2016年12月08日

エンド・オブ・キングダム (London Has Fallen)

監督 ババク・ナジャフィ 主演 ジェラルド・バトラー
2016年 イギリス/アメリカ/ブルガリア映画 99分 アクション 採点★★★

ジョエル・シルヴァーなんかがけん引していた、悪役が単純に悪でしたかなかったド派手大味アクション大作ってのも、同時多発テロ以降めっきりと減っちゃいましたよねぇ。まぁ、いろいろと配慮が必要な時代になっちゃったってのもあるんでしょうけど、配慮をし過ぎちゃうと、する側にしてもされる側にしても良い結果にならない気もするんですがねぇ。

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【ストーリー】
英国首相の急死により執り行われる葬儀に参加するため、ロンドンに米国大統領アッシャーをはじめ西側諸国の首脳が集結。しかし、厳戒態勢のロンドンで同時多発テロが発生。首脳らが次々と命を落とす。シークレットサービスのバニングの活躍で難を逃れたアッシャー大統領をテロリスト集団が追う中、バニングは大統領を守るため孤立無援の戦いを挑むことに…。

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80〜90年代の大味大作アクションの醍醐味を久々に味わえた『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編。メガホンを握ったのは、スウェーデンの新鋭ババク・ナジャフィ。
ザル過ぎる警戒態勢を潜り抜け易々と侵入したテロリストに、また襲われ捕まっちゃう大統領を救うべく奮闘する、怒りっぱなしで容赦ないシークレットサービスの活躍を描いた本作。見どころであるはずのロンドン大破壊描写のCGがなんともショボく、出だしから不安を感じさせられたが、そこ以外に関しては大味ざっくばらん路線をきっちりと継承していたので、安心して楽しめた一本。仏大統領はお洒落で伊首相はスケベ、加首相は影が薄く日本首相はお爺ちゃんみたいな、前時代的なステレオタイプ描写もなんか楽しい。
テロリスト側の事情も少なからず描かれてはいるのだが、それに対して全く聞く耳を持っていないのも本作の特徴。「お前らが始めた戦争…」「うるせぇ!ぶっ殺すぞ!」、「お前らが家族を…」「うるせぇ!ぶっ殺すぞ!」と、全く聞く耳持たず。この配慮のなさは、ある意味清々しさすら感じた一本で。

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大統領を救うこととテロリストを殺すことには長けてるが、事が起こる前に防ぐことはちょっと苦手そうな怒りん坊の主人公に扮したのは、もちろん前作に引き続き『完全なる報復』『GAMER』のジェラルド・バトラーが。知名度の割に、コンスタンスにヒット作を生み出しているわけでもない焦りもあるのか、今回も製作を兼ね大暴れ。ロマンスものだとちょっとジャガイモっぽいゴツゴツ感に目が行ってしまうのだが、こういうただひたすら怒ってるようなアクション映画だと、そのゴツゴツ感がピッタリとハマるので、アクション映画中心に活躍して欲しいなぁと。
また、捕まり過ぎの大統領に扮した『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のアーロン・エッカートと、前作同様なんでも知ってる副大統領に扮した『テッド2』のモーガン・フリーマンを筆頭に、情報収集能力にちょっと難があるシークレットサービス上官に扮したアンジェラ・バセット、今回は安全圏にいれた『イコライザー』のメリッサ・レオなど、中心メンバーはほぼ全員引き続き登場する本作。
その他、『ダークナイト ライジング』のアロン・アブトゥブール、見た目でついつい疑っちゃった『ロボコップ』のジャッキー・アール・ヘイリー、旦那も結構ゴツゴツしているオール・ユー・ニード・イズ・キル』のシャーロット・ライリーら、新顔もそれなりの印象を残してくれた一本で。

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捕まってくれないとイマイチ本領発揮できない

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2016年12月01日

トリプル9 裏切りのコード (Triple 9)

監督 ジョン・ヒルコート 主演 キウェテル・イジョフォー
2016年 アメリカ映画 115分 アクション 採点★★★

一般常識とはちょっとズレた、職場独自の習慣や風習ってのがあるって話をよく聞きますよねぇ。私自身はそこまで独特な社風の会社に勤めたことがないんですけど、強いて言えば、今の会社は外資のせいか、使う資料に写ってる人物が皆満面の笑顔で親指を突き上げてる外人だってのが、ちょっとヤダ。ポジティブを押し付けられてるようで、なんかヤダ。自己啓発セミナーに感じるような胡散臭さが、どうにもヤダなのよ

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【ストーリー】
凶悪犯罪が多発するアトランタ。ロシアンマフィアとの関係を絶とうと考えていた、元兵士や悪徳警官らで構成される強盗グループのリーダーであるマイケル。それを許さぬマフィアの女ボスのイリーナは、マイケルの息子を人質に、厳重な警備に守られた国土安全保障省の施設を襲撃する仕事を命令する。追い詰められたマイケルらは、警官が撃たれた際に街中の警官がその現場へ駆けつけることを最優先とする緊急コード“トリプル9”を利用することを思いつく。その標的として、新たに赴任してきた実直な刑事クリスに目を付けるのだったが…。

