2008年02月29日

デス・プルーフ in グラインドハウス (Death Proof)

監督 クエンティン・タランティーノ 主演 カート・ラッセル
2007年 アメリカ映画 113分 アクション 採点★★★★

『溶解人間』とか『ジャイアント・スパイダー大襲来』とか大好きです。もちろん顔がドロドロと溶ける様や、台車に乗っかったでっかいハリボテから人々が笑いながら逃げ惑う様を見るのが好きってのもありますが、時間も金もなく、そして何よりも才能にも恵まれなかった映画人が、華やかさとは縁遠い現場で僅かな望みとヤケクソにまみれながら撮り上げた故に色濃くフィルムに刻まれた、どんなに頑張ってもこうなってしまうある種の遣る瀬無さが大好きなんですよねぇ。

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【ストーリー】
耐死仕様に改造した愛車で夜な夜な若い娘を血祭りに上げていた、スタントマン・マイク。次の獲物に彼が選んだのは、映画関係者の美女4人組であったが…。

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60年代から70年代に血と暴力とエロに塗れた映画ばかりを数本立てで上映していた当時の映画館の雰囲気を復活させようと、クエンティン・タランティーノが作り上げた一本。『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスによる『プラネット・テラー in グラインドハウス』を併映に、たっぷりとフェイク予告編を挿入した本来あるべき姿で鑑賞した訳ではないので暫定的な感想とはなってしまうのだが、独立した作品として再編集された本作もなかなかに面白い。
もともと私自身は、金にも時間にも才能にも恵まれなかった映画人が作り上げた作品群を、金にも時間にも才能にも恵まれた人間が忠実に作るってのは、なんと言うか“アナーキー・イン・ザ・UK”をキング・クリムゾンが完全コピーしたのを聴かされるような、音は完璧だが内なる叫びが全く届いてこない上に鼻につくので、あまり好きではないのだが、本作においては愛して止まないものを撮る為には、作品全体のバランスをも厭わないタランティーノの不器用さもあってか、そんなスノッブな匂いは全くしない。軽快なテンポと生身スタントの迫力を思う存分堪能できる上に、冷酷なはずの殺人鬼がベソをかいて逃げ回るあんまり観たことのない展開が楽しめる後半部が個人的には好きなのだが、傷だらけでシーンもちょくちょく飛ぶフィルムの保存状態の悪さやピントがずれるテクニック面だけではなく、程よい色気とマッタリとしたテンポで眠気を誘いつつ、何で走っている車から手や足を出しちゃいけないのか良く理解できる度肝を抜くショックシーンで一気に眠気を覚ます構成まで忠実に当時を再現した前半部における、ノリにノったタランティーノ演出も楽しい。自前のジュークボックスからお気に入りの楽曲をガンガン流し、大好きな美脚の美女がウヨウヨとたむろするバーは、まさにタランティーノの脳内パラダイス。“タランティーノのオナニー”と言われればそれまでなのだが、これだけ楽しいオナニーなら付き合って損はない。いや別に、ホントにオナニーに付き合うつもりはありませんが

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スタントマンの割には滅法痛いのが苦手っぽいスタントマン・マイクには、『ポセイドン』『スカイ・ハイ』のカート・ラッセル。当初はミッキー・ロークにも話が行っていた役ではあるが、最近ではめっきり少なくなった土と油の臭いが似合うタフさを持ちつつも、狙った獲物に逆襲されベソをかきながら逃げ回り、映画史上稀に見る無様な“ゴメンなさい”を違和感なく披露できる芸幅の広さで言えば、まさにカート・ラッセルは適役。あんなに綺麗に踵落しを決められる俳優ってのも、そうそう居ませんし。
そんなカート・ラッセル以外にも、タランティーノ映画らしく本人を含め錚々たる顔ぶれが揃った本作。『シン・シティ』のロザリオ・ドーソンに『プラネット・テラー in グラインドハウス』と本作の両方に出演するローズ・マッゴーワン、お父さんが女装しているようにしか見えなかったシドニー・ターミア・ポワチエに、お母さんにはなにかとお世話になった『ホステル2』のジョーダン・ラッド、何のために居たのかサッパリ分からなかった『ダイ・ハード4.0』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドに、『ホステル』のイーライ・ロス、状況をしっかりと説明だけしてくれるマイケル・パークスとその息子と至れり尽くせりの顔ぶれなのだが、最も強烈な印象を残してくれるのがトレイシー・トムズとゾーイ・ベルの二人。特に、最も画面栄えしなそうな風貌で登場しながらも、身体を動かし始めた途端にとんでもない輝きを全身から発し始めたゾーイ・ベルは絶品。鉄パイプ片手に箱乗りする勇ましさもさることながら、難しいことは得意じゃないが頑丈な身体と真っ直ぐな性格で大体のことはクリアしちゃいそうな佇まいと懐っこい笑顔は、スタントウーマンとして裏方だけに徹するにはもったいない逸材。是非ともジェームズ・キャメロン辺りに使って頂きたいもので。

