2014年 アメリカ映画 102分 アニメ 採点★★★
ブログタイトルの脇に「“泣ける”イコール“いい映画”なの?」なんてのを掲げちゃってるせいか、泣ける映画を全否定してると思われがちなサブタレ。いやいや、全くそんなことは思ってないんですよ。“泣ける”いい映画ってのは沢山ありますし、同様に“笑える”いい映画や“手に汗握る”いい映画、“ヘドが出るほどグロい”いい映画ってのも沢山あるんですよねぇ。その逆ももちろん然り。ただ、どうも世の中では泣くことのみに映画の価値を見出しているような感じがしちゃって、そこに大きな違和感を感じてるわけで。泣かせたり笑わせたり、はたまたとことん怖がらせるみたいな、観客の感情をコントロールする技術に関して優越はないと思うんですけどねぇ。
【ストーリー】
最愛の兄タダシを謎の爆発事故で失った14歳の少年ヒロ。深い悲しみに暮れ心を閉ざしたそんなヒロの前に、タダシが遺した心優しきケアロボット“ベイマックス”が現れる。ベイマックスのケアにより徐々に元気を取り戻したヒロは、やがて爆発事故の背後に謎の怪人の存在があることを知る。真相を解明するため、タダシの研究仲間たちと共に謎の怪人を追うヒロだったが…。
マーベルの同名コミックをディズニーが映画化した、ヒーローアクション・コメディ。原作とはありとあらゆる部分で違うので、コミックとは別のオリジナルと考えた方がいいのかと。
愛くるしいにも程があるベイマックスを中心に、家族愛に友情、復讐の不毛さや他人を思う気持ちといった普遍的なテーマを、笑いとアクションを豊富に取り込みつつ、ディズニーらしいエグ味を奇麗に取り除いたスッキリ風味でフンワリとまとめ上げた一本。映画に然程興味のなかった子供が映画好きになる切っ掛けのひとつになりそうな作品でも。アスファルトひとつにしても実写と見紛うほど描き込まれた、非常に高いグラフィックレベルにも大いに驚かされた。
そもそも嫌いになれるわけがない“少年とロボット”って題材の本作は、大人も楽しめる作品としては充分過ぎるほどに完成された作品なんですが、大人が楽しめる作品として捉えると少々首を傾げる箇所も。駆け足でサックリと楽しむウェルメイドな作品故か、サンフランソウキョウという和洋折衷の近未来架空都市はヒーローと怪人が現れることが正常なのか異常なのか、周囲のリアクション描写の少なさもあってその世界観がイマイチ分らない。また、爆発事件の発端もヒロの発明品を見てから思いついた様にしか見えないので、黒幕のその後の行動とのチグハグさも目立ってしまっている。
このさらっと駆け足で描かれてしまうのは人物も然りで、ベイマックスとヒロに関しては然程問題はないのだが、タイトルに“6”が入っている割に他の4人がその他大勢。行動原理が「友達が死んだから」「その弟が可哀想だから」の上辺だけをなぞっているだけの印象。連続するであろう物語の序盤一部分で完結させる映画につきものの難点だったなぁと。
しかしながら、こういった不満の数々はあくまで“大人が楽しむ”映画として捉えた場合のこと。大いに楽しんでいる子供を視界の端に捉えながら大人も一緒に楽しむ映画としては、深く描かない駆け足具合が後の会話の盛り上がりを生み出す可能性もあるので、非常に良く出来た一本に仕上がってると言えるのかと。
原作とは凄まじいまでに違う、丸くて柔らかくて素直で若干アホなベイマックスの可愛らしさがほぼほぼ全ての作品でもあるので、ちょい他のキャラクターや声に関しての印象が薄くなった本作。ただ、クレジットを見ると『ロック・オブ・エイジズ』のT・J・ミラーや、増殖を続けるウェイアンズ一家の一人デイモン・ウェイアンズ・Jr、『エンジェル ウォーズ』のジェイミー・チャン、『ラン・オールナイト』のジェネシス・ロドリゲス、そして『ソルジャーズ・アイランド』のジェームズ・クロムウェルといった結構な顔ぶれが。
そんな中でも個人的に気になる人が、『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』のアラン・テュディック。ヒールの一人だった彼ですけど、どっちかと言えば火吹き着ぐるみ役の方がキャラにピッタリだったよなぁと。
あ、忘れるところでしたが、マーベル作品なんでもちろんスタン・リーがもれなく付いてきてましたよ。
「欲しい!」と思わせたが勝ち
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