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二代目アントマンことスコット・ラングに扮したのは、『40男のバージンロード』のポール・ラッド。“ザ・普通の人”がハマるポール・ラッドがマーベル・ヒーローを演じると初めて聞いた時は、正直違和感以外に何も感じなかったんですけど、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品群の中でもコメディ色の強い本作なので、当初思ってたよりは違和感もなし。というか、絶妙に普通という以外に当てはめようがない、基本的にいつものポール・ラッドだったので安心。一応ヒーローらしく身体も絞ったようですけど、やっぱりポニョ&ポコンのポール。そんないつものポールを劇場で観れるってのが本作を観ようと思った最大の理由なんですけど、その半面、ポール・ラッド主演作が日本で大々的に宣伝されて公開されるという、ついこの間まではあり得なかった現実に喜び以上の戸惑いも
一方の初代アントマンに扮したのは、『ザ・センチネル/陰謀の星条旗』のマイケル・ダグラス。親子なんで似ていて当然なんですけど、老人の域に達しても尚タフさ溢れるその様は八割方カーク・ダグラス。ベテラン現役ヒーローとして出てきても大丈夫そうな感じは流石。そう言えば、マイケル・ダグラスの撮影最終日に、ポール・ラッドがノーパンにバスローブだけを羽織り撮影中のマイケル・ダグラスの前に陣取って、椅子に座って足を組み返す“氷の微笑ごっこ”をやったそうなんですが、その冗談が全く通じなかったマイケル・ダグラスにポール・ラッドは怒られてしまったとか。
その他、今後ワスプとして関わっていくのかちょっと微妙な『リアル・スティール』のエヴァンジェリン・リリーや、『フライト・ゲーム』のコリー・ストール、『エンド・オブ・ウォッチ』のマイケル・ペーニャらが共演。また、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアンソニー・マッキーや、エンドクレジット後に登場する『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のクリス・エヴァンスらが次回作への繋がりの為に登場し、もちろんスタン・リーも出演
そんな中でも個人的に嬉しかったのが、劇中アントマンが落ちてくる車の運転手役として一瞬だけ出てくるギャレット・モリスで。アントマンを映画化する際に、彼の名前を思い出してくれた人がいたって事実だけでも嬉しいもので。

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天敵は蟻地獄マン?

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posted by たお at 00:01 | Comment(6) | TrackBack(35) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

デヴィッド・ボウイ/火星の生活 (David Bowie / Life On Mars?)

昼間に観てきた『アントマン』のレビューを書こうと思ってたんですけど、NASAの発表を聞いてたらとてもそれどころじゃなくなっちゃったんで、非常にベタな選曲ですけどこの曲をペタリと。
火星!水!微生物!可能性!
もうワクワクが止まりません。盆栽してるドン・チードルも見つかるかもしれません。

【David Bowie – Life On Mars?】


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タグ:音楽
posted by たお at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽のあれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日 (Alexander and the Terrible, Horrible, No Good, Very Bad Day)

監督 ミゲル・アルテタ 主演 スティーヴ・カレル
2014年 アメリカ映画 81分 コメディ 採点★★★

「あそこの店員、態度スゲー悪いんだよねぇ」と酷い接客をされた経験を語る人って、色んなお店でそういう経験をしてるんですよね。ホントもう、至る所で。休み明けに会うと、まず休み中に行ったお店の文句。でも、自分が行った時のことを思い出すと、別にそんなに悪いお店じゃない。これでその不満を言ってる人の理想が高いだけなら良いんですけど、往々にしてそういう不満や経験が多い人って、その人の人柄に問題があったりも。その人の言動が問題を生み出し、その問題がその人に返ってくるみたいな。そんなことを、不平不満ばかりを口にする長女の姿を見ながら思った今日この頃。

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【ストーリー】
12歳の誕生日を目前に迎えた、クーパー家の次男アレクサンダー。彼は、何をやっても裏目に出て上手く行かない日常と、何があっても前向きで幸せな日々を送っている家族に対し強い不満を持っていた。そして誕生日前夜、そんな自分の不幸を家族にも味あわせたいと一人祈るアレクサンダー。すると、その願いが叶ったかのような不幸の連続がクーパー家を襲い始め…。