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これだけで一本観たい

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2008年02月28日

パーフェクト・ストレンジャー (Perfect Stranger)

監督 ジェームズ・フォーリー 主演 ハル・ベリー
2007年 アメリカ映画 110分 サスペンス 採点★★

美人ってのはいいですねぇ。見ているだけで幸せになります。その美人でいる努力を考えれば、周囲からやたらめったらチヤホヤされて当然と思うんですが、「私は美人なんだからアナタもチヤホヤしなさい!」と美人の押し売りをされるのは、勘弁していただきたいもので。

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【ストーリー】
女性記者ロウィーナの幼馴染グレースが死体で発見される。グレースが経済界の大物ハリソンと不倫関係があったことからハリソンに疑いを持ったロウィーナは、身分を隠して彼に近づくが…。

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『NYPD15分署』のジェームズ・フォーリーによるサスペンス。
ラストのどんでん返しがとりあえずのウリである作品なのだが、ビックリするにもそれまでのミスリードが全く効いていない本作。物語の土台自体、「私アイツと不倫してるのー」の伝聞と「アイツは女好き、私は美人。近づいてくるに違いない」というやたらと細い線の上に成り立ち、撮り手にキャラクターへ対する関心が全くないのか、全員が上っ面だけの浅いキャラクターの上に全員ほどほどに怪しく、全員ほどほどに怪しくもない、最後に辻褄さえ合わせれば被害者を含め誰が犯人になっても別に構わない大雑把な作り。“男性名を使う女性記者”“別人に成りすますチャット”など、“向こう側にいるのはアナタが思っている人物とは限らない”という今更のテーマも併せてクライマックスまで一向に盛り上がることもなく、謳い文句にまでなっている“ラスト7分11秒”になる頃には、全てがどうでも良くなってしまう作品。まぁ、タイトル通り赤の他人のどうでもいい話を見ている気分にはなりますが。秘密を知られたが故に相手を殺した犯人に対し、「ヘッヘッヘ、秘密を知っちゃったー♪」と近づくキャラクターまでいる間抜けさにも、大いに閉口。

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確かに美人ではあるのだが、ある種綺麗なニューハーフを見ている気にもなってくる『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のハル・ベリー。性の匂いを感じさせない中性的なキャラクターであればその魅力を存分に発揮できるのであろうが、性の匂いを前面に打ち出す役柄も多く、そうなると彼女が出てくるたびに心の温度が1度ずつ下がってしまうことも。本作においてもまさにそれで、なおかつ自意識過剰で男の扱いがぞんざいな彼女のおかげで、観終わる頃には心が激寒となることに。まぁ、出鼻から自分の会社が応援してきた政治家のスキャンダルを、その会社の新聞の一面に飾ろうとする無神経さにウンザリさせられるんですが。まずは載せられる媒体を確保してから、職を辞してやれと。
そんな彼女を含め、出てくるキャラクター全てに関心が払われているとは到底思えない本作。ハル・ベリーにいいように使われた挙句、若干ベクトルの狂った片想いが発覚した途端に変態扱いされる『狼の街』のジョヴァンニ・リビシはまだマシな方で、『ダイ・ハード4.0』のブルース・ウィリスに至っては“女好き”以外は何にも分からない役柄。扮するブルース・ウィリスもどうしたらいいのか分からなかったのか、ただただ微笑んでいるだけの何の変哲もないフツーのブルースでしたよ。

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なにもかにもが噛み合わず

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posted by たお at 15:59| Comment(10) | TrackBack(58) | ★★(暇なら) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月25日

ハリウッドランド (Hollywoodland)