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ザ・ロード』のジョン・ヒルコートによる、群像サスペンス・アクション。なんかいっぱいいる音楽担当の中には、トレント・レズナーとの仕事で知られる『ゴーン・ガール』のアッティカス・ロスの名も。
法や道徳、世間一般の常識とは異なる犯罪者と警察官の道義と、それを踏み外してしまったがために起る混乱と悲劇を描いた本作。ザックリといえば風変わりな作風のジョン・ヒルコートにしては非常にオーソドックスな作りだったので、安堵半分、肩透かし半分って感じも。
プロの強盗グループと、それを追う警察の姿を二部構成のように描く、要は『ヒート』な本作。冒頭の強盗シーンや、警察による襲撃シーンに見られる、訓練を受けた者たちだからこその無駄のない美しさすらある動きが、犯罪都市である現場の空気感も含め非常にリアルに描かれているのが見どころ。ただ、そのリアルさに物語がさっぱりついて行ってない印象も。欲望や裏切りだけではなく絆の深さも描かれる、犯罪者グループがメインとなる前半はタイトな作りで良いのだが、警察が絡んでくる後半になると、バタバタと雑になった上に物語がフワフワしてしまう。主人公ポジションにいるはずのクリスは、振り返ってみると物語に絡んでそうで絡んでませんし。この警察描写の弱さは、作品のバランスを崩しているだけではなく、“警察の問題は警察内で処理をする”という独自の道義で締めくくる結末の持つ意味も弱めてしまっているのがなんとも残念。
随所に素晴らしい描写があり、非常に良い顔触れが揃っていただけに、「もう少しなんとかならんかったのかなぁ…」って印象が残る、なんとも惜しい一本で。

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強盗団のリーダーを涙目で熱演していた『オデッセイ』のキウェテル・イジョフォーを筆頭に、単に真面目なだけではなく、斜めから冷めて皮肉めいた視線で物事を見つめているような眼差しが警官役にピッタリだった『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のケイシー・アフレック、根っこの明るさが悪党になり切れない警官役にハマっていた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアンソニー・マッキーに、“欲”が前に出ていた『PARKER/パーカー』のクリフトン・コリンズ・Jrと、非常に良い顔触れが揃っていた本作。
そのメインどころのみならず、なにかキメこんだまま出てきちゃってたような『セブン・サイコパス』のウディ・ハレルソンや、下品さ丸出しだった『コンテイジョン』のケイト・ウィンスレットら大物勢に、『ブレイキング・バッド』のアーロン・ポール、持ち前の色気を封印していた『X-ミッション』のテリーサ・パーマー、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のガル・ガドットといった、若手勢にも良い顔揃いの本作。
中でも、監督自身も早期退場を惜しんでシーンを増やしたと語っていた、強盗団の心の要のようなラッセル役に扮した『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスが素晴らしい。ホント、退場もうちょっと後でも良かったんじゃないかなぁ。
ヒルコート作品に出演するのがステイタスなのか、なんか最初に声掛けた人が全員快諾したかのような顔触れを一気に見れるだけでも価値ある作品ではありますが、その反面「もったいないなぁ」って感じも拭えなかった一本で。

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法律よりも守らなければならないルールが

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2016年11月29日

センソリア/死霊の館 (Sensoria)

監督 クリスティアン・ハルマン 主演 ラナ・オールソン
2015年 スウェーデン映画 81分 ホラー 採点★★★

映画だけに限らず、“天国で愛する人と一緒になる”って話をよく聞きますが、自分がそう願ってても相手側がそこまで思ってない場合はどうなっちゃうんでしょうねぇ?いざ死んで会いに行っても、「あら、来ちゃったんだ…」みたいな気まずい空気が流れませんかねぇ?

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【ストーリー】
夫に捨てられた中年女性のキャロリン。人生の新たなスタートを切るため古びたアパートの一室に引っ越すが、日に日に孤独に苛まれ、精神状態も不安定になっていく。そんなある日、ひとりの少女が彼女のもとを訪れ…。

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各国のファンタ系映画祭で話題を呼んだという、スウェーデン産の心霊ホラー。製作/脚本/監督に、本作が初長編となるクリスティアン・ハルマンが。
全てを失った中年女性が、かつて忌まわしい事件があったアパートの一室で恐怖に襲われる様を描いた本作。“恐怖に襲われる様”と書いてはみたが、序盤から異常な出来事は起きてるものの、主人公がそれに気付き恐怖するのは終盤も終盤で、メインに描かれる恐怖は“孤独”。その孤独に苛まれ追い詰められていく描写が、主演のラナ・オールソンの生々しいまでにリアルな風貌と、寒々しい室内、そして更に寒々しい野外の風景と相まって、見事なまでに表現されている。身も心も冷え切ってしまいそうな孤独の描写が頂点に達すると同時に、室内に潜むもうひとつの孤独な存在が彼女と呼応する展開も非常に物悲しく、この作品が描く孤独をより深く描いているようにも。一途なあまり相手の都合を全く考えない子供らしさが描けているのも好印象。
雰囲気作り担当でしかない他の住人らの個性が前に出すぎちゃってて、本来もっとシンプルなはずである作品の世界観が多少複雑になってしまってる印象もあるが、パッケージの煽り文句に期待値を上げ過ぎなければ十分に楽しめる一本なのではと。

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お母さんが探してるんじゃないの?