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ジュディス・ヴィオーストによる同名児童本を、TVを中心に活躍するミゲル・アルテタが映画化したファミリー・コメディ。製作に『インターンシップ』のショーン・レヴィや、ジム・ヘンソンの娘リサ・ヘンソンの名も。
ディズニーらしいというか、一昔前でいうところのブエナビスタっぽい当たり障りなくそつのない作りと、子供が巻き起こす騒動で一家が団結していくという、ジョン・ヒューズがプロデュースした佳作の数々を思い起こさせるテーマで描かれた本作。とどのつまり「ポジティブに!」「家族大事!」「なにはともあれポジティブに!」と元気の押し売りをしてるだけの作品ではあるんですけど、要所要所に挟まれた笑いの丁度良さと、けっこうな苦境なのにそうは感じさせないウェルメイドさもあって、サクっと楽しめる一本に。押し売りではあるけど、「さぁ!みんな一緒に手をつなごっ!」的な圧迫感やあざとさがないってのも好印象で。

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タイトルになってるアレクサンダー役のエド・オクセンボウルドに可愛げもへったくれもないってのは辛いんですが、置かれた状況を耐え忍んでいる悲しみが滲み出てた『フォックスキャッチャー』のスティーヴ・カレルの存在がそこを存分にカバー。ペーソス溢れたローギアの笑いから、唐突にトップギアの笑いへと変貌する芸達者っぷりを堪能できたのも嬉しい。
また、『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のジェニファー・ガーナーや、『プリズナーズ』の時同様に根の良い子さが出てたディラン・ミネット、『マネーボール』のケリス・ドーシーらもなかなか印象的で。
そんな中でも、劇中ではヒール扱いだけど、考えてみれば家族じゃないのに騒動に巻き込まれる被害者でしかないセリアに扮した、『子連れじゃダメかしら?』のベラ・ソーンのゴージャスで挑発的な美しさが強烈な印象を残してたなぁと。

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釣り合わない彼女を繋ぎ止める努力って大事だと思うんですけどねぇ

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posted by たお at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(3) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月24日

インヒアレント・ヴァイス (Inherent Vice)

監督 ポール・トーマス・アンダーソン 主演 ホアキン・フェニックス
2014年 アメリカ映画 148分 サスペンス 採点★★★

時代を象徴するもの、若しくは思い起こさせるものって人それぞれですよねぇ。音楽であったり映画であったり、その当時のTV番組や文化と様々。私にとっての80年代って当時の音楽が密接に結びついているんですけど、それより前の70年代となると、また別のものだったりも。それが、日曜洋画劇場を見ていると決まって流れていたレナウンのCM。曲調自体は能天気なんですけど映像がなんとも悪夢的というか、高熱でうなされてるときに見る幻覚のような感じで、いまだにその不気味な印象だけが強烈に脳裏に。ふいにあの曲を思い出すと当時のことをまざまざと思い出すんですけど、どういうわけか悪い思い出しか思い出さないんですよねぇ。

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【ストーリー】
1970年、ロサンゼルス。ヒッピーくずれの私立探偵ドックのもとに、別れた恋人のシャスタが相談にやって来る。その内容は、大富豪の不動産王ミッキー・ウルフマンと愛人である彼女を、ミッキーの妻とその浮気相手が罠に嵌めようとしているとのことであった。気の進まないドックが渋々調査を始めると、その背後に巨大な陰謀があることが判明し始め…。

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トマス・ピンチョンの探偵小説“LAヴァイス”を、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソンが脚色も手掛け映画化したハードボイルド・スリラー。
音楽はもちろんのこと、ファッションや会話の内容、小道具の数々から役者の顔立ちまで、溢れ出さんばかりの70年代情報に初っ端から圧倒される本作。何も知らずに画面だけを見たら、たぶん70年代の映画と勘違いしそうなほど。時代背景、題材、ロケーションと、非常にポール・トーマス・アンダーソンらしい上に、まったりゆったりと時にユーモラスに進みながらも、画作りが異様なまでに力強いってのも彼らしい。
ロスに集うアウトサイダーの生き様を緻密に描きながら、その能天気な気候とは真逆のドロドロとした謀略と立ち向かうには強大過ぎる力を描いた本作。ハッパが効いてるが如く散漫な展開をしつつ、覚めた時というよりは最高潮に効いてる時の集中力の如く物語が急展開する緩急も心地よく、ダラけながらも長尺さを感じさせない巧い作り。しがない探偵に出来ることと出来ないことがハッキリしている、ユーモラスながらもハードボイルドな骨格を保っているのも好印象。
ただまぁ、ちょいと散漫過ぎて警察内部まではびこる悪の存在と愛人となった恋人、“固有の瑕疵”と“内なる悪”なんてテーマがボヤけてしまい、風変わりな友情物語みたいになってたのは惜しかったかなぁと。