監督 アレン・コールター 主演 エイドリアン・ブロディ
2006年 アメリカ映画 126分 サスペンス 採点★★★

ちょっと態度が悪かったぐらいで「あんたの映画で泣いたのに!あの涙を返せ!キーッ!」ってバッシングに走るのもどうかとは思うが、人ってのは画面の向こうの人物に対し、演技していることは理解しつつも“本当にそういう人であって欲しい”“いや、きっと本当にそういう人だ”“そうに違いない!絶対そうだ!”と思いたがるようで。そんな思い込みをいつまでも押し付けられるのは、とても辛そうですねぇ。

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【ストーリー】
絶大な人気を誇ったTV番組“スーパーマン”の主演俳優、ジョージ・リーブスが、自宅で死体となって発見された。警察は自殺との見解を示したが、納得が出来ないリーブスの母親は私立探偵シモに真実の究明を依頼するが…。

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ハリウッドスキャンダル関連の本だと、大体最初の方には必ず載ってる“スーパーマンの自殺”をモチーフにした一本。
うらぶれた私立探偵をメインに50年代ハードボイルドの世界を色濃く打ち出した“現在”と、ハリウッド帝国の荒波に乗り切れなかったリーブスの“過去”をクロスオーバーさせながら、夢を売ってるからといって夢の国では決してないハリウッドの闇と、TV人気の拡大、若者文化や現実の変化についていけなくなり急速に衰えていくハリウッド帝国の様子を映し出す本作。物語のメインも“ジョージ・リーブスの死の謎”ではなく、彼を含めた映画人とその周辺に生きる人々の悲哀を描くものであるので、謎解きを求める方には不向きな作品ではあるが、その時代の香りを僅かにでも感じさせる分には非常に興味深い作品である。押し潰す者もやがては押し潰される側となり、本当に大切な物に気付いた時にはあまりに時間が経ち過ぎていたことに気がつく結末も、いたく切ない。これでもう少しメリハリと映画的見せ場に富んでいれば良かったのだが、あまりに淡々としすぎた上に構成も非常にTV的であるのが残念でも。

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ヒモ気質というか、いつの間にか転がり込んで居座ってそうというか、まぁとってもモテそうだから大嫌いな俳優の一人である『ジャケット』のエイドリアン・ブロディ。個人的に嫌いな人を思い出しちゃうし。それはさておき、本作でもその“ダメ男”っぷりを遺憾なく発揮し、見事にハードボイルドの世界に生きるうらぶれた私立探偵を熱演。嫌いな俳優だが、いつも“上手い”と唸らさられる。そこがまた癪に障るんですが。
そのエイドリアン・ブロディを筆頭に、時代と舞台にぴったりとハマる役者が揃った本作。肌年齢を微妙に調整して嫉妬と不安に駆られる中年女性の心境を巧みに演じた『理想の恋人.com』のダイアン・レイン、時代物には欠かせない俳優の一人となった『ダニー・ザ・ドッグ』のボブ・ホスキンスと実力派揃いの中、大味な映画で大味な演技ばかりしている心象が強まっていた『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のベン・アフレックが一際輝く存在に。隠し切れない下品さと貪欲さ、そして脆さを見事に表現。こんなベン・アフレックをここしばらく観ていなかったので、素直にビックリ。

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夢を売る人間だって夢は持ちたい

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posted by たお at 01:42| Comment(6) | TrackBack(12) | ★★★(まぁまぁ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月24日

ホステル2 (Hostel: Part II)

監督 イーライ・ロス 主演 ローレン・ジャーマン
2007年 アメリカ映画 94分 ホラー 採点★★

観客を感動させる目的の“オマエの涙、最後の一滴まで絞り取ってやる”映画もあれば、観客を不快にさせる目的の“オマエの血液、最後の一滴まで搾り取ってやる”映画もある。そのどちらもそれぞれの目的があるわけだし、どっちかは“映画”で、どっちかは“映画なんかじゃない”って区別は出来ない。どっちも映画。好きな方を観ればいい。「なんか、ホンワカする映画が好きー♪」って言う人に『ゴア・ゴア・ガールズ』を薦めるのはお門違いだが、「『ゴア・ゴア・ガールズ』なんて観てる人は、人としておかしい!」って言われるのも、相当お門違い。

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【ストーリー】
ローマに留学中のアメリカ人女子大生ベスら三人は、休暇を過ごす為にプラハへと向かう。しかし、道中天然スパの評判を聞いた彼女らは行き先を変更、スロバキアへと向かう。だがそこで彼女らを待っていたのは、会員制拷問殺人クラブの魔の手であった…。