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2016年11月28日

死霊館 エンフィールド事件 (The Conjuring 2)

監督 ジェームズ・ワン 主演 ヴェラ・ファーミガ
2016年 カナダ/アメリカ映画 134分 ホラー 採点★★★★

実話ベースの映画に出てくる幽霊って、満ち足りた大富豪の家なんかじゃなく、経済的問題など家庭内に大きい厄介事を抱えている家に現れがちですよねぇ。ただでさえ問題山積なのに幽霊まで出てきちゃって、なんかもう泣きっ面に蜂って感じ。ただ、その体験談で一家が一儲けもしてたりするんで、もしかするとそんな幽霊って、困窮している一家を助けるために「どれどれ、いっちょ一肌脱いだるか!」的に出てきてるんですかねぇ。そう考えると、なんか優しい世界。その方法は間違ってる気もしますが

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【ストーリー】
アミティヴィル事件を調査したことで一躍脚光を浴びる一方で、世間から激しいバッシングも受けてしまう、心霊研究家のウォーレン夫妻。強力な悪魔の存在を身近に感じると同時に、夫エドの死の予兆を感じ取った妻のロレインは、今後心霊事件に深入りしすぎないことを誓う。そんな夫妻のもとに、英国で発生したポルターガイスト事件の調査依頼が舞い込む。短期間の調査だけで終わらせるつもりのウォーレン夫妻だったが…。

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実在する心霊研究科ウォーレン夫妻の体験をベースにした、『死霊館』の第二弾。今回は、子供時代に読んだ怪奇事件本にはもれなく載っていたメジャーなポルターガイスト案件、“エンフィールド事件”にちょろりと一噛みした時の体験がベースに。前作に引き続き『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワンが監督を手掛け、主演には相変わらず惚れ惚れしてしまう美しさに目を奪われる『ジャッジ 裁かれる判事』のヴェラ・ファーミガと、『インシディアス 第2章』のパトリック・ウィルソンの、なんか片田舎の元ジョックスカップルみたいなお似合いコンビが。また、共演陣には強面になっててビックリした『ボーン・アイデンティティー』のフランカ・ポテンテも。タイプの顔だったのに。
前作から全ての面において進化を果たした本作。ジェームズ・ワンによる、往年のオカルト映画を彷彿させる静の恐怖演出と、唐突に尼僧姿のマリリン・マンソンみたいなのが飛び出てくる動の恐怖演出のコントラストや、その配分バランスに至ってはもはや達人芸の域に。クライマックスでのアクション映画ばりのテンションも、唐突さや不自然さを全く感じさせない、計算された演出バランスの妙を。
夫婦や家族の絆を描く感情描写はより深みを増し、怖がらせ一辺倒の映画では味わえない人間ドラマ的側面を作品に与えていたのも素晴らしかった本作。また、超常現象を全て鵜吞みにするのではなく、もともとの事件にもある胡散臭さを隠していないってのも好印象。日本のTVでの紹介され話題を呼んだ、ウォーレン夫妻がアミティヴィル事件調査の際に撮影したという、2階の部屋から顔を出す少年の霊や、少女がベッドで楽し気に飛び跳ねてるようにしか見えないポルターガイスト写真などの再現性の高さも、好き者としては堪らなかった一本で。

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こっから先は映画と全く関係ないんですけど、2週間ほど前の日曜日にあった出来事を。
夜の11時近くに仕事が終わり、終電までまだ時間があったんで一服でもしようと、ビルの10階にある喫煙所に向かった私。時間も遅く日曜なので人気の全くないフロアを進み、フロアの一番奥にある喫煙所に行くとドアが開かない。ドアに掛けられてたパネルを見ると、“喫煙所の利用は22時まで”と。
仕方がないんで帰ろうとエレベーターに乗り、1階のボタンを押す。「ドアが閉まります」のアナウンスが流れる。でも、ドアが閉まらない。「あぁ、日曜日はセキュリティパスをかざさなきゃダメだったんだ!」と、パスをセンサーに当て、「ピッ!」と音がした後、1階のボタンを押し、また「ドアが閉まります」のアナウンス。でも閉まらない。1階のボタンは光ってるし、1階に行く分に関してはそもそもセキュリティパスが必要ないことを思い出す。
「なんだい?故障かい?」と頭を捻ってると、今しがた自分が向かっていた喫煙所の方から足音がする。フロアに敷かれたカーペットが擦れる音。「まだ誰か居たのかなぁ?」と思うも、喫煙所は締め切られているし、他のオフィスには人気がなかった。非常階段からこのフロアに来ることも可能だが、私がここに来てからドアが開閉する音は聞いてない。聞こえるのはエアコンの微かな音と、もう4度目になる「ドアが閉まります」のアナウンス、そしてこちらに向かっている足音のみ。
流石に嫌な感じがしてきて、再度パスカードをかざし、閉まるボタンを連打。足音がエレベーターホールに向かう曲がり角まで近づいて来た気がしたその瞬間、5度目のアナウンスと共にようやくドアが閉まり、1階に到着。そりゃぁもう、振り返らず帰りましたさ。
結局あれがなんだったのかいまだに分かりませんし、転職したての会社でこんな話して“話を盛るヤツ”とか“注目集めたいヤツ”なんて思われたくないんで、誰にも話しておらず。でもなんかモヤモヤするんで、映画レビューの流れを無視して書いちゃいましたよ。