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主人公のドックに扮したのは、『ホテル・ルワンダ』のホアキン・フェニックス。すっかり壊れちゃった役者ってイメージもありましたが、そのイメージと自身のルーツでもあるヒッピー文化との相性の良さ、ファッションのハマりっぷりなどが見事に融合し、“70年代のそういう人”感が見事なまでに出ていた好演を。
また、そのドックの守護天使であり、唯一の友人であるドックに対する感情表現が独特なビッグフットに扮した『メン・イン・ブラック3』のジョシュ・ブローリンも見事で。現在のハリウッドで最も70年代が似合う役者であるので、これまたハマりまくったキャスティング。
その他、眉毛をモジャモジャにすればたぶんお父さんにソックリなのであろうキャサリン・ウォーターストンや、濃い演者に押され気味だった『デビルズ・ノット』のリース・ウィザースプーン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のベニチオ・デル・トロ、『エンジェル ウォーズ』のジェナ・マローン、『エクスペンダブルズ』のエリック・ロバーツに、劇映画で見るのは久しぶりで嬉しかった『インナースペース』のマーティン・ショートといった錚々たる顔触れが集結。
そんな中でも、やはり『クーデター』のオーウェン・ウィルソンの存在が忘れ難し。基本いつも通りのオーウェンなんですけど、1970年代から2010年代までのどの時代でもビーチに居でボーっとしてそうなオーウェンだからこその似合いっぷりだったのかと。

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聖書の時代のビーチに居ても違和感無さそう

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posted by たお at 14:42 | Comment(4) | TrackBack(12) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月22日

セッション (Whiplash)

監督 デイミアン・チャゼル 主演 マイルズ・テラー
2014年 アメリカ映画 107分 ドラマ 採点★★★★

アホって文字を擬人化したようなウチの小6の長男。ただアホならではの吸収力の良さからか、所属しているブラスバンドでのスネアドラムの腕前は、大人混合の他チームからお誘いが来るほどのもので。本人も相当真剣に取り組んでいて、中学に行ったら学外のチームに参加し、高校は県外のマーチング強豪校に行きたいと常々。気持ちと技術と才能が釣り合ってるようにも見えるので私は全く反対するつもりはないんですけど、小学生だからこそ褒められている現状から、外に出た時のギャップに耐えられるかどうかはちょっと心配。如何せん打たれ弱いんで。ただまぁ、他人の劣ってる部分を探し出して自尊心を満たすのではなく、優れた部分に素直に驚くタイプなので案外大丈夫かなとも。

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【ストーリー】
一流のドラマーを目指し名門校シェイファー音楽院に入学したニーマン。幾多の学生の中でも才能ある者のみを集めるフレッチャー教授の目に留まったニーマンは、彼の指導するバンドへ参加する。期待に胸を膨らませ練習に参加したニーマンだったが、彼を待ち受けていたのは常軌を逸したフレッチャーのしごきで…。

