2012年 アメリカ映画 106分 コメディ 採点★★★★
映画に音楽にゲームといった娯楽だけじゃなく、食べ物から飲み物、女性の趣味に至る好きなものほぼほぼ全てが子供の頃から変わっていない私。好きなスポーツも、贔屓のチームや団体も変わっておらず。もう年齢的には十分過ぎるほど大人なんですけど、“大人になった”感がさっぱり湧かないのはこの辺に理由があるのかも。きっと好きなものが劇的に変わったり、大人になってから好きになったものが中心になれば大人の一歩なんでしょうけど、そんなのが全くないんですよねぇ。あ、ここで「大人になってから好きなものは女房です!」とか言っておくのが、大人の対応ってやつか!
【ストーリー】
大好きなクマのぬいぐるみテッド以外は友達もいない孤独な少年ジョン。そんな彼に、あるクリスマスに奇跡が起こる。テッドに魂が吹きこまれ、人間のように動き話すようになったのだ。それから27年。中身が下品なオッサンと化したテッドと日々楽しく過ごしていたジョンであったが、ジョンの恋人ロリーはいつまでも子供じみたジョンに耐えられなくなってきて…。
声優やアニメ作品のクリエーターとして活躍する『妖精ファイター』のセス・マクファーレン長編監督デビュー作となる、男なら標準装備されているはずの幼児性をオッサンのクマの形に具象化したコメディ。監督自身がテッドの声も担当。
セス・ローゲン絡みの作品でもお馴染みの男同士のグダグダした日常にブロマンス、そこに女性が入り込むことで強いられる変化、気を利かせた字幕でかえって分かり辛くなってしまっていたが細々とした映画ネタの数々に、劇中イジられる『スーパーマン リターンズ』同様事前の期待を大きく外したガッカリ映画の帝王『フラッシュ・ゴードン』が隙あらばぶっこまれ、ジャン=リュックによるナレーションに何故か要所で駆り出されるトム・スケリットなど、成分の全てが面白いものと大好きなものだけで出来ていた一本。詰め込みすぎなのに疾走感が全く損なわれない作りに感嘆。
ぬいぐるみと人間の組合せ且つ、恋愛と同時に変化と成長を促される物語なので傑作『ザ・マペッツ』を髣髴させるが、仕事も車も全て自分より上の彼女に対し無理に背伸びするわけでも変化するわけでもなく、結局ありのままの自分を受け入れさせる主人公の姿に、ほぼ忘れかけていた『2番目のキス』を思い出すことに。そこに男にとっての都合の良さってのを多少感じるが、恋愛パートになると主人公がジョン・ヒューズなんかの時代のヒロインと化すので、然程気にならず。まぁ、良いも悪いも全部ひっくるめて認め合える相手が一番ってことですねぇ。
思えば、ヒッピーの時代なんかは『2001年宇宙の旅』のスターゲートのシーンがハッパのお供として知られてたんですけど、90年代頃になると“テレタビーズ”になり、本作ではそれが『フラッシュ・ゴードン』に。やったことがないので、もう一度言いますが、やったことがないので分かりませんが、やっぱり“原色でビカビカー!”ってのが良いんでしょうか?
彼女からフラれてるはずなのに、どさくさに紛れて自分からフッたみたいになってる主人公兼ヒロインのジョンに扮したのは、『ローン・サバイバー』『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』のマーク・ウォールバーグ。40を超えてもそこらの気の良いあんちゃん役が似合う彼なので、責任感と知性はアレだが優しいことには違いない主人公にピッタリ。役柄的にセス・ローゲンやジェイソン・シーゲルなんかもハマりそうなんですけど、見た目の愛くるしさとは裏腹に中身はエロと毒気しかないテッドと絡むには、場をまろやかにするマーキー・マークが丁度よいのかと。
そんなマーク・ウォールバーグとテッドに意識が集中しがちだが、ヒールに堕ちそうなところを懐の深さで回避した『寝取られ男のラブ♂バカンス』のミラ・クニスや、下品になったジョシュ・デュアメルっぽかった『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』のジョエル・マクヘイル、作品上のアクセントとして機能していた『パーフェクト・ストレンジャー』のジョヴァンニ・リビシ、“ミレニアム”ファンとしては久しぶりに見れて嬉しかった『ザ・スナイパー』のビル・スミトロヴィッチなど、印象的なキャストも大勢。
その他、『デンジャラス・ラン』のライアン・レイノルズや、ノラ・ジョーンズ、『ホワイトアウト』のトム・スケリットに『クリープショー』のテッド・ダンソン、『スター・トレック/叛乱』のパトリック・スチュワートなど、ゲストの豪勢さも魅力。
そしてなんといってもサム・J・ジョーンズ。正直『フラッシュ・ゴードン』でしか見たことがないんですけど、相変わらず脳細胞の大半を知的なこと意外で使ってる感じが素敵。本国では今年の6月に公開予定の『テッド2』にも出ているようで。まさかこの時代にフラッシュを立て続けに拝めるとは思いもよらず。
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