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公開されるや否や、一部のホラーファンを熱狂させる一方、狭い許容範囲をちょっとでも逸脱するものを何が何でも排除しようとする、大多数の良識派を怒らせた愉快な作品『ホステル』の続編。監督は引き続きイーライ・ロス。
前作の生き残りに待つ悲惨な結末から幕を開ける本作。その序盤にちょっとした血塗れサービスがあるものの、あとは前作同様クライマックスまでダラダラと進む。そのダラリ旅の道中に伏線が散りばめてあったり、タブーを踏み越えようとする主人公らへのハラハラがあれば盛り上がるのだが、今回は特にそういった目を引くポイントが見当たらず。さすがに構成が丸っきり同じではいけないと思ったのか、加害者側の背景をより深く描いているのだが、その背景が鮮明になればなるほど、前作ではボンヤリではあったが根の深さだけは充分に伝わった不気味な怖さが薄れるのみ。“若い女性が被害者になる”ってだけで充分という判断なのかゴア描写も比較的控え目で、前後の筋はスッカリ忘れ去っても、そこだけはシッカリと覚えてるって程の強烈なシーンもない。確かに最後にアレをチョキンとされて犬に食われるってのは強烈ではあるが、やたらと騒がしい目が飛び出た女を連れて逃げなきゃならなかった前作ほどでも、残念ながらない。
結果的にウェルメイドなスプラッターとなってしまった本作ではあるが、『食人族』のルッジェロ・デオダートが人を食ってたりするサービスもあるので、★おまけ気味。

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手間はかけるが、あとは雑

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2008年02月23日

アレックス・ライダー (Stormbreaker)

監督 ジェフリー・サックス 主演 アレックス・ペティファー
2006年 イギリス/アメリカ/ドイツ映画 93分 アクション 採点★★★

随分と前に亡くなった私の父方の祖父は、かつて民謡界ではそれなりに有名だった人らしく、葬儀では見た事も聞いた事もない大勢の弔問客と出棺の際に並んだ尺八と三味線奏者の列に、いつも縁側で干し柿みたいになって座ってる姿しか知らなかった私は大いに驚いたものです。身近な人の事でも、結構知らないことって多いんですねぇ。

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【ストーリー】
幼い頃から叔父のイアンと暮らしていた14歳のアレックスは、叔父の謎の死をきっかけに彼が実はスパイであり、アレックス自身もスパイとしての技能を知らず知らずに習得していたことを知る。そしてアレックスはMI6にスカウトされ、叔父の死の謎を暴くべく、IT事業の成功者ダリル・セイルの下に潜入する。

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アンソニー・ホロヴィッツによるベストセラーを彼自身が脚本、監督には、面白くなりそうな題材を後一歩の所で面白くないものに仕上げてしまうサイレントノイズ』のジェフリー・サックス。
14歳を主人公に“死んだ叔父はMI6のスパイ”“そんなボクも結構スパイ”“しかもベビーシッターがアリシア・シルヴァーストーン”と、中学男子にとって夢のような題材を取り扱っているのだが、肝心の主人公は別段ハシャグわけでもなく、いたってドライな本作。極端にデフォルメされた大人勢同様に“如何にもスパイ映画でござい!”といったスパイ映画的記号や、子供らしい遊びの要素をもっと強烈に打ち出せば面白かったのであろうが、ハチャメチャにはしたくないジェフリー・サックスの引っ込み思案な所が出てしまったのか、なにかと中途半端な結果に。せっかくMI6のスパイって設定なんだから、007を始めとした60年代スパイ映画のパロディ的描写が多くても良かったのではと。狭い舞台を行ったり来たりするだけのモタついたテンポも辛い。
シーン毎にガラリと変わる演出のバラつきが特徴の本作ではあるが、序盤のロープを使った格闘シーンは見もの。多分、そこが『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』のドニーさんによるものなんでしょうが、もっと作品全体にドニー色を出しても良かった気も。というか、ドニーさんに出てもらったほうが