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長編二作目となるデイミアン・チャゼルが脚本と監督を手掛けたドラマ。
本作は音楽の持つ魅力と魔力を描いた作品ではない。ジャズを取り扱ってるがジャズ映画でもない。努力の美しさを描いてるわけでも、心身ともに追い詰める指導法の是非を問うてるのでもなく、実は心優しき指導者と最後に抱き合うような映画でももちろんない。そこに描かれてるのは、ただただ剥き出しになった感情がぶつかり合う様のみ。なんと言うか、ドン・フライと高山善廣のあの壮絶な殴り合いを音楽教師と生徒に置き換えて描いたかのような。
理想とする音楽と音楽家を生み出すためには手段を問わないフレッチャー。指導者という立場にいるが、音楽を奏でる方法が違うだけで彼自身プレイヤーである。かつての生徒の死を悲しむ様に、ムチの強めな愛ある指導者と見えてしまう瞬間があるが、自分の邪魔をする相手に対しその才能度外視で陰険に潰そうとする姿を見ると、やはり自分が生み出した音楽が消えたことを嘆いているだけに過ぎないのだろうと。狂気すら漂うその指導っぷりに『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹を思い起こさせるが、欠陥兵士が他の兵士の命を奪う危険性を熟知した上で過激な指導を行った軍曹と比べると、やはりフレッチャーの行為は自己愛のみ
そのフレッチャーの狂気を、心身ともにムキムキに演じた『40男のバージンロード』のJ・K・シモンズの見事なこと。

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一方、リブートされた『ファンタスティック・フォー』が控えるマイルズ・テラー扮するニーマンもまた、理想とする音楽の実現に手段を問わない若者。練習の妨げになるであろう恋人を捨てるのが手段を問わない証しではなく、理不尽でしかないフレッチャーとの殴り合いに正面切って挑み続ける姿勢こそがそれ。三流大学のフットボール選手の方が優遇されるジョックス社会を見返したい強い思いと、特別な人間になりたいという欲求。青臭いが、原動力としてはこれ以上強いものはない“音楽をやる理由”に突き動かされ続けるニーマン。これもまた自己愛の塊
この自己愛の塊同士が感情を露わに殴りあうかの如くぶつかり合うクライマックス。それぞれの理想形が姿を現し始め、それが結実する瞬間の高揚感たるや。格闘技の試合でどちらか一方の実力が劣っていれば名試合は生まれない。もちろん、ファイター同士の間に何かしらの愛情がある必要もない。常に相手の上を行こうとする技のやり取りが名試合を生み出すのだが、ありきたりな例えでアレだが、本作もまさにそれ。楽譜を失くすシーンが特に顕著な、物語を回すためだけにイベントを放り込む脚本の甘さは否めないが、圧迫感すら感じられる演出とそれに応える演者の熱演がそれを十分打ち消す、本年度を代表する傑作のひとつに仕上がってたのではと。
ジョックス一族の中で息子を守りきれない父親に扮した『ビバリーヒルズ・コップ』のポール・ライザーや、絵に描いたようなあて馬を演じたオースティン・ストウェル、個人的になぜか出てくるだけで得した気になるヒドゥン』のクリス・マルケイらも印象的だった一本で。

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アイツの顔だと思ってドラムを叩き

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2015年09月18日

ジャッジメント・ナイト (Judgment Night)

監督 スティーヴン・ホプキンス 主演 エミリオ・エステヴェス
1993年 アメリカ/日本映画 110分 アクション 採点★★★

言葉にするとちょっとバカみたいなんですけど、“道に迷う”ってのが好きな私。歩き慣れない道を歩くのが好き。車での遠出も事前にざっと位置関係だけを確認して、あとは大体の方角へ向けて出発。カーナビなんて使わず。ってか、そもそも車に付けたこともなし。多少迷っても焦ることはなく、「へぇこんなお店があるんだぁ」と寄り道が増えるだけで。まぁ自分は楽しいんですけど、一緒に連れられてる方は堪ったもんじゃないんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
妻と生まれたばかりの子供と共にシカゴ郊外で静かに暮らしていたフランクは、久々の外出を満喫するため高校時代の友人や弟と共にボクシング観戦へと向かう。しかし、道に迷い見知らぬスラム街へと辿り着いてしまった彼らは、そこで殺人事件を目撃してしまう。犯人グループに追われることになった彼らは、右も左も分からない土地で恐怖の一夜を過ごすことに…。