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自宅で呪われるだけの簡単なお仕事です

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2016年11月08日

COP CAR/コップ・カー (Cop Car)

監督 ジョン・ワッツ 主演 ケヴィン・ベーコン
2015年 アメリカ映画 88分 サスペンス 採点★★★

親であれ教師であれ、近所の口うるさいオッサンであれ、子供にとって大人って懲罰者として君臨する存在ですよねぇ。そうすると、警察官ってそんな大人にとっての懲罰者ってことだから、キング・オブ・ザ・懲罰者なんですねぇ。道理で、親の言うことをさっぱり聞かないウチの子供らも、「お巡りさんに連れてってもらうからね!」と言うと途端に大人しくなるわけだ。

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【ストーリー】
家出中の悪ガキ、トラヴィスとハリソンは、空き地で一台のパトカーを発見。周りに誰もいないことをいい事に、「ヒャッホーイ!」と乗り込み公道を大暴走。一方、パトカーの持ち主である保安官のミッチは、ある秘密をトランクに隠してあったパトカーが盗まれたれたことに気づき大慌て。無線で悪ガキどもに呼びかけるが…。

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来年公開予定の『Spider-Man: Homecoming』が控え、出世街道驀進中である『クラウン』のジョン・ワッツが脚本と監督を務めた、悪徳保安官のパトカーを盗んでしまった悪ガキと保安官の追っかけっこを描いたクライム・サスペンス。とってもナチュラルな子役を相手に、製作総指揮も務めた『ラブ・アゲイン』のケヴィン・ベーコンによる、カートゥーンの悪役じみた怪演が見どころ。ちなみに、無線係として嫁ベーコンのキーラ・セジウィックが声のみで出演。
ヒッチャー』や『ジャッカー』のエリック・レッドが注目を浴びてた頃の、レッド風味の亜流を観ているかのような懐かしさがちょいと嬉しかった本作。サスペンスの中心が子供たちではなく、まずいことになった保安官に集中していたり、子供らが運転するパトカー並みの微妙なスピード感の展開や、劇中の大半を遊びで過ごしながら、結末間際になってようやく遊びじゃ済まなくなってしまう構成の配分など、独特な味わいが特徴。
ただ、そんな懐かしさや、作り手の滲み出すぎる個性に頼り切ってるわけでもなし。「チンコ!オッパイ!」と口に出してるだけで楽しいって様や、銃口を覗き込んだりAEDを胸にあてたりと知らぬ内に死にに行っちゃうみたいな、男子ならではの特性ってのをしっかりと描き出してたりも。また、劇中では全く語られてはいないが、髪形や服の汚れ、セリフの些細な個所から家出に至った子供らの置かれた状況が垣間見れるのも巧かったなぁと。

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大人から解き放たれる時間も重要

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2016年11月07日

10 クローバーフィールド・レーン (10 Cloverfield Lane)

監督 ダン・トラクテンバーグ 主演 メアリー・エリザベス・ウィンステッド
2016年 アメリカ映画 104分 サスペンス 採点★★★

J・J・エイブラムスって、監督としてはこれといった個性もそつも思い入れも感じられない、“記憶に残らない映画”を作る天才って印象しかないんですが、プロデューサーとしては立ち行かなくなった企画や大きすぎるプロジェクトを動かす“凄腕”ってイメージがありますよねぇ。人と金を集め、無茶と思える企画すら通しちゃうその手腕には、素直に敬意すら感じたりも。きっと、プレゼン能力が凄まじく高いんでしょうねぇ。近くに居たら嫌いなタイプだ

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【ストーリー】
運転中の事故で意識を失ったミシェル。目を覚ますと、彼女は見知らぬ地下室で手錠に繋がれていた。そこに現れたのは、シェルターと化した地下室の所有者ハワード。彼は、外でとてつもなく恐ろしいことが起きているので外に出すことはできないと彼女に説明する。足の怪我で思うように動けないミシェルだったが、隙を見て脱出を試みる。外まであと一歩のところで彼女が目にしたのは…。

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先の読めない展開と、『クローバーフィールド/HAKAISHA』と世界観を共有する姉妹編的作品ということでも話題となった、J・J・エイブラムス製作による密室スリラー。監督を務めたのは、本作が長編デビューとなるダン・トラクテンバーグ。もともとは『クローバーフィールド/HAKAISHA』と全く関係のない独立した脚本だってこともあるので、一旦その辺は脇に除けておこうかと。
ざっくりと言えば、『ミザリー』と『サイン』をギュっとまとめて、そこに『宇宙戦争』を振りかけたみたいな、映画好きが集まって盛り上がった話をそのまんま脚本にしたかのような本作。マッチ一本で大爆発しかねない可燃性のガスでパンパンになった宇宙船で攻めてくるなんて、なんか水が苦手なくせに水だらけの惑星を侵略しに来た『サイン』の連中みたいでしたし。ただまぁ、確かに先は読めないが、寄せ集め故の先の読めなさって感じも。
しかしながら、ハワードが“単なる狂人なのか?”と“異常な状況に立ち向かっている一般人なのか?”の疑問の間で観客を迷わせ、最終的に“どっちも”にもっていく設定と展開は巧い。アイディアの勝利というか、やったもん勝ちな感じもするが、なかなか楽しめた展開で。