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綺麗な顔立ちをしているのだが、その声同様重苦しい雰囲気が軽快なアクション映画であるはずの本作との相性をチグハグにしてしまった感のある、アレックス・ペティファー。この作品でなければもっと強烈な存在感を示せるであろう若手だけに、別な映画で観てみたい気も。
そのイマイチ乗り切れていない主人公をフォローするには、豪勢過ぎる顔ぶれが揃っている本作。その5歳児のような笑顔で「いやぁ、死んでなかったんだよー♪」って出てくるのかと思いきや、ホントに死んだままだったことに驚いた叔父役の『ステイ』のユアン・マクレガーを筆頭に、コミックリリーフとして見事な仕事を見せる『ホット・ファズ』のビル・ナイ、常に新しい“いとしいしと”の側にいる『プレステージ』のアンディ・サーキス、きっと中身は本当にタコ星人に違いない『ギャラクシー・クエスト』『ドッジボール』のミッシー・パイル、今回は別に足が手ではなかった『イーオン・フラックス』のソフィー・オコネドー、記憶力だけは相変らず良さそうな『ドリームキャッチャー』のダミアン・ルイス、ビックリした口をしているだけで90分をやり過ごしたアリシア・シルヴァーストーンなど、一本の作品とは思えぬ錚々たる顔ぶれ。しかしながら、これだけの顔ぶれが束になってかかっても敵わないのが、『シン・シティ』『エンゼル・ハート』のミッキー・ローク。素顔で出れなくなってからのミッキーさんの怪優としての存在感は強烈で、本作でも一人だけ『ディック・トレイシー』から抜け出てきたかのような扮装で、異彩を放ちまくる。そんなミッキーさんの強烈過ぎる存在感と青いアイシャドーに、★ひとつオマケ。

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根に持つタイプ

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2008年02月22日

今日のアイツ その8

なんかついこの間書いたばっかのような気もしますが、ここんとこの忙しさのせいか、ただ単に年寄りなだけか、すっかりと風邪を引いてしまいまして、映画も観ずに寝てばかりいるのでネタもなく、じゃぁスズメでいいかと。
普段、仕事から戻ると家ではグレーのトレーナーなり黒のカットソーなり、なんとなくそんな感じの服ばかり着てゴロゴロしてるんですが、今日はどれもこれも洗濯しちゃってて着れそうなのが引き出しの奥に眠っていた真っ赤なトレーナーのみ。まぁ、外に出るわけでもないからいいかと久しぶりにそのトレーナーを着たんですが、さっきまで大人しかったスズメのこぶがパニック。「なにー?あの赤い人、なにー?こわいー!」と、私目掛けて威嚇の悲鳴を。未だ近づいてくれません。それにしても、スズメも色を判別するんですねぇ。

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2008年02月18日

フロストバイト (Frostbiten)

監督 アンダシュ・バンケ 主演 ペートラ・ニールセン
2006年 スウェーデン/ロシア映画 96分 ホラー 採点★★★

夕暮れ時に外で一服をしていると、日が長くなってきているのを感じる今日この頃。少しずつ春が近づいてるんですねぇ。でも、昼がどんどん短くなってあっという間に夜になってしまう冬の寂しさが結構好きなんで、最近は寂しくなくなってきてちょっと寂しい。

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【ストーリー】
昼でも太陽の昇らない極夜の季節、とある田舎町に越してきた女医のアニカと娘のサガ。アニカは遺伝子学の権威ベッカート教授の下で働くが、彼の行動に不審を感じるアニカ。一方サガは、友人に招かれパーティへ出向くが、ドラッグと勘違いしベッカート教授から盗み出した謎の錠剤が参加者へ振舞われ、その錠剤を飲んだ学生が次々とヴァンパイアと化してしまう。

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“スウェーデン初のヴァンパイアホラー”という触れ込みの一本。本当かどうかは知りませんが。
第二次世界大戦の時代から始まる本作。序盤こそはゴシック風味を感じられるホラーであるのだが、現代を舞台に移した途端ティーンホラー色がどんどんと強まり、クライマックスが近づくにつれますますコント色が濃くなる不思議な味わい。梅干を食べたら、種がチョコレートだったみたいな感じ?闇と雪に閉ざされた密閉空間が舞台の割に、登場人物が基本的にスコーンと抜けた明るさを持っているのも珍妙。主人公を軸とした“新種族の吸血鬼vs旧種族の吸血鬼”、娘を軸とした“阿鼻叫喚の吸血鬼パーティ”、恋人の家に招かれたら、お父さんは牧師で料理はニンニクと散々な目に遭う“吸血鬼なりたて青年の苦労日記”と、概ね三つのストーリーラインで形成された本作は、どのラインも絡み合っているとは言い難い奔放さなのだが、どことなく『フライトナイト』とその頃作られた数多のホラー映画と同じ臭いを感じるのは、好印象。
主人公の娘役には、“ロッタちゃん”ことグレーテ・ハヴネショルド。しばらく見ないうちに大人になっちゃって。もう赤い自転車なんて乗り回さないんでしょうねぇ。