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プレデター2』のスティーヴン・ホプキンスがメガホンを握ったサスペンス・アクション。
一般的な常識が通用しない土地に迷い込んでしまう恐怖という、『脱出』や『悪魔のいけにえ』などでお馴染みのホラープロットで描かれる本作。都会者が見知らぬ田舎で散々な目に遭うのではなく、自宅から然程離れていない大都会の死角を舞台にしてるってのが新味。昔はヤンチャしてたが家庭を持ったことを機に大人になろうと努めている主人公や、端から大人になる気がない友人らが極限状態に追い詰められ、喧嘩っ早かったチンピラは借りてきた猫のように大人しくなり、ナンパ師は戦士モードに、ヘタレのゲスはよりヘタレのゲスに変貌していく様をスリリングに描いている。
舞台が近未来SFかの如くあんまりにも荒れ果ててるので現実味がなかったり、土地ならではの利点を地元民の悪党が使いこなせてなかったり、平穏の象徴である自宅の住所がバレてるってネタが活用されてなかったりする粗や不満も少なくない作品ではあるんですけど、四の五の言わせないノンストップ・スリラーとしては十分楽しめる一本だったかなぁと。

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ヤングガン』『張り込み』のエミリオ・エステヴェスを筆頭に、『マチェーテ・キルズ』のキューバ・グッディング・Jr、『ポルノ☆スターへの道』のスティーヴン・ドーフ、この当時オリヴァー・プラット並みに顔を見てた気がする『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のジェレミーペヴェンや、『デモリションマン』のデニス・レアリーといった、何気に贅沢な顔触れが揃っているのも魅力の本作。
公開された当時も久々に観た今回もお目当てはエミリオだったんですけど、いつものヤンチャで可愛いエミリオを期待すると若干の肩透かしを覚えるのも事実。いつものエミリオなら先頭切って問題を拡大しちゃいそうなところなんですけど、今回のエミリオは真人間になろうとしている元ヤン。「まぁまぁ、まぁまぁ」と収めてばかり。もちろん最後にドドーンとキレてくれるんですけど、ヤンチャに戻るんじゃなくて“守る家庭がある今の方が強い”ってオチに持ってっちゃうので消化不良。これで弟役がチャーリー・シーンとかだったら、「これじゃぁシッカリしなきゃなんないよねぇ」と納得するんでしょうけど。

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地方ルールの鬼ごっこ

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2015年09月17日

刑事ジョー/ママにお手あげ (Stop! Or My Mom Will Shoot)

監督 ロジャー・スポティスウッド 主演 シルヴェスター・スタローン
1992年 アメリカ映画 87分 コメディ 採点★★★

親にとって子供ってのは何歳になっても子供のままなんですよねぇ。年齢的にはもういい加減大人過ぎる私が親に意見をしても、「あら〜、末っ子がなんか大人っぽいこと言ってる〜」で終わりですし。前々からそういう親にはならないようにしようと決めてたんですが、たぶんうちの子供が成長してバイトなんか始めたら、間違いなく一度は見に行くんでしょうねぇ。で、「『いらっしゃいませ〜」なんて言ってる〜」とか大爆笑するんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
仕事は凄腕だがそれ以外は無頓着な中年刑事ジョー。不器用で気持ちを素直に表せない性格から、恋人で上司のグウェンとの仲もギクシャク。そんなある日、故郷から母親のトゥティがやって来る。いつまで経っても過剰なまでに子供扱いで、誰彼構わず子供時代の話をしまくるトゥティに振り回されるジョー。そんな折、ある殺人事件の現場をトゥティが目撃してしまい…。

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『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のロジャー・スポティスウッドがメガホンを握り、『キンダガートン・コップ』のアイヴァン・ライトマンらが製作を務めた“親子あるある”アクション・コメディ。
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のシルヴェスター・スタローン自身が“最悪の映画”と公言し、ファンの間でも散々な評判である本作だが、公開当時から久々に観直した今に至るまで私自身は嫌いになったことのない一本。
コメディのイメージがないスターを笑いの世界に放り込む、その違和感やギャップを楽しむよくあるジャンルの一つである本作。子供や動物といった、一緒に居ると似合わない相方をあてがわれることも多々。その一方で、違和感を楽しむ作品故に演者が無理して笑いを取ろうとコミカルな演技をすると、逆に大惨事になることも。
そういう意味では、いつも通りのスタローンが老人相手にテンヤワンヤする本作は十分に合格点。そもそもスタローンは“筋肉をまとった人情派俳優”という認識を個人的に持ってるので、ジャンル特有の大きなギャップ抜きでも成立する、いつでも楽しめる小品に仕上がってたのかと。