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温厚なイメージがあるだけに、秘めたる欲求が狂気に転じた時の手に負えない恐ろしさを見事に体現していた『アルゴ』のジョン・グッドマンや、ジョン・マクレーン並みにダクトを這い回り(そういえば娘役やってた!)、『宇宙戦争』のトムちん並みに細かいことに気が付くミシェルを持ち前の冷静さで演じた、『遊星からの物体X ファーストコンタクト』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド、そんな存在感の大きい二人に挟まれ影が薄くなってしまったが、その薄さがキャラの個性と合致していたジョン・ギャラガー・Jrという、限定空間での少ない人数の作品ながらも物足りなさを感じさせないキャスティングも魅力だった本作。声だけながらも、『アメリカン・スナイパー』のブラッドリー・クーパーが出ている、ちょっとしたボーナスも嬉しい一本で。
で、ちょっと脇に除けてた『クローバーフィールド/HAKAISHA』の話。“あの時ほかの場所で何が起きていたのか?”って意味では非常に興味をそそられる物語ではあるんですが、その反面、関連しているという事前情報や作品のタイトルからも、尋常じゃないことが起きている世界であることが分かってるので、作品そのもののサスペンスを大いに削いでしまってるデメリットも。一方、関連作として楽しもうにも、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のメイキングでJ・J自身が語っていた背景と本作で語られる状況が一致しないので、ただただ困惑するばかり。その辺の、上っ面だけで作品自体に思い入れの感じられない、非常にJ・Jらしい一本だったなぁと。

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今回も大阪で最初に撃退してたりするんでしょうかねぇ

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2016年10月26日

サブタレ式 ホラー10選

休み休みながらも、なんとか10年続いているこのサブタレ。総映画レビュー本数も1224本と、我ながら呆れる数に。イメージ的にアクションとホラーばっか観ている感じもしますが、実際のところアクションが351本に、ホラーが206本。イメージじゃなくて、実際そうでしたねぇ。
で、せっかく10年なんだし、何かしらの総まとめをやってみましょうかと。イメージ通りホラー映画で。えぇ、新作レビューがないんで、単なるお茶濁しの記事でございますよ。

さてさて、今から10本選んでみようかと思うんですが、月間ランキング同様に“レビューを書いた時点で初めて観た作品”から選出。でもって、すでに評価が固まってる作品やメジャー作ばかり並べてもアレなんで、傑作かどうかは微妙ですけど、なかなか忘れ難い作品を中心にピックしちゃおうかと。ランキングではないんで、レビュー書いた順に順繰りと。
ではでは、始まり始まりー。

香港ゾンビ (2006年09月03日)
98年の作品ってのもあって、香港映画特有のバタ臭さに覆われ尽した作品ではあるんですけど、ゾンビに囲まれた特殊な状況における人間のダメっぷりをつぶさに描いてたりもする、思いのほかゾンビ映画の基本に則った作りが好印象。ベタな笑いで進みながらも、しっかりと救いようのない結末にもっていってるのも立派。

リサイクル −死界− (2007年12月26日)
同じパン兄弟の『the EYE 【アイ】』とどっちにしようか迷ったんですけど、滅びと過去の後悔を具象化したビジュアルイメージの強烈さと、もの悲しく切ないにも程がある物語の融合っぷりが素晴らしい本作を選択。世界観にピタリとハマっていたアンジェリカ・リーの美しさも忘れ難し。

レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜 (2011年11月09日)
パチモン感溢れるタイトルで存分に損しちゃってますけど、Jホラーが蒔いた種が遠くオーストラリアで花開いた、心霊モキュメンタリーの快作。心霊映像の生々しいまでの不気味さもさることながら、愛する者を失った悲しさや、家族の絆の強さってのもちゃんと描き切ってるのも見事だったなぁと。

ステイク・ランド 戦いの旅路 (2012年01月08日)
恐怖やグロに走り過ぎず、ゾンビ禍によって(設定はヴァンパイアですけど)崩壊した人間社会ってのをしっかりと描き切った、近年ゾンビ映画の中でも忘れられない一本がこれ。少年の成長物語や、疑似家族関係を物語の中心に据えて、何を描こうとしているのか明確なのも良かったなぁと。どうせ“ラスト・オブ・アス”を映画化するのならば(一体どうなってるんだろ?)、これをお手本にしてもらいたいなぁ。

ゾンビ大陸 アフリカン (2012年06月14日)
これまたゾンビ映画なんですけど、ロメロやフルチのゾンビ映画にある根源的な恐怖、“そもそも死体が動いてるのが気持ち悪い”ってのを存分に感じさせてもらった一本。ウィルスとか妙に説得力がありそうな理由付けをせず、地獄と現世が交じり合ってしまったような絶望感と不気味さに溢れていた作品で。