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ロッタちゃんの血塗れパーティ

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2008年02月16日

ロケットマン! (Khon Fai Bin)

監督 チャルーム・ウォンピム 主演 ダン・チューポン
2006年 タイ映画 103分 アクション 採点★★★

私の住んでいるこの辺は田畑の多い田舎町のせいか、夕方にもなると空を黒く染めるほど大量のカラスが。鳴声のうるささもさることながら、あれだけの数になるとフンも相当な量で、困り果てた住人がアレコレ考え抜いた結果、導き出された対策が“ロケット花火でビックリさせる作戦”。おかげさまで私の住む此処は、一年を通して雑貨屋の店頭にロケット花火が並び、夕方にもなるとあちこちからロケット花火が打ち上げられる町に。それはそれで、うるさい

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【ストーリー】
大小さまざまなロケット花火を武器に、両親を殺した男を探す為に牛飼いを追い回すロケットマン。遂にその宿敵を見つけたロケットマンであったが、その宿敵は妖術使いで…。

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七人のマッハ!!!!!!!』のダン・チューポン主演による、近くの敵はムエタイで、遠くの敵はロケット花火で蹴散らすロケットマンの活躍を描く一本。
欧米諸国の介入により近代化を強いられる20世紀初頭のタイを舞台に、“尊ぶべき固有の文化=牛”“強いられる近代化=トラクター”とテーマを非常に分かりやすい例えにして背景に溶け込ませ、それを打点の高いムエタイに、ひたすら痛いのを我慢する体を張ったスタント、妖術、笑い、ウエスタン、仏様と、タイ娯楽映画の要素のほとんどをワンパクに詰め込んでザックリと仕上げた本作。肝心のロケットマンが別に物語上重要じゃなかったり、ワイヤーワークがビックリするほど雑だったり、ロケット推力で進む馬車(牛車?)が思いのほか遅かったりと、粗も目立つ作品ではあるのだが、身体能力の高さを堪能できるアクションと、でっかいロケット花火に乗って主人公が飛んでくる見た目のインパクトで、概ね帳消し。高い身体能力によって繰り出される華麗なアクションの迫力を洩らさぬよう、引き気味で全体像を捉える撮影も良い。ただ細かい不満とはなるのだが、そのアクションの始動点から到達点までをワンカットでは収めず、到達点のほんの僅か手前でカットが変わってしまうのには、寸止めを食らったようなじれったさを。

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両親の仇を探す為とはいえ、然程罪深くもなさげな牛飼いを襲い続ける甚だ迷惑な主人公に扮するのは、『七人のマッハ!!!!!!!』のダン・チューポン。目を見張る見事なムエタイ技とは裏腹に、そのぎこちない台詞回しと演技も相まって、主人公のロケットマンに“童貞臭”という一面を加えることに。思い込みが激しく、女の子の前では緊張して話も出来ない割には格好をつけたがり、関心事を隠しきれない目線に、妖術使いを倒す為に処女の生理の血が必要であるとはいえ、「生理はまだか?」と女の子にヌケヌケと聞けるデリカシーのなさは、まさに童貞。大体13歳。その童貞に生理待ちをされる、劇中の設定から逆算すると精々11歳かそこらということになってしまうヒロインには、カンヤパック・スワンクート。どことなくセガールの娘っぽい。
マッハ!』『トム・ヤム・クン!』ではアクション監督、『七人のマッハ!!!!!!!』では監督を務めたパンナー・リットグライが敵役として登場。本作でもアクション監督を務めてくれたら良かったのに。