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そんなスタローンを筆頭に、嫌味のない美人っぷりに魅了された『ポルターガイスト』のジョベス・ウィリアムズや、まだまだ駆け出しだった『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のヴィング・レイムスなんかも出演しているが、やはり見どころはママ役のエステル・ゲティかと。子供を愛するが故の悪意ない行動が子供にとっては悪夢でしかない、とはいっても嫌悪感や殺意を抱くまででもないこの絶妙なバランスと、いくつになっても母親に頭の上がらないイタリア人気質が出てたスタローンの組合せは抜群だったなぁと。
そう言えば、この当時スタローンとシュワルツェネッガーが互いを強く意識してライバル視してたのは有名な話で。筋肉映画が飽きられ始めネタ扱いとなってきた80年代後半、『ツインズ』で先にコメディ映画で成功を収めたシュワを追うようにコメディ色の強い『デッドフォール』やジョン・ランディスと組んだ『オスカー』に出演するも、到底成功したとは言えず。そこに転がり込んできた本作の企画。脚本家も製作者もシュワの『ツインズ』組。ただ、前回の失敗もありスタが出演を渋ってると、シュワが手を挙げ「じゃぁオレが!」と。負けてられんとスタが「じゃぁオレも!」と手を挙げるとシュワが「どうぞどうぞ!」と手を降ろす、なんかもうダチョウ倶楽部のネタみたいなやり取りの末に本作は作られたとか。政治家よのぅ、シュワ。

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逆らうだけ無駄

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2015年09月16日

キングスマン (Kingsman: The Secret Service)

監督 マシュー・ヴォーン 主演 コリン・ファース
2014年 イギリス映画 129分 アクション 採点★★★★

海中からザバザバーっとタコみたいな秘密基地が浮上してきたり、火山の火口が開くと中にどこでリクルートしてきたのか分からない大量の戦闘員がいる秘密基地があったりする、そんなスパイ映画ってホントなくなっちゃいましたねぇ。あっても大抵ネタ扱いですし。「現実味がない!」ってのが理由なんでしょうねぇ。確かにジェイソン・ボーンみたいな、リアル志向のアメリカ産スパイ映画にそういうのが出てくると現実味がないですけど、そこに高級スーツを着た英国スパイが立つと違和感がないんですよねぇ。そういう、そもそもからして違う英国スパイと米国スパイ映画なんですけど、どうも最近は本家のジェームズ・ボンドがどんどん米国化していってる印象も。

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【ストーリー】
貧困地区で暮らすチンピラ青年エグジーの前に現れた英国紳士のハリー。表向きは高級紳士服店の仕立て職人だが、実はどの国家にも属さない国際的諜報組織“キングスマン”のエージェントであるハリーは、欠員の出て枠の空いたチームのメンバー候補としてエグジーをスカウトする。17年前に命を落とした父親もエージェントであることを知ったエグジーは過酷な新人試験に身を投じる一方で、ハリーはIT大富豪のリッチモンドが企てる世界規模の陰謀の謎を追い…。

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X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のマシュー・ヴォーンと原作者のマーク・ミラーが『キック・アス』に続いて手を組んだ、60年代スパイ映画風味に溢れたアクション。
米国化の進む本家007に対する皮肉かのように、MTVインベイジョンを痛烈に皮肉ったダイアー・ストレイツの“マネー・フォー・ナッシング”で幕を開けてから、英国式ダンディズムの権化のようなブライアン・フェリーの“スレイブ・トゥ・ラブ”で幕を閉じるまで、ずーっと楽しかった本作。身体的欠損のある殺し屋を従え巨大な秘密基地を持つ大富豪の地球規模の悪巧みに対し、数々の面白ガジェットを使いこなす英国紳士が立ち向かうという過剰なまでの60年代設定に「そうそうコレ!こういうの観たかったの!」と喜び、マシュー・ヴォーンらしい絵と音楽の融合が生み出すリズムに身を委ね胸を躍らせる至福の2時間。同じアプローチで同様の映像的快感を生み出しながらも、レナード・スキナードの“フリーバード”をバックにした教会内大殺戮のシーンにはサスペンスと恐怖感を漂わせ、“威風堂々”をバックにした大花火大会では爆笑させる、使い分けの巧みさも見事の一言。
また、ラストで同じセリフが使われる『大逆転』など映画ネタも多く、全てのシーンをもっと掘り下げてみたくなる映画ファンに向けたとっておきのプレゼントみたいな一本に仕上がってるのも嬉しい。
ただ、一見映画ファンに向けた内輪ネタと懐古趣味の作品と思えるが、もちろん本作はそれだけの作品にあらず。