MAMA (2014年11月20日)
うしおととらの“さとり”の話を思い出す、ふたりの“母親”と幼い姉妹の切ないにも程がある童話的な物語。幼子が選択する結末が思いのほか評判が悪いようなんですけど、大人の考える子供の幸せと、子供にとっての幸せは一致しているわけではないってのを痛感させられた、いまだに思い出しては胸がキューっと締め付けられる一本で。

スウィング・オブ・ザ・デッド (2015年02月04日)
レビュー当時は“ドラマ”という扱いにしてましたが、まぁゾンビなのでピックアップ。基本的にはブロマンスの風味の強いロードムービーなんですけど、変わり果てた世界に適応できないナイーヴな男と、全くのマイペースでその世界を生き抜く男という、ゾンビ社会での人間の姿をキチンと描けてた作品でしたねぇ。

ババドック 〜暗闇の魔物〜 (2015年09月06日)
真面目に子供と向き合おうとし過ぎ、心がパンクしてしまう母親。子供に対し強い怒りと嫌悪を感じ、その感情に対する後悔に苛まれる日々。精神的に追い詰められていく母親の心に生み出される“魔”を、これでもかってほどつぶさに描いた傑作。モンスターの存在を出すことでほんの少しの救いを観客に与えてはいるが、実際のところ、モンスターを生み出しているのは母親自身である怖さたるや。

マザーハウス 恐怖の使者 (2016年01月18日)
どうやらゾンビと家族の物語に弱いようで、わたし。これも母子の物語ですし。捻りに捻った設定が明らかになるラストの驚きもさることながら、愛するわが子のために我が身を犠牲にする母親の姿ってのがやっぱり強烈な印象を残してくれた一本。

死の恋人ニーナ (2016年04月28日)
元カノとか元カレの存在ってのはただでさえ厄介なのに、それが死んじゃってるとなると対抗のしようがないので手に負えず。で、本作の元カノ。死んでるだけでは飽き足らないのか、幽霊になって出てきやがる始末の負えなさ。一発ネタに頼り切りのようでいて、恋愛の側面をちゃんと描いてたりもする侮れない一本。監督本人がわざわざこのレビューを読んじゃってたりもする、お茶目なオマケも印象に残った出来事で。

まぁ、ざっとこんな感じの10選。他のジャンルでもやるかどうかは定かじゃないですし、なんかやらない気もしますが、ネタに困ったときにでも。ではではー!

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タグ:雑記
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2016年10月15日

グリマーマン (The Glimmer Man)

監督 ジョン・グレイ 主演 スティーヴン・セガール
1996年 アメリカ映画 91分 アクション 採点★★★

経済的な豊かさを得、巨額の金額が動く仕事に携わることでプライドが満たされる一方で、本当にやりたいことではなくても個を押し殺して歯車に徹し、成果への称賛は個人に対するものではない有名大企業で働く人生と、食い扶持を繋ぐのが精一杯の自転車操業ながらも、個人営業主としてやりたいことに万進し、結果は何であれフィリピンパブやロシアンパブで「シャッチョーサン、アイシテルヨー!」と夜な夜な称賛される人生。セガールって、メジャーへの階段を駆け上る途中で迷うことなく後者を選んだ猛者なんですよねぇ。

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【ストーリー】
“ファミリーマン”と呼ばれる猟奇的連続殺人犯の恐怖に包まれていたロサンゼルス。ニューヨークから赴任してきたジャック・コールは、相棒のジム・キャンベルと共に捜査を進めるが、新たな殺人事件が発生。その特徴的な手口からファミリーマンによるものと思われたが、ジャックはその手口を真似たプロの犯行であると考え…。

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猟奇殺人事件の背後に潜む陰謀を、元CIAの凄腕刑事が暴いていく様を描いたアクション・サスペンス。メガホンを握ったのは、手話ゴリラ映画『ケイティ』のジョン・グレイ。製作をセガール自身と、ハリウッド時代のセガールの盟友ジュリアス・R・ナッソーが。
「『セブン』流行ってるから、なんかそんなの作れや。愉快な黒人を相棒に、笑えるバディ映画風味も忘れずにね!」というスタジオの注文にセガールが素直に応じちゃったという、今では到底考えられないハリウッドスターとしてのセガールの葛藤がハッキリと表れた本作。そもそも、演技派でもなければハンサムなわけでも肉体美を誇るわけでもない、そんなハリウッド基準から大きく外れていることがセガールの個性であるのに、如何にもハリウッド的な作品を作ってしまうということは、作品としては当然のことながら、肝心のセガール映画としての個性も殺してしまう、良いことなしの結果になることはもう観る前明らかな結果で。
雨ばっか降っている、如何にも『セブン』風の雰囲気こそ漂ってはいるがサスペンスとしてはメタメタで、お楽しみのセガール拳もムードと噛み合っていない上に、アップとカットの多様で流れるような美しさを台無しにしちゃってる、至る所が非常に残念な本作。しかしながら、ロシア美女が全裸で死体安置所に並んでる中、セガールがおもむろにその胸を触ってみたりする後の“セガール・ハッピータイム”の片鱗が伺えたり、最近のセガール映画では味わえない“普通の映画の面白さ”ってのを感じられたりもするので、採点はやや甘めに。両方の鼻の穴から綺麗に真っすぐ鼻血を流すという、セガール映画史上最もあられもない姿を晒す記念碑的作品でもありますし。