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見た感じ、こっちの方がロケットマンっぽい

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2008年02月13日

今日のアイツ その7

前回からだいぶ間が開いてしまったので「あのスズメは死んじゃったんじゃないか?」と思われちゃってる方もおられるかも知れませんが、大丈夫です。生きてます。ピンピンしてます。ピンピンし過ぎて鬱陶しいくらいです。
で、こぶ。拾ってきた時から手の平にいる時間が長かったせいか、充分大きくなった今も、隙さえあれば手の中なり服の折れ目の間なり襟の中なりにもぐって寝ようと頑張りまして。それはそれでお互い落ち着かないので、鳥籠の中にこぶ用の巣を買って入れたんですが、巣の中に突如現れた異物に恐怖を感じたのか、ギャースカギャースカ逃げ回る始末。まぁ所詮鳥なんで程なく慣れてはくれたんですが、“中で寝る”という発想まではいかないのか、「座り心地、素敵ー!」と上に登ってマッタリとしてたり、「飛び出た藁が面白いー!」と引っ張って遊ぶのみ。あっという間にボロボロ。しょうがないので後日新しい巣を買ってきて入れると、またもリセットが掛かったのか、突如現れた異物にパニック。まぁ、程なく慣れるんですけどね。ところが今回はようやく“巣”と認識したのか、恐る恐るながらにも巣に突入。それっきり出てきてくれません。どうしましょう?

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引き篭もる年頃

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2008年02月12日

ファンタスティック・フォー:銀河の危機 (4: Rise of the Silver Surfer)

監督 ティム・ストーリー 主演 ヨアン・グリフィズ
2007年 アメリカ映画 92分 アクション 採点★★

ギターが上手いとか、それこそペン回しが出来るとか、なんかしら特技がある人ってのは羨ましいですよねぇ。場を盛り上げられますし。私なんて、薬指を曲げないで小指を曲げられるくらいしか特技がありませんから。地味だし。

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【ストーリー】
宇宙から謎のエネルギー体が地球へ飛来。世界各地に異常現象を発生させる。そのエネルギー体“シルバーサーファー”の解明に乗り出したファンタスティック・フォーは、シルバーサーファーが飛来した惑星は全て8日以内に滅びていることを知る。地球の危機を救う為、ファンタスティック・フォーはシルバーサーファーに立ち向かうのだが…。

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構成員がゴム人間、透明女、人間松明、岩というチームびっくり人間の活躍を描く、人気コミックの映画化第二弾。
前作『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』では、まずはキャラクター紹介ってこともあってか終始内輪揉めを描くだけで終わってしまった感も強かったが、さすがに第二弾ともなればストレートかつスピーディーにチームびっくり人間の活躍を描くのだろうと期待してみたら、相変らず内輪揉めばかりのようで。そのびっくり人間らの内輪揉めに、世界中に天変地異を引き起こすシルバーサーファー、惑星を一飲みしちゃう巨大な存在に、無闇に偉そうな軍人と、題材こそ盛り沢山だが盛り付けをされているわけでもなく、非常に散漫。前作の宿敵Dr.ドゥームまで引っ張り出したのはいいが、どんな極悪非道振りを発揮するかと思いきや、地球の危機を回避する重要アイテムであるサーフボードを奪い取り、「あはは〜♪楽しぃ〜♪」と飛び回るだけ。仕舞いには「返せ!」と迫るチームびっくり人間に対し「ボクは意地悪だから返さないよーだ!」と。小学生か?しかしながら、その題材が絡み合っているとは言い難い本作の中で、母星を形に取られ已む無く惑星食いのパシリをやっているシルバーサーファーの物語は、その背景も含めなかなかに面白い。あれだけの力を持っているなら、最初からパシリをしている必要もないような気はしますが。シルバーサーファーを中心軸に据えて、その周囲をびっくり人間がチョロチョロする物語でも良かったのではと。

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正直、この手の作品の主人公としてはいささか華のないヨアン・グリフィズや、ウェディングドレス姿が目玉の一つであったのだろうが、別段好みでもないのであんまり興味もなかった『シン・シティ』のジェシカ・アルバ、素顔でも充分岩っぽい『ブラッド』のマイケル・チクリスと、前作から引き続き然程心のそそられぬ顔ぶれが登場する本作ではあるが、やはり火の玉坊主の『セルラー』『サンシャイン 2057』のクリス・エヴァンスは見事。責任感も節操もないが勢いだけはある彼は、まさにB型人間の鑑。今回は全編いじけっぱなしではあったが、その辺の不満も最後の大活躍で充分チャラ。
また、全身メイクで俄然その存在感と表現力の細やかさが引き立つ『パンズ・ラビリンス』のダグ・ジョーンズや、なんだかんだと自身の原作物には顔を出すスタン・リーも印象的。彼らびっくり人間以外のびっくりしない人間らの顔ぶれは、あんまり印象に残っていませんが。

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