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同じマーク・ミラーの『ウォンテッド』の英国スパイ版でしかないようにも思える本作。眠れる才能が開花する若者のサクセスストーリーのようにも。もちろんその側面もあるが、本作で描いているのは姿かたちを変えて現代まで脈々と続く階級社会に対する痛烈な皮肉。自由と平等を謳いながらも、支配階級と支配される平民との関係性が変わっていない状況をより明確にする方法として、王族貴族文化が根付く英国を舞台に、そしてその英国らしさが極端に出るとして60年代スパイ映画の風味を用いたのではと。もちろん「そういう映画が好き!」ってのもたっぷりと含まれてますが、その再現だけではあらず。
上流階級の人間でのみ構成され、何処の国家にも属さない半面、“正義”の決定が主観的になる危険性をはらんでいるキングスマンという組織そのものが階級社会を象徴している本作。その組織の在り方に疑問と限界を感じているハリーによって平民の子が送り込まれ、その平民の子が組織に大変革を巻き起こす。先に挙げた『大逆転』はネタとしてのみならず、テーマの中にも活かされている。また、支配階級にいる人間の多くがリッチモンドに賛同し、平民を見捨てる選択を取る様もこの作品が描こうとしている構図を明確に。
これがアメリカ映画であれば、『マトリックス』のように平民が支配階級を打倒し「自由だー!」と叫んでお終いなんでしょうが、さすがイギリス人。そういう風には考えない。階級社会を皮肉りはすれど否定はせず。平民を見捨てなかったマシな支配階級が残るって選択を。「自由も大切だけど、秩序のない自由ってのは考えものだよなぁ」と、普段は“欧米人”とひと括りにしちゃいがちなアメリカとイギリスの明確な違いってのも見させられた一本で。

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絵に描いたような英国紳士であるハリーに扮したのは、かつてジェームズ・ボンドの候補として名前も挙がったことのある『デビルズ・ノット』のコリン・ファース。“英国紳士”で画像検索すると、タイプは違うけどジョン・クリーズなんかと一緒に上位に出てきそう。いつも不機嫌で神経質そうな上に物言いが上からなのに嫌味になり過ぎず、常に冷静沈着で表情一つ変えないのにひょんな事でその表情が崩れると、そのギャップからか男の私でもグッときてしまう、そんな英国スパイのお手本のようなハリーを好演。もう“好演”というより、コリン・ファースありき。退場の穴は、あの大花火大会をもってしても埋まらず。にしても、このハリーを見てるとスーツってのはヨーロッパ人の為にあるんだなぁと痛感。
そんなハリーの後を継ぐには、新鋭のタロン・エガートやソフィー・クックソンらではちょっと弱すぎる印象があった本作。ただ、その分過剰なまでのアメリカ人を嬉々として演じてた『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のサミュエル・L・ジャクソンや、最近優しい執事役ばかり見てたのでこういう言葉の端端にアイロニーが出てくる役柄が見れて嬉しかった『インターステラー』のマイケル・ケイン、魔術師ってよりはまんま優しさ隠した鬼教官だった『ロビン・フッド』のマーク・ストロング、予告編の時点で傑作を確信させた義足の女殺し屋に扮したソフィア・ブテラに、劇場で見るのは久しぶりの上にしょぼくれ具合がなんかロディ・マクドウォールみたいだった『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』マーク・ハミルらが存分に穴埋め。
今のところアナウンスはされてませんが、是非とも続編を作っていただきたい本作。ただ、コリン・ファース抜きの若手中心となるとちょっと弱いので、円卓の騎士に倣って12人はいるであろうキングスマンの中にレイフ・ファインズ的なクラスの大物を投入するか、「実はハリーは…」で再登板してもらえたらと。出来れば後者で