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現在から比べればだいぶスリムだが、劇場で観た当時はその太りっぷりに大いに驚かされたセガール。自身のアクションにもスタントを多用してたり、同じアクションカットを何度も使いまわしたりと、近年のセガールに繋がる省エネアクションスターとしての気配を感じさせ始めてたりも。ただ、スタジオの言うことを素直に聞いているようでいて、自前の服としか思えないアジア趣味全開のジャケットや数珠を身に着けてたり、劇中曲も何気に自分で手掛けたりと、やりたいことだけをやろうとするセガールらしさを残しているのは流石。例の鼻血は別にして。
そんなセガールの相棒役には、うじゃうじゃいるウェイアンズ兄弟のひとり、『最‘新’絶叫計画』のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが。典型的な“愉快な黒人”役であるせいか、似たような顔で似たような役柄に扮した『ラスト・ボーイスカウト』のデイモン・ウェイアンズと頭の中でゴッチャに。未だどっちがキーネンで、どっちがデイモンだったか即答できず。
その他、『アルゴ』のボブ・ガントンや、『ピクセル』のブライアン・コックスら大物勢に、ジョン・カーペンター作品の常連であるピーター・ジェイソンや、『追撃者』のジョニー・ストロングなど、この前後でちょこちょこ顔を見た“映画っぽい”顔ぶれが揃ってるのも、最近のセガール映画では味わえない醍醐味でも。

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グリマーって、“閃光の如く鼻血を出す”って意味なんですかねぇ

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posted by たお at 22:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月13日

悪魔の墓場 (Non si deve profanare il sonno dei morti)

監督 ホルヘ・グロウ 主演 レイ・ラヴロック
1974年 イタリア/スペイン映画 94分 ホラー 採点★★★

ゾンビから霊まで、とりあえず死んでるものが関わってれば使えちゃう“死霊の○○”ってタイトルも便利ですけど、70年代のオカルトブームから現在まで使われ続ける“悪魔の○○”ってタイトルの汎用性の高さには到底敵わないですよねぇ。文字通り悪魔そのものが絡む映画以外にも、悪魔のような人や状況、果ては『悪魔の受胎』みたいに宇宙人相手にも使えちゃいますし。これだけ便利な枕詞もないなぁと。

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【ストーリー】
休暇でロンドンを離れ郊外を訪れた芸術家のジョージだったが、立ち寄ったガソリンスタンドで若い女性エドナの運転する車により、バイクを壊されてしまうやむを得ず彼女の姉のもとに共に向かうことに。しかし、ようやくたどり着くと、エドナの姉の夫が何者かに殺害される現場に出くわしてしまう。地元警察に容疑者として目を付けられる彼らだったが、事件の真犯人は害虫駆除用の超音波により目覚めた死体で…。

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贅沢な枕詞の使い方が目を引く、『悪魔の入浴・死霊の行水』のホルヘ・グロウによるゾンビ・ホラー。主演には、森永のCMに出てたりして日本のお茶の間でもお馴染みだった『カサンドラ・クロス』のレイ・ラヴロックが。
日本ではこっちの方が先に公開されちゃったので“ゾンビ映画第一弾”的な立ち位置に立っちゃってたが、明らかに『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』のエピゴーネンである本作。近代化と同時に汚染が進む環境問題や、旧世代と新世代の軋轢、身の潔白を晴らすために奔走するミステリー仕立てなどといった差別化を図る試みを行ってはいますが、別にこれといった効果を上げているわけでも
お楽しみであるゾンビも、前半を浮浪者ゾンビ一体のみで乗り切り、後半になってようやくゾンビ数が増え始めるも、登場するのは一度に三体までという、なんとも寂しい絵面。紙で出来てるかの如く盛大に燃えてみたり、犠牲者の近くではウスノロなのにそこに至る道中は意外と機敏な動きを見せてたり、なにか儀式めいた方法でゾンビを増やしたりと、ゾンビルールが確立しきっていない故の珍妙さも。

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しかしながら、その数少ないゾンビに施された『ビヨンド』のジャンネット・デ・ロッシによる生々しいメイクには目を見張るものが。特にクライマックスに現れる、病院ゾンビの解剖跡の生々しさは今現在においても通用するクォリティの高さ。
また、犠牲者のオッパイを剥き出しにしたと思ったら握り潰しちゃう、一瞬エロを挟み込んでからグロに移行するキメの細かいサービス精神や、イギリスの片田舎だからこそ漂うオカルト的な雰囲気、環境問題を訴えるためというよりも、カッコいいテーマ曲を延々流したいがために結構尺を撮るオープニング(そこにも一瞬エロを挟み込んで)など、本作ならではの味が作り上げられてるのは立派なのではと。
記念碑的な意味合い以外ではなかなか評価しがたい作品ではあるんですけど、文句を言いつつも数年に一度のペースで観てしまう中毒性の高い作品でも。

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火気厳禁

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posted by たお at 12:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月12日

デッドプール (Deadpool)

