2011年06月28日

ミラクル・ワールド/ブッシュマン (The Gods Must Be Crazy)

監督 ジャミー・ユイス 主演 ニカウ
1981年 ボツワナ/南アフリカ映画 109分 コメディ 採点★★★★

無かった頃は別に不便さを感じてなかったのに、一旦手にしたら無いと不便でしょうがないと思ってしまうものって多いですよねぇ。携帯とかPCとか。今も昔も電話が嫌いなので滅多に使わないし、鳴ったら鳴ったで追い詰められたような気分になって嫌なのに、携帯を忘れて外出するとなんか不安。子供らのゲーム機もそんな感じで、与えてなかった時はなんだかんだと暇をつぶしてたのに、今じゃ退屈そうだからとどっかに連れて行ってやってるのに、ゲーム機まで持って来る始末。じゃぁ、出掛けなくてもいいじゃんと思うのだが、それは嫌らしい。なんとも一度覚えた贅沢は、なかなか元に戻せないもんなんですねぇ。

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【ストーリー】
カラハリ砂漠で家族と共に平和な生活を送っていたサン人のカイは、散歩中にセスナ機から投げ捨てられたコーラの空き瓶を発見。見た事もない代物に「神さまからの贈物に違いない!」と大喜び。皮をなめすのにも木の実を潰すのにも便利な贈物に家族も大喜びだったが、やがてその贈物を巡って諍いが起きてしまう。争い事に縁のなかったカイは、「これは悪い物だ。神さまに返そう!」と世界の果てを求めて旅立つのだが…。

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「白人が原住民を笑い物にした差別的映画だぁ!」「未開人は全て素朴で温厚だという偏見で作られた偽りの作品だぁ!」と非難もいまだある作品ではありますが、「なにを言ってるの?」ってのが私個人の見解ですし、そういう人は非難している自分が好きなんだろうなぁとも思いますので、その件に関してはこれ以上触れず。国や人種を問わず、多くの人が爆笑しホッコリとした気持ちになった事の方が重要だと思いますし。
博学者っぽいナレーションが被さることでより動物ドキュメントを観ているような気分にもなる壮大な自然と動物たちの姿を背景に、グイグイと浸透する西洋文化の象徴のようなコーラ瓶を巡る“ニカウさん版指輪物語”とも言える珍道中と、オッチョコチョイにも程がある生物学者の珍騒動に、反政府ゲリラの大統領暗殺未遂事件までも絡めた見どころ盛り沢山な本作。早回しで見せる動きを主体としたギャグの数々は古典的だが、古典的ならではの面白さに溢れ、物語の間を自由に行き来するニカウさんから醸し出されるホンワカとしたムードも相まって、毒気のない笑いを素直に楽しめる作品に仕上がっている。社会風刺的に極端に描かれた文明社会と、これまた極端に描かれる原住民の生活との対比から、“本当の幸せってなんだろー?”って問題提起がほんのりと上がって来るさじ加減も具合が宜しい。
そう言えば、もう“ブッシュマン”ってのは蔑称扱いになっちゃったんで本作のソフト名は“コイサンマン”。タイトルを変えただけで何とかなるわけじゃない気もしますし、子供の頃楽しんだのは“ブッシュマン”であって“コイサンマン”じゃないという屁理屈もありますので、本レビューのタイトルは劇場公開時のままで。

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ジョン・クリーズを彷彿させる風貌と動きで引っ切り無しに面白かった、生物学者に扮したマリウス・ウェイヤーズ。観ているこっちもつられて「アイヤイヤイヤイヤァ…」と言ってしまう人当たりの良さそうな雰囲気も印象的であるが、やっぱり本作の顔はニカウさん。
小学校の庭師をしていた時にスカウトされたというニカウさん。本人は「面白い顔をしてるから気に入られたんだろうねぇ」とやや自嘲的に話していたが、悪意というものを一切感じさせない顔立ちとその微笑みはやっぱり素敵。こっちに向かってしきりに話しかけているシーンにしたって、何を言ってるのかサッパリ分からないが、「お前、ウザいから死ね!」とは絶対に言ってないって事だけは伝わる温厚で平和的な雰囲気が最高。映画の大ヒットとそのキャラクターが受けて、一躍人気者となったニカウさん。日本にも何度か来日して、バラエティ番組に引っ張りだこでしたが、何かにつけ梅干を食わせようとする番組内容に、子供心ながら「なんか違うよなぁ」と思った記憶が。ストレートに土人扱いした香港での作品も相当な物だが、梅干し食わせて喜んでた姿勢よりはちょっとマシな気も。
因みに、DVDに収められていたその後のニカウさんを収めた、映画の特典にしては若干作品に批判的な立ち位置にあるドキュメンタリーがなかなかに興味深い。サン人の生活や現地の環境の変化を収めたドキュメントなのだが、ボロボロのTシャツ姿で登場するや否や、生活の厳しさを苦々しく毒づくかのように語り始めるニカウさんの姿に衝撃。「スタッフに言われてやっただけだから…」「コーラの瓶なんて、普通に見た事あるよ」と、分かってはいる事でも本人に淡々と話されちゃうとやっぱりショック。このインタビューから10数年後に再度訪れた時の模様も収められているのだが、今度のニカウさんは若干上機嫌で、作品を観ながら「もう死んじゃった人が映ってる…」と涙したり、学校の子供たちに「映画は過去を残してくれるものだ」と語ったりと人の良いニカウさんがその場に居て安心出来るのだが、ドキュメントの最後にニカウさん死亡。主演俳優の葬儀の模様で締めくくってしまうという、映画を観た楽しい気分のまま突入する映像特典としては非常に異色な内容に。他になんか特典になる映像なかったのかなぁ。

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ギャラが牛とか実はエリートとか、様々な伝説に説得力を持たせた笑顔

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posted by たお at 14:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■ま行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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