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同じスーツを着ても絶対こうはなれない

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posted by たお at 00:16 | Comment(8) | TrackBack(51) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月13日

ザ・ヴェンジェンス (Vengeance of an Assassin)

監督 パンナー・リットグライ 主演 ダン・チューポン
2014年 タイ映画 90分 アクション 採点★★

昨年7月に急逝した『マッハ! ニュー・ジェネレーション』のパンナー・リットグライが、監督/脚本を務め最期に遺したムエタイアクション。主演には、だんだんホリプロの南田マネに見えてきてしまうロケットマン!』のダン・チューポンが。
ムエタイとガンアクションの融合という新しい地点を目指した気配は感じますし、遺作はあんまり貶さないって空気もあるので大人として可能な限り褒める方向で頑張ってみようかと。

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【ストーリー】
潜入捜査官だった両親を幼い頃に殺され、伯父のもとで育てられていたジーとタンの兄弟。やがてジーは両親の復讐を果たすため家を飛び出し犯罪組織の暗殺者となり、一方のタンも伯父を手伝いながら鍛錬を重ねていた。そんなある日、仇の犯罪組織が彼らのもとに殺し屋を送り込み…。

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真面目に褒めようとすると、「スターを夢見る若手スタントマンが身体を張って頑張ってたのが良かったです!」としか書きようのない本作。もはや我慢比べと化した苛烈なスタントが繰り広げられる格闘サッカーで幕を開け驚かされるも、それが物語にサッパリ繋がっていないどころか意味すら持っていないことにさらに驚かされる。もう、出だしからにしてこう
で、父の元同僚の下で暗殺者として鍛錬を積む主人公ですが、特に訓練シーンがあるわけでもないまま唐突に挿入される回想シーンで父の元同僚死亡。独り立ちした主人公の仕事っぷりを、ポジティブに捉えれば『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』風のワンカット撮影で描いてますけど、カメラは主人公の足元しか映しません。最後に主人公の姿をさらして「あの主人公がこうなったんだよ!」と驚かせたかったようですけど、逆に違う人が出てきた方が驚きます。というか、これで驚くと思ったこと自体に、ワンカット撮影よりも驚かされました。
その後、結局最後まで何で絡んでるのか分からなかったヒロインが登場し、あれやこれやで大怪我を負う主人公。身体のど真ん中を太い鉄パイプが貫通してます。「あら、これで主人公が死んで弟にバトンタッチかしら?」と思いきや、突然登場する謎の中国人老師が「急所は避けてるから大丈夫!」と薬を塗りたくって治しちゃいます。これが四千年の歴史の実力ってやつでしょうか?

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で、急に男女三人の微妙な三角関係的展開をしてみたり、初代プレステのようなCGをバックにアクションしてみたり、主人公らが敵ボスの返り討ちに遭う絶体絶命のピンチをなんとなく放置されて生き延びてみたりと、あまり普通の映画では見られない展開を乗り越えようやくクライマックス。やたら燃える手榴弾の爆発と両手にアサルトライフルという、なんか四半世紀前の香港映画のようです。明らかにチョウ・ユンファをイメージしたんでしょうけど、ショットガンに持ち替えた途端に大門団長になります。でもサングラスが外れると南田マネに
そんでもって最終決戦。ヒロインを人質に取った敵ボスに手が出せず車に撥ねられ続ける南田。頑張ってるアピールが凄いですね。そんな頑張ってる南田をしり目に、弟がボスを仕留めます。銃を持ってるならもっと早めに仕留めればいいのにって思い以上に、これまで頑張ってきた主人公の苦労を台無しにする展開に愕然としました。
そんな、撮ってみたいアクションシーンだけを並べ、理屈は通っていないが辛うじて筋が通る物語を添えただけの本作。肝心のアクションシーン自体にもこれといって見どころのない残念な仕上がりではありましたが、身体を張る若手の姿勢と、タイアクション界を牽引してきた実績に敬意を表し★ひとつオマケめで。

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積み重ねてきたものを目の前で崩され

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posted by たお at 19:40 | Comment(0) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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