監督 ティム・ミラー 主演 ライアン・レイノルズ
2016年 アメリカ映画 108分 アクション 採点★★★★

朝起きたら何かしらのスーパーパワーが目覚めてたとして、だからといって「ヨーシ!今日からヒーローになるぞぅ!」となるとは到底思えない私。パワーの種類にもよりますけど、それが単に硬くなるだけとかだったら、そもそもの使い道すら思いつきませんし。で、玄関先に車椅子のハゲがやって来て、「さぁ!今日から一緒に悪と戦いましょう!」なんて言われても、「なんで?」としか。やっぱり、ヒーローになる人ってのは、パワーの有無に関係なく特別な人なんでしょうねぇ。

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【ストーリー】
小悪党を懲らしめ日銭を稼いでいた元傭兵のウェイドは、娼婦のヴァネッサと出会い恋に落ちる。束の間の幸せな日々を送るも、末期癌を患い余命僅かと宣告されてしまう。そんな彼のもとに現れた謎の男の紹介で、怪しげな治療を行う施設へとやって来たウェイドだったが、そこはエイジャックという男が主導し、人工的にミュータントの力を目覚めさせ、戦闘マシンを作り上げる実験場だった。結果、病気は完治し不死の肉体をも手に入れた彼であったが、その代償として全身が醜くただれた姿となってしまう。その姿のせいで恋人にも会えなくなってしまったウェイドは、マスクを被ったデッドプールとなり、復讐と元の姿に戻るためエイジャックを追うが…。

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本作が長編デビューとなるティム・ミラーによる、異色マーベルヒーローのデッドプールを主人公に据えたアクション・コメディ。映画製作における真のヒーロー(自称)である脚本を手掛けたのは、『ゾンビランド』のレット・リース&ポール・ワーニック。“アベンジャーズ”シリーズと同じマーベルでも、こっちは20世紀フォックスがガッツリと権利を握ってる“X-MEN”シリーズと世界観を共有している一本。とは言いつつも、同じくライアン・レイノルズがウェイドを演じた『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』とはまた微妙に設定が異なる、若干ややこしい一本でも。
オープニングクレジットからエンドクレジットの最後の瞬間まで、徹頭徹尾、遊び心がふんだんに盛り込まれていた、もうただただ楽しかった本作。マーベルネタをはじめとした映画ネタや楽屋落ちネタが多く披露されてるが、それらが単なる悪ふざけや内輪ウケに終わらず、しっかりとデッドプールのキャラクター性や世界観を作り上げていたのも立派。原作同様、物語と観客の間の第四の壁を破壊しまくってるが、そこにも映画ならではの破壊の仕方や(最後の『フェリスはある朝突然に』ネタに悶絶!)、物語を巧みに進行させる工夫、キャラクターの破天荒さを際立たせる効果などがきちんと織り込まれているのも見事。
また、昨今のアメコミ映画が陥りやすい画と物語の情報過多や、一作目にありがちな設定説明に終始しまどろっかしい展開に陥ることを避け、コンパクトにまとめられた物語を100分台という手頃なランニングタイムと予算で収めた構成力も好印象。下手にほっこりとさせないってのも嬉しかったですし。締めのワム!も含め。
そして何よりも、これまで興行収入を望むうえでスタジオ側が弊害と考えてきたR指定であっても、作品さえ面白ければオープニングで1億ドルを突破することも可能ということを立証してみせたってのは、今後の娯楽作品の映像表現の幅を広げる可能性を含んでいるって意味でも、非常に素晴らしいことだなぁと。

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喋ってないと死んじゃうのか?」ってほどの減らず口が、ある意味特殊能力の一つでもあるデッドプールことウェイド・ウィルソンに扮したのは、『デンジャラス・ラン』『ブレイド3』のライアン・レイノルズ。なんか、ライアン・ゴズリングとクリス・エヴァンスの間を行ったり来たりしている印象もある彼ですけど、今回は思いっきりかつてのエヴァンス寄りの軽薄軽妙キャラを好演。なんだかんだとアメコミキャラに扮することが多い一方で、ハマリ役には恵まれなかっただけに、製作も兼ねる気合の入れようで挑んだ本作で見事にハマったのは嬉しい限りなんじゃないでしょうかねぇ。例の緑のヤツに対する憂さを、しっかりと劇中で晴らしておりましたし。
その他、どことなく若い頃のアシュレイ・ジャッドを思い起こさせる、『SPY/スパイ』のモリーナ・バッカリンや、『トランスポーター イグニション』のエド・スクライン、『ロック・オブ・エイジズ』のT・J・ミラーに、格闘家としての見せ場をしっかりと作り上げてた『ワイルド・スピード EURO MISSION』のジーナ・カラーノ、そしてもちろんもれなく付いてくるスタン・リーといった、バラエティ豊かなキャスティングも魅力。
そしてなんと言っても、ネガでソニックでウォーヘッドなティーンエイジャーという、名前まんまのキャラクターで魅了してくれたブリアナ・ヒルデブランドの存在感が忘れ難し。と言うか、ただただ連呼したくなる“ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド”のネームパワーたるや。今度ネコに名前を付ける機会があったら、“ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド”と付けようかな。で、ちゃんと「ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド!」て呼ぼうかな。取り合えず、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドを“ね”で辞書登録しておこっと。

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ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド!

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posted by たお at 16:32 | Comment(0) | TrackBack(3) | ★★★★(満足!) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする